CMS導入の基礎知識|メリットや導入手順を解説
Webサイトやオウンドメディアなどのコンテンツを社内で一元管理するため、CMS(コンテンツマネジメントシステム)の導入を検討している方も多いのではないでしょうか。CMSを活用すると、一つのシステムだけでページの作成や編集、チーム内での情報共有ができるため、コンテンツ制作の効率性が高まります。
しかし、CMSを導入するには、WordPressのようなオープンソースを利用したり、制作会社に依頼したりと、複数の手段があり、それぞれプロセスが異なります。
そこで本記事では、CMSを導入する方法や、手段ごとの導入手順を詳しく解説します。導入時の注意点やポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
CMSを導入するメリット
CMSとは「Contents Management System(コンテンツ管理システム)」の略称で、Webサイト上のコンテンツ(テキスト・画像・動画など)を一元管理できるソフトウェアを指します。CMSには専用の編集ページで直接文章を入力したり、テンプレートを用いてページレイアウトを構成したりと、効率的なWebサイト制作につながる豊富な機能が搭載されています。
ここでは、CMSの5つのメリットをそれぞれ見ていきましょう。
1.Webサイトの制作作業の負担が軽減される
一般的にWebサイトを制作するには、HTMLやCSSをはじめとする専門知識が必要です。しかしCMSを利用すれば、編集ページにテキストを入力するだけでWeb上へ情報が反映されます。画像や動画、CTA(行動喚起)用のボタンなども、マウス操作で配置することが可能です。
コンテンツをパソコン版やモバイル版に分け、一斉に公開できるのも特徴です。ベースとなる単一のコンテンツを作成するだけで済むため、利用端末ごとに複数のページを作る必要がありません。
このように、CMSは制作担当者の負荷を和らげ、工数の削減や生産性向上に効果を発揮します。
2.複数のスタッフで分業しながら運用できる
一元的にコンテンツ管理ができるため担当制にしても問題が起こりにくいのもCMSの特徴です。システムへのアクセス権限や編集権限を柔軟に設定できるため、ページごとに担当する部門や部署が異なる場合でも、スムーズに担当者を招待できます。その結果、担当者ごとの責任範囲が明確となり、シームレスな分業体制が確立します。
CMSによっては、承認フロー管理の機能が搭載されていることがあります。校正担当者やディレクター、マネージャーなど、複数の承認者を経由する必要がある場合に、公開前コンテンツの回覧や事前確認を円滑に進められるのは大きなメリットです。
3.Webサイトに統一感が出せる
CMSにはデザインテンプレートが用意されており、統一されたフォーマットでページを作成できます。複数の担当者が作業を行っても、デザインやレイアウトを崩す心配がありません。訪問者にとっても違和感が少なく、視認性やユーザビリティの向上につながるのが利点です。
デザインを変更したい場合は、テンプレート内の一つひとつの構成要素を簡易的な操作のみで入れ替えたり、新たに追加したりすることが可能です。
4.SEO対策によるアクセス増加が期待できる
SEOを意識したテンプレートを作成することで、専門家でなくても検索エンジンに最適化されたページが作成できるようになります。SEO対策には様々なタグの挿入が必要であり、一つ一つ手作業で入れていくのには知識も手間もかかります。
CMS上で、タイトル・ディスクリプションなどの記入欄にテキストを入力すればタグが挿入された状態で出力される、といったテンプレートを組んでおくと、SEO対策の半自動化が可能になります。
これにより、検索エンジンが正確にコンテンツの内容を読み取れないようなリスクを抑えられます。検索結果での上位表示のために付加価値の高いコンテンツを作る必要はあるものの、構造化やタグ設定といったSEOのテクニカルな領域を専門知識がなくてもできるようになるのは、CMSの大きなメリットです。
5.Webページをスピーディーに更新・公開できる
CMSで作成したコンテンツはすぐに公開できます。ページを常に最新の状態にできるため、コンテンツ配信のスピードアップにつながるでしょう。
コンテンツを更新する際も、必要な箇所を編集ページで書き換え、更新ボタンをワンクリックするだけです。さらに編集履歴がシステム内に蓄積されるため、コンテンツを更新前の状態へと戻せるのもポイントです。
CMSを導入する方法
CMSを導入するには、有料または無料のオープンソースやパッケージ型CMSを使用する方法と、オリジナルのCMSを独自開発する方法の3パターンがあります。それぞれメリットとデメリットが存在するため、目的や要件に沿って適切な手段を活用しましょう。
無料のCMSを使用する
CMSの中にはライセンス無料で使えるものもあります。代表的なものが「WordPress(ワードプレス)」をはじめとするオープンソース型のCMSです。
ライセンス費用がかからず導入コストを抑えられる点がメリットで、プラグインをインストールして機能を拡張できるため、カスタマイズ性にも優れています。
ただし、ソースコードが開示されているため、サイバー攻撃などで脆弱性を突かれやすいのがデメリットです。企業運営のWebサイトに使用するCMSとしては不安が残ります。
セキュリティ面を強化したい場合は、「Drupal」など脆弱性に対する情報を得やすいCMSを選ぶか、Movable TypeやPower CMSなどのパッケージ型CMSを選ぶのがおすすめです。
有料パッケージ型CMSを使用する
そもそもパッケージ型CMSとは、システムベンダーが独自開発したCMSです。ライセンスを購入することで使用できます。必要な機能がもともとパッケージングされているため、カスタマイズなしでもすぐにサイト構築が始められます。
有料パッケージ型CMSは、「Movable Type」「PowerCMS」「HeartCoreCMS」などが知られており、種類が豊富です。有料のパッケージ型CMSは国産のものも多く、サポート体制が手厚く、セキュリティ面が強い点が大きなメリットです。
パッケージ型CMSは法人利用を想定しているため、大規模なWebサイトを構築したい場合にも適切です。
制作自体に費用がかかることに加え、初期・運用にそれぞれライセンス費用がかかるため、オープンソース型に比べて費用が高額になりやすい点に注意しましょう。
オリジナルのCMSを独自開発する
要件通りのCMSをゼロベースで開発してもらう方法もあります。フルスクラッチ型CMSと言われ、完全にオリジナルのCMSをイチから構築します。カスタマイズ性に優れ、自社の要望をシステムに反映しやすいメリットがあります。
ただし、かかる費用はパッケージ型CMSよりもさらに高額になるほか、開発や設計など、導入までに時間もかかります。基本的には数千ページ以上の大規模サイトの場合に採られる方法です。
パッケージサービスを利用してCMSを実装する手順
パッケージサービスを利用してCMSを構築する手順は次の通りです。
1.要件定義
2.デザイン設計・開発
3.テスト~公開・運用
開発会社や制作会社に依頼すれば、すべてのプロセスを一気通貫で実行することも、必要な工程のみの支援を得ることも可能です。
要件定義
要件定義とは、CMSに求める機能やサーバーのスペックなど、開発会社や制作会社とともに必要な要素を洗い出す作業です。CMSの要件定義では、機能面とデザイン面の両方の要素を明確にする必要があります。
●機能面での要件定義:
Webサイト運営に必要となる編集・管理機能を洗い出す。編集・管理画面の細かいレイアウトや、システム管理に必要なチーム構成なども、この段階で決定する。
●デザイン面での要件定義:
デザインの観点から静的に作る部分とCMSで作る部分を明確にすることや、一覧ページに表示させるコンテンツの数量などを明確にする。1行あたりの文字数や行間など、ユーザーの可読性や視認性を考慮して要件を決めることが重要。
開発会社や制作会社へ相談する前に、現状の問題点やボトルネックを特定しておくと良いでしょう。そうすることで、自社に合ったCMSの選定や設計、方向性の提案など、よりスムーズに制作会社からの支援を受けやすくなります。
デザイン設計・開発
要件定義に則って、フロント側とサーバー側のそれぞれの設計・開発を行います。フロント側では、主にHTMLやCSSを用いたWebデザインを、サーバー側ではデータ格納方法の構築や、入力情報の処理などを実施します。
この段階では、Webサイトのデザインやコンテンツの階層構造など、あらかじめ自社の希望を正確に担当者へと伝えておくことが大切です。開発会社や制作会社はその要望に沿って、グランドデザインの構築や、Webサイトの目的に合わせたディレクション・制作などを行います。
テスト~公開・運用
開発が完了した後は、テストを実施して不具合の有無を検証します。品質を検証するための機能テストや、Webサイトへの負荷を調べるパフォーマンステストなど、複数の手法を駆使しておこなうのが一般的です。テスト時には開発会社や制作会社だけでなく自社するも参加できるため、バグの有無や動作状況といった細部までチェックすることが大切です。
テストの結果に問題がなければWebサイトを公開します。CMSの運用中はコンテンツを拡充するだけでなく、KGI(最終目標)やKPI(中間目標)を設定し、定期的に効果検証を行うことも忘れないようにしましょう。
CMSを導入する際のポイントや注意点
CMSの導入を成功させ、組織へとシステムを定着させるには、導入段階で入念にツールを選定したり、社内体制を整えたりすることが重要です。ここでは、導入時に注意すべきポイントを解説します。
自社のWebサイトの目的に合っているものを選ぶ
CMSは、プラグインで機能を自由に拡張できるタイプや、WebサイトよりもECサイトに特化したものなど、製品によって強みが大きく異なります。そのため、CMSを導入する際は、あらかじめ明確な目的を設定したうえで、必要に応じたものを選ぶことが大切です。
特に、多機能なCMSを選んだり、最初から膨大な機能を付け加えたりする場合は、費用対効果に見合わない可能性も考えられます。自社要件を明確にし、必要な機能を洗い出すことで、このような失敗を避けられるでしょう。また、最初はスモールスタートを意識して、段階的に機能を拡張する方針を取るのも一案です。
サイト更新のフローを明確にする
Webサイトや企業ブログ、オウンドメディアなどの種類を問わず、CMSで管理しているコンテンツは、定期的に内容を見直して更新する必要があります。
しかし、掲載するコンテンツが少ない、または従業員が更新に対して消極的などのケースでは、更新頻度が思うように高くならないことも考えられます。そのため、CMSの導入前に明確な更新フローや運用体制を確立することが肝要です。
具体的には、次のような要素をまとめておくと良いでしょう。
●コンテンツを更新する担当者
●管理者や制作者、校正担当者など、更新時の連絡ルート
●更新後の承認フロー
●コンテンツを更新するタイミング
●更新タイミングを知らせるアラートやリマインダーの実装可否
●バックアップの有無とそのデータの保有期間
●ページを削除する際の、誘導用の仮ページやナビゲーションの有無
セキュリティ対策に注意を払う
WordPressのような無償のオープンソース型CMSは、ソースコードが公開されており、さらに多くのWebサイトで利用されていることから、サイバー攻撃のリスクにさらされやすい傾向があります。また、パッケージ型CMSと異なり、ベンダーによる手厚いサポートを受けにくいことも難点です。
そのため、オープンソース型を採用する際は、セキュリティ対策として、テーマやプラグインを常に最新状態に保ち、予測されにくい強固なパスワードを設定・更新する必要があります。また、ホスティングサービスが提供しているセキュリティ対策機能を活用するのも方法の一つです。
独自のCMSを構築する場合でも、組織内部や外注先からの情報漏えいなども考えられるため、セキュリティリスクが完全になくなるわけではありません。どのような構築方法を採用するにしても、CMS利用時のセキュリティポリシーを明確にしたり、利用者のリテラシー向上を図ったりといった対策が必要です。
CMSの導入ならTOPPANへ!
CMSを導入するには、オープンソース型のサービスを利用する方法と、開発会社や制作会社に依頼する方法の2種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。企業がWebサイトを構築する際は、大規模なメディア運営にも対応しやすく、サポートも充実している会社がおすすめです。
ただし、一部の会社では、WordPressなどの攻撃されやすいCMSを、セキュリティリスクや対策の説明をしないまま導入するケースもあります。また、導入時やインシデントの際のセキュリティリスクへの対応が必ずしも十分でないこともあるため注意が必要です。また高度な要件への対応やカスタマイズには、CMSの知見がある開発会社を選ぶ必要があります。
TOPPANでは、デジタルマーケティングの専門家による、CMS導入のトータルサポートを行っています。クリエイター、オペレーター、アナリストなど、各分野の専門家がサポートするため、どのような不安要素も解消できます。
また、TOPPANのCMS導入支援サービスは、ベンダーフリーです。ご希望のWebサイトの規模や目的、用途に合わせて最適なパッケージをご提案いたします。
これまでの支援実績は100社以上。万全なセキュリティ対策で、CMSの選定・構築からその後の継続利用、あるいは集客・販促活動に至るまで、段階的にWebサイトを発展させ、成果を最大化するサポートをさせていただきます。
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2023.12.19