リブランディングの成功事例13選!
成功のポイントは?
商品・サービスが数多く並び、市場が飽和状態にある中、 差別化なしでは生き残りが困難になっています。そのため、より長期的に顧客と良好かつ深い関係を継続することが重要になっており、リブランディングによってブランドを再定義する施策が一つの有効策として注目されています。
今回は、リブランディングの定義や実施のメリットとともに、成功事例を13社分ご紹介しながら、その成功のポイントを探ります。リブランディングを検討中の方におすすめの内容です。ぜひご覧ください 。
<目次>
1.リブランディングとは?
2.リブランディングと「リニューアル」「ブランディング」の違い
3.リブランディングで見直すべき主な構成要素(種類・対象)
4.リブランディングの成功事例13選
5.リブランディングの具体的な進め方・5つのステップ
6.リブランディングの成功のポイント
7.まとめ
1.リブランディングとは?
リブランディングとは、既存のブランドイメージやパーパス(存在意義)といったアイデンティティを見直し、再定義する取り組みです。顧客や取引先、従業員、投資家といった企業やブランドをとりまくステークホルダー(利害関係者)に対して、新たなブランドの共通認識を浸透させ、新たな方向性や価値を打ち出します。
リブランディングの目的は企業によって異なりますが、時代の流れと共に変化する市場や顧客ニーズに対応するために実施し、競争力を強化することにあります。
リブランディングが行われるタイミング
一般的にリブランディングが行われる代表的なタイミングとして、次のシーンが挙げられます。
・新商品やサービスを市場に投入するとき
・事業規模拡大、事業内容変更などのとき
・市場におけるニーズが低迷しているとき
・周年記念のとき
リブランディングを通じてブランドイメージやステートメント、価値観を刷新することで、時代と現状に合ったコミュニケーションを取ることができます。
リブランディングのメリット
リブランディングを行うことで、次のメリットが得られます。
・市場での競争力向上
・顧客ロイヤルティ(※1)向上
・従業員エンゲージメント(※2)向上
・マーケティングコミュニケーションの最適化
・人材獲得力強化
※1 顧客ロイヤルティ:顧客が企業やブランドに対して抱く「愛着」や「信頼」、「親しみ」の度合いを表す指標。
※2 従業員エンゲージメント:従業員が自社に対して持つ「愛着」や「信頼」を指し、ビジョンや経営方針への共感度、仕事への熱意の度合いを表す指標。
ブランドが確立され、市場におけるポジションが明確になれば競争力を強化できます。また顧客・従業員・人材いずれにもブランドにポジティブな印象を持ってもらえるでしょう。
2.リブランディングと「リニューアル」「ブランディング」の違い
「リブランディング」は、類似する用語である「リニューアル」や通常の「ブランディング」と混同されがちですが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。これらを正しく理解することは、プロジェクトの失敗を防ぐ第一歩です。
リブランディングと「リニューアル」の違い
「リニューアル」は主に、老朽化したデザインや機能の刷新を指します。例えば、Webサイトのデザイン変更や商品パッケージの改良など、表層的なアップデートが中心です。 一方、「リブランディング」は、事業戦略やブランドの提供価値そのものを根本から見直す取り組みです。見た目だけでなく、中身を時代に合わせて再定義し、企業の持続的な成長を目指す取り組みになり、アップデートする対象の深度や影響を及ぼす範囲が異なります。
リブランディングと「ブランディング」の違い
通常の「ブランディング」は、新規事業の立ち上げ時など、ゼロからブランドを構築するプロセスを指します。 対して「リブランディング」は、長年培ってきた歴史や既存のブランド資産を活用しながら行います。実施前のイメージや強みをどの程度残し、何を新しくするかという、既存資産の整理と取捨選択が求められる点で、より高度な判断が必要になります。
3.リブランディングで見直すべき主な構成要素(種類・対象)
リブランディングにおいて「何を変えるか」の判断は極めて重要です。単にロゴを新しくするだけでは本質的な解決にはならず、戦略の一貫性が欠如して失敗を招くリスクすらあります。日本企業の成功事例を見ても、表層的なデザイン変更にとどまらず、以下の3つの階層を包括的に見直すアプローチが多く採用されています。
ブランドコンセプト(ミッション・ビジョン・バリュー)
企業の存在意義や「社会に提供する価値」の再定義です。長年の経営の中で市場環境や業界の構造が変化し、創業時の理念が現状と乖離した際に見直します。ここを起点にすることで、従業員の意識を統一し、企業の持続的な成長に向けた強い土台を作ります。コンセプトの刷新は、事業の方向性を大きく転換させる羅針盤となります。
ブランド・アイデンティティ(名称・ロゴ・スローガン)
コンセプトを視覚的・言語的に表現し、社内外に伝えるための要素です。社名やブランドロゴの変更に加え、商品パッケージやキャッチコピーの刷新などが含まれます。従来のイメージを一新し、変化の意志を直感的に伝達する役割を担います。
ブランド体験(UI/UX・店舗・接客・Webサイト)
顧客がブランドと接するすべてのタッチポイントです。デジタル技術の導入によるWebサイトの利便性向上や、店舗での接客の見直しなどが該当します。顧客に選ばれ続けるブランドになるためには、この体験価値の向上が不可欠であり、結果として売上向上にも寄与します。
4.リブランディングの成功事例13選
リブランディングに成功した企業の事例を13社分、ご紹介します。
1)TOPPAN株式会社~社名変更により新たなイメージも醸成
●背景・ねらい
紙メディア事業が縮小する中、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」に注力していくことを打ち出しました。
この事業構造変革を推進する意思を込め、既存の事業領域を規定する「印刷」を含めないことで「印刷」だけの会社ではないという認知を広げるとともに、新たなイメージ醸成を目指しました。
●実施内容
社名を「凸版印刷株式会社」から「TOPPAN株式会社」に変更し、印刷だけでなく、ワールドワイドで社会課題を解決する「突破力」を軸に「すべてを突破する。TOPPA!!! TOPPAN」というブランドコピーを考案しました。
テレビCMなどで積極的に発信した結果、認知度向上や企業イメージの刷新を実現しました。
●成功のポイント
事業内容の進化と実態に合わせ、社名変更を通じて企業イメージとのギャップを解消し、新たな価値を社会に提示した点。
2)静岡鉄道グループ~事業の多角化に伴うグループブランディング
●背景・ねらい
30社に及ぶグループ会社全体で連携して、事業の多角化を目指す上で、従業員への理念浸透と実践が課題でした。
●実施内容
グループブランディングプロジェクトの始動に伴い、ブランドステートメント策定ワークショップやブランドリーダー研修の実施のほか、ブランドブック、ブランド宣伝ポスターの制作なども実施しました。設立100周年時には新ブランドシンボルの制作も実施しています。
●成功のポイント
グループ全体の多角化という目標に対し、従業員への理念浸透(インナーブランディング)を徹底することで、内側からもブランド価値を高めた点。
3)芝浦機械~新たな始動による独自性のあるBtoBブランディング
●背景・ねらい
グループ企業からの独立をきっかけに、リブランディングプロジェクトを始動させました。
●実施内容
創業から80年以上、世界市場で展開し続ける同社の歴史に、新たな一歩が刻まれました。ものづくりのDNAを受け継ぎながらも、独自性を追求した新たなBtoBブランディングを実施しました。
●成功のポイント
グループからの独立という転機に、受け継ぐべき歴史とDNAを大切にしながらも、未来に向けた独自性を明確に打ち出した点。
4)食品メーカー~老舗・高級感の訴求
●背景・ねらい
ある食品ジャンルでは価格競争が進んでおり競争が激化していたことから、競合他社との差別化が急務でした。
●実施内容
これまでの量産的なイメージから、老舗感や高級感を前面に打ち出すリブランディングを実施。ロゴを刷新し、プレミアム路線での再スタートを切り、新たなイメージ浸透に成功しています。
●成功のポイント
激化する価格競争から脱却するため、あえてプレミアム路線に舵を切り、「価格」ではなく「価値」で選ばれるブランドへと再定義した点。
5)化粧品メーカー~オーガニックコスメティックブランドへ刷新
●背景・ねらい
総合通販会社のイメージを刷新し、スキンケアをはじめとしたビューティーブランドとして舵を切ることを目標としていました。
●実施内容
リブランディングを実施し、商品ラインアップおよびパッケージデザインの刷新と共に、オーガニック訴求も強化。ユーザーの健康や環境への配慮という付加価値をつけています。
●成功のポイント
時代の潮流である「オーガニック」という価値観を取り入れ、健康や環境への配慮という新たな付加価値をブランドに与えた点。
6)不動産・住宅メーカー~インナーブランディングを強化
●背景・ねらい
住宅領域にとどまらず、生活者の生活全般に向けたサービス展開を目指す中で、ブランド強化の必要性がありました。
●実施内容
社名変更を決行する中、リブランディングの背景をステークホルダーに理解浸透を図るために社内向けイベントを開催。経営トップからのメッセージ発信などを行っています。
●成功のポイント
事業領域の拡大という大きな変革を成功させるため、経営トップが自ら発信する社内イベントを通じて、従業員の理解と共感を促した点。
7)アパレルブランド~ターゲット層の変化に対応
●背景・ねらい
10~20代の女性をターゲットとしてきたところ、近年は顧客の年齢層が上がってきたことから、25~30歳の女性にターゲットをシフトし、リブランディングを実施しました。
●実施内容
大人の女性が好むデザインに変更しながら、キッズ向けアイテムも拡充し、ターゲットから支持を集めています。
●成功のポイント
顧客層の年齢上昇という市場の変化を的確に捉え、ターゲットを柔軟にシフトさせ、顧客のライフステージに寄り添った商品展開を行った点。
8)飲食店~おしゃれで清潔感のあるイメージへ刷新
●背景・ねらい
競合他社との差別化を行う必要がある中、従来の低価格で利用しやすいイメージを払拭することも検討していました。
●実施内容
リブランディングを行い、ロゴや店舗デザイン、メニューなどを刷新、おしゃれで清潔感のあるイメージに生まれ変わりました。
●成功のポイント
従来の「低価格」という価値基準から脱却し、店舗デザインやメニュー刷新を通じて「おしゃれで清潔感のある」体験価値を提供するブランドへと転換した点。
9)医薬品メーカー~若年層へのターゲット拡大
●背景・ねらい
発売から120周年を迎えるブランドは、既存顧客の高齢化に伴い、若年層にもターゲットを拡大する必要がありました。
●実施内容
ブランドコンセプトや商品ポジショニングを再定義し、ブランドサイトリニューアルやブランドムービーの公開、Xアカウント開設などを実施しました。
●成功のポイント
長寿ブランドの信頼は維持しつつ、若年層という新たなターゲットにリーチするため、WebサイトやSNSなどデジタル中心のコミュニケーションへと刷新した点。
10)通信インフラ・ネットワークメーカー~消費者向けからビジネス向けに刷新
●背景・ねらい
従来、消費者向け製品のイメージが強かった同社は、ビジネス向けテクノロジーソリューションへと軸足を戦略的にシフトするために45年ぶりにリブランディングを行いました。
●実施内容
従来の太文字のインパクトのあるロゴから、細身のデジタル的な印象のデザインに刷新し、最先端の技術も想起させるものとなりました。
●成功のポイント
BtoCからBtoBへという事業内容の戦略的シフトを、ロゴデザインの刷新によって視覚的に表現し、最先端テクノロジー企業としてのイメージを確立した点。
11)車メーカー~20年以上の歴史ある車ロゴを刷新
●背景・ねらい
新型EVの発表と同時に、ブランドロゴのデザインリニューアルを発表しました。
●実施内容
20年以上使用してきた車に掲げられるおなじみのロゴを大胆に変更。デザインテーマは踏襲しながら、現代にマッチしたテーマに基づく、立体的なデザインからフラットなデザインへ変更しました。デジタルメディアにもマッチしており、注目されました。
●成功のポイント
EVという次世代製品の発表に合わせ、ロゴをデジタル時代に適したフラットデザインに刷新し、ブランドの先進性と未来への方向性を明確に示した点。
12)家電メーカー~創業70周年を機に新ブランドプロミス策定
●背景・ねらい
創業70周年を機に、家電製品の本質的な価値の追求を目指す新しいブランドプロミスを策定し、リブランディングを実施しました。
●実施内容
コーポレートロゴの刷新と、新ブランドラインを2つ創設し、新たな一歩を踏み出しました。同時にインナーブランディングによりリブランディングを強化しています。大きな反響を生み、賞を受賞するなど評価されています。
●成功のポイント
創業70周年という節目に、企業の根幹である「ブランドプロミス」を再定義し、それをロゴから商品、社内まで一貫したストーリーで展開した点。
13)化粧雑貨メーカー~ライフスタイルブランドへ転身
●背景・ねらい
化粧雑貨で有名な老舗ブランドは、コロナ禍を受け観光需要に依存しない経営が求められていました。新商品開発と販路拡大を進める中でリブランディングも決行しました。
●実施内容
ロゴの刷新と共に、コーポレートスローガンを刷新するなどしてリブランディングに取り組みました。観光客の需要に依存せず、地元の人にも広く利用される店を目指しました。また化粧雑貨などのスキンケアブランドからライフスタイルブランドへと転身し、大きな反響を得ました。
●成功のポイント
コロナ禍という外部環境の激変に対応するため、事業領域とターゲット層を広げ、「観光客向けの土産物」から「地域に根差したライフスタイルブランド」へと転身した点。
5.リブランディングの具体的な進め方・5つのステップ
リブランディングを成功させるためには、正しい手順でプロジェクトを進めることが重要です。一般的な実行プロセスを解説します。
1. 現状分析と課題の抽出(ブランド監査)
まずは自社の現状を客観的に把握します。顧客アンケートや従業員インタビュー、競合調査などを通じて、ブランドが抱える課題を洗い出し、整理・一覧化します。
2. ブランド・アイデンティティ(MVV)の再定義
分析結果をもとに、「誰に」「どのような価値」を提供するのか、ブランドの核となるコンセプトを再構築します。マーケティング視点だけでなく、経営戦略としての視座が必要です。
3. ビジュアル要素(ロゴ・パッケージ)の再開発
新しいコンセプトに基づき、ロゴ、カラー、タグラインなどのクリエイティブを開発します。今の時代感を取り入れつつ、ブランドの個性を表現します。
4. インナーブランディング(社内浸透)の実施
新しいブランドを社内に浸透させます。社員一人ひとりが自分事として捉え、行動を変容させることが、施策を実施後に形骸化させないための鍵です。
5. アウターブランディング(社外発信)と効果測定
プレスリリースや広告を通じて社外へ発信します。認知度や売上の変化を測定し、顧客に愛され続けるブランドになるよう改善を繰り返します。
6.リブランディングの成功のポイント
リブランディングを成功させるためには、次のポイントを押さえながら実施することをおすすめします。
適切なタイミングでの実施
リブランディングは、実施のタイミングを適切に選ぶことがポイントです。顧客にとってこれまで親しんできたブランドが前触れもなく急に変更になると戸惑い、時に反感を生むこともあるためです。先に示したような適切なタイミングで実施するのがおすすめです。
ステークホルダーとの双方向のコミュニケーション
一方的な価値観の押し付けは避け、双方向のコミュニケーションを展開することを意識することが大切です。理由は、ブランディングは顧客の理解や共感によって成り立つものであるためです。そのためには顧客インサイト(※3)やニーズを踏まえた設計が前提となります。
※3 インサイト:消費者自身も気づいていない無意識の心理。本人が気づいている顕在ニーズや、本音のところにある潜在ニーズを起こすスイッチのような役割を果たすといわれ、消費者の購買意欲を引き出すのに重要視されている。
KPI設計・効果測定・改善
リブランディング施策は実施したら終わりではなく、効果測定を行い、改善につなげていく必要があります。リブランディングの指標となる主なKPIは、次の項目が挙げられます。
・新規接触率
・ブランド認知率
・ブランド想起率
・NPS(Net Promoter Score)(※4)
・問い合わせ数
・商談数・成約数
・顧客満足度
※4 NPS:他人への推奨度を数値化した指標。
これらの数値をリブランディング前後で実施し、上がらない数値があれば原因を探り、改善することが重要です。
専門家による伴走
リブランディング実施にあたり、ノウハウやリソース不足の課題を専門家の支援にて解決できます。最適なパートナーを選ぶことで調査・分析の精度向上や第三者の視点によるアドバイス、より正確にブランドイメージを構築できるなどのメリットも期待できます。併せてグラフィック・商品制作の委託も可能なサービスもあり、新たに制作会社に依頼するよりもブランドイメージが正確に反映されやすくなるでしょう。
7.まとめ
リブランディングは、単なるイメージ刷新に留まらず、変化する市場の中で企業が未来を切り拓くための重要な経営戦略です。確かな成果を出すには、KPIに基づいた改善サイクル、そして何より顧客や従業員といったステークホルダーとの真摯な対話を通じて、共感を呼ぶブランドを築き上げることが不可欠です。
一方、直面するノウハウやリソース不足などの課題に対しては、専門家の支援を受けることも有効です。専門家の支援を受ける際には、ぜひTOPPANへご相談ください。
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2026.01.08



