コラム

自治体業務におけるBPO活用のメリット
~導入事例や自治体BPOの市場規模を紹介

自治体において職員の人手不足が深刻化している中、BPOの活用により、リソース確保と業務改善の動きが高まっています。市場規模が拡大しており、今後はさらに多くの自治体がBPO導入を進めていくと思われます。
今回は、自治体におけるBPOの市場規模と自治体BPOにおいて委託できる業務と導入メリット、導入に当たっての注意点、導入事例をご紹介します。


■自治体のBPOの市場規模とトレンド

自治体におけるBPO市場の規模は拡大しており、今後も伸びていく見込みがあります。BPOの意味から導入が進む背景を見ていきましょう。

●BPOとは?

BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称であり、企業が特定の業務やビジネスプロセスを専門の外部企業に委託する手法を指します。ただのアウトソーシング(=業務代行)の意味合いを超えて、企業が持つ課題を解決し、業務効率化や業務の質を高めたりする業務改善の意味合いも含んでいます。

BPOに関する詳細は下記のコラムをご覧ください。

●自治体BPOの市場規模

近年は、民間企業だけでなく自治体においても民間企業が行うBPOサービスの利用が進んでいます。国内の自治体BPOの市場規模は2022~2023年には4~5兆円規模といわれており、大規模となっています。今後も、さらに伸長していくことが予想されています。

●自治体にBPOの導入が進む背景

自治体でBPOの導入が進む背景としては、少子高齢化に伴う労働力減少に伴い、限られた職員数の中でフロント・バックヤードどちらも業務効率化を進める必要が高まっていることが一つに挙げられます。同時に、住民のライフスタイルやニーズが多様化する中で、行政サービスも、オンライン化や紙の手続きの見直しなど、持続可能な形へと変えていくことが求められています。

■自治体BPOにおいて委託できる業務と導入メリット

自治体BPOにおいて委託できる主な業務として、次のものが挙げられます。

●BPO委託できる業務

・住基・戸籍関連業務
・マイナンバー関連業務
・国民健康保険・後期高齢者医療保険制度・国民年金業務
・子ども・子育て業務
・コールセンター業務

住基・戸籍から保険・年金、子育てまで基本的な業務のほか、住民からの問い合わせに対応するコールセンター業務など、多様な範囲の業務を委託可能です。

●導入メリット

自治体が、BPOサービスを導入すると次のようなメリットが期待できます。

・コスト削減・業務効率化
職員の業務負担が減り、リソースをコア業務に集中させられることから、コスト削減と業務効率化が実現します。BPOはアウトソーシングの一種でありながら、業務効率化を目的とするものであるため、ただのコスト削減のみならず、業務の効率化が期待できます。また、その分、ただのアウトソーシングよりもコストパフォーマンスも高いといえます。

・住民サービスの質向上
BPOにより業務が改善され、効率化すれば、スムーズな住民サービスの提供につながります。また、職員が住民の相談受付など、より住民のニーズに深く応える対応ができることで、住民サービスの質の向上につながるでしょう。

・職員負担の軽減
人手不足の中、職員の負担が軽減されることから、ストレスなどのメンタル面が良好になり、採用面でも良い影響が出ると考えられます。

・自治体DXやフロントヤード改革などが促進される
自治体DXの一環として、国を挙げて取り組んでいる自治体フロントヤード改革の一助となります。この取り組みは、住民と行政の接点となる窓口や申請などのシーンのオンライン化やペーパーレス化などによって、利便性向上を目指すものです。BPOを利用することで、これらを促進させることができるでしょう。

■自治体BPO利用時の注意点

これから自治体BPOを利用する際には、ぜひ注意したいことがあります。導入を成功させるためにも、押さえておきましょう。

●自治体BPOの実績の豊富さ

自治体向けのBPOサービスは、自治体実績が豊富なBPO事業者に委託することをおすすめします。民間企業の実績が豊富であっても、自治体業務は前提となることやルールが異なるため、知見と経験が必要です。

TOPPANの自治体向けBPOサービスでは、すでにノンコア業務や給付金申請の窓口業務などをさまざまな自治体に委託いただいた実績があります。自治体業務に必要な個人情報の取り扱いやセキュリティについても独自の対策を徹底し、真の意味で自治体の業務を効率化します。

●業務改革・改善を目的とした導入

BPOを利用する目的には、業務改革や業務改善も含めることをおすすめします。BPOサービスによってはBPR(業務改革)を積極的に提案するところもあります。

例えば、TOPPANはBPRも含めたBPOサービスをご提供しています。ある自治体では、業務の現状分析およびプロセスの見える化、課題の把握、効率化に向けた検討と改善施策のご提案などを行いました事例もあります。これまでに培った実績から、最適な行政事務処理の業務設計ノウハウを駆使してご提案可能です。

●セキュリティ体制が万全な事業者選定は必須

自治体業務は特に住民の個人情報をはじめとした重要な機密情報の取り扱いに注意しなければなりません。セキュリティ体制が万全な事業者を選定することは大前提といえます。

TOPPANでは、ある自治体に、給付金申請の受付業務を委託いただきました。導入に際しては、入退室管理やセキュリティカメラ、24時間体制での警備員の常駐、耐火性のある書庫での申請書管理などの厳格なセキュリティ管理体制を敷いている点を評価いただきました。

■自治体のBPO活用で成果につながった事例

自治体がBPOを活用したことで、成果につながった事例をTOPPANがご支援したケースの中から3つご紹介します。

●臨時特別給付金の申請受付業務

ある自治体は、延べ10万世帯以上への臨時特別給付金を迅速確実に給付することを最優先課題としていたため、申請受付業務をTOPPAN BPOに委託しました。過去に委託した経験があったこと、そして強固な独自のセキュリティ体制を評価し、TOPPANに決めました。
コールセンター、庁舎窓口、印刷・発送、申請受付処理と役割が分散される中、情報の一元化と進捗の情報共有によりスムーズに実施できました。効率的かつ確実性の高い審査体制を協力して構築した官民連携の好事例です。

●総務事務センターの設立・運営

ある自治体では、近年変化する住民ニーズに対応するために業務量の増加に課題を感じていました。将来に備え、持続可能な新たな行政経営へと移行するべく、職員のコア業務への集中を実現するためにアウトソーシングを利用して業務効率化を目指していました。

その一環として職員の負担軽減を目指した、約80もの人事・給与・福利系業務を対象とした「総務事務センター」の開設準備と管理・運営業務をTOPPANに委託しました。BPO・BPR・DXの3機能により業務効率化を実現し、職員のコア業務への集中を支援しています。

●BPR~現行業務の調査・改善

ある自治体は、人手不足や行政サービスの多様化に伴う職員の業務負荷増大が予想されていたことで、より必要性の高い業務に職員のリソースを振り分けることを検討していました。そこでTOPPANのBPOサービスを利用し、共通事務の集約化や委託化、業務フローの見直し、デジタル技術の活用などを目指し、BPRに取り組みました。実施したのは計11業務の調査と改善施策の検討です。

■まとめ

近年、共通課題として深刻化する人手不足や住民ニーズの多様化などを受け、自治体業務においてはBPO活用に多数のメリットが期待できます。今後もますます自治体BPO市場は伸びていくと考えられます。最適で信頼のおけるBPO事業者を選定し、官民連携で進めていくことが大切です。

TOPPANのBPOサービスでは、子育て関連業務や給付金業務などさまざまな自治体の業務を委託いただけます。デジタルとアナログの両方に対応する申請窓口の構築や、各種帳票の設計、受付・審査・入力などを最適に行う業務フローの設計など、幅広くご提案・実行が可能です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

2025.04.17