コラム

子育て支援における自治体の役割とは?
成功するためのポイントもご紹介!

国内の少子高齢化が加速するにつれ、対応策を強化する必要性が増しています。年々必要性が高まっている現状を踏まえると、自治体が少子化対策や子育て支援を推進することはさらに重要性を増しています。
今回は、自治体の子育て支援の現状と課題、子育て支援に関わる自治体の役割と責任、成功ポイントを解説します。


■自治体の子育て支援の現状

少子高齢化は年々深刻になっており、少子化対策と子育て支援は、特に早急に取り組まなければなりません。そこで自治体における子育て支援についての必要性と共に、具体的な取り組み例をご紹介します。

●自治体による子育て支援の必要性
自治体による子育て支援の必要性が増している大きな背景として、2023年4月1日に施行された「こども基本法」が挙げられます。少子化対策を強化するために「こども家庭庁」も発足しました。そして安心して子育てができる社会の実現も強く目指されています。

その中で、自治体の子育て支援により、世代問わず結婚・出産・育児する際の不安や負担を軽減させることが求められています。子育て支援の定義は、子どもを育てる保護者が安心して育児を行える環境整備を行ったり、経済的な負担を軽減したりする取り組み全般です。

●自治体による子育て支援の取り組み例
具体的な子育て支援の取り組みとして、次のことが挙げられます。

・妊娠時から出産・子育てまで一貫した支援
相談窓口の支援、産後ケア支援、乳幼児健診の推進、子育て世代包括支援センターの設置など

・子どものための教育・保育給付
認定子ども園や幼稚園、保育所などへの施設型給付、延長保育や一時預かり事業への支援、保育所などにおける設備などの支援事業費補助金など
 
・地域の子ども・子育て支援などの推進 
放課後児童クラブの受け皿整備、こども家庭センターの設置など

・保育の受け皿整備・保育人材の確保
保育現場のICT化推進や保育人材の増強のためのマッチングなどの支援

・子どもの安全・安心のための取り組み
子ども関連業務の従事者における性犯罪確認の仕組みづくりや、保育所の送迎バスへの安全装置導入や見守りタグ導入など

■自治体の子育て支援の課題

自治体が子育て支援の取り組みを進めるに当たって、次のような課題に直面しています。

●認知がされていない
子育て支援制度を拡充しても、そもそも子どもを育てる保護者や地域内の認知度が低いという課題です。原因としてPR不足があると考えられています。

●支援施策がわかりにくい
保護者にとって、子育て支援施策の内容がわかりにくく、何をどうすれば良いのか、また本当にメリットがあるのかわからないといった理由から、利用につながらない実態があるといわれています。原因として、支援施策の内容が複雑、説明が不十分でわかりにくいことなどがあると考えられています。

●申請の手間と負担
特に出産後、身体的に負担が大きくなりがちな母親においては、何らかの申請のために何度も自治体窓口に足を運ばなければならないとなると、手間と負担が大きくなります。原因として、デジタル化推進の遅れなどが考えられます。

●予算不足
地方財政は近年、深刻な財源不足に直面しており、子育て支援にかける予算にも影響が及んでいます。予算不足の原因として、減税などによる税収の落ち込みや、景気後退などが挙げられています。

■子育て支援に関わる自治体の役割と責任

子育て支援は、先述の通り、こども基本法をはじめとした法的枠組みに基づき、自治体には法的責任と役割があります。

●自治体の法的責任と義務

・こども基本法
こども基本法では、自治体の責務について定められています。

第5条では「地方公共団体は、基本理念にのっとり、こども施策に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内におけるこどもの状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と定められています。

第10条では、都道府県は国のこども大綱を勘案し、都道府県こども計画を作成すること、市町村は国のこども大綱と都道府県こども計画を勘案して、市町村こども計画を作成することの努力義務が課せられています。

第 11 条では、地方公共団体子ども施策を策定・実施・評価するに当たり、個々の施策の目的などに応じて、子どもの年齢や発達の段階、実現可能性などを考慮しつつ、子どもや子育て当事者などの意見を聴取し、子どもの最善の利益を実現する観点から、施策への反映・フィードバックをさせるために必要な措置を講ずるものとすると定められています。

・子ども・子育て支援制度
自治体は平成24年8月に成立した「子ども・子育て支援制度」に基づき、子育て支援を推進することが求められています。

同制度は「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度です。

自治体主体で行う主な取り組みとしては、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付「施設型給付」や小規模保育等への給付「地域型保育給付」、地域の実情に応じた子育て支援として利用者支援事業や延長保育事業、児童手当などの交付金などが挙げられます。

●自治体が役割を果たすために必要なこと
自治体がこのような子育て支援を主体的に推進し、しっかりと役割を果たすためには、十分な人的リソースと知見・スキルが求められます。自治体の多くは現在、深刻な人手不足や業務負荷の増大に課題を持っており、子育て支援事業に対する十分なリソース確保や知見およびスキルアップのための教育機会に限界が生じています。

■自治体が子育て支援を成功させるポイント

こうした現状を踏まえると、自治体が子育て支援を成功させるためには、リソース不足への対応が鍵となります。民間委託を行いながら推進することは大きな解決策の一つとなるでしょう。そこで民間委託のメリットと課題をご紹介します。

●子育て支援の民間委託の具体例
子育て支援における民間委託のよくある例として、給付金交付の受付窓口や事務局運営が挙げられます。また地域住民へ子育て支援に関するアンケート調査を実施したり、子育て支援アプリの開発・運用、子育て支援プロモーションを実施したりする例が挙げられます。

●民間委託のメリット

・コスト削減
民間委託によって自治体職員の人的コストが削減されます。また運用に当たって専門知識とスキルを兼ね備えた人員が対応することで、自治体職員を教育する必要がなくなります。致命的なミスの低減や業務効率化など、総合的に見てコスト削減につながることもあります。

・サービスの品質向上と維持
民間の専門知識とスキルを兼ね備えた人員が対応することで、サービスの品質向上および維持が叶います。従来の業務に加えて、民間企業ならではの創意工夫や技術力により、デジタル化を中心としたサービス品質向上、効果が期待できます。

・持続可能な支援体制の構築
子育て支援は一時で終わらせてはならず、常に持続可能な支援体制を念頭に置かなければなりません。その意味でも、民間委託を活用して成功例を積み重ねておくことが重要となります。

●民間委託の課題

・セキュリティの確保
外部委託につきものなのが情報漏洩のリスクです。個人情報を取り扱う場合は特に厳重な管理が求められます。セキュリティ体制に信頼のおける自治体事業案件の実績と経験が豊富で評価の高い民間企業を選ぶ必要があります。

・効果的なパートナーシップの構築
民間委託において欠かせないのがパートナーシップを構築する考え方です。ただ任せるだけではなく、信頼関係を築いておくことで、安心感が増すうえに、委託事業の定期的な効果測定の際にもスムーズに進みます。

詳細に関しましては、ぜひサービス紹介ページをご覧ください。

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2024.11.18