コラム

株主優待とは?
企業が知っておくべき効果とメリット

多くの企業で導入されている株主優待。これから制度を設けることを検討中の企業にとっては、そのメリットや注意点をあらかじめ確認しておきたいとお考えではないでしょうか。
今回は、株主優待の基本的な意味や、企業が実施することによる効果とメリット、株主優待の導入方法と注意点をご紹介します。


■株主優待とは

株主優待の基本的な概念と種類をご紹介します。

●株主優待とは?
株主優待とは、企業が自社の株を購入してくれた株主に対して、優待として自社商品や割引券などの優待品を提供することです。

株主優待制度を自社に制定することは任意となるため、実施企業と非実施企業とに分かれます。上場企業においては、約4割が実施しているといわれています。

●株主優待の種類
株主優待の優待内容は企業によって異なります。例えば次のような種類があり、多くの企業が株主優待に設定しています。

自社商品・サービスの提供
自社の商品やサービスを提供するものです。例えば食品メーカーであれば、自社の食品を、娯楽施設であれば、施設の無料利用券などを株主に提供します。

●割引・優待券の提供
商品やサービスを無料で提供するのではなく、割引券や優待券を提供することもあります。例えば飲食店が自店舗の50%オフの利用券を提供したり、鉄道会社が新幹線などの乗車券の割引券を提供したりしています。また自社商品やサービスに関する割引や優待だけでなく、住宅メーカーがお米の割引券である「おこめ券」を優待品として提供することもあります。

●ポイント提供
主に自社のポイントを特別に提供するものです。例えば通信キャリアが携帯電話の利用料金などに充てられるポイントを付与することがあります。ポイントと交換できるものは利用料金や商品など企業によって異なり、実質、多様なインセンティブを提供することができます。

●金券の提供
金券を提供することもあります。例えばQUOカードやギフトカード・商品券、図書券などが挙げられます。

●カタログギフトの提供
カタログギフトとは、商品が複数掲載されたカタログの中から、好みの商品を任意で選べる贈り物の一種です。株主には、好みの品を選んでもらうことができます。

■株主優待の効果・メリット

株主優待を企業が実施することで、企業側の視点で見ると、次の効果とメリットが得られる可能性があります。

●安定的な株主の確保
株主の中には値上がり益を目的とせず、株主優待や配当金を目的として長期保有する人もいます。株主優待を実施することで、そうした長期保有の株主を増やすことにつながり、また、株主との関係強化が可能になり、安定的に株主を確保できると考えられます。

●企業イメージの向上
株主優待は株主へのインセンティブであるため、株主にとって嬉しいものであり、そのような良い心象から企業イメージ向上につながるでしょう。株主がベネフィットを強く感じる優待であれば、ファンを生み出すこともあります。

●マーケティング効果
株主優待は、マーケティング効果も期待できます。株主の自社商品やサービスに対する購入意欲を高めるでしょう。また割引券の利用は直接的な購入につながります。

さらに企業が興味を引くような株主優待品を提供していることが世間一般に注目されれば、認知度が上がるとともに好感度も上がると考えられます。

●企業の財務状況への影響
株主優待制度を導入すると、株主の株の購入意欲が高まるため、一時的に株価が上がりやすくなります。また先述の通り、安定的な株主の確保につながるため、企業の財務状況に良い影響が及ぶ可能性があります。

株主優待は、数多くの効果やメリットが期待できることから、導入を考える企業もあることでしょう。
一方で、規模が大きくなる場合、株主優待運営の負担が増し、導入時に課題となることがあります。この場合は、外部に事務局運営を委託することで解決できます。外部委託による事務局運営の詳細は後述します。

■株主優待の導入方法

自社に株主優待制度を導入する際には、次の導入ステップを踏むのが一般的です。

1. 目的を明確にする
株主優待を導入するに当たっては、目的を明確にすることが肝心です。先に示した効果やメリットを期待して実施するのが一般的です。例えば、株主を増やすため、特に長期保有の株主を増やすために実施することが多くあります。またその結果として、株価の安定を目的とすることもあります。その他、マーケティングのための宣伝などの目的が強いケースもあります。
いずれの目的であっても、事前に明確にすることで具体的な設計を行いやすくなります。

2. 法律・税制・会社法の理解
株主優待の制度設計および実施するに当たっては、何よりもまず法的規制の理解が重要です。実施に当たっては、関連する法律、税制、会社法などの規定を遵守する必要があります。株主平等の原則に従うこと、株主への利益供与は禁じられていることなど、規定をよく理解し、遵守が求められます。

3. 優待内容の設定
法的規制や規定を踏まえた上で、具体的に何を優待とするのか候補をいくつか挙げ、設計していきます。4.の対象株主の設定と同時に行うのが良いでしょう。
優待内容は、先にご紹介したように、自社商品・サービスの提供、割引、金券、ポイントなどの種類があります。また、どのくらいのインセンティブを付与するのかについても吟味が必要です。

4. 優待を行う対象株主の設定
優待を行うのはすべての株主に限りません。株主のうち、一定の条件を満たした株主に対してだけ優待を付与することもあります。自社の株を一定数以上、一定期間以上保有した人に対してだけ優待を提供するのが一般的です。
例えば、100株以上の保有者には自社店舗での購入額の3%還元、500株以上の保有者には4%還元、1000株以上は5%還元、3000株以上は7%還元といったように、保有株数に応じて段階的にインセンティブを高める設定を行うことが多くあります。

5. 運用体制の検討
株主優待を実施するには、事務局運営を効率的に行う必要があります。株主総会の運営やIR業務などの他の株主関連の業務とのリソース配分も考えて最も効率的な方法を検討しましょう。
社内で実施するには人員・コストのリソース確保が求められますが、リソースやノウハウが不足している場合は外部委託も考えられます。

■株主優待の運用時の注意点

株主優待は、運用時にさまざまな注意点があります。そこで、主な注意点をご紹介します。

●法的規制の遵守
先に述べた通り、株主優待を実施するには遵守すべき事柄が多くあります。社内全体で理解し、遵守していくためには、まず役員間で共通理解を進めることが欠かせません。株主優待に関係する遵守すべき事柄すべてについてのコンプライアンスに関する役員研修を行うことが大切です。この研修によって、どのような行為が刑事罰の対象となるのか、またどのような社会的損益が生じるのかを理解しましょう。

●コスト管理
株主優待は、優待を提供することから、当然、コストがかかります。対象範囲を広げるほどコストは増大します。対象株主の設定段階で、コストについても十分に管理しておく必要があるでしょう。

●事務局運営の効率化
株主優待の事務局運営の効率化を検討することも重要です。株主優待の優待がスムーズでなければ、せっかくの制度の効果も期待できません。

外部委託として、BPOを利用する企業も多くあります。BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、業務やビジネスプロセスの外部委託を指します。委託しながら業務の質やスピードを向上させ、業務改善・効率化を目指します。

株主優待のBPOは、事務局運営を代行するだけでなく、プロが実施することで、自社で行うよりも業務の質が向上し、株主優待の効果を高められることが期待できます。

■まとめ・TOPPAN BPOのご紹介

株主優待を企業が実施することは、安定株主の増加や企業イメージ向上など、企業の成長と競争力強化にとって重要なメリットや効果を得られる可能性があります。コスト面、法的規制面、業務効率などの課題に対応しながら実施することが大切です。

TOPPAN BPOサービスでは、株主優待の運営事務局を含めた、ノンコア業務の効率化を実現するために幅広くご支援しております。

TOPPANの株主優待事務局BPOサービスでは、株主優待品の製造から管理、事務局運営まで、ワンストップでご対応可能です。これまでの経験と知見をもとに、効率的に事務局構築を行いますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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2024.11.15

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