請求書の郵送マナーは変わる?郵便法改正に伴う新しい送付方法
請求書をはじめとする帳票書類の保管方法が電子でも可能になったことや、ペーパーレス化の波によって、多くの企業が経理システムの電子化に取り組んでいます。ですが、請求書の送付は従来どおり、郵送で行っている企業も少なくありません。そこで、取引先とのスムーズなやりとりに欠かせない請求書の郵送マナーを詳しく紹介します。また、2021年10月から施行された改正郵便法に適した請求書発行業務についても解説します。
請求書の発送・受け取りが郵送の企業はいまだに多い
2022年1月より施行された改正電子帳簿保存法。事業規模の大きさにかかわらず、すべての企業に電子取引における電子データの保存が義務づけられました。施行から2023年12月31日までの2年間を猶予期間としていますが(宥恕(ゆうじょ)措置)、2024年1月1日以降は電子取引に関するすべての帳票は、電子データで保管する必要があります。
請求書の発送・受け取りが郵送である企業はまだ少なくないと思われますが、こうした背景からも電子化への移行は企業の急務といえるでしょう。
請求書の郵送で気を付けたいマナー
一方、取引先の都合などで、請求書の郵送をすぐには完全廃止することができないケースも珍しくありません。それだけに、郵送の正しい方法やマナーを知っておくことも大切です。そこで、請求書の郵送における代表的なマナーを詳しく解説します。
添え状を同封する:
請求書をはじめ、企業間でやりとりをする書類には添え状を同封するのがマナーとされています。
添え状には、あいさつとともに送付物が請求書であることを明記するのが一般的です。また末文には、支払期限や不明点の問い合わせ先などを記載しておくとより丁寧な印象になるでしょう。
以下に添え状の文例をご紹介します。
文例
〇月〇日
株式会社〇〇御中
請求書送付のご案内
拝啓 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
下記の通り、請求書をお送りいたしますので、ご査収の程、宜しくお願いいたします。
敬具
【記】
〇月度 請求書 1通
恐れ入りますが、本請求のお手続きは〇月△日までにお済ませくださいますようお願い申し上げます。
請求に関するご不明点は、担当の○○まで問い合わせください。
以上
請求書の郵送は封筒の仕様もポイントに:
請求書の郵送に使用する封筒は、長形3号と呼ばれる120mm×235mmのものが一般的です。また、取引の内容が書かれた重要な書類を送るのですから、中の文書が透けにくい封筒を使用しましょう。封筒の表面には「請求書在中」の文言を添えるとよいでしょう。ほかの書類との混同を避けられ、請求書の支払期限内にスムーズに処理を行ってもらえます。この文言のスタンプなども市販されていますから、活用するとよいでしょう。
封筒には差出人の社名と住所を記載します。手書きや住所印の場合は裏面に記載するのが一般的ですが、オリジナルの封筒を印刷している企業などでは、表面に名入れをしていることも多いようです。
請求書の送付先が取引先の社名・部署であれば宛名に「御中」と書き添えましょう。担当者宛ての場合、社名・部署名には「御中」をつけず、担当者名に「様」を付けます。
また、郵送の際は関係者以外の開封を防ぐために、封をした合わせ目にまたがるように「〆」や「封」または「緘(かん)」の文字を書き加えます。
普通郵便を利用する:
請求書は信書に該当します。
信書とは、「特定の人に対して、差出人側の意思や事実内容を通知する文書」と郵便法および信書便法で定められている文書のこと。請求書の他にも納品書、契約書などが該当します。
これらの文書を宅配便やメール便で送付した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。請求書は、普通郵便もしくは速達で発送しましょう。
郵便法改正による請求書の郵送への影響
2021年10月に施行された改正郵便法による、日本郵便のサービス見直しは大きな話題になりました。改正内容には請求書の郵送に多く影響を与えるものも見られます。
以下に、今回の改正郵便法の特徴と改正に伴う請求書発行業務に関わる影響について詳しく解説します。
改正前と改正後で変わったこと:
郵便法改正前と改正後に変わったことは主に以下の3点です。
①普通扱いとする郵便物・ゆうメールの土曜日配達休止
②普通扱いとする郵便物・ゆうメールの配達日数の繰り下げ
③特殊取扱料金の変更
2021年10月2日以降、土曜日の配達が休止されています。対象となる郵便物は、ゆうパック・ゆうパケット以外の普通扱いとされる郵便物です。つまり、金曜日に投函した郵便物の配達日は翌週の月曜日以降となります。また、普通扱いとされる郵便物の配達日数も、2021年10月以降段階的に1日程度繰り下げられています。
配達休止や配達日数の繰り下げと同時に、特殊取扱料金も変更されました。これにより速達料金が重量区分ごとに30~60円引き下げられています。ちなみに、速達郵便は改正後も土曜日・日曜日・休日を含めて配達されます。
また、指定日配達の料金も変更されています。従来は平日・土曜日の指定配達料金は32円でした。ですが、変更に伴い、土曜日指定の料金が変更になっています。土曜日指定の場合、日曜・休日と同額の210円に引き上げられているので注意が必要です。
改正後に適した請求書の郵送方法:
郵便サービスの見直しにより、郵送での請求書送付に従来よりも時間がかかるようになりました。これにより、従来どおりのスケジュールで作成していては、取引先の支払い業務に影響を与えることが十分に予想されます。
取引先との契約には支払期限が設けられており、万が一請求書の配達が遅れてしまうと支払い作業が滞る可能性もあります。こうしたことは取引先に迷惑がかかるのはもちろんのこと、企業間の信用問題にもつながりかねません。取引を円滑に進めるためにも、郵送方法を工夫する必要があります。
遅配を避ける方法はいくつか考えられますが、そのひとつとして「速達の利用」が挙げられます。速達を利用すれば、差し出し時間にもよりますが最短で翌日午後には配達が可能です。
特殊取扱料金が変更されたことで、以前よりも割安に速達が利用できるようになりました。また、配達日が指定できる配達日指定も有効です。
ほかにも、遅配を見越して請求書の作成スケジュールを前倒しする方法もあります。ですが、スケジュール変更による現場の混乱や担当者の負担が増えるなどの懸念もあり、あまり現実的ではないでしょう。
まとめ:従来の郵送マナーを守りつつ、よりスピーディーな対応を
郵便法の改正や帳票書類の電子保存が可能になっても、社内のシステム上、請求書を郵送で受け取らなければならない企業は多くあります。しかし、従来どおりの作成スケジュールでは、期日までに請求書が届かず先方の業務に大きな影響を与えることにもなりかねません。こうしたトラブルを防ぐには、請求書の即日発行が可能な電子請求書システムの活用をおすすめします。
また、クラウドの請求書発行システムを利用すれば、受け取り側も特別なシステムを導入する必要がないため、双方の運用もスムーズです。弊社の「WebBureau(ウェブビューロー)」は、煩雑な請求書作成や電子データの送付はもちろん、印刷までを自動化。請求書作成にかかる時間と手間の大幅な削減が可能になります。
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お客さまインタビュー
2022.06.07