コラム

請求書の原本の保管が必要な理由と有効な保管方法を解説

請求書を含む帳票書類と呼ばれるものの多くは、紙の書類を原本として保管するのが一般的です。ですが、ペーパーレス化が進み、PDFなどで電子請求書が発行されるようになった現在、請求書の原本はどのように保管すればよいのでしょう。

請求書などの帳票書類の原本の保管が必要な理由と、法律上有効と認められている請求書の保管方法について詳しく解説します。


請求書に原本が必要な理由

請求書や納品書など帳票書類と呼ばれる書類は、法律上、一定の期間保管が義務づけられています。請求書などの帳票書類は、改ざんされないよう原本を保存する必要があります。

法人の場合、請求書原本の保管期間はその年の確定申告期限の翌日から原則7年(欠損金の繰越控除制度を適用する場合は10年)と定められています。7年と期限が定められている理由は、万が一脱税が発覚した場合、追徴課税が可能な期間が7年であるからです。



請求書のデータ保存は法的に認められている

請求書を含む帳票書類の原本などの保管は従来、紙ベースで行われるものでした。ですが、2005年に施行された「e-文書法」では「法人税や会社法、商法、証券取引法などで保管が義務づけられている文書や帳簿、請求書、領収書などは紙媒体以外の電子ファイル(電磁的記録)での保存を認める」と明記されました。
それまで、「システム上で電子データとして作成したデータ」に限定されていた電子ファイルでの保存が、例えば紙の請求書のスキャンデータのPDFでの電子保存でも認められるようになったのです。

これにより、従来のように膨大な数の紙の請求書原本を長年保管する必要がなくなりました。

e-文書法で認められる帳票書類の条件:
e-文書法で認められる帳票書類に必要な条件は以下の4点です。

・見読性…
電子化されたデータがパソコンとモニター、プリンターなどを用いて明瞭な状態(解像度・諧調などが適切な状態)で見られるようになっていること。必要なときに直ちに表示、または書面として出力できるようになっていること。

・完全性…
保存期間中の減失や毀損(きそん)を抑止する措置がとられていること。内容の改変や消去がされないことがこれに当たります。方法として、電子署名やタイムスタンプなどを使用し、日付の改ざんなどがなく、ありのままの状態で保存されていることをいいます。

・機密性…
不正アクセスがなされないような対策がされていること。

・検索性…
必要に応じて、適切なデータを検索し直ちに取り出せるような状態であること。電子帳簿保存法で定められている検索性の要件「日付、金額、取引先によって検索できること」「日付または金額は範囲を指定して検索できること」「二つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できること」の3点を満たす状態が望ましいでしょう。

なお、対象文書の種類によっては最低限必要な条件である見読性を除き、すべての条件がそろっていなくても正式な帳票書類として認められます。

請求書を電子化するメリット:
請求書原本を電子化する大きなメリットは、紙文書の廃止が可能なため、印刷や郵送などが必要なくなることでコスト削減につながり、請求書原本の電子データをメールなどで送ることで即時発行できるので業務効率が向上することが挙げられます。それ以外にもシステム上で請求書原本の一括管理が行えるほか、バックアップを取ることも可能です。

そのため、請求書原本の紛失や破損・汚損などといったトラブル回避に役立ちます。また、あらかじめ検索ワードを設定しておけば、過去の帳票が必要になった際でも容易に見つけ出すことができます。



請求書の電子化のポイント

請求書の電子化で注意すべきポイントを、送付時と保存時のそれぞれの項目に分けて詳しく解説します。

電子請求書の送付時の注意点

請求書には発注内容や金額など機密事項が記載されているため、電子化の際は情報の漏えいや請求内容の改ざんが行われないよう、十分なセキュリティ対策が必要になります。情報漏えいや改ざんを未然に防ぐために、電子請求書の送付の際は以下のことを注意しましょう。

情報漏えいのない方法で送付:
電子請求書は請求書を送付するための専用サービスを利用することをおすすめします。電子請求書をメールで送付する場合、送信先を間違えてしまうとデータが悪用される可能性が考えられます。また、場合によっては膨大な損害賠償を求められる可能性もあります。

専用サービスを利用すれば、請求情報を含むCSVデータなどのテキストデータをアップロードすることで、自動でPDFを生成、取引先に送付されるといった方法も取れるので誤送信のリスクが軽減されます。

ファイルフォーマットは改ざんされにくいものに:
請求書のフォーマットには改ざんされにくいものを利用する。もしくは、請求書を送付するための専用サービスを利用しましょう。

WordやExcel形式では改ざんされる恐れがあるほか、取引先が使用するWordやExcelのバージョンによってはレイアウトが崩れてしまう可能性も。それにより、支払い金額などを間違えてしまうといったトラブルも考えられます。完成した状態で送付が可能なPDF形式で送付するのが一般的です。

WordやExcelで請求書を作成する場合でも、PDF形式に変換して相手先に送付するとよいでしょう。なお、請求書を送付するためのサービスを利用すれば、こうしたフォーマットの変換作業も自動化でき、人的ミスの可能性を減らせます。

電子請求書の保存時の注意点

送付された電子請求書の保存についての注意点を詳しく解説します。

改ざん防止など十分なセキュリティ対策を行う:
電子帳簿保存法には、改ざん防止を目的とした適正事務処理要件が定められています。この要件を満たすには、タイムスタンプの導入やログ情報の保存など、セキュリティ対策を十分に行う必要があります。

また、定期的なチェックや、万が一改ざんが行われた場合に備えた再発防止策など、社内での運用方法を決めておきましょう。

手書きの仕訳帳・請求書の写しは紙で保存する:
請求書や領収書など電子データでの保存が認められている書類がある一方、電子データでの保存が認められない書類もあります。手書きの仕訳帳や請求書の写しは電子データでの保管は認められていません。従って、これらの書類は紙で保存する必要があります。

請求書の原本をPDF化する方法

請求書の原本をPDF化するにあたって、法的には押印がなくても問題がありません。ここでは、請求書原本をPDF化する方法を3つ紹介します。

WordやExcelデータからPDF化:
まず、導入している企業も多いWordやExcelで作成した請求書データをPDF化する方法があります。請求書の発行側は、WordやExcelで作成した請求書のデータを簡単にPDFファイルに変換もでき、印刷、送付の手間を削減できるため作業も効率化できます。
なお、電磁的に作成された請求書をデータで取り扱う場合には、電子請求書の受け取り側が
電子帳簿保存法に則って保存した請求書の電子データが原本となります。

紙の請求書原本をスキャンしPDF化:
請求先によっては、請求書や帳票類が手書きのものを使用していたり、手書きの署名を必要とするケースもありますが、紙の請求書原本をスキャンしてPDF化することも可能です。取引先の処理方法にあわせながら、自社では請求書や帳票を電子保管できます。
ただし、紙の請求書原本を郵送しない場合、受領する企業は電子化した請求書を保管する必要があるため、送付先の企業は「電子取引に係る電子データ保存」の要件を満たさなければならない点には注意が必要です。取引でトラブルが発生しないよう、相手企業の処理方法も確認しながら進めるようにしましょう。

電子請求書発行システムを利用する:
電子請求書発行システムは、請求書の作成や送付を行うことができ、請求に関連の業務を一元管理することも可能です。
WordやExcelでの作成と違い、作成するフォーマットも統一されるため管理や、利便性も向上します。電子請求書発行システムは企業の請求業務を一括で管理でき効率化できますが、運用にはコスト発生しますので、その点も考慮し自社に合ったシステムを検討しましょう。



まとめ:電子システムの活用で帳票保存を安心安全に

請求書を含む帳票書類は、法律上保管期間が定められています。ですが、7年~10年と長期間にわたるその保管期間の間に、膨大な紙の書類を保管しなければなりませんでした。2005年に施行された「e-文書法」ではスキャンデータでの保存が可能に。これに伴い、面倒な請求書作成や保管を電子システムで行うことができるようになりました。

請求書・各種帳票の電子通知サービス「WebBureau(ウェブビューロー)」は、多様な帳票や請求書の発行・管理を一括して行えるクラウドサービスです。請求書発行の際のPDF生成の特許技術をはじめ、取引先および社内の利用者の一括管理や、部門・業務責任者など個人・グループごとの閲覧・操作の制限の設定、管理が可能です。高度なセキュリティで、重要なデータの改ざんや流出を防ぎます。また膨大な帳票データでも、帳票ごとに最大10項目の検索条件を設定できるので、必要なデータが素早く取り出せます。

こうした電子システムを利用し、自社のペーパーレス化を実現しましょう。

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・社外(取引先や得意先)に対してどうしたら電子化を理解してもらえる?
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お客さまインタビュー

2022.05.18

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