コラム

化粧合板・プリント合板の違いとは|メリット・デメリットの比較と選ぶポイント

建築の内装において欠かせない材料が化粧合板やプリント合板ですが、材料の種類によって特徴は異なり、プランに合わせた材料選定が必要です。

そこで今回は、化粧合板の定義や木質化粧合板とプリント(非木質)合板の違い、メリット・デメリットを詳しく解説します。材料を選定する際のチェックポイントやTOPPANの環境に配慮したおすすめ化粧合板も紹介しますので、ぜひ最後までごらんください。


◎◎

<目次>

■ 化粧合板とは
■ 木質系化粧合板とは|種類・特徴
■ プリント合板(非木質系化粧合板)とは|特徴・種類
■ 木質系化粧合板のメリット・デメリット
■ プリント合板(非木質系化粧合板)のメリット・デメリット
■ 「どっちがいい?」化粧合板・プリント合板(非木質系化粧合板)を選ぶポイント
■ 木質系化粧合板のデメリットを解決できるTOPPANの建築内外装材
■ まとめ


■ 化粧合板とは

化粧合板とは、建築用合板やMDF※をそのまま仕上げ材として使えるように、表面に化粧シートなどを貼り合わせた意匠材です。

※MDF:中質繊維板や中密度繊維板を意味して、細かいウッドチップを接着剤と混ぜ合わせて固めたパネル材。基材(きざい)と表面材で構成され、それぞれの組み合わせによって特性が異なります。

基材

表面材

化粧合板の種類

合板やMDFなど

木質系表面材

  • ・突板※
  • ・挽板※

木質系化粧合板

  • ・突板化粧合板
  • ・挽板化粧合板

合板やMDF

メラミン樹脂

アルミ材など

非木質系表面材

  • ・メラミン樹脂
  • ・オレフィンシート
  • ・強化
  • ・塩化ビニルシートなど

非木質系化粧合板

  • ・メラミン化粧合板
  • ・オレフィン化粧合板
  • ・ポリエステル化粧合板
  • ・プリント合板など

不燃パネル

非木質・木質系表面材

  • ・不燃化粧合板
  • ・難燃化粧合板

※突板(つきいた):丸太を厚さ0.2〜0.3mmの薄いシート状にスライスした素材
※挽板(ひきいた):丸太を厚さ2〜3mmの薄いパネル状にスライスした素材

【ポイント】
化粧合板とプリント合板は“違う”という訳ではなく、プリント合板が化粧合板の一種と捉えるのが一般的です。

■ 木質系化粧合板とは|種類・特徴

化粧合板のうち、天然木材から作られる突板や挽板を表面材とするのが木質系化粧合板ですが、JAS(日本農林規格)では、「化粧ばり構造用合板」「天然木化粧合板」と表記されます。

〈目的〉

無垢材

挽板化粧板

突板化粧板

木の質感

寸法・品質の安定性

×

(温度・湿度の変化による変形)

施工効率性

×

表面の耐久性


(表面塗装をした場合)


(表面塗装をした場合)

表面の耐水性

×


(表面塗装をした場合)


(表面塗装をした場合)

不燃性
難燃性


(不燃材注入材のみ)

×


(認定商品のみ)

価格


(樹種により差がある)

【ポイント】
突板化粧合板<挽板化粧合板<無垢材の順番で天然木の割合が増え、変形リスクなどの問題が目立ちます。

■ プリント合板(非木質系化粧合板)とは|特徴・種類

プリント合板とは、表面材が色柄を印刷したオレフィンシートや塩化ビニルシート、強化紙などであるものを指します。基材は合板やMDFなどの木質建材に加えて、メラミン樹種やアルミ材などを用いるものもあり、特にアルミ基材のタイプは耐候性が高いことから外装材として使用されます。

JAS(日本農林規格)では、「特殊加工化粧合板」の一種です。

プリント合板は昭和30〜40年代から徐々に一般的な現場に採用され始め、当初は色柄のレパートリーが少なく木目や石目の再現性が低いことから、安価な化粧合板とされていました。しかし、近年は表面耐久性の高い製品が増え、印刷加工技術の発展によって色柄に加えてテクスチャーをリアルに表現したパネル材が増えています。

・【メラミン化粧合板(高圧)】:強度を確保するためのコア層と色柄をプリントした化粧紙、メラミン樹脂、表面の耐久性を高めるコーティング層などを高温高圧でプレス接着したパネル材。

・【メラミン化粧合板(低圧)】:木質系ボードを基材としてその表裏面にメラミン化粧含浸紙を熱圧成型したパネル材

・【ポリエステル化粧合板】:合板やMDFなどの基材と、表面材である化粧紙の上にポリエステル樹脂層を塗布したものを圧着したパネル材

・【オレフィン化粧合板】:合板やMDFなどの基材と、表面材である印刷紙の上にオレフィン系フィルム、さらにコート層を塗布したものを圧着したパネル材

【ポイント】
TOPPANの「オレフィン化粧合板」は、製造時のCO2排出量が少なく(対塩ビ系材料)、燃焼時に有毒ガスがでない“環境配慮型内外装材”です。高度な印刷技術によって表現された高い意匠性と国土交通大臣認定の不燃性能により、多くの事例にご採用いただいております。

■ 木質系化粧合板のメリット・デメリット

木質系(突板・挽板)化粧合板にはメリットとデメリットの両方があるため、材料選定の際には注意しましょう。

メリット

・無垢材に近い色合い・木目・質感を表現できる
・無垢材には劣るが吸湿性・吸音性、香り成分によるリラックス効果、光の反射を和らげる効果を得られる
・木材利用による環境面での貢献につながる(森林循環の活性化やCO2吸収量増加)

デメリット

・非木質系より耐用年数が短い(10〜15年程度)
・温度や湿度の変化(=含水率変動)によって変形する
・表面の硬度が低いため、キズ・凹みがつきやすい(塗装・コーティングでも防ぎきれない)
・表面塗装しないと耐水・耐汚性はない
・塗装品は定期的な再塗装が必須になる
・非木質系よりも早く、紫外線による影響で変色する
・屋外に施工できる材料は少ない(雨・雪に弱い)
・輸入材を用いた製品は価格が高く輸送による環境負荷が大きい
・同じ色合い・木目の材料を多量に確保できない可能性がある(無垢材と同様に天然素材であるため)
・木目しか選べない

■ プリント合板(非木質系化粧合板)のメリット・デメリット

非木質系であるプリント合板は木質系化粧合板よりも高耐久な製品が多いものの、材料選定の際には気を付けるべき点があります。

メリット

・木質系より耐用年数が長い(安価なポリエステル化粧合板を除き、20年以上)
・温度や湿度の変化(=含水率変動)による変形リスクはほとんどない
・表面の硬度が木質系より高いため、キズ・凹みがつきにくいものが多い(安価なポリエステル化粧合板を除く)
・無塗装で耐水・耐汚性の高いものが多い(安価なポリエステル化粧合板を除く)
・耐候性の高い外装用がある(主にアルミ基材のもの)
・基本的に塗装などのメンテナンスは不要
・工業製品なので同じ色柄の材料を多量に確保しやすい
・木目・石目・メタル調など、色柄の選択肢が多い

デメリット

・木質系化粧合板と比べると色合いや質感が単調
・塩ビ系など、原料によっては製造時・廃棄時の環境負荷が大きい

【ポイント】
プリント化粧合板は印刷によって色柄を表現するため、木質系化粧合板と比べて木目のリアリティーが欠けるとされてきました。しかし、近年は印刷技術やエンボス加工※の進歩により“本物”と比べても遜色のないプリント化粧合板は少なくありません。TOPPANの環境配慮型建材・オレフィン化粧シートを用いた不燃化粧合板は、内装・準外装・外装全ての場所にご採用いただけます。

※エンボス加工:シート材や金属板などに凹凸をつけて、模様やテクスチャーを浮き立たせる印刷加工技術

■ 「どっちがいい?」化粧合板・プリント合板(非木質系化粧合板)を選ぶポイント

化粧合板には木質系・非木質系があり、それぞれ特徴は異なります。そこで、プランに合う化粧合板の選び方を紹介します。

施工部位(屋内・屋外)・耐候性

施工部位が屋内(室内)と屋外のどちらかによって、適した化粧合板は異なります。

  • 屋内(室内)での施工

木質or 非木質

  • 屋外もしくは準屋外※での施工

非木質

※準屋外:庇の下やバルコニーなど、建物の一部で外気に触れる部分

【ポイント】
木質系化粧合板は雨や高湿度にさらされると吸水(吸湿)してしまうため、屋外や準屋外には施工できません。TOPPANの「フォルティナ」は、アルミニウム基材にオレフィン系化粧シートを合わせた意匠材なので、屋内外問わず施工可能です。

表面の質感

木目にこだわるのか、石目・メタル調にするのかなど、表面の質感によって適した化粧合板は異なります。

  • ・天然の木目・色合い・触り心地を重視する

木質

  • ・木目だけではなく石目・メタル調も採用したい
  • ・大規模建築物など、広範囲に色柄や品質が均一な材料を施工したい

非木質

【ポイント】
質感にこだわる場合、非木質化粧合板はハイグレードなものを選びましょう。TOPPANの「フォルティナ」「ローバル」は高い印刷技術により自然素材が持つ風合いを可能な限り再現し、工業製品として高い品質と安定的な供給を実現した意匠材です。自然素材の欠点となる経年変色や変形のリスク、素材自身の重量や長さの制約を減らし、これまでにない新しいデザインが可能になります。

カラー・デザインのレパートリー

どのような色柄の化粧合板を求めるかによって、木質・非木質どちらを選べばいいかが異なります。

  • ・多様な色柄を求める
  • ・施工部位の異なる場所で同じ色柄を採用したい(屋内と屋外、壁とドアの面材など)

非木質

  • ・色柄の種類は求めない

木質or 非木質

耐久性(摩耗・キズ・汚れ)

建物の用途や施工部位によって、材料選定において耐久性が重要なチェックポイントになる場合もあります。

  • ・耐摩耗性を高めたい

木質(UV塗装※品など)or 非木質

  • ・耐汚性を高めたい

木質(造膜系塗装※品など)or 非木質

  • ・耐キズ性を高めたい

非木質

※UV塗装:紫外線照射によって短時間で固まる特殊塗料を用いることで、分厚い塗膜を形成できる
※造膜系塗装:ウレタン塗装など、物の表面をコーティングするような塗装

【ポイント】
木質系化粧合板は表面保護のために塗装が欠かせません。ただし、塗装済み化粧合板はその保護効果を維持するために定期的な再塗装が必要なので注意しましょう。対して、非木質のプリント化粧合板の中には、数十年メンテナンスフリーの製品も多くあります。

防火性・耐火性

建築基準法による規定により、防火性能のある化粧合板(不燃・準不燃・難燃材料)を選定しなくてはいけないケースは珍しくありません。木質・非木質問わずどちらも防火材料として国土交通大臣より認定されている化粧合板がありますので、材料選定の際には必ず認定番号などを確認しましょう。キッチンパネルなど防火性に加えて耐火性が必要な場所には、非木質系化粧合板(メラミン化粧合板)などがおすすめです。

【ポイント】
TOPPANの「フォルティナ」「ローバル」は、全ての仕様において不燃材料としての認定を受けておりますので、内装制限など各種規定の対象範囲にもご採用いただけます。

耐水性

耐水性が必要となる場所には、アルミ基材の非木質系化粧合板がおすすめです。木質系でもウレタン塗装品・UV塗装品は一定の表面耐水性を発揮しますが、塗装は撥水力が目的ではなく、パネル材端部は吸水しやすいので注意が必要です。

木質系化粧合板のデメリットを解決できるTOPPANの建築内外装材

TOPPANは1900年の創業以来、SDGs実現に向けた社会的課題の解決に取り組み、高耐久で環境配慮型の建築内外装材を開発製造しております。

【TOPPAN内外装材の特徴】
・長年培った高度な印刷技術によって木目と質感をリアルに再現
・製造時のCO2排出量が少なく燃焼時にも有毒ガスが出ないオレフィンシートによる環境配慮性の高さ
・高耐久・長寿命(特に耐候性の高い外装仕様も)
・メンテナンスフリー(定期的な塗装は不要)

フォルティナ

フォルティナは、高意匠・高性能で環境負荷の少ない(対塩ビ系材料比)オレフィン系化粧シートとアルミニウムを組み合わせた内外装不燃アルミ意匠材です。最先端の印刷技術によって、自然素材が持つ風合いを可能な限り再現しています。

形状のラインナップは、ルーバー・スパンドレル・手すり・リブパネル(フォルティナレッジ)と多岐に渡るため、様々な規模・用途の建築物へご採用いただいている人気製品です。

◎◎

ローバル

ローバルは、「デザイン・環境配慮・ 抗ウイルス&抗菌」の3つの特徴を備えた内外装不燃化粧パネルです。48種類もの色柄ラインナップとスタンダードの長方形以外に矢羽形・五角形・三角形・風車形などの異形貼りを組み合わせることによって、多彩なデザインを表現できます。

◎◎

■ まとめ

化粧合板・プリント合板は、内外装仕上げ材として様々な現場で採用される意匠材ですが、材質によってメリット・デメリットは異なります。そのため、プランに合わせて最適な材料を選びましょう。

TOPPANでは、高耐久で環境に配慮しデザイン性を豊かにする内外装建材を開発・製造しております。「環境に配慮した建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2025.09.19

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE