コラム

内装建材“化粧板”の種類や特徴、メリット・デメリットを解説|エコフレンドリーな製品についても

木目を生かしたウッドデザインは、住宅・店舗・オフィスなど、空間用途問わず人気ですが、無垢材では施工面やコスト面において採用が難しいケースは珍しくありません。そこで多くの現場で施工されているのが「化粧板」です。

本記事では、「化粧板」のメリット・デメリットや種類、その他、材料選定のポイントと環境に配慮したエコフレンドリーな商品を紹介します。ぜひ、内装デザインの参考にしてください。


<目次>

■ 化粧板とは|基礎知識とこれまでの変遷
■ 化粧板の製造過程
■ 化粧板の種類と特徴
■ “適材適所”な化粧板を選ぶポイント|“環境配慮・持続可能性”がキーワード
■ 環境と人にやさしいエコフレンドリーな不燃化粧板「ローバル」
■ まとめ


■ 化粧板とは|基礎知識とこれまでの変遷

化粧板とは、合板や不燃パネルなどの「基材」と、オレフィンなどの薄い素材である「表面材」を圧着させたパネル材です。

無垢材などの天然素材にある変形や価格変動のリスクが少なく、軽量かつ品質安定性が高い点がメリットです。また、工業製品であるが故に大量生産が可能で、一定の商品をまとめて入手しやすいため、中規模以上の建築物においても、ムラのないインテリアデザインが可能になります。

施工部位は、主に以下の通りです。

・内装仕上げ(天井・壁・床など)
・家具の仕上げ材料
・ドア・収納扉などの面材
・巾木・窓枠・額縁・カウンター材・格子などの造作部材

基材と表面材の組み合わせにより、性能・厚さ・形状・デザインにおけるレパートリーが豊富な点は、他のパネル材にはない特長と言えるでしょう。

色柄は木目に限らず、石目調やメタル調など多種多様で、最近は凹凸感のあるテクスチャーでデザインに個性をプラスできる型押化粧板も増えています。

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化粧板の歴史は20世紀初頭まで遡り、日本においては、戦後復興から高度成長期に渡って続いた建設ラッシュに伴い、それまで内装仕上げ材に使われてきた木材が不足したことが普及のきっかけです。

1951年に国内で初めてメラミン化粧板が発売されてから今日に至るまで技術開発が進み、「耐久性・不燃性・耐水性」などの性能や、コストの効率性、環境への配慮など、多岐にわたって品質が向上しています。

■ 化粧板の製造過程

では、ここで化粧板の製造工程を紹介します。

1.【表面材選定】原紙や突板・挽板(※)などの製造と選定
2.【表面材・基材のセット】
3.【プレス工程】表面材と基材を加熱加圧して圧着成形する(高圧と低圧がある)
4.【表面加工工程】耐キズ・耐汚・抗ウイルス・抗菌などのコーティング加工を施す
5.【仕上げ工程】四側面を裁断して、規格サイズへ成形する
6.【品質テスト・検査工程】製品の品質に加えて、JIS規格や国土交通大臣による不燃認定などの基準を満たしているかを厳重に検査する

※突板(つきいた)・挽板(ひきいた):天然木を薄くシート状もしくは板状にスライスした素材

工程においてその他のパネル材と最も異なる点は、表面材と基材を加熱加圧によって圧着させる点です。

■ 化粧板の種類と特徴

日本農林規格(JAS規格)によると、化粧板は大きく「天然木化粧合板(天然木化粧板)」と「特殊加工化粧合板(特殊加工化粧板)」の2つに分類され、さらにそれぞれが表面材の厚さや素材の違いによって細分化されます。

ちなみに、JAS規格では「化粧板」という言葉は使われず、「化粧合板」に統一されていますが、これらに大きな違いはありません。

ただし、一般的には化粧板は基材が木質素材以外(アルミ板)のものも含まれ、より幅広い製品を指します。

天然木化粧板

合板のうち、構造用合板を除いて表面もしくは表裏面に「突板や挽板などの化粧単板」を貼り合わせたものを指します。

【突板化粧板】
天然木を0.2〜0.3mmと薄くスライスしたシート状の素材を表面材とした化粧板で、無垢材と比べると湿度変化による変形を大幅に抑えられます。ただし、表面材が極薄なため、キズがつくと目立ちやすい点には注意しましょう。

【挽板化粧板】
天然木を2〜3mmに薄くスライスした板状の素材を表面材とした化粧板で、無垢材よりも変形リスクが低いものの、突板化粧板よりも反りやすい傾向があります。

特殊加工化粧板

合板のうち、コンクリート型枠用合板・構造用合板・天然木化粧合板を除いて、表面もしくは表裏面に「プリントや塗装、異なる素材の接着」などの加工を施したものを指します。天然木化粧板とは異なり、印刷技術によって様々な色柄の表面材を作り出せる点がメリットです。

【オレフィン化粧板】
ポリプロピレンやポリエチレンなどを主成分としたオレフィンシートを表面材とした化粧板です。耐汚性・耐候性・耐水性が高いことに加えて、原料に塩化ビニル(PVC)や塩素を含まず、他の化粧板と比較しても製造過程で排出されるCO2量が少ないため、環境配慮型建材としても注目されています。また、型押加工によって表面にテクスチャーを表現できます。

【メラミン化粧板】
表面材は、原紙にメラミン樹脂やフェノール樹脂を含浸させたもので、圧着する際の圧力によって「高圧メラミン化粧板」と「低圧メラミン化粧板」に分類されます。

高圧メラミン化粧板は、高温高圧にかけて基材と圧着するため、表面が固く耐久性・耐水性・耐熱性・耐候性に優れており、パーテーションやキッチンパネルなどとして施工されるケースが一般的です。対して低圧メラミン化粧板は、表面材が高圧メラミン化粧板よりも薄いため、強度は劣ります。ただし、低コストなので、耐久性などを重要視しない部分の仕上げ材におすすめです。メラミン化粧板もオレフィン化粧板と同様に型押加工できます。

【ポリ(PVC)化粧板】
表面材となる化粧紙の上からポリエステル樹脂を塗装し、さらにその上からフィルム素材を貼った化粧板です。表面材にはほとんど強度がなく耐久性は低いですが、安価で軽量な点はメリットと言えるでしょう。ただし、木目などのリアリティはあまり高くありません。

【プリント化粧板】
ウレタンコート紙や強化紙を表面材とした化粧板で、ポリ化粧板と同様に表面強度は期待できず、木目などの再現度は高くありません。ただし、リーズナブルで軽量なので、大量生産される家具の材料に用いられています。

【DAP(ダップ)化粧板】
こちらは、原紙にジアリルフタレート(DAP)樹脂を含浸させたものを表面材とし、基材と合わせてプレス成形する化粧板です。耐久性・耐候性・耐摩耗性・耐熱性・耐水性に加えて、電気絶縁性もあります。そのため、内装仕上げ材や家具の材料などに敢えて選定するケースは少なく、家電製品や自動車などの仕上げ部品として用いられるケースが大半です。

不燃化粧板

公共施設・商業施設の内装デザインに深く関わる「内装制限」の規定をクリアする上で欠かせないのが「不燃化粧板」です。

天然木化粧板・特殊加工化粧板どちらにも、国土交通大臣の認定を受けた商品があります。ただし、化粧板の防火性能によって「不燃材料・準不燃材料・難燃材料」に分けられるため、建築基準法及び告示で定められている性能レベルを満たしているか、個別認定の内容を必ず確認してください。

■ “適材適所”な化粧板を選ぶポイント|“環境配慮・持続可能性”がキーワードに

化粧板には、表面材の違いによっていくつもの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、施工部位に合わせて適切な材料を選びましょう。

その際のポイントは、意匠性・コスト・耐久性・耐キズ性・耐汚性・耐水性・耐熱性・不燃性などの総合的な評価に加えて、「環境への影響」に関する確認です。特に公共性の高い建築物においては、エコ・SDGsに配慮されているかどうかが建物の価値や評価を左右する可能性があります。

【化粧板の環境配慮・持続可能性を評価するポイント】

・製造工程でのエネルギー消費量やCO2排出量(=省エネ・地球温暖化防止効果)
・リサイクル原料の活用や将来的なリサイクルの可能性(=省エネ・持続可能性)
・埋立処分もしくはリサイクルなど最終処分の方法(=地球環境保全)
・低VOC(※)性とJIS・JAS表示によるF☆☆☆☆(※)の取得有無(=地球環境と建物利用者の健康への配慮)
・FSC認証、LEED認証など各種認証取得の有無(=資源の持続可能性)
・トレーサビリティ(※)が可能(=資源の持続可能性と生産に関わる人の人権保護)

※VOC:揮発性有機化合物を指し、室内の空気汚染や大気中に排出されると光化学オキシダント(光化学スモッグ)や微小粒子状物質(PM 2.5)の生成原因となる

※F☆☆☆☆:エフフォースターと読み、ホルムアルデヒド・クロルピリホスなどシックハウス症候群の原因となる物質の放散布速度が0.005mg/㎡h以下である製品で、放散布速度が基準以上の場合は、F☆☆☆・F☆☆・F☆に分類される

※トレーサビリティ:その製品が「いつ・どこで・誰によって・どのように」作られたか、つまり原料の調達から製造、運搬、消費、廃棄までの過程を詳細まで追跡できる状態

いつも材料選定しているチェックポイントに加えて、環境に関する点も見てみると、サステナブルなデザインの実現に一歩近づきます。

建築プロジェクトのサステナブル化(SDGs実現)は、コンプライアンス遵守やCSR実行、ひいては企業イメージや信頼性向上に繋がります。ただし、環境面における全ての要件を満たすとなるとかなり材料の選択肢が限られてしまいます。そのため、デザイン・コストとのバランスを見て、いくつかのポイントを押さえている製品から検討するのがおすすめです。

■ 環境と人にやさしいエコフレンドリーな不燃化粧板「ローバル」

TOPPANでは、環境に優しくデザイン性も高い建築材料を数多く製造しております。その中でも、おすすめするのがTOPPANのオリジナル化粧パネルである「ローバル」です。「ローバル」は、環境にも人にも優しいオレフィンシートを表面材とし、さらに抗ウイルス・抗菌機能をプラスした不燃化粧パネルです。

環境や人への配慮だけではなく、高い意匠性もローバルの特長です。最新のデザイントレンドを分析して厳選した木目調・石目調・メタル調など45点ものラインナップから、設計デザインのイメージに合うパネルをお選びいただけます。

※抗菌・抗ウイルス仕様の色柄はカタログなどでご確認ください。

また三角形・六角形・矢羽形・風車形など、空間のアクセントとなる異形貼りにも対応しています。オリジナリティのある内装デザインを実現したい方は、ぜひご検討ください。

■ まとめ

化粧板にはいくつもの種類があり、それぞれ特性が異なります。そのため、施工部位・用途・コストなど、様々な視点から適材適所な材料選定が必要です。

それに加え、昨今は環境への配慮やSDGsを意識した観点も重要視されています。建物の意匠性や快適性に加えて、持続可能性もプラスしたい方は、ぜひサステナブルな化粧板をご選定ください。

TOPPANでは、環境に配慮したデザイン性を豊かにする建材を開発・製造しております。「環境に優しい建築」を目指している方や、材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2024.09.12

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