コラム

オレフィン化粧板は“環境にやさしい”内装建材|メリット・デメリットとその他材料との違い

家具の材料や内装仕上げ材へ使われている化粧板にはいくつかの種類があり、それぞれ原料や特徴は異なります。
化粧板の中でも近年“環境にやさしい”という点で注目されているのが「オレフィン化粧板」です。
本記事では、「オレフィン化粧板」の特徴とメリット・デメリット、その他化粧板との違いを紹介します。
おすすめの環境配慮型建築材料も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


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<目次>

■ オレフィン化粧板とは|メリット・デメリット
■ オレフィン化粧板の主な用途
■ その他化粧板との違い
■ TOPPANの「オレフィン」シリーズ|不燃化粧パネル・シート
■ まとめ

■ オレフィン化粧板とは|メリット・デメリット

オレフィン化粧板は、基材となる合板やパーティクルボード、MDFなどの上に、木目などの印刷層と表面保護コーティングを合わせたオレフィン系フィルムを貼り合わせたパネル材です。

JAS(日本農林規格)において特殊加工化粧合板※に分類されています。

※特殊加工化粧合板:コンクリート型枠用合板・化粧構造用合板・天然木化粧合板以外で表面(表裏面)へプリントや塗装などの加工を施したパネル材

オレフィンはプラスチック(樹脂)の一種で、主にポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・炭素(C)・水素(H)で構成されている素材です。
塩化ビニル(PVC)やポリスチレン(PS)と同様に多くの建築材料へ活用されているため、汎用性のある素材といえるでしょう。
では、オレフィン化粧板のメリットとデメリットを紹介します。

メリット

「環境に優しい」
オレフィンは非塩ビ素材であるため、燃焼しても水(H2O)と二酸化炭素(CO2)に分解されて塩化水素ガスやダイオキシンなどの有毒ガスをほとんど出しません。
また、一般的な塩ビ素材よりも製造過程のCO2排出量が少なく、VOC※の発生原因となる可塑剤が含まれていない点もポイントです。

※VOC:揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称で、大気中で気体化する化学物質を指す。光化学オキシダントやSPM、PM2.5の大気汚染物質の発生を引き起こす。

「多彩な色柄レパートリー」
最新の印刷技術によって、木目や石目などの多彩な色柄を表現できます。

「表面コーティングで性能をプラス」
オレフィンの上からさらに表面をコーティングされた化粧板は、耐久性・耐摩耗性・耐キズ性・耐水性が高まります。

TOPPANは、国内初の抗ウイルス・抗菌仕様のオレフィン化粧板を開発・商品化した建材メーカーです。

デメリット

オレフィン化粧板は、あくまでも内装建材用途向けに作られた建材です。
そのため、屋外や雨・直射日光を受ける室内へ採用する場合は、退色・風化に注意しましょう。

また、オレフィンやその上のコーティング材は熱が加わると変色・変質するため、キッチンパネルなど高温にさらされる可能性のある場所へは施工できません。

【ポイント】
TOPPANの製品には、耐候性を高めた内装不燃アルミ意匠材FORTINA(フォルティナ)のラインナップもございます。
直射日光の当たる室内や屋外(準屋外)におすすめです。

■ オレフィン化粧板の主な用途

オレフィン化粧板はその特性から主に室内へ施工されます。
用途は以下の通りです。

・キッチンや洗面化粧台、家具などの収納仕上げ材・扉面材
・内装ドアの面材
・ルーバー・格子など造作部品の表面材
・天井材や壁材
・床材(フローリング)

屋外へ施工する場合は、屋外対応のタイプを選びましょう。

TOPPANでは、外装材としてご使用いただけるオレフィンを使用した内外装不燃アルミ意匠材「フォルティナ」を製造販売しております。

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■ その他化粧板との違い

化粧板には、オレフィン化粧板以外の種類がいくつかあり、それぞれ特徴は異なります。
そのため、施工部位やご予算に合わせて適切なタイプをお選びください。

突板・挽板化粧板

表面に天然木を薄くスライスした突板(つきいた)や挽板(ひきいた)と呼ばれる素材を用いる化粧板です。
基材はオレフィン化粧板と同じく合板などですが、表面が天然木由来なので、デザインラインナップは木目に限定されます。
表面にUV塗装などのコーティングが施されているものもありますが、引っ掻きキズにはあまり強くないため注意してください。

メラミン化粧板

加熱によって硬化するメラミン樹脂とフェノール樹種を染み込ませた紙を何層も重ねて高温高圧でプレスして成形するパネル材です。
耐熱性・耐水性が高いため、キッチンパネルやトイレ、給湯室の壁材・パーテーションとして活用されます。
オレフィン化粧板と同様に印刷技術によって様々な色柄を表現できますが、オレフィン化粧板より価格は高めです。
また、超高温の環境下では青酸ガスが発生する可能性があります。

塩ビ(PVC)化粧板

酸化反応に対する耐性が高い塩化ビニル(PVC)を表面材とし化粧板で、基材はオレフィン化粧板と変わらず合板やパーティクルボードなどです。
衝撃性はそれほど高くなく常用耐熱温度は60〜80℃と低めで、施工部位によってはすぐに変形するリスクがあります。
ただし、他の化粧板と比べると低コストなので、量産家具などの材料へ採用されています。

ウレタンコート紙化粧板

プリント化粧板とも呼ばれ、色柄を印刷した紙を基材へ圧着させます。
塩ビ化粧板同様に、耐久性や耐水性が低い代わりに低コストな点はメリットと言えるでしょう。
ただし、表面材である印刷紙が経年劣化で端から剥がれるケースや水分を吸い取り波打つケースがあるため、材料を選ぶ際は表面コーティングが強いものを選びましょう。

アルミ化粧板(アルミ複合板)

こちらは主に外装材へ採用され、発泡ポリエチレン樹脂を両面からポリエチレンフィルムなどで覆われた薄いアルミ板で挟む構成になっています。
耐水性耐候性・耐摩耗性・耐薬品性が高い点はメリットですが、分厚いため、細かい納まりには対応できません。

■ TOPPANの「オレフィン」シリーズ|不燃化粧パネル・シート

TOPPANでは「環境配慮」+「高意匠性」+「抗ウイルス・抗菌」をコンセプトに、高品質な不燃オレフィン化粧板LOVAL(ローバル)を展開しています。

「環境配慮」
ローバルに使用されているオレフィン製化粧シートは、塩ビシートと比較すると原材料調達段階+生産段階+流通段階+廃棄・リサイクル段階の二酸化炭素排出量を60%も抑制できます。(当社比)

「高意匠性」

1900年に凸版印刷として創業して以来培った高い印刷技術を用いて、42種類の色柄ラインナップとデザインに個性をプラスできる異形貼り(矢羽形・五角形・三角形・風車形)のタイプを取り揃えています。
カラーと形状の組み合わせにより、様々なデザインニーズにお応えできます。

「抗ウイルス・抗菌」
ローバルは、SIAA※認証取得済みの抗ウイルス・抗菌仕様ですので、どなたでも安心・安全に過ごせる室内環境を実現できます。

※SIAA:抗菌製品技術協議会の略称で、抗菌剤・抗菌加工製品のメーカー、試験機関が集まってできた団体。認証を取得している製品は、SIAAが定めた基準をクリアしている。

無垢材や天然石は細かな加工が難しく重量があるため施工効率がおちる可能性が考えられます。
また、天然素材は品質が一定の材料をまとめて入手することは難しい点も懸念されるでしょう。
内装制限の対象部位へ無垢材や天然石を使うとなると、不燃・準不燃・難燃材料の認定を受けているものを選定しなくてはならず、選択肢は限られます。
これらの悩みを一気に解決できるのが「ローバル」です。
木目や石目の色味や素材感を印刷技術でリアルに再現し、材料の軽量化や不燃性も兼ね備えています。
化粧パネルだけではなくシートタイプもございますので、「インテリア空間へ高いデザイン性をプラスしたい」「空間のトータルコーディネイトにこだわりたい」という方は、ぜひ採用をご検討ください。

■ まとめ

オレフィン化粧板は地球に優しい環境配慮型建材として注目されています。
建築デザインにおいて重要視されるのはそのデザイン性や快適性だけではありません。
持続可能性(サスティナビリティ)や環境に与える影響も建物やプロジェクトを評価する指標とされています。
TOPPANでは、環境に配慮したデザイン性を豊かにする建材を開発・製造しております。
SDGs実現に貢献できる設計デザインを実現させたい方は、ぜひTOPPANへお気軽にご相談ください。
環境に優しく高品質な建築材料を提案いたします。

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2024.10.08

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