コラム

不燃化粧板の用途と種類|オレフィン・メラミン・突板・ケイカル板の違いとおすすめ製品を紹介

不燃化粧板は、店舗やオフィスなど公共性の高い建物において、内装デザインする上で欠かせない材料です。どのような素材から作られているのかによって、見た目や特徴が異なります。

そこで今回は、不燃化粧板に関する基礎知識から難燃化粧板との違い、関連法規、種類まで徹底解説します。壁材やドアの面材などにおすすめの不燃化粧板も紹介しますので、設計デザインの参考にしてください。


◎◎

<目次>

■ 不燃化粧板とは|難燃化粧板との違い
■ 不燃化粧板の用途と内装制限の関連性
■ 不燃化粧板の種類
■ TOPPANの不燃化粧パネルは「抗菌・抗ウイルス&環境配慮型」
■ まとめ


■ 不燃化粧板とは|難燃化粧板との違い

セットアップオフィスの事例写真

化粧板とは、様々な素材から作られた表面材と基材を接着した仕上げ用パネル材です。基材に不燃性のある素材を用いることで「不燃化粧板」として国土交通大臣より個別認定(※)を受けられます。

※個別認定:告示によって不燃材料として認められるもの以外は、製品ごとに建築基準法第68条の26に基づいて国土交通大臣より不燃材料として個別で認定を受ける。

【ポイント】
建築基準法における防火性能は「難燃<準不燃<不燃」の順で高く、個別認定を受けている化粧板は「不燃・準不燃」材料のものが大半です。不燃材料であれば準不燃・難燃規定もクリアできます。

ではここで改めて防火材料(難燃・準不燃・不燃材料)として認定を受けるための条件を紹介します。

① 燃焼しないものであること
② 防火上有害な変形、融解、き裂その他の損傷を生じないものであること
③ 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること

(防火材料の種類)

(①②③を維持する時間)

不燃材料

加熱開始後20分以上

準不燃材料

加熱開始後10分以上

難燃材料

加熱開始後5分以上

試験によって規定時間以上に「燃焼・損傷・有毒な煙やガスの発生」がないことが証明できたものが個別認定を受けられます。

防火材料については以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。

◎◎

■ 不燃化粧板の用途と内装制限の関連性

オフィス内装の事例写真

不燃化粧板は、主に「内装制限」に該当する範囲の壁・天井仕上げ材に用いられます。内装制限とは、不特定多数が利用する公共的な建築物において、火災時に内装材によって延焼して避難経路を塞いだり周辺へ悪影響を及ぼしたりすることを防ぐためのルールです。

【ポイント】
内装制限の対象となる特殊建築物(※)や延べ面積が1,000㎡を超える建築物などは、居室と階段・廊下の室内に面する「壁・天井」を“防火上支障がない”材料にしなくてはいけません。

※特殊建築物:建築基準法第2条の2「用語の定義」で定められた不特定多数の人が利用する建築物や周辺への影響が大きい建築物を指し、学校・病院・劇場・百貨店・共同住宅・工場などがこれに該当する。

ただし、内装制限の範囲内でも以下の部分は制限の対象外です。

・床面から高さ1.2m以下の腰壁
・壁と天井の取り合い部分に取り付ける廻り縁などの造作部材
・壁と床の取り合い部分に取り付ける巾木などの造作部材
・窓の周りに取り付ける窓枠・窓台・カウンター材などの造作部材

建物のプランや規模、防火設備の有無によっては内装制限の緩和条件の対象となるケースもあります。都道府県ごとの条例で独自の内装制限を定めている可能性もありますので、設計デザインを検討する際は詳細をご確認ください。

ちなみに消防法における内装制限はカーペットやカーテンなどの内装建材が対象で、管轄は国土交通省ではなく総務省消防庁です。建築基準法における内装制限と内容・対象物が全く異なるので注意しましょう。

■ 不燃化粧板の種類

プロパティでの採用事例写真

不燃化粧板は複数ある表面材と基材を組み合わせるため、製品によって厚さなどの特性が異なります。

基材の種類

不燃化粧板の基材は、主に以下4種類に分類されます。

(基材の種類)

(特徴・用途)

ケイカル板
ケイ酸カルシウム板)

  • ・防耐火性・耐水性・断熱性に優れている
  • ・軽量なので加工や運搬が容易で施工性が高い
  • ・強度を確保するためには一定の厚さが必要
    (化粧板が分厚くなる)

【主な用途:壁面・天井の仕上げ材】

不燃合板
(ダイライト®など)

  • ・火山性ガラス質などを主原料とした複層板
  • ・防耐火性・耐久性・透湿性に優れている
  • ・強度や耐久性が高い(化粧板を薄くできる)
  • ・軽量で施工性が高い
  • ・ケイカル板よりコストは高め

【主な用途:壁面・天井の仕上げ材、建具の面材】

酸化マグネシウム板

  • ・防耐火性・耐湿性に優れている
  • ・強度が高い(化粧板を薄くできる)
  • ・曲げには弱い
  • ・吸水性があるため、水回りの使用には不向き

【主な用途:壁面・天井の仕上げ材、建具の面材】

鋼板

  • ・防耐火性・耐水性に優れている
  • ・強度が高い(化粧板を薄くでき、シート状も可能)

【主な用途:建具の面材】

【ポイント】
基材によって化粧板の厚さ・重さが異なるため、施工部位や予算に合わせて適切な材料を選ぶ必要があります。TOPPANでは、ケイカル板・ダイライト®・酸化マグネシウム板・鋼板全ての基材を用いた不燃化粧パネルを製造しています。

表面材の種類

不燃化粧板の表面材は、デザイン性や施工後の表面耐久性に大きく影響します。主な表面材は以下の3種類です。

(表面材の種類)

(特徴)

天然木素材
(突板・挽板)

  • ・突板は天然木を0.2〜0.3mm程度のシート状に、
    挽板は2
    〜3mm程度の板状にスライスした素材
  • ・天然木そのもののナチュラルな木目と質感が魅力
  • ・色柄レパートリーは樹種による違いはあるものの木目のみ
  • ・表面材そのものに防耐火性・耐水性はない

メラミン化粧板

  • ・メラミン樹脂やフェノール樹脂などの合成樹脂を含浸させた紙を高温加圧して板状にする
  • ・防耐火性・耐水性・耐熱性に優れている
  • ・印刷によって多彩な色柄を再現できる

オレフィンシート

  • ・ポリプロピレンやポリエチレンなどを原料とした非塩ビシート
  • ・印刷によって多彩な色柄を再現できる
  • ・製造過程のCO2排出量が少なくVOCを含まない上に、燃焼時に有毒ガスが発生しない
    「低汚染で地球環境に優しい」

このように、不燃化粧板は表面の素材によって色柄のレパートリーや環境配慮性が異なるため、それぞれの特徴を踏まえて材料を選定しましょう。

【ポイント】
TOPPANの不燃化粧パネル「ローバル」は、環境にも人にも優しいオレフィン系化粧シートに抗ウイルス・抗菌機能をプラスした意匠材です。

■ TOPPANの不燃化粧パネルは「抗菌・抗ウイルス&環境配慮型」

化粧板のサンプル画像

TOPPANは1950年の事業開始以来培ったプリント技術を活かし、意匠性に優れたオレフィン不燃化粧パネル「ローバル」を製造しております。

【ローバルの特徴】
・環境負荷が少ないオレフィンシートを使用
・抗ウイルス・抗菌機能をプラスした人にも優しい化粧板 ※一部の色柄のみ
・最新のデザイントレンドを分析して厳選した45 点もの豊富な色柄ラインナップ(木目調・石目調・メタル柄など)
・長方形に加えて矢羽形や六角形など異形貼りにも対応できる形状ラインナップ
・様々な納まり・ご予算に対応できる豊富な基材種類

これらの特徴から多彩な内装デザインを実現できるため、様々な現場にご採用いただいています。

(基材)

(サイズ)

(仕上げ)

(不燃認定番号)

ケイ酸カルシウム板

W1,150×H3,000

厚さ6mm

四方巻き

裏面防湿なし

NM-4726

ダイライト®

W925×H2,440(3尺板)

W1,225×H2,440(4尺板)

どちらの厚さ3mm

平貼り

裏面防湿あり

NM-4727

酸化マグネシウム板

W930×H2,450(3尺板)

W1,220×H2,150(4尺板)

どちらも厚さ3mm

平貼り

裏面防湿あり

NM-4858

鋼板

W1,220mm×L50m(タックシート) 

-

NM-4851(※)

※不燃認定の適合範囲に準ずる表面仕上げ方法には制限がございます。詳しくは弊社までご相談ください。

◎◎

■ まとめ

不燃化粧板は、内装制限の対象となる建物の内装デザインをする上で欠かせない建築材料です。壁や天井の仕上げ材を選定する際は、防耐火性に加えてデザイン性も重要になります。多彩なデザインを実現できる不燃化粧パネルをお探しの方は、TOPPANのローバルをご検討ください。

TOPPANでは、施工性・デザイン性だけではなく、環境にも配慮した内外装用建材を開発・製造しております。「環境に優しい建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2025.02.04

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