内装壁を化粧パネル仕上げに|種類・特徴と事例で見るデザインのポイント、メリット・デメリットを解説
近年、住宅と非住宅問わず、壁を化粧パネル仕上げにするデザインがトレンドです。
ただし、化粧パネルの種類によって特徴や見た目は異なります。
そこで本記事では、化粧パネルのメリット・デメリットと壁を化粧パネルにした事例、デザインのポイントを紹介します。
建築基準法における内装制限の対象範囲にも採用いただけるTOPPANのおすすめ商品も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
■ 化粧パネルとは|用途とメリット
■ 化粧パネルの種類とそれぞれの特徴
■ 【事例紹介】化粧パネルの壁がデザインのトレンド
■ 化粧パネルを壁材に使う際のデメリット・注意点と対策
■ TOPPANの“環境配慮型”内装建材
■ まとめ
■ 化粧パネルとは|用途とメリット

化粧パネルは化粧板や化粧合板とも呼ばれ、オレフィンシートなどの表面材と合板などの基材(きざい)を接着した板材です。
日本農林規格では以下のように定義づけされています。
・【天然木化粧合板】仕上げ材として用いる合板のうち、表面又は表裏面に突板(つきいた)や挽板(ひきいた)などの化粧単板をはり合わせたもの
・【特殊加工化粧合板】仕上げ材として用いる合板のうち天然木化粧合板以外の合板で、表面又は表裏面にオーバーレイ、プリント、塗装等の加工を施したもの
用途
化粧パネルの主な用途は以下の通りです。
・室内壁の仕上げ材
・室内天井の仕上げ材
・半屋外空間における壁・天井・軒裏天井の仕上げ材
・トイレブースや内装ドア、収納建具の面材
・造作家具の面材やカウンター材など
このように、多くの建築物へ化粧パネルは採用されています。
メリット
化粧パネルが多くの現場で採用されている理由は、デザイン面・施工面・コスト面・メンテナンス面においてメリットがあるからです。
・クロスや塗装よりも高級感や重厚感のあるデザインに仕上がる
・無垢材や天然石、タイルを使用するよりコストを抑えられる
・部分張り替えしやすい(塗装やクロスだと部分張り替えが目立ちやすい)
・壁・天井と家具、ドアをトータルコーディネイトできる
・クロスや塗装より耐久性が高い(不特定多数が利用する公共的な施設に適している)
・施工効率が良い(クロスや塗装のような乾燥期間は不要で、無垢材や天然石よりも軽く現場加工しやすいため)
・無垢材やクロス、塗装よりも汚れが付きにくく掃除しやすい
・表面に特殊機能がプラスされているものもある(抗ウイルス・抗菌など)
・不燃材料として認定を受けているものは、内装制限*の対象範囲に採用できる
*内装制限:建築基準法及び施行令で定められており、公共性の高い特殊建築物に該当する建物において、天井・壁を準不燃もしくは不燃材料の認定を受けた材料で仕上げなくてはいけない規定。
■ 化粧パネルの種類とそれぞれの特徴

化粧パネルと言っても、表面材・基材によっていくつかの種類に分けられます。
それぞれ特徴が異なりますので、材料選定する際は違いを確認しましょう。
オレフィン化粧板
オレフィン化粧板とは、ポリプロピレンやポリエチレンなどを主原料としたオレフィンシートが表面材の化粧板です。
基材はケイ酸カルシウム板や不燃パネル、鋼板など様々です。
オレフィンシートへ様々な色柄を印刷することで、豊富なデザインレパートリーを実現できます。
耐候性・耐水性に優れており、塩素やVOC*の発生原因となる可塑剤を含まないことから“環境に優しい”建築材料として近年注目されています。
*VOC:揮発性有機化合物の略称で、トルエンやキシレンが代表的。光化学オキシダントやSPM、PM2.5など大気汚染物質の発生原因となる。
メラミン化粧板
メラミン化粧板は高圧メラミン化粧板と低圧メラミン化粧板に分類されます。
【高圧メラミン化粧板】
メラミン樹脂などを染み込ませた特殊な紙(チタン紙に含侵させ乾燥させた表面紙と、フェノール樹脂をクラフト紙に含浸させ乾燥させたコア紙)を積層し、高温高圧でプレス成形したパネル材
【低圧メラミン化粧板】
高圧メラミン化粧板とは異なり、表面のみに樹脂を染み込ませた紙を用いて、基材はパーティクルボードや合板のパネル材
日本国内で主に流通しているのは、強度が高い、高圧メラミン化粧版です。メラミン化粧板は耐火性・耐水性に優れているため、キッチンパネルや給湯室の壁材などに使用されます。
メラミン化粧板もオレフィン化粧板と同様に、印刷技術によって様々な色柄レパートリーがありますが、表面の凹凸を表現しにくくリアリティに欠けるため、選定する際は実物サンプルを確認しましょう。
ポリエステル化粧板・プリント紙化粧板
ポリエステル化粧板とプリント紙化粧板はどちらも、色柄を印刷した化粧紙が表面材です。
ポリエステル化粧板は表面材の上にポリエステル樹脂コーティングが施されているため、プリント紙よりも強度は高めです。
ただし、どちらも表面材が紙であることから、耐久性や耐水性・耐火性は低く、シミや汚れ、キズがつきやすいため注意しましょう。
軽量で価格がリーズナブルなことから、主に量産家具の面材に使用されています。
天然木(突板・挽板)化粧板
天然木化粧板は、表面材が天然木をスライス加工した突板や挽板のパネル材です。
【突板(つきいた)】
原木を厚さ0.2〜0.3mm程度のシート状にスライスした素材
【挽板(ひきいた)】
原木を厚さ2〜3mm程度の薄いパネル状にスライスした素材
どちらも表面は木そのもので、ナチュラルな木目と質感が人気のポイントです。
ただし、無垢材と同様に汚れやキズ、シミなどが付きやすく水分に弱いため、テーブル天板や水回りの壁材などに採用する場合は注意しましょう。
■ 【事例紹介】化粧パネルの壁がトレンド|デザインのポイント
住宅・非住宅問わず、壁を化粧パネル仕上げにする事例が増えており、TOPPANの化粧パネルも多くの現場へご採用いただいております。
その中から特長的な事例を抜粋し、デザインのポイントと合わせて紹介します。
高級感漂うエレベーターホール

こちらは、石目調と木目調の化粧パネルを組み合わせ、高級感と重厚感漂うデザインに仕上げた事例です。
化粧パネルは3〜6mm程度と薄くて軽量なため、天然石や無垢材では表現できないデザインも具現化できます。
表面に抗ウイルス・抗菌機能がプラスされた化粧パネルでしたら、多くの人が触れる場所にも安心してご採用いただけます。
温かみを感じるデザインのオフィスに

こちらはオフィス会議室の壁を化粧パネル仕上げにした事例です。
殺風景になりがちな会議室も、壁へ木目を取り入れるだけで温かみを感じられる柔らかい印象に変わります。
モダンなアクセントウォール

こちらは壁の一部分のみを化粧パネル仕上げにした事例です。
同じ面材で造作収納も仕上げており、壁全体がトータルコーディネイトされています。
クロスや塗装では周囲と色柄の変化だけでデザインしなくてはいけませんが、化粧パネルでしたら色柄に加えてテクスチャーの違いで個性を表現できる点がポイントです。
天井・ドアとの統一感

写真のように明るい色味の化粧パネルを壁だけではなく天井やドアにも採用し、全て同じカラーで統一するデザインもおすすめです。
洗練されたすっきりモダンなインテリアに仕上がります。
壁とドアを同じ色柄にできる点は、化粧パネルだからこそ実現できるデザインです。
【ポイント】
TOPPANの内装用不燃化粧パネルLOVAL(ローバル)は、ホテルやオフィス、商業施設など様々な建築物にご採用いただいております。
デザインの親和性が高い化粧シートを使用したルーバーFORTINA(フォルティナ)をはじめとした造作部材もございますので、統一感のあるデザインをご検討中の方におすすめです。
■ 化粧パネルを壁材に使う際のデメリット・注意点と対策

化粧パネル仕上げの壁にはデザイン面や施工面、コスト面においてメリットがある一方で、採用する前に知っておいていただきたいデメリットや注意点もあります。
種類によっては質感や色味のリアリティがない
印刷技術の進歩によって天然木や天然石、メタルの質感をリアルに再現した化粧パネルは増えています。
しかし、材料によっては光沢が強く平滑な印象が強く、本物とは見た目に大きく差があるものも少なくありません。
【ポイント】
化粧パネルを選定する際は、カタログだけで選ばず必ず現物サンプルも確認しましょう。
印刷物と現物とでは、光の当たり具合によって印象が変わったり、触り心地がイメージと異なったりする可能性があります。
貼り方によって印象が変わる
同じ化粧パネルでも、縦張り・横張りでデザインの印象は大きく変わります。
また、どこでパネルを継ぐのかによって、材料ロスの量にも影響を及ぼすため注意が必要です。
【ポイント】
TOPPANでは、縦張り・横張りに対応できる長方形タイプに加えて、オリジナリティのあるデザインに仕上がる異形貼りタイプも取り揃えております。

水や油でシミが残る可能性がある
化粧パネルの種類によっては、水や油のシミが残るものもあり、壁へ施工する場合はスイッチ周りなど人の手に触れやすい場所が段々と黒ずむ可能性があります。
【ポイント】
人の手に触れやすい場所や水ハネ・油ハネの可能性がある場所には、表面コーティングが施されているものを選びましょう。
TOPPANの内装用不燃化粧パネルLOVALローバルは抗ウイルス・抗菌機能をプラスし、表面に付着したウイルスや菌を減少*することができます。
*すべてのウイルス・菌を減少させる訳ではありません。
角に衝撃を受けると損傷しやすい
化粧パネルは強度が高く固いほど、角や木口からの衝撃に弱いものが大半です。
そのため、平らな部位への施工が原則とされています。
【ポイント】
壁の出隅を化粧パネルで仕上げる場合は、コーナー材やジョイナー、見切り材などの造作部材のオプションがあるかを確認しましょう。
保管状況によっては変形する
化粧パネルは薄い板材なので、保管状況によっては曲がったり変形したりするリスクがあります。
特に高温多湿な場所や直射日光の当たる場所は要注意です。
【ポイント】
化粧パネルによって保管状況だけではなく施工状況も制限される可能性があるため、必ず事前にカタログなどで物性に関する詳細データを確認しましょう。
空調機器や給湯器の吹き出し口、日当たりの良い窓辺に採用する場合は、事前にメーカーへ相談することをおすすめします。
清掃やメンテナンスに注意が必要
化粧パネルは、水拭きしただけでシミが残るものから中性洗剤を使って拭き掃除できるものまで様々です。
ほとんどの化粧パネルは強アルカリ性や強酸性洗剤、シンナー、その他有機溶剤を含む洗剤は使えませんので注意しましょう。
また、研磨剤の入った洗剤やメラミンスポンジで擦ると、表面に細かいキズがついて艶が落ちたり色落ちしたりする可能性もあります。
【ポイント】
不特定多数の人が使う建物には、できるだけ清掃やメンテナンス手間のかからない化粧パネルをおすすめします。
お手入れ方法についてメーカーへ事前に確認しておくことも重要です。
補修しにくい
化粧パネルはビニールクロスや塗装よりも表面が高耐久ですが、鋭利なものがぶつかればキズがついてしまいます。
一般の方では簡単に補修できないものも多いため注意しましょう。
【ポイント】
TOPPANでは、化粧パネルLOVALローバル専用のリペアキットを取り揃えており、専門のリペア業者もご紹介しております。
内装制限の範囲には使える材料が限られる
内装制限の対象範囲となる壁には、準不燃認定もしくは不燃認定を受けたものしか使えません。
化粧パネルの中には、認定を受けているものとそうでないものがありますので注意しましょう。
【ポイント】
TOPPANの内装用不燃化粧パネルLOVAL(ローバル)は、基材が「ケイ酸カルシウム板・ダイライト®・酸化マグネシウム板・鋼板粧パネル」全ての製品について、不燃材料 (一般NM)の認定を取得しております。
不燃材料は難燃材料・準不燃材料の使用が義務付けられている場所を含む防火規定の対象範囲の仕上げ材へご使用いただけます。
■ TOPPANの“環境配慮型”内装用不燃化粧パネル

TOPPANの内装用不燃化粧パネル「LOVALローバル」は、環境に優しいオレフィン系化粧シートを用いた仕上げ材です。
表面に抗ウイルス・抗菌機能をプラスし、デザイントレンドをおさえた45 種類ものカラーレパートリーからデザインイメージに合うパネルをお選びいただけます。
リアルに再現された木目柄や石目柄に加えて、シャープモダンな印象のメタル柄もご用意しておりますので、ぜひ現物サンプルをお取り寄せください。
■ まとめ
壁の仕上げ材として化粧パネルを採用する事例が増えています。
ただし、化粧パネルにはいくつかの種類があり、それぞれメリット・デメリットは異なります。
また、お手入れ方法など事前に知っておいていただきたい注意点もございますので、内装仕上げ用化粧パネルをお探しの方は、材料の特性からメンテナンス方法まで確認しましょう。
TOPPANでは、環境に配慮しデザイン性を豊かにする外装建材を開発・製造しております。
「環境に優しい建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
2025.01.23