アルミ外装材とは|種類とメリット・デメリット、選ぶ際のポイントを徹底解説
アルミ外装材は建物規模や用途を問わず、様々な事例に採用されています。しかし、その特徴や種類、メリット・デメリットはあまり知られていません。
そこで今回は、アルミ外装材の種類から採用事例が増えている理由、プランへ取り入れる前に知っておいていただきたい注意点を解説します。1900年創業のTOPPANが手がけるアルミ外装材の採用事例や材料を選ぶ際のポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
■ アルミ外装材とは|特徴と種類
■ アルミ外装材のメリット|採用事例が増えている理由
■ アルミ外装材のデメリット・注意点と解決策
■ アルミ外装材を選ぶポイント
■ TOPPANのアルミ外装材と採用事例
■ まとめ
■ アルミ外装材とは|特徴と種類

アルミ外装材とは、アルミニウム合金を塗装コーティングして成形した外装仕上げ材の総称です。主に以下のものが該当します。
・アルミサイディング:裏に断熱フォームが接着されているものが多く、主に戸建住宅やアパートなどの小規模な建築物の外壁仕上げ材として採用される
・アルミスパンドレル:目透かし張り用に加工された長尺の金属化粧板で、中大規模建築物の外装材として採用される
・アルミフラットパネル:外壁や軒天に使われるシンプルなパネル材
・アルミカーテンウォール:フレームとパネル材で構成された外装材で、建物に荷重負荷が加わらない納まりが可能なため、主に大規模建築物に採用される
どの外装材もアルミニウムの特性によるメリットがあるため、多くの現場で採用されています。
■ アルミ外装材のメリット|採用事例が増えている理由

他の外装材と比べて軽量
アルミニウムは金属の中でも特に比重が軽く、2.7g /c㎥程度です。そのため、施工や運搬の効率がよく、建物にかかる荷重負荷を抑えられるため、耐震面でも有利な素材とされています。
【ポイント】
TOPPANのアルミ外装材は、形状を保つために樹脂芯材(防火性芯材)を用いて、さらなる軽量化を実現しています。
耐食性・耐候性が高い
金属の大半は水分や塩分、酸性に弱く、経年によって腐食するリスクがあります。しかし、アルミ外装材は表面に何層もの耐食コーティングが施されているため、深いキズがつかない限り、長期間劣化しません。
また、近年の耐食コーティングは紫外線による劣化も最小限に抑えられます。そのため、直射日光の当たる外壁や雨が当たる場所にもご採用いただけます。
加工性が高い
アルミニウムは建築材料に加工される金属の中でも柔らかい部類に当てはまり、SUS304の1/4〜1/3程度の硬さです。そのため、現場で納まりに合わせて切断や切り欠き、R曲げなどの加工もできます。
■ アルミ外装材のデメリット・注意点と解決策

アルミ外装材には、耐久性や施工性の面でメリットがある反面、採用する際に知っておいていただきたいデメリットや注意点もあります。
価格が高い
アルミ外装材は他の外装材と比べると価格は少々高めで、同じく金属から作られる鋼板製外装材と比較すると1.3〜1.5倍程度です。ただし、ステンレス外装材よりも価格は抑えられます。
【ポイント】
アルミ外装材は、安価な鋼板製外装材より施工性・加工性・耐候性が高いため、施工コストやメンテナンスコストの削減が見込めるコストパフォーマンスの良い建築材料です。
火に弱い
ステンレスの融点が1400〜1500℃程度なのに対して、アルミニウムの融点は660℃程度と熱によって変形しやすい点はデメリットです。
ただし、表面に不燃性化粧塗膜層のあるアルミ外装材は、国土交通大臣から不燃認定を受けているものもあります。そのため、防火規定の対象となる建築物の外装にもご採用いただけます。
熱伝導率が高い(断熱性が低い)
熱伝導率とは熱の伝わりやすさを表す値で、数字が大きいほど「熱が伝わりやすい=断熱性が低い」ことを意味します。
アルミニウムの熱伝導率は200W/m・Kとコンクリートの1.6W/m・K と比べて100倍以上なので、熱しやすく冷めやすい特性を持つということです。そのため、木造の場合は断熱材付きアルミ外装材で外断熱し、その他の構造でも外装材の下に断熱層を設ける場合があります。
衝撃に弱い
アルミニウムはステンレスなどその他の金属よりも柔らかい金属です。そのため、押出成形されたアルミ外装材は衝撃を受けると凹んだり変形したりする可能性があります。フラットパネルが飛来物でキズつく事例は珍しくありません。
そのため、アルミ外装材は物や人がぶつかりにくい高さに採用されるケースが一般的です。凹みや深いキズによって表面保護効果が失われると、腐食などの劣化を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
■ アルミ外装材を選ぶポイント

アルミ外装材を選ぶ際は、建物の規模や用途に応じて6つのポイントを押さえましょう。
防火性能
防火地域・準防火地域に指定されたエリアの建物や、規模の大きい建物は、耐火建築物や準耐火建築物にする必要があります。
耐火建築物・準耐火建築物は、火災による倒壊や延焼を防止するために、主要構造部である壁・柱・床・梁(はり)・屋根・階段に不燃材料を用いて、耐火構造・準耐火構造にしなくてはいけません。
戸建住宅などの小規模建築物においても、「延焼のおそれのある部分(※)」では、外装材に不燃材料の採用が義務付けられています。
※延焼のおそれのある部分:建築基準法で定められた範囲で、同一敷地内や隣地、接する道路などで火災が発生した際に、火が延焼する可能性の高い範囲を指す

アルミニウムは建設省告示第1400号で不燃材料として認定されていますが、アルミニウム合金を加工した外装材は個別認定を受けた製品を選定しなくてはいけません。そのため、防火規定を受ける建築物(部位)にアルミニウム外装材を用いる場合は、国土交通大臣の認定有無を必ず確認しましょう。
輸入製品の場合は、その国の基準をクリアしていても日本の基準を満たしていない可能性もあるので要注意です。
サイズ・形状の種類
建物の規模や施工面積が大きくなるほど、材料ロスや施工効率はコストに大きく影響します。また、外装材のサイズによってファサードデザインなどの印象は変わります。そのため、形状やサイズの種類が豊富なアルミ外装材がおすすめです。
形状やサイズのレパートリーが多い材料は、様々な納まりに対応でき、部位ごとに仕上げ材を変える必要がありません。そのため、統一感のある外装デザインを実現させたい場合は必ず製品の形状ラインナップも確認しましょう。
【ポイント】
TOPPANの内外装不燃アルミ意匠材「フォルティナ」シリーズは、同素材で以下の形状を取り揃えております。
・ルーバー
・スパンドレル
・フラットパネル
・リブパネル(フォルティナレッジ)
それぞれサイズや付属パーツもお選びいただけますので、多彩な外装デザインを実現でき、トータルコーディネートも可能です。
デザインの種類
アルミ外装材は主にメタル調のタイプと、塗装やフィルムで表面保護されたタイプに分かれます。デザインに合うタイプを選びましょう。
【ポイント】
TOPPANの内外装不燃アルミ意匠材「フォルティナ」シリーズは、ベーシックなシルバー・ステンカラー・ブロンズ・ダークブロンズ・ブラックなどのメタルカラーに加えて、トレンドを押さえた木目・石目などの柄を展開しております。
※メタルカラーはそれぞれマットタイプもお選びいただけます。
オプションパーツのレパートリー
外装材をすっきり美しく施工する上で欠かせないのが、オプションパーツです。継ぎ手や出隅・入隅、壁際用のオプションパーツが充実していると、施工効率がよく見た目がきれいに仕上がります。そのため、製品を選ぶ際は必ずどのようなオプションパーツがあるのかも確認しましょう。
耐久性・耐候性
外装材にとって、耐久性や耐候性は重要なポイントです。アルミ外装材を選ぶ際は、屋外対応製品であることに加えて、さらなる機能があるか確認しましょう。
【ポイント】
TOPPANの内外装不燃アルミ意匠材「フォルティナ」シリーズには、何層もの保護層によりアルミニウムを腐食から守る外装F仕様と、さらに耐候性を高めた外装R仕様がございます。

外装R仕様は従来製品に更なる耐候性を付与し、絵柄の退色・変色や化粧シートのクラック、各層の密着低下の抑制を実現しました。また、トレンドであるマット表現により、自然素材が持つ風合い・質感をよりリアルに再現できる点もポイントです。
環境配慮性
昨今、建築に求められるのは機能性やデザイン性だけではありません。環境配慮性や脱炭素やカーボンニュートラル実現に向けたSDGsへの貢献度も建物の価値に影響します。
そのため、アルミ外装材を選ぶ際は、“環境にやさしい”ポイントがあるかも確認しましょう。
環境への負荷を抑えた建築材料の採用は、サステナブル建築において重要なポイントです。
【ポイント】
TOPPANの内外装不燃アルミ意匠材「フォルティナ」の外装F仕様には、環境に配慮したオレフィンシートを採用しております。

■ TOPPANのアルミ外装材と採用事例

TOPPANのアルミ外装材「フォルティナ」シリーズは、数々の建物へ採用されています。その中からいくつかの事例を抜粋し、デザインのポイントを紹介します。

こちらは、シンプルなガラスカーテンウォールのファサードへ木目のアルミ外装材をアクセントに採用した事例です。木質系建材は防火規定や腐食・シロアリ・カビなどの観点から採用するのが難しいケースは少なくありません。しかし、耐候性の高いアルミ外装材でしたら、自由に木目をデザインへ取り入れられます。

こちらはシンボリックなデザインのアルミ外装材を採用した事例です。

長さ・色の異なるアルミルーバーを緻密な計画に沿って並べました。品質安定性の高いアルミ外装材だからこそ成し得たデザインと言えます。

こちらは、テナントビルのファサードへ木目調のアルミ外装材を用いた事例です。無機質な印象になりがちなテナントビルへ、質感や色味の異なる外装材を取り入れることで、印象に残るファサードに仕上がりました。
■ まとめ
アルミ外装材には、高い耐候性などのメリットがある反面、材料を選定する際に注意しなくてはいけないチェックポイントがあります。アルミ外装材を選ぶ際は、施工性・デザイン性に加えて、防火性やサイズ展開、環境配慮性なども確認しましょう。
TOPPANでは、施工性・デザイン性の高い環境配慮型内外装用建材を開発・製造しております。「人に長く愛される建物」や「環境にやさしい建築」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
2025.08.05