コラム

スパンドレルとは?役割や素材・設置方法についてわかりやすく解説

スパンドレルは、おもに外壁や天井に使用される建築資材です。外観の装飾だけではなく、防災の面でも大きな役割を担っています。

本記事では、スパンドレルの特徴と使用素材について解説します。実際の施工事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


◎◎

<目次>

■ スパンドレルとは
■ 金属系サイディングボードとの違い
■ スパンドレルの特徴
■ スパンドレルの素材
■ スパンドレル設置方法
■ アルミスパンドレル「FORTINA」の施工事例
■ まとめ


■ スパンドレルとは

スパンドレルは、建築資材として使用される金属でできた化粧板です。おもに建造物の外壁や天井に使われます。

スパンドレルにはアルミや鋼板といった耐火性の高い素材が用いられ、炎が延焼しにくい構造となっているのが特徴です。防火性にすぐれる構造であることから、防火区域に指定されている場所への設置が法律によって定められています。

■ 金属系サイディングボードとの違い

スパンドレルとよく似たものとして、金属系サイディングボードと呼ばれる建築資材があります。外壁材として使われるボード全体を指した言葉がサイディングボードであり、スパンドレルはその中の一つという位置づけです。

スパンドレルと通常の金属サイディングボードの大きな違いは、使用場所です。金属系サイディングボードは壁面にしか使用されませんが、スパンドレルは天井にも施工されます。

また、一般のサイディングボードとは施工方法も違います。サイディングボードの工法では、ボードのつなぎ目にシーリング(コーキングとも呼ばれる)という接着剤を使用しますが、スパンドレルではシーリングを使いません。シーリングは劣化のスピードが速く、定期的なメンテナンスが必要です。スパンドレルではシーリングを使わないので、ボード接続部分のメンテナンスは不要となります。

■ スパンドレルの特徴

スパンドレルの特徴として、次の点があげられます。

・耐久性が高い:防火壁としても使用されるほど、耐候性や耐火性にすぐれている
・メンテナンスが少なくて済む:シーリングを使わないので頻繁にメンテナンスしなくてもよい
・見た目の美しさ:留め金のビスが外部から見えず、美観を損ないにくい など

一般的なサイディングボードと比較して高価となるデメリット面はありますが、耐久性が高く長期間使用できることから、コストパフォーマンスにすぐれる外壁材であるといえるでしょう。

■ スパンドレルの素材

スパンドレルに使用される素材としては、おもに次の種類があげられます。

・アルミ
・ステンレス
・ガルバリウム鋼板
・カラー鋼板

それぞれについて、詳しく説明します。

アルミ

アルミニウム素材で作られるスパンドレルは、スパンドレルの中では現在の主流となっています。

アルミニウムの特徴として、耐候性の高さがあげられます。空気や水に強く、表面に酸化皮膜ができるので、内部まで腐食するケースは通常の使用環境においてはめったにありません。長期の使用に耐えられることから、商業施設やビルの外壁によく使用されています。

軽量で施工性も高いのもメリットですが、他のスパンドレルに比べて価格が高くなるのがデメリットです。

ステンレス

ステンレス製のスパンドレルは、耐久性の求められる環境でよく使用されます。

ステンレスは酸化しにくく温度変化にも強いため、塩害の恐れがある海の周辺や、食品工場・プールといった場所でも使用されます。

ステンレスは塗装が定着しにくく、加工の難しい面がデメリットです。そのため、ステンレスの素材を生かしたデザインで使用されるケースが多く見られます。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛の合金でメッキされた鋼板です。さびや腐食に強く、耐熱性にすぐれることから、スパンドレルの素材としてよく使用されています。

鋼板スパンドレルの中では高いのですが、アルミやステンレスよりは安価で導入が可能です。そのため、商業施設だけではなく一般の住宅などでも多く使用されています。

カラー鋼板

カラー鋼板は、通常の鋼板に塗料を塗装し、耐久性を高めたものです。カラーバリエーションが豊富で安価なことから、さまざまな場所で幅広く利用されています。

しかし、他の素材と比較すると耐久性の面では劣ります。雨風にさらされる厳しい環境には他の素材のスパンドレルを使い、室内の天井といった比較的環境の変化が少ないところにはカラー鋼板を使う、といった工夫が求められるでしょう。

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■ スパンドレル設置方法

防火性能を確保するには、決められた設置方法を守る必要があります。次にあげる設置場所において、注意しなければならないポイントを解説します。

外壁として設置する

外壁として設置する場合、防火区画の壁や床が接する部分に幅90cm以上の外壁として設置します。また、この外壁は「準耐火構造」となっていることが条件です。

準耐火構造とは、火災時に延焼をおさえるために、準耐火性能のある建材が使用された構造物を指します。たとえば、外壁であれば45分燃焼しても倒壊しない仕様で作らなければならないとされています。

なお、スパンドレルに開口部を設ける場合は、別途防火設備の設置が必要です。

庇や床・袖壁などとして設置する

庇・床・袖壁として設置する場合は、外壁より50cm以上突出させ、上下左右への延焼を防ぐような形とします。

たとえばバルコニーのある建築物であれば、バルコニーがスパンドレルとなり上下への延焼を防ぐように施工します。

■ 木目調アルミスパンドレル「フォルティナ」の施工事例

ここで、TOPPANのアルミスパンドレル「フォルティナ」の施工事例を紹介します。

施工事例① リバーシティ21 イーストタワーズⅡ

使用製品:フォルティナスパンドレル TRA-200ST

施工事例② Jeep 西東京

使用製品:フォルティナスパンドレル TRA-150ST

施工事例③ 天王寺駅 地下街

使用製品:フォルティナスパンドレル TRA-150

■ まとめ

スパンドレルは防火性や耐久性にすぐれる建築資材で、防火区域には必ず設置されます。

最近では、デザイン性の高いスパンドレルも多く見られるようになりました。アルミやステンレス、鋼板といった素材があり、耐久性やデザイン、施工性もそれぞれ異なります。スパンドレル設置の際は、使用目的に合ったものを選ぶようにするとよいでしょう。

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2024.10.10

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