データテクノロジー&プラットフォームサービス コラム

データ基盤を構築し、社内のデータ資産の統合を
検討・実行する上で欠かせない3つの視点とは?

  • コミュニケーションデザイン本部
  • カスタマーマーケティング部1T 課長
  • 有賀 一衛

「社内に点在するデータ資産を統合し、それを有効活用してデータ・ドリブンなビジネスへと変革していく。」昨今は、あらゆる業界・業種の企業様で、データ統合とデータの有効活用を検討・実践しておられます。

データ統合は、個客中心の企業活動を実践しようとする企業様にとって非常に重要なテーマですが、これらを社内で検討・実行する時に「データ統合そのものを目的化してしまう」という状態に陥りがちです。

「データを統合さえすれば・・・」、「DMPを構築さえすれば・・・」、その先にはバラ色の未来が待っている、すべて上手くいく、安易な考えでデータを統合することが目的になって一人歩きし、ついには自社の情報を整理しないまま、高価なデータ基盤の導入を決めてしまうなどもったいない事例をたくさん見てきました。
データ統合は、あくまで手段の一つであり、その先に、統合したデータを継続的に活用することで、ビジネス上の成果を出すことこそ、真の目的ということを、ついつい忘れてしまうのです。

こうした状況を踏まえ、データ統合のプロジェクトを支援する際に、当社が大切にしている3つの視点について紹介します。これからデータ基盤を構築し、データ統合の検討を始めようとしている企業様、すでに検討中の企業様の一助になれば幸いです。
※所属企業名・部署名は2021年9月時点


【参考】

CDPとDMPの違いとは?
仕組みからわかりやすく徹底解説!!

CDP(プライベートDMP)のメリットと活用事例、
成功のための6ステップ

データドリブンマーケティングとは。
事例紹介や実施手順・注意点を解説


ビジネス視点 ~データ統合のあるべき姿と目的を明らかにする~

一つ目はビジネス視点です。社内に点在するどのデータを統合し、どの範囲で、どんな成果を得るのか、それをどう検証するのか等、データ統合のあるべき姿と目的を検討・設計します。本来は、この視点が定まっていないと、会社として、データ基盤構築のプロジェクトに多額の投資をする上で、先には進めないはずです。

特にデータ統合のプロジェクトの場合、全社を横断するプロジェクトになるケースが多く、既存のデータをあらためてみると、部門によって保持しているデータも、目指す成果もバラバラのケースが散見されます。会社全体として目指すべき姿と、各部門における目的・目指す成果を整理・調整し、顧客視点でのゴールを明確にすることが重要です。

全社視点でデータ統合を検討するためには、各部門の利害を調整し、全社としての絵を描く、いわゆる横串を刺す役割の部門が必要になります。当社の得意先様では、そのような部門(デジタルマーケティング部門等)を新設したり、IT部門や経営企画部門が業務内容の中でその役割を果たすようにするなど、様々なケースがあります。名称はさまざまですが、共通することはデータ結合を検討・設計するためには横串を刺す役割を担っていることです。


システム視点 ~目指す成果やデータの種類・量を踏まえた最適なアーキテクチャーを設計する~

二つ目はシステム視点です。目指す成果や、活用するデータの種類・量、確保した予算等によって、導入するシステム・ツール類と、その組み合わせもさまざまです。

昨今のテクノロジーの進化のスピードはすざましく、日々、多種多様な新しいシステム・ツールがリリースされています。その中から、自社の目的と予算感にあった最適な組み合わせを見極めるのは、至難の業。投資という意味ではインフラにあたり、一番予算がかかる分野ですし、一旦導入してしまうと、おいそれと変更する訳にはいきません。後のことまで考え、さまざまな角度、プレーヤーから情報・知識を収集した上で、導入するシステムについては慎重に検討する必要があります。


オペレーション視点 ~運用し続ける体制とルールを設計する~

三つ目はオペレーション(運用)視点です。システム・ツールを導入したら、それだけですぐに成果が出る訳ではありません。統合したデータを活用し、運用を日々確実に行い、PDCAを繰り返すことで、初めて投資に見合った成果に繋げていくことができます。

運用体制の構築(外部、内部)、運用フロー・ルールの作成等、継続的な運用をおこなうためには、事前の設計が重要です。
実際に運用するためには、導入したシステム・ツールにもよりますが、新しい技術・スキルに精通したメンバーが必要なケースもあります。事前の設計・準備が充分でなかったために、データ基盤等を導入した後に、社内の人員では思うように運用を回せず、結果、成果が出ずにせっかく導入した基盤の契約をやめるというケースも散見されます。社内でリソースが割けない、スキルを持った人員がいないという場合には、外部の協力を含めて体制を構築し、その上で確実に運用がまわるフロー・ルールを設計することが重要です。

以上、ビジネス、システム、オペレーションという3つの視点で多角的にデータ統合の取組をとらえ、検討することで、初めてデータ統合の成果を出すための入口にたどりつけることがお分かりいただけたと思います。

【参考】


三位一体で成果創出までをご支援

これまでデータ統合の検討・実行に欠かせない3つの視点について紹介してきましたが、いかがでしょうか。トッパンはデータ基盤の設計・構築を担うシステム開発メンバーに加えて、前述の3つの視点をカバーするべく、ビジネス・マーケティング、運用設計メンバーが参画して、データビジネス設計、データ基盤の設計・構築、継続的な運用・成果創出までを見据えたご支援を様々な企業様にて実践しています。これからデータ統合を検討される方はもちろんのこと、どこかの段階で行き詰まっている企業様も、ぜひ一度ご相談ください。企業様の課題・状況に応じて、最適なメンバーでチームを編成しご支援いたします。



2023.09.12