データテクノロジー&プラットフォームサービス コラム

データ統合の「真の価値」
~事例からひも解くデジタルマーケティングの「引き算」「足し算」「掛け算」の成果とは?

  • デジタル
  • マーケティングセンター
  • 溝口 貴大

※所属企業名・部署名は2021年10月時点


デジタルマーケティングに取り組む多くの企業様から「ツールやソリューションの導入で苦労したにもかかわらず、取り組みに対する『成果』が実感できない」とお悩みの声をよく耳にします。そこで今回は、TOPPANが多くの企業をご支援してきた中で導き出した、データ統合によってもたらされる「デジタルマーケティングの真の価値」を、「引き算」「足し算」「掛け算」の3つのキーワードで事例を交えて、具体的な成果の捉え方をご紹介します。「データ統合、デジタルマーケティングにすでに取り組んでいるが効果が見られない」「これからデータ統合を推進していきたいが、メリットがうまく伝えられず、社内を説得できない」といった課題でお悩みのご担当者に、ぜひご一読いただきたい内容です。


<目次>

■成果の創出には、目的に即した正しいゴールの設定が必要
■事例から見るデジタルマーケティングに期待される3つの成果(メリット)
1|「引き算」の成果
  事例:通信販売企業様
2|「足し算」の成果
 事例:生活用品メーカー様
3|「掛け算」の成果
 事例:総合出版社様
■3つの成果を一連の成果として捉える
■まとめ


成果の創出には、目的に即した正しいゴールの設定が必要

大きな期待を背景に、多くの企業が「データ統合によるデジタルマーケティング推進」を中期経営計画などの注力テーマの1つとして取り上げることが多くなったように思います。そんな中、多くの部門や担当者の皆様は、いかに自分たちの活動にデジタルマーケティングを取り入れることができるのか、日々模索されているのではないでしょうか。

しかしその検討プロセスの中で、いつの間にか「デジタル接点、デジタルツール、ソリューションを活用すること」自体が目的化してしまい、
・アプリを導入すべき
・MA/Web接客ツールを導入すべき
・CDP/BIを導入すべき
など、「手段(ツールやソリューションの導入)先行」でデジタルマーケティングが推進されているケースも多く見られます。

その結果、他社にも負けないマーケティング基盤を構築したものの場当たり的な活用しかできず、デジタルマーケティング本来のメリットや成果を得ることができない状況に陥ってしまいます。

この状況を回避するためには「そもそも、なぜデジタルマーケティングを推進することが必要なのか、得られるメリットは何なのか」を明確にしましょう。デジタルマーケティング並びにデジタルの活用はあくまで自社の抱えている課題を解決するための手段でしかありません。また、一足飛びに期待した成果やメリットを得られるわけでもありません。

デジタルマーケティングによる成果を創出するためには、目的を明確化し、その目的を達成するための取り組みを一つ一つ検証しながら繰り返して行うことが重要です。


事例から見るデジタルマーケティングに期待される3つの成果(メリット)

それでは、デジタルマーケティングに期待できる成果とは、どのようなものがあるのでしょうか。

当社がこれまで多くの企業を支援してきた中で、デジタルマーケティングに期待できる成果(メリット)は大きく3つあると考えています。

1|「引き算」の成果
2|「足し算」の成果
3|「掛け算」の成果

各成果について、実際に当社が支援した代表的なお客様の事例をもとに、具体的な解決策も含めてご紹介していきます。

1|「引き算」の成果

「引き算」の成果とは、マーケティング活動をする中で発生する「ムダを削減」あるいは「代替することによる効率化」によって、コスト削減、コスト最適化を実現することです。

具体的な成果としては、
・コミュニケーションコストの削減
・新規獲得コストの削減
・顧客対応(カスタマーケア)コストの削減
などが挙げられます。

【事例】通信販売企業様
課題:従来、トライアル購入から定期購入へ引き上げるため200を超える施策を運用。施策ごとに抽出条件を設定していました。しかし、年々その顧客セグメントの抽出条件が複雑化し、その運用知見は属人的になり、限られたメンバーでしか運用できないようになってしまいました。

TOPPANの提案:これまでデータ運用を担ってきたノウハウをもとに、クライアント様が保有するデータをCDPで統合し、データ統合後の運用を見据えたデータテーブルの設計・施策に必要な顧客セグメントの抽出条件の標準化を行うことで、エンジニアでないメンバーでも運用できるように構築を行いました。

成果:施策設定にかかるオペレーションコストの削減に成功しただけではなく、属人的になっていた運用知見を他のメンバーとも共有することができるようになり、外部リソースも活用可能に。安定した施策運用が実現しました。

2|「足し算」の成果

「足し算」の成果とは、「LTV(生涯収益)の最大化」を行うことです。

具体的な成果としては、
・顧客単価の向上
・成約率の向上
・離反(解約)率の低減
などが挙げられます。

【事例】生活用品メーカー様
課題:お客様の状態に合わせた、きめ細やかな商品ラインナップを展開。お客様がご自身の状態にあった商品を正しく使っていただけるか否かがロイヤリティを高めるためには重要でしたが、店頭での売上が多くを占めていたため、お客様の商品の利用実態を把握することができませんでした。

TOPPANの提案:CDPの導入を行うだけではなく、お客様の状態を把握し、コミュニケーションを行うための会員組織のサービス設計・構築を行いました。また、施策実行に必要なMA・Web接客ツールを活用した施策の立案・ツールを導入。一貫した戦略を描き、全社横断のデジタルマーケティング実行基盤を構築しました。

成果:お客様の商品購買プロセス、商品利用実態が明らかとなり、お客様の状態にあった最適な商品を提案してその商品(ブランド)を使い続けていただく会員プログラムの実行が可能となりました。

3|「掛け算」の成果

「掛け算」の成果とは、「他事業連携・新サービス開発による、新たな収益増幅を行う」ことです。

具体的な成果としては、
・事業間での相互送客効果の最大化
・新サービス(新事業)の立ち上げ
・データセリング(プラットフォーム共有化)
などが挙げられます。

【事例】総合出版社様
課題:近年の出版業界はデジタルメディアの普及に伴い、紙媒体の発行部数の減少や既存媒体の広告収入の減少などが業界全体の課題としてあげられます。

TOPPANの提案:従来の商品(作品)単位での販促活動から、個客単位での販売活動へとビジネスモデル変革を行うため、デジタル接点で顧客をID識別。各接点で取得したデータを統合するだけでなく、読者の趣味嗜好を捕捉するためのAIを導入しました。さらに、新たな収益創出に向けて、広告媒体のサービス設計を行いました。

成果:各媒体のWebサイトに訪れる読者の記事閲覧データを基にAIを活用し、読者の趣味嗜好を指数化したデータ基盤を構築。そのデータを基にWeb広告媒体としてサービス化し、他社へ販売することで新たな収益源を創出しました。


3つの成果を一連の成果として捉えることが重要

ここまでご紹介した「引き算」「足し算」「掛け算」の3つの成果は別々に求めるものではなく、一連の成果として捉えることが重要です。

まず、「引き算の成果」として、デジタルマーケティングの実現に投じたコストや新たに発生する費用(ツール費用・運用費用など)をただ掛けるのではなく、データ統合・可視化によって不要なマーケティングコストを短期的に削減し、運用コストを最適化します。その上で、一つ一つの施策精度を高め、「足し算の成果」を中期的に実現させます。その結果生み出された利益をもとに、新たなサービス開発費用へ改めて投資、他事業との相互活用によるLTV最大化を「掛け算の成果」として創出する、という流れで取り組みを行います。


まとめ

いかがでしょうか。データ統合することでもたらされるデジタルマーケティングの成果(メリット)について、「引き算」「足し算」「掛け算」の3つキーワードでご紹介をしました。自社にどのような成果をもたらすことができるのかが、具体的にイメージいただけたでしょうか。

今回ご紹介した通り、企業ごとに抱えている課題が異なり、デジタルマーケティングに期待する成果も異なるでしょう。成果を創出するためには、企業全体で共有できる正しい目的があるからこそ、取り組むべき内容とその取り組みに期待される成果が明らかになり、初めて成果が実感できるようになります。

TOPPANではツールおよびソリューションの導入・運用代行支援を行うだけではなく、企業様のデジタルマーケティングによる成果創出を行うために目的の整理から伴走するケースも多くあります。ビジネス成果を最大化するビジネスパートナーとして、成果を一緒に創るご支援をさせていただきます。ぜひお気軽に、お声がけください。


2021.10.05

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