コラム

ポップアップカードとは?
飛び出す仕掛けが面白い
ポップアップカードの活用方法

  • TOPPAN CREATIVE編集部

ポップアップカードは、折りたたまれたカードを開くと中の紙が立体的に展開するものをいいます。ふだん平面で扱われる素材の紙が、立体になることにより動きが出て、表現が飛躍的に豊かになるアート作品です。
本コラムでは、ポップアップカードの概要や歴史、種類などを解説するとともに、販促ツールなど効果的に活用する方法など、魅力あるアートの世界をご紹介します。


ポップアップカードとは

ポップアップカードは、開くと中の紙が立体的に飛び出して現れる(ポップアップする)ことから名付けられています。カードを開閉するときの動作で動きがついたり、開いたときに浮き上がっているように見えたりと、立体的な紙のアートとして親しまれています。

ポップアップカードの魅力

ポップアップカードの魅力は、なんといっても開いたときの動きや広がりです。立体的に折り重なった紙がカードを開くことによって次々と展開し、中身が飛び出すようにせり出します。
カードの面積を大きく超えたコンテンツが立体的に飛び出すことにより、世界が広がって感じられます。折りたたまれた状態からは予測できない立体的な広がりが視覚的に大きなインパクトをもたらします。
さらに、コンテンツが展開したときの豪華さやデザインの美しさ、動きの楽しさから、いつまでも手元に持っていて開いてみたくなる、誰かに見せて驚かせ、特別な時間を一緒に楽しみたくなるといった効果もあり、存在感を放つ印象深いコンテンツとなっています。

ポップアップカードの歴史

ポップアップカードの歴史をたどると、ページをめくると折りたたまれた絵が飛び出してくる「しかけ絵本」が登場した14世紀のヨーロッパまでさかのぼるとされます。
最初のしかけ絵本とされるのは、1306年の占星術の本で、羊皮紙でできており、円形の部分が動かせるものでした。天文学や解剖学などの学問用に、浮き上がらせたり動かしたりすることによって理解を進める書物に使われていました。
現在イメージされるような子ども向けのしかけ絵本が登場するのは18世紀になってからで、挿絵についたフラップ(つまみ)を上下すると絵が変わったり、お話が展開したりする仕掛けでした。19世紀になると、本の中の絵が飛び出すものや、紙を何層も重ねて広がりをつくったものなどが現れます。
20世紀になって、アメリカの出版社が本を開く動作で自然に絵が立ち上がる仕掛けを「ポップアップ」と呼ぶようになりました。この仕掛けが好評で、絵本以外のさまざまな作品へポップアップが展開するようになったのです。

ポップアップカードの種類

ポップアップカードは、開くと折り目のある部分に接着し折りたたまれた紙が広げられて立体的に展開するというのが基本的なしくみです。開いたときの動き方や展開の角度などにより、いくつかのタイプがあります。
最も基本的な展開は、開くと折りたたまれた紙が起き上がる仕掛けです。カードを90度に開いたときに真ん中が立体的に立ち上がるもの、180度開いたときに孔雀が羽を広げるように展開するものなどがあります。
また、開くと浮き上がってるものもあります。横から見ると下の面と並行した紙が立ち上がるしくみで、正面から見たときに浮いたように見えるのです。カードを開いたり閉じたりすることによって動きをつくるカードもあります。


ポップアップカードの意外な活用例

ここからは、ポップアップカードの具体的な活用事例をいくつか見ていきましょう。

中部横断自動車道の利用促進の一環として活用事例

意外な場所での活用例として、高速道路でのポップアップ活用をご紹介しましょう。静岡市では、中部横断自動車道の利用促進を図るためのツールとしてポップアップカードに着目しました。その理由として、カードを開くと立体的な造形が立ち上がる意外性や、平面の紙素材を切ったり折ったりしてつくる面白さ、立体的で見栄えのする展示物としての魅力が挙げられています。また、素材が紙のため、制作のハードルもコストも低いことも利点でした。
デザインに惹きつけられ、誰かに紹介したくなれば、カードは多くの人の話題にのぼり、拡散させていくことができます。静岡市では観光名所や史跡など7種類のポップアップカードをつくり、来場者が自分で組み立てることができるようにしました。イベント当日は用意した型紙1,400部があっという間になくなり、報道で大きく取り上げられました。その後もさまざまな啓発活動に活用され、欠かせないアイテムになっています。

販促グッズとしての活用

ポップアップカードは、平面の紙が立体的に立ち上がり、動きや広がりがあるため印象に残りやすいうえ、紙素材でつくられているため軽くて印刷も自由にできることから、使い勝手のよい販促ツールといえるでしょう。デザイン性の高いものや話題にのぼりそうな面白さがあれば、いつまでも手元において誰かに見せたくなるため、拡散性も期待できます。
例えば、飲食店や小売店だとグリーティングカードの演出に活用し、ファン層を拡大する、商品販売時に割引券や特典の引き換え券を飛び出す部分に折り込む、メーカーの展示会などで飛び出す部分に名刺をつけて話題をつくり、商談の場を和らげるなど、アイデア次第でさまざまな活用ができるでしょう。

ポップアップカードとARが融合した「ペーパーステージ®」

ポップアップカードに、さらに大胆な演出で話題性を高めた販促ツールが、TOPPANの「ペーパーステージ®」です。
「ペーパーステージ®」は、ポップアップカードに印刷したデザインをARマーカーにして、スマートフォンのカメラをかざすと動画が再生される演出が可能となったARコンテンツです。
ポップアップカード自体も、これまでにない立体化が施されています。通常であれば開くと前に飛び出す展開ですが、「ペーパーステージ®」は、後ろに空間ができるという驚きの構造を実現しています(特許出願中)。
スマートフォンの専用アプリでカードの絵柄を読むとAR動画が再生され、まるでカードの中に広がる空間を縦横無尽に駆け回るステージを観るような体験ができるのです。
自由なデザインをARマーカーにし、大量に作成できる紙の良さとAR技術を融合させてダイナミックな表現を可能にした「ペーパーステージ®」。折りたためば3mmとコンパクトで、紙素材のため環境配慮もアピールできます。AR体験ができる販促ツールとしてお役立てください。


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2023.10.03

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