コラム

ARアプリ開発の方法
開発の流れと代表的なツールを解説!

  • TOPPAN CREATIVE編集部

ARアプリは、スマートフォンやタブレットなどのカメラをかざすだけで、現実世界を移した映像の上に、イラストや画像、動画や音楽を浮かび上がらせます。ARアプリは、強力なインパクトをプラスするデジタル販促ツールとなる可能性をもっているのです。
本コラムでは、ARコンテンツを使いこなすための第一歩として、ARアプリ開発のおおまかな流れと、代表的なツール、開発上の注意点を解説していきます。


ARアプリ開発の流れ

初めに、ARアプリをどのような流れで開発していくのかを見ていきましょう。大きくは通常のアプリ開発同様、環境とツールを決定して設計し、テスト検証してから公開するという手順を踏みます。

開発環境とツールを決める

ARアプリは、どんなデバイスを用いるかによって開発の条件が大きく異なります。
ビジネスでARコンテンツを制作するのであれば、必ず目的があるはずです。何のためにARを用いるのか、ARを通じて誰にどのような状態となってほしいのか、目的、目標、ターゲット層などをはじめに明確にします。
目的が定まったら、AR開発に関わる諸条件を、目的や対象に沿ったものとなるように設定していきましょう。対象者にふさわしい端末はどれかを決め、端末に対応した開発環境、開発言語を選定します。その後、環境や言語に応じたツール(ライブラリ)を決めていくのです。


AR体験の設計とプログラミング

次に、目的と対象をふまえてどのようなAR体験が効果的かを考え、ARコンテンツのデザインを詳細に設計した後、プログラミング・コーディングを行います。
ARアプリのなかには、プログラミングを使わず開発できる簡易なものもありますが、ある程度高品質なAR体験を目指す場合、プログラミングは必須です。自社内で開発するのであれば、内部の開発能力にあった環境・言語でAR体験を企画しましょう。

テスト公開を経てリリース

プログラミングを行った後は必ずテスト公開で動作確認を行います。スマートフォンやタブレット、ARグラスなど、ARコンテンツを表示する対象機種すべてについて、ARコンテンツの呼び出しや表示速度、鮮明さなどに問題ないかをチェック。プログラムにバグが残っていないか確認します。
動作に問題がなくなれば、正式リリースです。デバイスごとにアプリを登録し、公開申請を行います。無事に審査が通れば、誰もが体験できるARアプリの誕生です。




ARアプリ開発に使用する代表的なツール

ここからは、ARアプリを開発する際によく知られているツール(ライブラリ)を見ていきましょう。ライブラリとは、プログラミングする際に汎用的に用いられるものをセットにしてまとめたものをいいます。ライブラリごとに機能の特徴が異なりますから、ARの内容に応じて、最適なものを選定しましょう。

ARKit

ARKitは、Appleが提供するAR開発用ツールで、iPhone・iPadで利用できるARを制作できます。iOS端末向けの言語であるSwiftで開発することができるため、Xcodeも利用可能となります。
床・壁・天井から空間の奥行きを認識するほか、自動で人の動きを感知するキャプチャ機能も備えています。最新技術では、特定の都市で人気スポットにAR体験を配置する機能や、同時に最大3人の顔をトラッキングしてAR体験を行える機能もついています。

ARCore

ARCoreは、Googleが提供するAR開発用ツールです。幅広いデバイスに対応しているのが特徴で、開発環境も多岐にわたります。Java、KotlinといったAndroid向けの環境のほか、Unity、Unreal、iOS用のObjective-C、Swiftにも対応。クロスプラットフォームのAR開発も目指せます。
ARKitに比べるとトラッキングやモーションキャプチャ機能が弱めとされていますが、空間把握や3Dの立体像も検出します。光度が測定できるため、明るさに応じたARコンテンツの表示も可能です。

Amazon Sumerian

Amazon Sumerianは、Amazonが提供するAR開発ツールです。大きな特徴はソフトウェアのダウンロードやプログラミングが不要なところ。ブラウザ上で直感的にオブジェクトを配置し、Webページに埋め込む形でARをつくることができます。
AWSをベースとしており、複数のプラットフォームで動作します。AndroidとiOSのいずれでも利用可能。Webとモバイルの両ブラウザに対応しています。開発言語はHTML、Javaです。

Spark AR Studio

Spark AR Studioは、FacebookやMessenger、InstagramでARをシェアすることを想定したAR開発ツールです。特に優れているのが顔認識機能。エフェクトや文字の追加などが行えます。
プログラミング言語を必要としないため、直感的な操作でARをつくることができます。表記は英語ですがチュートリアル動画やテンプレートが豊富なため、専門的な知識がなくてもAR制作のハードルが低いといえ、SNSを活用した手軽な販促に活用できるでしょう。

ARToolKit

ARToolKitは、奈良県先端科学技術大学院大学の加藤博一教授が1999年に世界初のAR技術として開発したAR開発ツールです。20年以上にわたる開発導入の実績をもち、世界の開発者・研究者から支持されています。2015年にオープンソース化されており、誰でも自由に無料で利用できます。
マーカータイプ、マーカーレスタイプのどちらにも対応。iOSやAndroidといったモバイルプラットフォームだけでなく、Windows、Mac、LinuxなどのPC向けプラットフォームにも対応するのが特徴です。デジタルサイネージシステムに組み込むAR体験も、ブラウザだけでARを実現するWebARも可能です。

ARアプリ開発における注意点

ARアプリを開発し公開するにあたり、トラブル回避のためにいくつか注意しておきたいことがあります。
まず、法令の遵守です。特に位置情報を把握するARでは、GPSで個人の位置情報を管理することになります。利用者が不利益を被らないよう、慎重に扱う必要があります。
利用規約の設定も重要です。個人情報の取り扱い、トラブル発生時の賠償責任、免責事項、利用者に求める行動の禁止事項などを整備し、明示します。情報漏洩などのセキュリティ対策もしっかりと行います。
また、ARアプリ開発時の著作権違反にも要注意です。類似のアプリがないかを確認し、導入したツール・ライブラリの規約違反がないかをよく確かめておきましょう。
ARアプリの設計については、あれもこれもと欲張らず、一つひとつ機能を完成させて段階的に目標を高くし、少しずつ充実させていくとよいでしょう。

ARアプリ開発まとめ

ARアプリの開発は、企画の段階で目的や対象を明確にするのがポイントです。ARコンテンツの提供によってどのような体験を与えるのかを最初に定めてから、それに即した開発環境でARの設計を行いましょう。ユーザーに気持ちよく利用してもらい、広く販促ツールとしてARコンテンツを活用できるよう、法的問題もクリアしながら進めていきたいところです。
また、ARの最新技術を目の前にすると高機能のAR表現に欲がでて大きく構えがちですが、まずはシンプルなARアプリで着実な運用を行い、AR開発に慣れていく段階的な運用方法をおすすめします。


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2023.10.03

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