コラム

今さら聞けないAR動画の活用法と
企画のポイント

  • TOPPAN株式会社
  • 情報コミュニケーション事業本部 情報メディア事業部

    クリエイティブ本部
  • 太田 裕子

「お菓子のパッケージにスマホをかざすと、キャラクターが動き出した!」「料理の写真にスマホをかざすと、レシピ動画が再生された!」など、最近少しずつ一般的になってきた「AR動画」。
でも「どうやって活用したら良いのかわからない…」「二次元コードを読み込ませて、動画を再生させるのとなにが違うの?」「そもそもARって…なに?」など、まだよくわからないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな方のために、AR動画の基礎知識や使い方、企画のポイントをわかりやすくお伝えしていきます。


この記事でわかること
  1. AR動画とは
  2. AR動画のさまざまなビジネス活用方法
  3. AR動画活用時の注意点・チェックポイント
  4. AR動画施策のビジネス企画のポイント
  5. AR動画専用のペーパーメディア「ペーパーステージ® 」とは

AR動画とは

まず「AR動画ってなに?」という方に向けて、AR動画の基本的な知識について解説していきます。

ARとは、「Augmented Reality」の略で、日本語では一般に「拡張現実」と訳されます。
人が見ている現実世界の風景の上に、バーチャルの情報を視覚的に重ねることで、現実世界を“拡張する”というもの。このAR技術を活用し、現実の風景に動画を重ねたものを「AR動画」と呼んでいます。
よく混同される言葉に「VR」がありますが、これは「Virtual Reality=仮想現実」と訳されます。こちらは、仮想に作られた空間の中に入り込むようなイメージで、かつ視覚情報をすべてバーチャルに置き換えることで、ユーザーが完全に没入できる体験を提供することが主な目的です。利用にはヘッドマウントディスプレイやVRゴーグルなどの専用機器が必要になります。
両者ともバーチャルな視覚体験を提供するものですが、「AR」はスマホひとつでコンテンツを楽しめるため手軽。それゆえ今後のさまざまな活用が期待されています。


AR動画のさまざまなビジネス活用方法

AR動画は私たちの普段の生活の中でも見られるようになってきており、少しずつ一般的になっています。そのため、ビジネスでの活用の幅も徐々に広がりを見せています。主な事例を見ていきましょう。

【観光業界】

・アニメの聖地巡礼を狙ったARプロモーション
観光地の風景にスマホをかざすと、実物大の巨大ロボットが出現します。臨場感も楽しめるファンにはたまらないプロモーションです。

・お城好き向けのARプロモーション
お城の跡地にスマホをかざすと、かつてそこに建っていたお城の姿が浮かび上がります。焼失や倒壊によって見られなくなったお城の姿を、ARを使って蘇らせました。

【アパレル業界】

・お店でしか体験できない仮想ファッションショーのAR体験
お店に飾ってあるポスターにタブレットをかざすと、ポスターの中のモデルがランウェイを歩き出し、ファッションショーが始まります。ショーで使用されていたアイテムをその場で確認、購入ができる利便性の高さもポイントです。

【食品業界】

・商品パッケージと連動したARコンテンツ
アイスの蓋にスマホをかざすと、蓋の上でアイドルがダンスを踊り始めます。自宅でリラックスしたいときの彩りになるようなコンテンツです。

【飲食業界】

・春の季節を盛り上げる店内ARプロモーション
カフェ店内でスマホをかざすと、花びらが舞い散る満開の桜の木が出現。食事と一緒に季節の移り変わりも楽しめます。店内で食事をする付加価値をより高めてくれる企画です。

【防災】

・防災意識の向上に向けて「水害」を疑似体験できるARアプリ
街の風景にスマホをかざすと、浸水した場合の状況を可視化できます。災害の恐ろしさや実際の様子をリアルに体験できるので、防災の意識を高められます。

【自動車業界】

・車の実際のサイズ感を迫力満点に体感できるARコンテンツ
車の巨大な新聞折込広告にスマホやタブレットをかざすと、目の前に実物大の車が出現します。車のサイズ感をリアルに伝えられ、見ている人にインパクトを与えられる企画です。

【百貨店業界】

・イベントのフォトフレームをARで盛り上げるコンテンツ
母の日のイベント会場でARを使ったオリジナルフォトフレームを設置。スマホをかざす度に様々なフレームが浮かび上がります。来場者への思い出作りにぴったりです。

AR動画活用時の注意点・チェックポイント

1 各デバイスやアプリの環境はユーザーに適しているか?

AR動画を再生するには何らかのデバイス(端末)が必要です。手軽に使えるスマートフォンやタブレットから、より臨場感が高まる3D/2Dアイウェアまで、さまざまな機器があり、対応するOSやアプリも多様です。
しかしAR動画の開発をこれらすべてのデバイスやOSアプリに対応させようとすると、膨大な時間もコストもかかってしまいます。また、OSやアプリは頻繁にバージョンアップするため、リリース後の維持コストも必要です。
AR動画をビジネスで活用する場合は、AR動画を体験する目的や、ターゲットとなるユーザー層を見極め、ターゲット層が主に利用する環境で開発を進める必要があります。


2 告知方法は最適か?

AR動画は数あるコンテンツのうちのひとつです。いくら話題性があったとしても「ARだから」という理由だけではユーザーの行動は変わりません。実際に手に取り体験してもらうには、ターゲット層が企画内容に関心を向けるよう、十分な告知が必須です。
告知の内容としては、ARの機能ではなく、ARを通して何を体験できるのか、ユーザーが得られる価値を重点的に伝えます。また、アプリのダウンロード方法や、カメラをかざして画面を見る方法などが一目でわかる画像や動画を活用するとよいでしょう。
告知の際は、ターゲット層が多くアクセスするメディアを中心としたWeb媒体のほか、チラシやパネル、デジタルサイネージなど、複数の方法でより広く認知されるようにします。期間限定のキャンペーンを行う場合はSNSで拡散を図るのも効果的です。

3 どんな環境でも安全かつ確実に機能するか?

AR動画は、再生する環境の条件によって見え方が変わってしまう可能性があります。特に野外での視聴を想定する場合は、天候や時間帯の違いから見づらくなってしまう場合があるので、明るさが重要です。認識率を上げるには細かいパターンのマーカーを用意する必要があるため、開発コストもかかります。
また、AR動画は、実際の場所と異なる視界を提示しているため、歩き回る場合には足元など物理的な安全性を確保する必要があります。AR動画を体験することを想定した場所で実際に操作するリハーサルは必須といえるでしょう。
その他、3D/2Dアイウェアなどのデバイスを共有して体験する場合は、衛生面での配慮も重要なポイントになります。

AR動画施策のビジネス企画のポイント

AR動画の企画は、希少性・特別感・非日常がキーワードです。それぞれ掘り下げてご説明します。

1 希少性:目新しさとサプライズ感

期間限定であるAR動画の特徴を活かすには、「目新しさ」と「サプライズ感」が必要です。
コンテンツの表示環境(読み取り用のARマーカー)は二次元コードのような規定のものではないため、「これを読み取るの?」という「目新しさ」があるとコンテンツの期待感を醸成させられます。
また「なにが出てくるのかわからない」というコンテンツ自体の「サプライズ感」がユーザーの興味をさらに引き立てます。

2 特別感:どこにARを表示させるか

AR動画は、言うまでもなく「どんなコンテンツを表示して楽しんでもらうか」が重要ですが、意外に忘れがちなのは「どこにARを表示させるか」という観点です。
あくまでも特定の場所・環境で一部の人にしか見られないようにすることで、特別感を演出できます。
配信期間も相まって、「今しか見られない」「ここでしか見られない」という希少性や特別感がAR動画の価値をより高めてくれます。

3 非日常:非日常をどうリアルに表現するか

もう一つの企画のポイントは、非日常的なものをどのようにリアルな世界に表現するかです。

例えば、ARを使えば非日常的な存在であるアニメキャラクターや芸能人が、自分の目の前で話したり動いたりする光景を作り出すことができますが、こういった非日常的なものだからこそ、リアリティが重要です。

上で紹介した【防災】のARコンテンツは、いつも見ている風景をベースにすることで、利用者が危機意識を持ちやすくなっています。
また【自動車業界】のARコンテンツも、実物大の自動車をARで出現させることで、消費者が「もし自分がこの車を買ったら」とイメージしやすくなっているのです。

AR動画の内容とARマーカーを置く場所の組み合わせで、利用者にリアリティを感じてもらえるよう企画しましょう。


AR動画専用のペーパーメディア「ペーパーステージ®」とは

AR動画は、今後さらなる活用方法が期待される新しい分野です。
そこでTOPPANは、AR動画専用のペーパーメディア「ペーパーステージ®」を開発しました。
「ペーパーステージ®」は、まさに自分だけの小さなプライベートステージになります。

「ペーパーステージ®」の特徴

■特許出願中の特殊ポップアップ構造

「ペーパーステージ®」は、通常は折りたたまれたコンパクトなカード形状で、両側のつまみを引き出すと後ろに飛び出し、中にステージ空間ができる構造になっています。

一般的なポップアップ構造のカードは開くとポップが上に飛び出しますが、「ペーパーステージ®」は、開くと後ろに空間ができるという他にはない構造で、現在特許を出願中です。
折りたたむと厚さ約3mmまでコンパクトになるので、かさばらずに収納できます。また、開いた時にできる空間を使って、おしゃれなディスプレイとしてお部屋に飾ることもできます。

■ステージ上を縦横無尽に駆け回るオリジナルARコンテンツ

特殊なポップアップ構造の絵柄を専用アプリで読み込むとAR動画が再生されます。

「ペーパーステージ®」が表現できるのは、机の上のステージに、キャラクターやアーティストが入り込んだような世界観です。ステージ上でキャラクターが踊ったり、ステージを飛び出して目の前に現れたりと自由自在にキャラクターが動きます。
「ペーパーステージ®」が一般的な動画と違う点は、「奥行き」です。さっきまでステージで踊っていたキャラクターが、次の瞬間に突然目の前に現れるような、「前後の動き」を活かした演出や驚きを楽しめるのが魅力。この前後の動きをダイナミックに表現できるのは、土台としてステージ型のポップアップがあるからこそです。
「ペーパーステージ®」には、実写も3Dアニメーションも活用できます。幅広い可能性を秘めており、今後も様々な活用ができます。


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「ペーパーステージ®」開発経緯

社内で新しい企画検討をしている中で、開くと四角型に広がるポップアップ構造がありました。面白い形なのでなにかに活用できないかと考えていたところ、この形をステージに見立てて、AR動画と組み合わせたら面白いコンテンツができるのではないかと考えたのです。
現在は、コロナの影響でライブや舞台が中止になっています。この状況でもなにかファンの方に楽しんでもらえるコンテンツができないか。そうした考えから、ステージでアイドルや演者さんが目の前で歌って踊る構想を思いつき、「ペーパーステージ®」の開発に至りました。


「ペーパーステージ®」の今後の活用法

「ペーパーステージ®」は、「ユーザーやファン に喜んでもらえる」をテーマにコンテンツをお届けしたいと考えています。
「ペーパーステージ®」を効果的に活用できると考えている業界は下記の通りです。

・エンタメ
エンタメ業界では、アーティストをより身近に感じてもらえるような、ファンの気持ちを刺激するコンテンツに活用できます。
例えば、実際のライブを「ペーパーステージ®」で再現。ライブDVDのパッケージや付録にすれば、実際に訪れたファンはライブを鮮明に思い出して楽しい時間に浸れることでしょう。また参加できなかったファンにも実際のライブの雰囲気を感じてもらえます。
さらに様々なファン向けのコンテンツに応用することで、動いている姿と生の声でメッセージを届けられます。コロナの影響でライブや舞台、ファン向けのイベントが中止となっている昨今、ファンにとってとてもうれしいプレゼントになるはずです。

・出版/教育(知育)/アニメ/ゲーム
出版・教育・アニメ・ゲームの業界では、架空の存在であるキャラクターなどを現実に投影できる利点から、エンタメと同様ファン向けのコンテンツとして広く活用できます 。マスコットキャラクターを登場させるなど、教育コンテンツがより楽しい映像になるでしょう。
さらにはポップアップを開くと「お家」になる構造にして、中に小さな人形やグッズを置いて人形遊びが楽しめるお子様向けの玩具としても応用できます。

・食品
食品業界では、「ペーパーステージ®」を商品購入のおまけにするなど、お家時間を楽しむコンテンツとして活用できます。
例えば孤食の悩みを抱えている人向けに、数十秒の楽しいAR動画を盛り込めば、食事の時間を彩るコンテンツになります。

AR動画の活用に「ペーパーステージ®」を

「ペーパーステージ®」のポップアップ構造はさまざまなサイズで作成可能です。コンパクトなので店舗などでの陳列時も省スペース。折りたたむと3mmほどの厚さになるので、CDや本などさまざまなコンテンツと一緒に送付もできます。
少しでもご興味がありましたら、ぜひ以下のリンクよりお気軽にお問い合わせください。


ペーパーステージ®ダウンロード資料「まるわかりシート」

2023.02.08

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