コラム

香りマーケティングとは?
メリットや導入事例を紹介!

  • TOPPAN CREATIVE編集部

香りマーケティングとは、五感のひとつである嗅覚に働きかけて行う販促活動です。香りは記憶との結びつきが強く、有効に活用することで高いマーケティング効果が期待できます。本記事では、香りマーケティングの概要やメリット、事例、成功させるポイントなどを紹介していきます。


香りマーケティングとは?

はじめに、香りマーケティングとはどのようなものなのか、定義と効果、注目される理由、活用方法の概要をみていきましょう。

顧客の嗅覚にアプローチする新しいマーケティング手法

香りマーケティングは、五感のひとつである嗅覚に働きかけて行う販促活動です。
香りマーケティング協会によると、「企業活動において、香りを利用し活かすことによってマーケティング活動を実施し、新たな価値を創造する活動やプロセス」と定義されています。

香りが人びとの行動を促すきっかけとして有効となる理由は、脳のしくみにあります。
嗅覚野と感情を司る海馬という部分がとても近い場所にあり、記憶領域の皮質で情報のやりとりをしています。このため、嗅覚は五感の中で最も記憶と情緒が結びつきやすいとされているのです。

香りによる効果

では、具体的に香りにはどのような効果があるのでしょうか。
香りは、交感神経や副交感神経を整え、心地良い睡眠を助けたり、気持ちを落ち着かせたり、集中力を高めたりといった効果を期待できます。
たとえば、気持ちをすっきりさせたいときにはジャスミンの香り、落ち着きたいときにはラベンダーの香りが人気です。
また、集中力を高め、前向きな感情や思考をもって意思決定を助ける効果や、感情とともに記憶を呼び起こすことから、具体的な体験的イメージを想起しやすくなる特徴もあります。
特に、香りによって記憶が強烈な感情とともによみがえる体験は、有名な小説「失われた時を求めて」の中で印象的に扱われていることから、その作者の名前を取って「プルースト効果」と呼ばれています。

香りマーケティングが注目されている理由

商品やサービスがあふれる現代において、機能的価値のみの訴求では一般への認知は進みません。そのため、感情に訴える情緒的価値を高め、ストーリーで売り込む戦略が重要となるのです。
香りによって情動を刺激した記憶の喚起により他の商品・サービスとの差別化を図ることを「ブランド・セント(Brand Scent;特別に独自開発した香り)」といいます。
嗅覚への働きかけによる記憶のすばやい呼び起こしと、気持ちの効用による記憶の定着は、視覚や聴覚への働きかけよりも大きな効果が期待できることも知られています。そのため、香りをマーケティング活動に活かす戦術が注目を集めています。

香りマーケティングの流れ

「ブランド・セント」を活用した香りマーケティングは、次のような流れで進めます。

1)製作・導入:お客さまにどのようなイメージをもっていただきたいかのコンセプトを明確にし、ブランドイメージに合わせた香りを調合して店頭で使用し、香りに触れていただきます。

2)定着:統一したコンセプトで香りを繰り返し使用し、ブランドイメージとして定着させます。

3)商品化:お客さまが家でも香りを楽しめるよう、店頭で用いた香りをアロマ関連の商品にして販売します。

4)固定化:統一されたブランドイメージをもつ香りがリピートされるようになり、ブランドイメージが固定化します。

5)連鎖・展開:ブランドイメージをもつ香りをアロマ商品として楽しむお客さまを通じ、店頭以外の場所でのブランドイメージが広がり、新規顧客の獲得の可能性が高まります。またSNSなどを使った拡散により、さらにブランドイメージを展開します。

香りマーケティングの活用例

香りマーケティングは、まず空間に対する香りの演出で情動を刺激し、その後、統一されたブランドイメージの香りをグッズにして拡散を図るのが一般的です。
空間に対する香りの演出では、癒やしの場で気分を落ち着かせる、イベント会場などで参加者の気分を高揚させる、ショールームや店舗などでお客さまの購買意欲を刺激するといった活用法があります。
香りのグッズの例としては、香水やアロマオイル、アロマミストのような香りそのものを商品化するほか、サシェ(香り袋)などの布製品、香り付きの名刺やポストカードなどの印刷物が挙げられます。

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香りマーケティングのメリット

ここからは、香りがマーケティングにおいてどのような効果をもたらすのか、メリットをみていきましょう。

ブランディングに役立つ

「プルースト効果」に代表されるような、特定の香りにふれると情動とともに記憶を呼び起こすという嗅覚の特性を活用し、特定の香りとブランドイメージを紐づけることで、ブランドの固定化や強化、拡散に役立てることができます。
特に、ブランドのコンセプトに沿った独自の調香を行った香りの場合はストーリー性もあり、お客さまへの訴求力が高まります。

リピートの促進につながる

特定の香りとブランドイメージが紐づき、心地よい印象で認識されると、その香りが漂っただけで特定のブランドが好印象とともに思い出されるようになり、何度も訪れたくなってリピートの促進につながります。また、お客さま自身がその香りを手元に置くことでも、さらなる購買意欲を刺激することができるでしょう。

顧客満足度を向上させる

スッキリ覚醒させて集中力を高める、心を鎮めてリフレッシュするなど、香りのもつ効能を活用してお客さまが心地よく過ごせる空間を演出することで、顧客満足度を高めることができます。
また、店舗の従業員も同じ空間で接客していることから、働く人たちの労働意欲を高め、接客の質が向上することで、顧客満足度の向上につながる可能性もあります。

滞在時間を延長させる

心地よい香りで満たされた場は居心地がよいため、滞在時間や来店頻度の増加につながります。滞在時間が長くなると、本来買うつもりのなかったものも購入したくなるなど、購買意欲の増進につながるかもしれません。

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香りマーケティングの事例

学校法人 大和学園

ここからは、具体的な香りマーケティングの展開例をご紹介します。

大和学園は、京都で日本の豊かな食文化を体験しつつ、地元の人達との地域の交流の場としてつくられた博物館で、日本料理や和菓子、京都の食について学べます。
五感をフルに使って香りを体験する「フォトギャラリーサイネージ」を導入し、デジタルによる演出も行っています。

同校では、学びや交流をさらに高めるため、オリジナルの香り「Taiwaの香り」を調香し、学生や来賓客を迎えるエントランスに展開しています。

「Taiwaの香り」は、藤の花を中心に、四季の立ち上がりを感じさせる梅のはなやかさと水のさわやかさをイメージしたものです。
香りの選定時には、オリジナルのスコアリングシートを使って香りの印象を数値化し、感覚的要素を可視化することで、大和学園のコンセプトにとってどの香りが最適かを客観的に評価しました。

また、リニューアル時には記念品として香りをつけたポストカードをプレゼントしました。カードの中に描かれたエントランスのガラス部分につけられたフィルムを剥がすと「Taiwaの香り」がただよい、来訪時の記憶がよみがえります。

すみだ水族館

画像引用元:すみだ水族館(https://www.sumida-aquarium.com/index.html)

すみだ水族館では、リラックス空間として水族館を楽しんでもらえるよう、各ゾーンや時間帯に合わせて香りによる演出を行っています。

エントランスには気持ちを落ち着かせてくれる「Arobalance(アロバランス)」を用い、来場者がゆっくり館内を周って楽しんでもらえるようにしているほか、夕方以降は大人のデート空間としても楽しめるよう、落ち着いた香りの「レッドウッド」に切り替えるなど、香りによる空間の演出を行っています。

別の展示エリアでは、夏と秋は清涼感、冬と春は甘みのあるフローラルの香りと季節によって香りを変え、何度でも来て楽しみたくなる演出も行っています。

シンガポール航空

画像引用元:Singapore Airlines(https://www.singaporeair.com/en_UK/th/home#/book/bookflight)

シンガポールでは航空では、出発するときのワクワクする高揚感や、帰途につく安心感など、旅のストーリーを特別な香りでさらに高めてくれます。

独自に調合した香りは「ステファン・フロリディアン・ウォーターズ」と名付けられました。特別な価値が付加された体験となるよう、高級感あふれる香りとして工夫されています。

この香りは、機内の空間演出に用いられるほか、客室乗務員の香水やお客さまへお出しするおしぼりにもしのばせるなど、テーマの一貫性もあり、ストーリーがさらに強調されています。

香りマーケティングを成功させるポイント

香りマーケティングをより効果的にするには、いくつかの留意点があります。以下で紹介するポイントを押さえて活用しましょう。

ターゲットを明確にしてから香りを設計する

マーケティングの基本事項として、ターゲットを明確にする必要があります。
ターゲットを明確にし、空間の目的や期待される効果に合わせた香りを調合しましょう。
若い世代ならフレッシュに、年配向けにはエレガントに、など、ブランドのイメージに合った香りを考えます。

まずは、方向性を決めるためのキーワード出しを行い、香りでどこまで表現したいのか、香りの導入場所といった項目を決めた上で、その空間を香りでデザインしていきます。

その後、空間の利用者、香りに期待すること、香りを通じて伝えたいメッセージなどをていねいに掘り下げて検討しながら、使用する香りを絞り込んでいくことが重要です。

他にはないブランド独自の香りを作り出す

ブランド力は独自性にかかっていますから、差別化を図ることがなにより重要となります。
「ここにしかない」という特別感のある香りを調合しましょう。
全体のブランドイメージに合わせた香りを連携させることにより、記憶に残りやすく、長く覚えてもらえるブランドに育ちます。

特徴的な香りであれば、空間演出を行った場所以外のところで同じ香りに出会ったとき、ブランドを連想してもらえるようになります。

強い香りにならないよう注意する

香りは刺激のひとつですから、連続して与えすぎると順応してしまい、効果は半減します。また、強すぎる香りはかえって不快感につながってしまうかもしれません。

受け取る相手によって、好ましい香りの質も強さも異なることを意識しておきましょう。本格的な香りの導入を考えている場合は、香りマーケティングを専門とする人に相談してみることをおすすめします。

香りを使ったマーケティング・ブランディングに「フレグランスアイデンティティ®」ご紹介資料
香りを使ったマーケティング・ブランディングに「FRAGRANCE IDENTITY®」

香りマーケティングで他社との差別化を図ろう

香りは、店舗や商品・サービスのコンセプトにあったものを展開することにより、効果的なブランディングツールとなります。
情緒あふれるストーリー展開に不可欠な香りによる効果の高い演出で、他の店舗との差別化を図り、お客さまの顧客満足度が高まって、滞在時間が延びるなど購買意欲を高めてくれる香りマーケティングの特徴を活かし、ブランド力を強めていきましょう。

TOPPANの「FRAGRANCE IDENTITY®」では、香りをスコアにして客観的演出を可能にするなど、独自の香りマーケティングの展開を提示し、強力にサポートします。
お気軽にご相談ください。

2024.07.16

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