商品開発のやり方とは?
流れと成功のポイントを解説
- TOPPAN CREATIVE編集部
商品開発は、マーケティング活動のなかでも特に重要なプロセスです。適切な開発により市場に送り出された商品は、ターゲットとなる消費者の満足を引き出し、競合他社と比較した際の優位性や独自性も明確で、市場のシェア拡大に向けた期待が高まります。
本記事では、商品開発の方法や手順、成功させるためのポイントを紹介していきます。
商品開発の方法は3種類
商品開発の主な方法には以下の3つがあります。
1. 競合商品の改良
2. 生産者側の視点で自社の強みを引き出すプロダクトアウト
3. 消費者や市場の視点でニーズ分析から入るマーケットイン
それぞれ見ていきましょう。
1. 競合商品の改良
1つ目は、すでに市場で評価されている競合商品を改良し、より優れた商品を開発する方法です。競合商品について徹底的に調査・分析し、市場で支持される理由や、改善の余地を明らかにしたうえで、新たな価値を上乗せしていく必要があります。
2. プロダクトアウト
自社が保有する技術や知見などの経営資源を出発点に、どんな価値が提供できるのかを深掘りし、消費者の新しいニーズを創出する開発方法です。自社の技能やノウハウを活用できるため、技術的な側面での開発コストは削減できる傾向にあります。ただし、市場のニーズを考慮せず開発を進めると、商品が市場で受け入れられないおそれがあります。
3. マーケットイン
マーケティングのなかで、消費者のニーズがどこにあるのかを分析したうえで、商品開発の方向性を検討する手法です。はじめに戦略の方向性をマーケティング分析により明確にするため、プロダクトアウトに比べると開発にかかる時間は短くなる傾向にあります。また、最終的に消費者に届いて市場における商品価値が認められる状態から逆算する形でなすべきことを検討するため、マーケティング戦略からぶれる心配が少なくすみます。
さらに、開発に対するフィードバックを消費者の視点から行え、客観的にマーケット上の検討もできます。複数の状況を設定したシミュレーションなど多角的な分析を行うことも可能です。
商品開発の一連の流れ
商品開発は、以下に挙げる一連の流れに沿って行います。
|市場機会の発見・絞り込み:市場調査を行い、潜在的な顧客ニーズや競合状況、自社の強みや実現可能な市場の成長性などを分析します。
|アイデア出し:市場機会の分析結果をもとに商品のアイデアを出します。
|事業経済性分析:商品化した場合の収益性や費用対効果を分析し、商品化の可否を判断します。併せて商品の販売価格や販売方法なども検討します。
|試作品の開発:アイデアを形にした試作品をつくります。
|テストマーケティング:試作品を試験的に市場に出し、顧客の反応を検証します。この結果をもとに、商品のパッケージや価格、販売戦略などを最終決定します。
|製品化:テストマーケティングの結果を踏まえ、商品を本格的に製造します。
|市場投入:商品を市場に送り出します。販売実績を分析し、改善していきます。
商品開発を成功させるポイント
ここでは、商品開発を成功させるためのポイントとして、以下の5点を紹介します。
● 顧客視点での考え方を常に持つ
● 現場に足を運び生の声を聞く
● 自社が培ったノウハウを最大限に活かす
● 既存製品を見直してみる
● 販売後も改善を繰り返す
顧客視点での考え方を常に持つ
商品を利用するのはあくまで消費者です。そのため、消費者が現在の生活にどのような課題を感じているか、または潜在的な課題にはどのようなものがあるのかを、常に念頭に置いて商品の開発を進めていく必要があります。
特に昨今は、ライフスタイルの変化や技術革新などが目まぐるしく、消費者のニーズも常に更新されています。常に最新の消費者ニーズを意識した開発が重要です。
現場に足を運び生の声を聞く
現場に出て、実際に商品を使っている消費者の声を聞くことで、新たなニーズを発見できる可能性があります。
広範囲を対象とした統計データからは、全体の傾向を探ることこそ可能ですが、それだけでは、多数派ではないユーザーが抱えているニッチな課題を見落としてしまいがちです。それでいて、ニッチな課題は自社商品にとって、確かな改善のヒントになることも少なくありません。
また、消費者が自身で回答するアンケートなどの調査からは、すでに言語化されている顕在ニーズを探ることが可能ですが、消費者自身も気づいていない潜在ニーズについては探ることができません。
時には実際に消費者のもとを訪ね、一人ひとりの言葉に耳を傾けることが重要です。
自社が培ったノウハウを最大限に活かす
自社の優位性をうまく活用するためには、市場の動向やユーザー視点だけではなく、これまで自社が培ったノウハウを最大限に活用する生産者視点のアプローチも不可欠です。消費者視点と生産者視点は車の両輪のように開発の推進力となります。
自社がこれまでに培った技術や知見は、ブランドイメージの向上や、競合他社との差別化、開発のコスト削減やスピードアップ、品質の向上、リスク回避、チームの協力体制の強化など、さまざまな場面で活かすことが可能です。
既存製品を見直してみる
商品開発は、必ずしもゼロからのスタートでなくてもかまいません。既存の製品を分析し、改良を加える形でも行えます。既存製品のファンを取り込める可能性があることも、この方法の大きなメリットです。
また、開発期間を抑えられる傾向にあるため、目まぐるしく変わる顧客ニーズに対しても、迅速かつ柔軟に対応でき、市場での優位性を維持しやすいでしょう。その他、コスト削減や生産の効率化、既存商品に対する信頼性・品質評価をうまく活用したブランド価値の向上なども見込めます。
販売後も改善を繰り返す
開発した商品は、世の中へ送り出してからも、顧客からの反応を確認し、持続的に改善を図る必要があります。このように商品の企画・開発や販売計画の立案(Plan)と、販売の実行(Do)、効果の測定(Check)、評価を踏まえた改善(Action)のサイクルを繰り返して好循環をつくることをPDCAサイクルといいます。
商品の販売が思うように伸びない場合は、マーケティング全体の流れをもう一度確認し、商品開発の各プロセスについて小さなPDCAサイクルを回して改善ポイントを探すようにしましょう。
ポイントを押さえて商品開発を成功させよう!
マーケティング活動のなかで中心となる商品開発のプロセスでは、ターゲットとなる消費者動向や市場調査による状況把握が不可欠ですが、それと同じくらい、社会全体を俯瞰して未来を見通したトレンドの把握や予測も重要となります。
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2024.06.20