商品開発のプロセスとは?
プロジェクトの進め方を7ステップで解説!
- TOPPAN CREATIVE編集部
商品開発は、不確定な未来を予測しながら時間や費用をかけて行うためリスクも伴います。効果的な商品開発には、的確な戦略の立案と創造性の広がりをもたせつつ、着実に実行するためのプロセスの明確化が重要です。
本記事では、効果的な商品開発を行うためのプロセスを概説するとともに、開発途上で注意すべきポイントを紹介します。
商品開発のプロセスとは?
商品開発のプロセスは、企画から市場に出るまでいくつかのステップに分けることができます。それぞれに重要となるポイントを見ていきましょう。
STEP1:市場機会の発見・絞り込み
まずは市場調査を行い、マーケティング戦略上商品を展開するチャンスがどこにあるのか、そもそも市場に参入する価値があるのかなどを見極める必要があります。
消費者の動向や市場、業界の状況を読み解いた後、自社の強みを活かせるところへ照準を合わせていくわけです。
マーケティング上の総合的な状況把握と機会の発見にはPEST分析、自社が置かれる状況把握には3C分析、標的となる市場の絞り込みや戦略の立案にはSTP分析といった形で、多角的な分析により検討を進めます。
|PEST分析:政治(Politics)、経済(Economy)、社会文化(Society/Socio-culture)、技術(Technology)の観点から総合的に動向を把握する
|3C分析:消費者(Customer)、競合他社(Competitor)、自社(Company)を比較し、自社の優位性や独自性を把握する
|STP分析:市場の細分化(Segmentation)、対象の絞り込み(Targeting)、自社の位置づけ(Positioning)の観点から戦略の方向性を打ち出す
STEP2:アイデア出し
市場調査の分析結果から導き出された戦略の方向性に則り、アイデア出しを行っていきます。アイデア出しの方向としては、消費者の動向や市場のニーズを視点とした「マーケットイン」、自社の技術や既存の製品の強みを活かす「プロダクトアウト」、すでに市場に出回っている既存の商品から発想を得る「競合商品の改良」の3種類が考えられます。
独創的で柔軟な発想を促すため、アイデアを発散させるフレームワーク(思考法)を組み合わせて検討を進めます。
STEP3:事業経済性分析
商品のコンセプトが形づいてきた段階で、採算を分析します。予想される売上高、原価、利益などを試算し、事業として成立するかをシミュレーションするわけです。
原価率や利益率などの目安は、現在の自社の状況を参考に、業界で一般的とされる数値を用います。例えば、原価であれば末端価格の3分の1程度が妥当といわれますが、業界によっては採算ベースが異なる場合があります。統計データなどから適切な割合を求めましょう。
予測は、楽観的・現実的・悲観的の3パターンで行います。いずれの場合でも想定した目標に届かないようであれば、商品のコンセプト以前にマーケティング戦略を練り直す必要があるでしょう。
STEP4:試作品の開発
事業として採算がとれると判断したら、商品のコンセプトに沿った仕様を詳細に設定し、デザインを決めて試作品をつくります。
試作品は、機能性、操作性、安全性、耐久性、デザイン性、製造コスト、製造期間などの指標を設けて評価を行い、問題点をフィードバックしては改良を加える工程を繰り返して、完成形に近づけていきます。
STEP5:テストマーケティング
製品化できそうなところまで試作品が改良された段階で、限定した地域でテスト販売し、市場調査(テストマーケティング)を行います。
テストマーケティングは実際に使ってみた感想を得ることができるため、フィードバックとしては最も実際的なものとなりますが、一方で競合他社に開発中の情報が公開されてしまうリスクもあります。テストマーケティングを行う場合は極力短期間ですむよう十分な事前準備を行っておく、開発にかかわる新規技術はあらかじめ特許申請を行っておくなどの対策が必要です。
STEP6:製品化
テストマーケティングから得たフィードバックを踏まえ、デザインやパッケージを最終決定し、製造や原材料調達の発注を行って、量産に向けた体制を構築します。
併せて、生産計画、品質管理計画、キャッシュフローなどの資金計画、出荷・流通改革、販促計画などの各種計画を立案して、市場投入時のリスクを回避し、効果的に運営するための準備を進めます。
STEP7:市場投入
生産体制と販売体制が整ったら市場に商品を投入し、想定したマーケティング戦略に基づいて目標達成に向けた販促活動を行います。PDCAサイクルに基づき、売上やコスト管理を最適化して、利益や市場のシェア拡大を目指します。
客観的な進捗把握のため、KPI(Key Performance Indicato;重要業績指標)を設定しましょう。KPIには、売上高、利益率、顧客数、顧客満足度、従業員満足度、生産コスト、納期遵守率などが考えられ、戦略によって注視すべき項目が異なります。定期的に数値を確認し、問題が小さいうちに改善策を講じて軌道修正することが重要です。
商品開発プロセスにおける注意点やポイント
ここからは、商品開発のプロセス全体として注意すべきポイントを見ていきましょう。
開発費の回収期間を見積もる
新商品の販売には、開発時の人的・物的コストや、新たな技術を導入するための設備投資費、認知度を上げるためのプロモーション費など、初期投入するイニシャルコストが大きくかかります。新商品の価格設定の際には、生産が軌道に乗ってからのランニングコストだけではなく、イニシャルコストも考慮し、収益化の目処を立てておく必要があります。
新商品の経済性を検討する際には、開発時の初期費用を含め、どのくらいの資金が全体として必要になるのかをあらかじめ把握したうえで、資金はどの段階で投入する必要があるか、どのくらいの期間で初期費用を回収することができるのかを見積もり、綿密なキャッシュフロー計画を立案しましょう。
製品化した後も検証や改善を繰り返す
新商品を市場に投入したら開発としては一区切りつくとはいえ、完全に終了することはありません。商品が販売されている間は、常にユーザーからの反応が消費者ニーズとしてフィードバックされ続けます。これを踏まえ、定期的に商品に改良を加えていくことで商品の寿命(プロダクトライフサイクル)を延ばすことにつながります。
プロダクトライフサイクルを検証する際には、「4P」と呼ばれる以下の要素を考慮して分析を行うとよいでしょう。
|Product(製品):機能や操作、デザインなど
|Price(価格):価値意識(値ごろ感)や競合他社との比較など
|Place(流通):出荷体制、在庫管理、流通チャネル、販売店など
|Promotion(販売促進):宣伝広告、インセンティブ、販売員教育など
商品開発のプロセスにTK Bridgeを活用しよう
商品開発の際には、マクロ・ミクロの視点から市場のトレンドや競合の動向を把握しつつ、マーケティング戦略に基づいた独創的なコンセプトづくりなど、大きな潮流を踏まえた検討が不可欠です。
TK Bridgeは、国分グループとTOPPANが協働で取り組む「近未来生活トレンド予測プロジェクト」です。生活者トレンドをビジュアル化したトレンド情報誌『TK Bridge』は、マーケティング戦略の立案、商品開発、販促計画など、各プロセスに活用することが可能です。
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2024.06.20