コラム

マーケティングにおける商品開発とは?
マーケティングを考慮した
商品開発のポイントも解説

  • TOPPAN CREATIVE編集部

商品・サービスの差別化を図り、市場における自社の位置づけを競合他社より有利なものとするために不可欠なのがマーケティングであり、表裏一体の存在となるのが商品開発です。マーケティングでニーズの掘り起こしを的確に行い、売れる商品として開発することで、はじめて市場で価値を認めてもらえるといえます。
本記事では、マーケティングにおける商品開発の流れを概説するとともに、主要な分析方法と注意点を紹介します。


マーケティングにおける商品開発とは?

マーケティングとは、自社の商品やサービスが市場から支持を得るために行う活動全般を指します。「誰に対し」「どのような商品を」「どのような方法で売り出すのか」を決めていくことがマーケティングです。

なかでも「どのような商品を」を決める商品開発は、マーケティングの中心になる重要な工程です。

マーケティングにおける商品開発の流れ

マーケティングにおける商品開発は、以下の4つの段階を踏んで行います。
1. マーケティング分析
2. 戦略の立案
3. コンセプトの開発
4. 販売戦略の検討
順に見ていきましょう。

1. マーケティング分析

マーケティングのスタートは、市場の調査分析です。十分な分析を行うことにより、非常に支持される商品を生み出せる可能性が高まります。
マーケティング分析は、シーズ(自社の状況)とニーズ(消費者の要望)の両面からそれぞれ行います。

【自社の環境分析】
シーズ側の分析では、自社を取り巻く内外の環境を要素別に把握しておく必要があります。対象となる要素は多岐にわたるため、以下に挙げるような複数の分析手法(フレームワーク)を使って分析するのが一般的です。

PEST分析

マクロ環境の要因として、政治(Politics)、経済(Economy)、社会文化(Society/Socio-culture)、技術(Technology)の項目に整理して分析します。

3C分析

ミクロ環境の要因として、市場や顧客(Customer)、競合他社(Competitor)、自社(Company)の項目に整理して分析します。

SWOT分析 自社の状況と市場の状況を2軸にして掛け合わせ、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の項目に整理して分析します。



【顧客ニーズの分析】
ニーズ側の分析では、消費者のもつ顕在ニーズと潜在ニーズを洗い出し、情報を整理します。

顕在ニーズとは、消費者がすでに意識しているニーズのことを指します。これを把握することにより、満足度がわかりやすい商品・サービスの提供が可能です。

潜在ニーズとは、まだ消費者の意識には明確になっていないニーズのことを指します。潜在ニーズを把握することにより、画期的な商品・サービスの開発につなげることができます。
ニーズ分析の主な方法としては、アンケート、インタビュー、行動観察などの調査が中心です。また、自社商品だけでなく競合商品や他業界の関連領域なども対象に分析します。

2. 戦略の立案

マーケティング分析の結果をもとに、具体的にどのような市場に参入するかを検討し、マーケティングの軸となる戦略を立案します。

このとき重要なのが、参入する市場の的確な把握と絞り込み、自社の方向性の明確化です。この流れを効果的に検討する手法に、STP分析があります。
STP分析では、属性ごとの市場の細分化を行い(Segmentation)、その中で最も評価の高い消費者層を対象として絞り込み(Targeting)、自社の商品が優位に立つ位置づけを検討します(Positioning)。

3. コンセプトの開発

立案した戦略を踏まえて、新しく開発する商品のコンセプトを決定します。商品を利用する消費者の人物像をイメージし、いつどんなところでどのように使うのか、目的は何か、使うことでどんな満足を得るのかなど、アイデアを出し合い、具体的なコンセプトとして形づくっていきます。
このときの検討はチームで行い、できるだけ多くの部署が参加することで多角的な視点を持てるようにしましょう。例えば、商品の生産に関わる設計、技術開発、製造といった部門だけでなく、販売に関わる企画営業、広報、出荷、流通といった部門も入り、ブレインストーミングなどのワークショップを行うと効果的です。

4. 販売戦略の検討

コンセプトが明確になったら、4P分析を用いて販売戦略を検討します。4P分析とは、Pから始まる以下の4つの要素から戦略を見出していく分析手法です。
● 商品(Product)
● 価格(Price)
● 流通(Place)
● 販売促進(Promotion)

【商品(Product)】
商品の特徴や品質、主要機能と拡張機能、デザインなどを分析します。商品の種類や参入する市場によって詳細は異なりますが、主な着目点としては以下のような要素があります。
l 商品の特徴:独自性、優位性、競合他社との差別化
l 商品の品質:性能、耐久性、安全性
l 商品の機能:操作性、視認性、利便性
l 商品のデザイン:外観、デザイン(色、音、香り、風味など)
【価格(Price】
商品の価格は、市場でのシェアや最終的に獲得できる利益に直結する重要な要素となります。単純な原価や経費だけでなく、以下のような点に着目して設定するとよいでしょう。
l 競合他社の動向
l 消費者にとっての適正価格帯(値ごろ感)
l 商品やサービスの特徴や付加価値
l ブランドイメージ
l 商品やサービスのライフサイクル
l 流通チャネルや販売方法

【流通(Place)】
流通は、生産された商品が出荷されてから消費者が購入するまでの流れを指します。以下の項目を総合的に検討し、コスト抑制、スピード向上、品質維持、破損回避などを図ります。
l 在庫数や倉庫の場所など出荷・在庫管理体制
l 流通チャネルの長さ(生産者から消費者までの間の中間業者の数)
l 流通チャネルの幅(同じ中継レベルにいる中間業者の数)

【販売促進(Promotion)】
販売促進は、商品がターゲットとなる消費者に届くよう、認知度を高めるコミュニケーション活動を指します。以下の点に注意しつつ、具体的な内容を決定します。
l ターゲットとなる消費者のペルソナの明確化
l ターゲット層に届くメッセージの作成
l 適切なプロモーションチャネル(メッセージの届け方)の選択
l 費用対効果の分析

商品開発に役立つマーケティング分析手法

ここまで紹介した一連の流れのなかで登場した分析手法(フレームワーク)について、それぞれの特徴と役立て方を整理しておきましょう。

PEST分析

PEST分析は、外部環境のなかでも比較的大きな範囲(マクロ環境)を長期的に分析する手法です。PEST分析という名称は、以下の4要素の頭文字に由来しています。
● 政治(Politics)
● 経済(Economy)
● 社会文化(Society/Socio-culture)
● 技術(Technology)
経済面や技術面に偏らないよう、PESTの領域を網羅した調査・分析を行うようにしたいところです。

3C分析

3C分析は、外部環境のなかでも自社の事業に直接影響するミクロ環境を分析する手法です。その名称は以下に挙げる3つのCに由来しています。
● 消費者(Customer)
● 競合他社(Competitor)
● 自社(Company)
消費者にとって競合他社と自社にはどのような違いがあるのかを調査・分析します。自社の優位性や独自性を客観的に把握し、市場における自社の強みを明確化するのに役立ちます。
分析手法としてはシンプルな部類に入り、比較分析が容易で分析結果もわかりやすいため、さまざまな分析に応用することができます。

SWOT分析

SWOT分析は、マクロの視点とミクロの視点の2つの軸を掛け合わせ検討する手法です。SWOT分析という名称は、以下の4項目の頭文字に由来します。
● 自社の強み(Strength)
● 自社の弱み(Weakness)
● 市場における機会(Opportunity)
● 市場における脅威(Threat)
SWOT分析では、「強み・弱みの軸」と「機会・脅威の軸」を設け、強みを活かした新機軸の創出や、弱みを強みへと変える改善案の錬成、機会を活かした市場参入ポイントの発見、脅威を回避するためのリスクヘッジなどを検討していきます。

STP分析

STP分析は、マーケティング戦略の方向を決めるための手法で、以下の要素の頭文字が名称の由来です。
● 市場の細分化(Segmentation)
● ターゲットを決める(Targeting)
● 目指すポジションを決める(Positioning)
手順としては市場を属性ごとに細分化し、次にそのなかのどの市場に狙いを定めるかを選びます。その後、選んだ市場のなかでどのような立ち位置を目指していくかを明確にすることで、商品開発が目指すべき方向を明確にし、生産・販売までの一連のプロセスが一貫したコンセプトで取り組めるよう、ぶれない軸をつくっていきます。

マーケティングにおける商品開発のポイント

ぶれない軸をもって商品開発に取り組むためには、前提となる状況把握であるニーズの理解や市場の分析が不可欠です。ここからは、商品開発にあたってマーケティング分析を進める際の留意点を見ていきましょう。

消費者のニーズを理解する

市場における独創性や優位性を確立するには、表面的な消費者ニーズ(顕在ニーズ)の把握ではなく、消費者自身が認識していない深層の課題や願望(潜在ニーズ)を汲み取る必要があります。
潜在ニーズのわかりやすい例としては、「レビットのドリルの穴理論」というものがあります。ドリルを買い求める人は、ドリルそのものではなく穴をほしがっているのだという話です。
消費者が本当に求めているものは何かを常に意識し、潜在ニーズを分析することで、画期的な商品の開発を目指しましょう。

市場を深くまで分析する

市場の動向は、常に変化し続けています。技術の進展は年を追うごとに急速な展開となり、社会も経済も先の読めない時代といわれて久しい状況です。このような世の中では、マクロにおける環境も高頻度で分析しつつ、外部環境の情報を常にアップデートし続ける必要があります。
自社のコア技術についての理解を深めるのはもちろん、他社に先駆けて参入市場の先行きを予測し、戦略の立案を行えるような分析が必要です。

商品開発の成功のためにマーケティング分析をしよう

商品開発には、マーケティング分析を踏まえたぶれない戦略が必要になります。マーケティング分析があってこその商品開発であることを常に念頭におき、消費者ニーズや市場の動向、社会の潮流などの情報収集を続けましょう。

TK Bridgeは、製造・流通・販売のプロである国分グループと、プロモーションの最先端技術をもつTOPPANが協働で取り組む「近未来生活トレンド予測プロジェクト」です。企業のマーケティング戦略の立案や商品開発を強力に支援します。
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2023.07.11

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