【事例対談】出光興産×TOPPAN 未来を担う素材とエネルギーの企業として、コーポレートサイトのあるべき姿を実現
デジタル化の進展に伴い、オンラインプレゼンスが企業のブランドイメージを左右するようになり、コーポレートサイトの重要性が以前よりも高まっています。コーポレートサイトに掲載される内容はもちろん、誰でも快適に閲覧できるユーザーエクスペリエンス、セキュリティ強化などの要素を総合的に考慮して実装することが求められます。
そこで今回は、「出光興産株式会社」をお迎えし、出光興産様がコーポレートサイトのあるべき姿を実現するためにTOPPANが伴走したコーポレートサイトリニューアルプロジェクトについて、リアルな声を対談形式でお届けいたします。
スピーカー紹介
![出光興産株式会社 広報部広報課 茂木担当マネジャー](/bx/contents/assets/idemitsu02.jpg)
出光興産株式会社 広報部広報課 茂木担当マネジャー |
![TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンター パフォーマンスマーケティング本部 宮内](/bx/contents/assets/idemitsu03.jpg)
TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンター パフォーマンスマーケティング本部 宮内 |
![TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンター パフォーマンスマーケティング本部 伊藤](/bx/contents/assets/idemitsu04.jpg)
TOPPAN株式会社 ビジネストランスフォーメーションセンター パフォーマンスマーケティング本部 伊藤 |
※所属企業名・部署名は2024年12月時点
コーポレートコミュニケーションの核を担うサイトとして、従来のコーポレートサイトを完全リニューアルし、情報を端的かつ魅力的に伝える新規コンテンツと、中期経営計画を踏まえた将来に向けた情報発信を行う特設サイトを主力コンテンツとして、生まれ変わりました。
また、サーバー保守、コンテンツの更新管理、関連会社のサイト移行構築作業等もサイト制作と並行して対応しました。
本リニューアルサイトは、日興アイ・アール株式会社が実施する 「2024 年度 全上場企業ホームページ充実度ランキング※」において、総合部門および業種別部門(石油・石炭製品)ともに最優秀サイトとして選定されました。
※「2024 年度 全上場企業ホームページ充実度ランキング」
日興アイ・アール株式会社が全上場企業のホームページに関する情報開示の充実度を調査するとともに、企業の情報開示に関する意識を醸成することを目的として実施。
https://www.nikkoir.co.jp/rank/rank.html
![出光興産株式会社 コーポレートサイト](/bx/contents/assets/idemitsu05.png)
【背景・課題】出光興産として発信すべき「核となるメッセージ」の表現
-今回、コーポレートサイトリニューアルを検討した背景・課題をお聞かせください。
茂木氏:2019年に出光興産と昭和シェル石油が経営統合し、新生出光興産が誕生しました。その際、ゼロベースで検討・構築するための十分な時間がなく、両社のコンテンツを集めた形でサイトをオープンせざるをえませんでした。
また、2050年に向けて石油業界は脱炭素への取り組みを着実に進めていかなければならない使命があります。一方で、現時点で必要とされているエネルギーと素材を安定供給しなくてはならない責任もあります。そのような背景から、当社も事業ポートフォリオを大きく転換すべく、2022年11月に発表した中期経営計画では2050年ビジョンを掲げ、社会実装に向けた16メニューを提示しました。どのような想いで、具体的にどのように事業変革を推進していくのか、といった内容を広く世間に発信する必要がありましたが、それを伝える場がコーポレートサイト上には存在しませんでした。
![出光興産株式会社 広報部広報課 茂木担当マネジャー](/bx/contents/assets/idemitsu06.jpg)
【選定プロセス】目指すべき姿の実現可能性を評価し、TOPPANを選定
-コーポレートサイトリニューアルにあたって、TOPPANを選定した経緯をお聞かせください。
茂木氏:まず、出光興産としてどのようなコーポレートサイトを作りたいのか、作らなければならないのか、さらに誰にどのような情報を発信するべきかを明確に固める必要があると考えました。この部分は自社内で検討しなくてはならないと思い、私自身が中期経営計画を読み込んでRFPを作成し、サイト構築でバディを組んだ坂田と会社や事業の方針とのズレがないかどうか、かなりの時間をかけて議論・チェックしたうえでコンペに臨みました。
コンペでは、2050年の脱炭素に向けた情報発信の場が準備できていること、そしてコーポレートサイトとしての立ち振る舞いがしっかりしていること、この2点を重視しました。コーポレートサイトは、コーポレートコミュニケーションの核となるコミュニケーションハブとしての役割を果たすべきだと考えています。そのような出光興産の意向と提案にずれがなく、当社の状況や課題を理解した建設的な提案をいただけたのがTOPPANさんでした。構築期間10ヶ月弱という厳しいスケジュールの中で目指すべき姿を実現するには最適なパートナーだと感じました。
【プロジェクトマネジメント】最適なチームビルディングと密度の高いコミュニケーションで課題を解決
-受注後のプロジェクトの進め方について教えてください。
宮内:まず要件定義をしっかり行い、出光興産様の広報の方と目線を確実に合わせるというところからスタートしました。当社の大きな強みの1つは、さまざまなプロフェッショナルが在籍しているということ。受注後に、茂木様から非常に丁寧におまとめいただいた補足資料をご共有いただいたのですが、そこに記載されている要求事項などに関して、「この内容は戦略チームのAさん、これは戦略デザインチームのBさん、あとは制作チームへ」というように、プロフェッショナル同士の役割分担とチームビルディングができていたので、目線合わせが円滑に進みましたね。
茂木氏:補足資料は坂田と議論した後に広報課メンバーからも意見をもらい、出光興産が目指す姿から旧サイトの課題まで、抽象的な事項からページ単位の詳細な要望まで記載したら、100ページ以上になってしまいました。そのような出光興産側からの要望をTOPPANさんは上手く読み解いていただき、プロジェクトが進むイメージが自然と湧いてきました。
伊藤:制作チームとしては、やはり「構築期間10ヶ月弱」が大きな課題でした。それでも、10ヶ月で公開するというゴールに向けて、TOPPAN内部では役割分担を細分化し、作業の優先順位や期限を共有することを重視しました。ただ、それだけでは達成は難しいと感じていたため、出光興産様にもご協力いただき、高頻度かつ高密度のコミュニケーションを取らせていただきました。TOPPAN社内はもちろん、出光興産様とも頻繁に打ち合わせを重ね、多くの意思決定や細かいニュアンスのすり合わせを徹底的に行ったことで、ご要望にお応えしつつ短納期で公開できたのだと思います。
茂木氏:一時期、定例会、分科会に加えて、ほぼ毎日お電話していましたよね。決めなくてはならないことが多かったものの、整理して 進行管理していただいたので、迅速かつ着実に前に進んでいましたね。
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-プロジェクトを進める中で、特に苦労した点は何でしょうか?
茂木氏:経営統合後、サイト上の情報が整理できていなかったため、各事業を紹介しているページ毎に情報の粒度を揃えながらも、あるべき姿をサイトに落とし込むのが大変でした。燃料油や基礎化学品、電力・再生可能エネルギーなど当社の5つの事業セグメントで整合性を取るだけでなく、ページごとのアクセス数を分析し、「どのページがどの階層にあるべきか」など、数値を基にした改善策も検討し、事業部に具体例をもって提案しました。
伊藤:そうですね。事業紹介に関してはページ数もかなり多いため、いかにシンプルなサイト構造にするか、かつ必要な情報を確実に伝えるためにどうするか、という点は両社で協議しながら工夫したポイントかと思います。また、さまざまなユニークコンテンツをリリースしていく中で、その方向性や訴求ポイントをどのように絞り込んでいくかという点も両社共に苦労しましたね。
宮内:出光興産様として打ち出したいことをいかに多くのユーザーに見てもらうか、「どんな事業を、どのような想いで展開しているか」を知ってもらうにはどうしたらいいか、という点は、デザイナーチームと共にいろいろなアイデアを出しながら進めていきました。特にトップページのメインビジュアルや事業紹介の動画に関しては、「出光興産らしさ」を表現すべく、我々のチーム内でも最後まで議論が続き、ギリギリまで何度も案を検討し直しました。あと、出光興産様のフロントに立つご担当者が茂木様と坂田様のお二人だったので、とても大変だっただろうなというのは感じましたね。
茂木氏:本当に大変でした。スケジュールもリソースも限られていましたが、TOPPANさんと出光興産とで、まさに二人三脚でなんとか乗り越えましたね。
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【成果と今後】社内外から数々の評価、さらなる理想に向けてアップデート
-プロジェクト終了後の反応や成果はいかがでしょうか?
茂木氏:社内では、「情報が整理されて分かりやすくなった」「かっこよくなった」という声をいただいています。とある取引先様からご提案いただいた資料に、出光興産がどのような未来を目指しているのか的確に理解した内容が記載されていたので、新しいコーポレートサイトをご覧いただいて当社が目指す方向性が伝わったのではと感じ、とても驚きました。また、外部の有識者の方に、「とてもわかりやすくまとめられていた」というコメントを頂戴しました。総じて、出光興産が目指す姿や中期経営計画などで言いたかったことがちゃんと伝わっているんだなと確信できました。
当社はエネルギー供給事業者として、今後のさまざまな需要の変化に備える必要があります。未来の2050年時点のことを正確に予想するのは難しいですが、「準備できていませんでした」では済まされません。そのため、中期経営計画上では2050年ビジョンを掲げて16メニューを打ち出していますが、なぜ、多くの事業に挑戦するのか、その想いが社外の方に伝わっており、大きな手応えを感じました。
-今後の展望をお聞かせください。
茂木氏:今回はスケジュールに余裕がなかったため、優先順位をつけて対応し、最も伝えたい内容に集中して取り組みました。今後としては、このページはコーポレート内に置くべきか、名称は適切か、といった点を検討していきたいです。2050年のカーボンニュートラルを目指して投資判断をしていく中で、発信すべき内容・優先順位も変わってくると思います。その都度、どのような情報発信が適しているのかを検討し、サイトを活用して準備を進めていきたいと考えています。また、社内外の変化に対応していかに情報をオンタイムで発信できるかどうかという点も今後重要になってくるでしょう。それができるとお客様の認知度や理解度もさらに増していくかと思います。このような「攻め」の部分と着実に情報発信していく「守り」の部分を両軸としてうまく回していくのがこれからの課題です。
宮内:サイト構築後の維持も実は大変な工程ですよね。出光興産様が抱える課題について、関係者間で認識を共有して、積極的に働きかけていきたいと考えています。
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-同様の課題とニーズを抱えている企業は多いと思いますが、どのような取り組みが必要だと考えますか?
茂木氏:やはりまず、コーポレートサイトはどうあるべきか、誰に何を伝えるべきか、ゴールのイメージを明確にして、共有しておくことが大切です。それがないと軸がぶれてしまい、曖昧なアイデアしか出てきません。逆に言うと、そのイメージさえあれば、大抵のことは解決すると思います。
伊藤:そうですね。軸までイメージできておらず、課題はあるけどどうすれば良いのかよくわからない、というような状況の企業様も少なくないと思います。あいまいな課題から具体的な解決案を提示していくことも我々の仕事ですので、そのような状況でも当社を活用していただければと思います。
宮内:何をやりたいのかを我々にぶつけてもらえれば、それを単に実現するだけではなく、TOPPANとしての付加価値を付けた形でご提案することができます。核になるところをまず決めることで、周辺部分は当社側でもじっくりと考えて、理想に近づけるご支援をいたします。
-本日はありがとうございました。
2025.01.09