データテクノロジー&プラットフォームサービス コラム

OMOとは?
O2Oとの違いからメリット・デメリット、
マーケティング事例、成功ポイントまでわかりやすく解説!

消費者の購買行動や市場の変化などを受け、商品やサービスを提供する側はオンラインとオフラインの分け目なく統合したマーケティング施策を行う必要が出てきています。その重要な取り組みの一つとなるのがOMOです。
今回は、OMOの基礎からメリット・デメリットの解説と共に、注目の事例と成功のポイントを解説します。


<目次>
1.OMOとは?O2Oとの違いを図解!
2.OMOのメリットとデメリット
3.OMOの注目事例
4.OMOを成功させるポイント
5.まとめ


1.OMOとは?O2Oとの違いを図解!

OMOとは、「Online Merges with Offline」の略語で、「オンラインとオフラインを融合・統合したマーケティング施策」を意味します。

例えば小売店は、実店舗とECサイトで商品を販売していますが、それぞれを別の部署や部門が担当し、マーケティングも別々に実施するのが一般的でした。しかし、顧客にとっては分断されていると、購入プロセスにおいて不便に感じることがあります。また実店舗とECサイトどちらも利用する顧客も存在するため、購買履歴などの顧客データを統一して管理するニーズも出てきています。

その点、OMOでは、顧客がECサイトで注文した商品を実店舗で受け取れるなど、統合された顧客体験と顧客データ管理を実現できます。

●OMOが注目されている背景

OMOが注目されている主な要因として、次のような市場・環境変化が挙げられます。

・スマートフォンやSNSの浸透により、「オンラインで商品を調べた後に実店舗で試す」「店頭でサイズや色を確認してからアプリで決済する」といったチャネル横断型の購買行動が当たり前になった。
・プラットフォームビジネスやD2Cブランドの台頭により、品揃えや価格だけでは差別化しにくくなり、シームレスな購買体験そのものが競争領域になってきた。
・国内外の小売・サービス企業がEC強化を進めた結果、実店舗の売上が一部オンラインへ移行し、オフライン施策とオンライン施策を切り離すことが現実的でなくなった。
・モバイル決済、AIレコメンド、5G通信などの技術発達により、オンラインとオフライン双方の顧客データをほぼリアルタイムで統合・活用できる環境が整ってきた。

こうした変化を背景に、顧客は「オンラインとオフラインの境界を意識せず、いつでも・どこでも・自分に最適化された購買体験を享受したい」と望むようになったため、企業側がその期待に応える手段としてOMOが注目されているのです。

●O2Oとの違い

OMOと似た言葉に「O2O」がありますが、これは「Online to Offline」の略称で、直訳すると「オンラインからオフラインへ」を意味します。つまりインターネット上の情報を通じて、顧客の実店舗への来店を促す施策を指します。具体的には、SNSや店舗アプリでクーポンを配信し、来店を促すといった施策が該当します。

O2Oの目的は、実店舗への送客であり、オンラインとオフラインを明確に区別しています。一方、OMOは、オンラインとオフラインの区別をなくし、統合された顧客体験を提供することで顧客満足度の向上を目的とする点で異なります。

●オムニチャネルとの違い

OMOは、オムニチャネルと概念が似ているといわれることもあります。オムニチャネルとは、多様化するあらゆる顧客接点を活用して購買につなげるマーケティング手法の一種です。現在は従来のテレビCMやDM、実店舗などの情報源に加え、WebサイトやSNS、アプリ、メルマガなどのオンラインにおける顧客接点が増加しています。これらのあらゆる顧客接点を活かし、販促やマーケティングを行っていくのがオムニチャネルです。

オムニチャネルはオンラインとオフラインそれぞれの顧客接点をそのまま取り扱っており、区別する考え方はありません。その点でOMOとは異なります。

またオムニチャネルは企業視点の施策である一方、OMOは顧客視点の体験価値向上のための取り組みという点で異なります。


2.OMOのメリットとデメリット

OMOのメリットとデメリットをご紹介します。

●メリット

・シームレスな顧客体験の提供
OMOを通じて顧客はオンライン・オフラインの境目なくシームレスな購買体験が得られます。例えばこれまで実店舗の在庫はECサイト上で検索できないといった課題があった場合、OMOによりECサイトからも実店舗の在庫を検索できるようになれば、顧客にとって利便性が高まります。その結果、これまでにない新しい顧客体験を提供できます。

・顧客データ統合による正確なニーズの把握
企業側はECサイトと実店舗などのオンラインとオフラインそれぞれの顧客データを統合し、分析に活かせるため、より正確な顧客ニーズの把握に役立ちます。顧客一人ひとりに合った商品の提案なども可能になります。

・販売機会の損失予防
OMOにより自社商品をよりスムーズに購入できる環境を整えることは、販売機会の損失を予防することにつながります。

・顧客満足度向上・LTV最大化
シームレスな顧客体験やパーソナライズ化されたレコメンドなどを通して顧客体験価値が向上すれば、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の最大化にも寄与します。

●デメリット

・データ連携・統合にコストや手間がかかる
OMOを成功させるには、オンライン・オフラインのデータ連携や統合は必須といえます。しかし実際のところ、システムや機材の導入、運用体制の構築などにコストや手間がかかる点は否めません。

・短期的な成果創出には向かない
OMOの主な目的は顧客体験の向上であるため、すぐに売上アップなどの成果が出るものではありません。長期的にPDCAサイクルを回しながら着実に運用を進める必要があります。


3.OMOの注目事例

OMOを取り入れている、注目の事例を4つご紹介します。

●シリアルナンバーキャンペーンで実店舗とオンラインをつなぐ

ある食品メーカーは、TOPPANが提供するデジタルキャンペーンプラットフォーム「キャンラボASP シリアルタイプ」を活用し、対象商品の貼付シールに印字されているシリアルナンバーを専用Webサイトのフォームに添付し、簡単に応募できるシリアルナンバーキャンペーンを実施しました。その場で抽選し、景品を送付する仕組みにより、店頭購入とオンラインキャンペーンをうまくマージさせることに成功しました。

●マストバイのレシートキャンペーンで実店舗とオンラインをつなぐ

ある小売店を運営する団体は、オリジナル商品の利用と認知拡大のため、レシートとお届け明細書で手軽にWeb応募できるTOPPANの「キャンラボASP レシートタイプ」を用いて、マストバイキャンペーンを実施しました。オリジナル商品を店舗で購入することと、商品の詰め合わせをプレゼントすることで、より商品の利用と認知度アップにもつなげています。

●実店舗とECサイトのデータベースを統合しパーソナライズ提案

あるアパレルブランドは、OMO戦略の一環として、実店舗とECサイトの顧客データベースを統合し、一元的な管理を行っています。顧客がオンラインで購入した商品のデータをもとに、店舗スタッフがマッチする新アイテムの提案やコーディネートのアドバイスなどを行うことで顧客体験の向上に成功しています。

●OMO店舗をモバイルオーダー&デリバリー形式で展開

あるコーヒーチェーン店は、OMO店舗を展開しています。この店ではスマートフォンアプリか店内端末から注文し、支払いをスマートフォンアプリ上で完結する仕組みをとっており、実店舗ながらオンラインのみで完結でき、スムーズな購買体験を提供しています。またデリバリーにも対応しており、店舗とオンライン(モバイル)の境目が取り払われた新しいタイプの店舗を実現しています。


4.OMOを成功させるポイント

OMOを成功させる5つのポイントをご紹介します。

●顧客体験の設計

OMOの目的は、優れた顧客体験の創出にあります。そのため、ただシステム上でオンラインとオフラインをマージすれば良いわけではありません。ポイントは、顧客体験を軸に設計することにあります。

例えば、飲食店がモバイルオーダーを導入する際にも、ただモバイルオーダーの仕組みを作るのではなく、顧客が列に並ぶ必要がなくなり、時間の創出につながるなどの新しい価値を提供する視点がポイントです。

●ペインポイントから施策を考える

顧客の悩みの種となるペインポイントを特定し、そこから解決策を検討することも有効です。例えばECサイトで買いたいけれど自宅で受け取る時間がないという悩みがあれば、店舗受け取りのOMO施策が候補に挙がります。ペインポイントは、アンケートやインタビューを通じて知ることが可能です。

●顧客データ統合によるプラットフォーム構築

OMO施策考案にあたって必要になる顧客ニーズや課題の特定には、顧客の購買・行動履歴の分析が欠かせません。社内に散在する顧客データを統合するプラットフォームを構築することは有効です。

●マルチチャネル化

OMOをスムーズに実現するには、オンラインとオフラインそれぞれのチャネルを増やすことも大切です。このマルチチャネル化の際に、はじめからOMOの考え方をベースにして、シームレスな体験を提供する仕組みを作りましょう。

●シームレスな顧客対応を実現する運用体制

顧客データ統合プラットフォームの導入から顧客データ活用による運用まで、社内の仕組みをシームレスに整えておくことも成功のカギを握ります。運用体制をしっかりと構築しておきましょう。


5.まとめ

OMOは、従来のオンラインとオフラインが分断されていたものをつなぎ、シームレスな顧客体験の提供により購買活動を促す有効な取り組みです。

OMOに取り組む際には、シリアルキャンペーンやレシートキャンペーンなどの有効な施策を実施するとともに、顧客データ統合による正確なニーズの把握や顧客満足度向上、LTV最大化などを目指す運用体制を整えることがポイントです。

TOPPANでは、OMO施策として有効なレシートキャンペーンやシリアルキャンペーンのスムーズな実現を一貫してご支援しております。ぜひお気軽にご相談ください。

2025.09.08

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