コラム

BPOの市場規模はどのくらい? 
今後の成長見通しや注目テーマを解説

近年、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用が進んでおり、市場も拡大の一途を辿っています。現在、BPOの市場規模は、どのくらいに達しているのでしょうか。また成長の度合いや将来性についても気になるところです。そこで、今回は、現在のBPOの市場規模から今後の成長見込み、注目テーマ、BPOを活用するポイントを解説します。


現在のBPOの市場規模

BPOとは、「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の頭文字を取った言葉です。アウトソーシングの一種でありながら、企業が業務やビジネスプロセスを専門企業に外部委託することで、中長期的に希望する「コア業務への集中による生産性向上」や「企業の成長・イノベーション」などの達成を目指します。
BPOは近年、企業が直面するあらゆる課題を解決するために活用されていると考えられます。

BPOの市場規模

矢野経済研究所によると、2021年度の国内BPOの市場規模は約4.5兆円と推計されています(※)。事業者売上高ベースで前年度比3.0%増となりました。
その内訳としては、システム運用管理業務を委託され代行するサービスである「IT系BPO」市場の規模が前年度比2.9%増の約2.6兆円、その他の業務を委託され代行するサービス「非IT系BPO」市場の規模が前年度比3.3%増の約1.8兆円でした。

BPO市場規模拡大の背景

昨今のBPO市場拡大の主な背景としては、2020年以降のコロナ禍を受けたリモートワークの普及や働き方改革、および人手不足やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など様々な状況が重なったためで、業務改革の必要性が増してきたと考えられます。人材の再配置を含めた業務オペレーションの抜本的な見直しの過程で、戦略的なアウトソーシングが有効となったとみられます。
また、民間企業のみならず、自治体などの行政機関においてもBPO活用が進んでおり、市場規模拡大を牽引しているといわれています。

今後の成長見通し

今後も、BPO市場規模はさらに拡大していくと考えられています。その理由としては、人材不足の深刻化やDX推進の流れにより、さらに業務改革が必要になると推測されることが挙げられます。


今後BPOで注目されるテーマをご紹介

今後、国内のBPOは、次のようなテーマで注目され、発展していくと考えられます。

人手不足への対応

少子高齢化による労働力不足は深刻化しており、各企業における人材不足が、BPO市場を拡大させている要因の一つとなっています。貴重な人材はコア業務に従事し、定型のノンコア業務やバックオフィス業務はできるだけ外部委託する流れが起きています。特に近年は定型業務のデジタル化や自動化のテクノロジーの進化が目覚ましく、自社が担うよりも効率的かつ品質の高い成果が期待できるようになってきています。

働き方改革への対応

近年、労働基準法が改正されて時間外労働の上限が規制されたことで、ワーク・ライフ・バランスが改善され、女性や高齢者も仕事に就きやすくなって労働参加率が向上しています。しかしこれにより、時間内では既存の従業員だけでは業務が回らなくなるケースが出てきたため、不足するリソースをBPOによって外部委託する流れが起きています。BPOを導入することで、業務効率化と生産性向上を実現でき、働き方改革が推進され、働きやすい職場づくりにつながります。

DX推進への対応

近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も重要課題となっています。既存システムを放置すれば、多くの企業のシステム運用保守が困難になり、2025年以降に経済的損失の発生およびDXの未達成につながるという「2025年の崖」が経済産業省によって発表されました。
各企業はDX推進を加速する必要がある状況で、アナログな業務をデジタル化したり、既存のシステムを刷新したりするなかで、デジタル化できない業務は外部委託することも必要になってきます。このようにデジタル化と業務効率化の手段の一つとしてBPOは有効といえます。

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大きな社会課題を解決するための活用

近年は新型コロナウイルス感染症や大規模自然災害、物価上昇などの社会情勢の大きな変化に関わる問題が生じています。さらに世界的な環境配慮のムーブメントが生じており、脱炭素への対応も求められています。そうした社会課題に対応する自治体においては、給付金の申請受付などの事務局運営をはじめ、緊急性の高い事業を即時展開するためにBPOが必要になってきています。
社会貢献としてのサービスレベルの向上と業務負担軽減を進めるために、今後もBPOは重要な役割を担うでしょう。

グローバル化に伴うBPO活用

グローバル化の流れはさらに進んでいくと見られる中、海外におけるBPO拠点にも注目が集まっています。海外のBPO拠点を利用することで、委託先によっては日本よりもコストを抑えて利用できる見込みがあります。また海外進出を考えている場合は、特に事務的な作業やコールセンターを進出先の国の現地に設置することで利便性が向上する可能性があります。

セキュリティリスク対応の強化策として

サイバー攻撃は近年、件数が増加しており、企業規模の大小にかかわらず標的とされるようになってきています。BPOサービス事業者では基本的に他社の重要な情報を取り扱うことから、セキュリティに関する強化策が取られています。BPOサービス事業者に委託すること自体は、他社に自社の情報を渡すことになりますが、セキュリティ体制がしっかりしている事業者を選定できれば、セキュリティリスクへの対応策になり得ます。

注目テーマを背景にBPOを活用するポイント

BPOの将来性を加味すると、BPOサービスの選定の際には、次のポイントを押さえることで、より有意義なBPO活用につながると考えられます。

社会課題と向き合う方針を持っているか

BPOサービス事業者選定の際には、企業や自治体が抱える社会課題への対応の必要性を十分理解しており、BPOをその社会課題解決に役立てるために提供するような方針を持っている事業者であるかどうかを確認することもポイントのひとつです。委託元企業にとって、BPOの目的を果たしやすくなると考えられるからです。

TOPPANでは自治体向けにもBPOサービスをご提供しており、コロナ禍においては自治体の給付金申請事務局をはじめとした複数の業務を受託しました。このような社会課題に対応するために必要なBPOを提供しています。
特にITに慣れていない申請者へのケアも必要と考えており、デジタル化を進めると同時に、アナログ対応も可能なハイブリッド型の事務局体制を整えています。例えば、子育て世代や高齢者からの申請が多いケースでは、ITリテラシーを問わず、デジタルとアナログの双方から申請対応ができる体制を自治体へ提案しています。
こうした取り組みが行えるのは、社会課題を理解し、対応する体制が整っているからこそといえます。

徹底したセキュリティ対策を行っているか

先述の通り、BPOサービスを利用することそのものには、セキュリティリスクが伴います。そのため、BPOサービス選定時には事前に作業場の見学をさせてもらうなどして、安心できる徹底したセキュリティ対策を行う事業者に委託するのをおすすめします。

TOPPANでは、金融機関をはじめ、官公庁・民間企業・教育機関などの厳重なセキュリティニーズに対応するBPOを長年ご提供しています。個人情報や機密情報を取り扱う案件では、隔離されたセキュア環境下で厳重に情報を管理しており、継続的な社内点検により、専用ネットワーク下にて運用・管理を行います。
監視カメラや入退室管理、個人情報取扱ネットワーク、静脈認証など、高度なセキュア環境の下で作業し、厳重なセキュリティニーズに対応しています。

AI活用による自動化や省人化とどう使い分けるか

前述の通りBPOの市場規模は拡大が予想されているものの、単純な業務の代行であれば、今後はAIでも代用可能になる可能性もあります。
そうなると、自社の業務をAIで自動化・省人化するか、BPOとして委託するかという視点が生まれ、AIとBPOサービスをどう使い分けるか、というテーマが新たに生まれる可能性もあります。
今後さらにAIが発達してくれば、今までの技術では難しかった業務もAIで対応可能になり、ますますBPOサービス企業へ委託する理由がなくなってしまう可能性も考えられます。

このような状況の中で、BPOサービスを提供する企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。
例えば、TOPPANの場合、AIをBPOサービスの中に活用することで、生産性を向上させ、より安価なサービス提供を実現したり、業務プロセス改善の中でAI活用ご支援することで、お客さまの業務効率化を実現したりと、積極的にAIを活用することで新たな価値を生み出しています。

具体例を挙げると、これまで自社で行っていた業務のPC操作ログをAIで解析し、問題のある工程を洗い出すことで課題を可視化したり、その上で、無駄な作業を削減して効率化するなど、業務プロセス改善に活かすケースなどがございます。
このように、AIなどの技術を活用し、業務のスピードアップや効率化を図る手法はデジタルBPOとも呼ばれますので、興味がある方は下記の記事もご覧ください。

その他、「こんな業務にAIを活かして、業務改善を行いたい」などのご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

BPOの市場規模は拡大を続けており、今後も拡大する見込みがあります。BPO活用のシーンもさらに増加すると考えられます。

TOPPANでは、豊富なBPO実績を活かし、さまざまな業務の委託から、全体最適に即した設計など、幅広く支援いたします。また徹底したセキュリティ体制の下、お客さまが本来、向かうべき方向性や課題解決を加味したサービスのご提供が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

2023.08.09

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