デジタルBPOとは?
注目される背景やBPOとの違いを解説!
デジタル化が急速に進んでおり、ツールやシステムを活用して業務を効率化するケースが増えてきました。業務を外部委託して業務改善・改革を図るBPOにおいても同様にデジタル化の波が押し寄せています。
今回は、デジタルBPOの概要からBPOとの違い、重要視される背景、導入例をご紹介します。
■デジタルBPOとは?意味とBPOとの違い
まずはデジタルBPOの意味から確認していきましょう。
●BPOとは
BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、自社の業務を外部の専門業者へ委託する手法の一種です。ただのアウトソーシングとは異なり、業務の企画・設計から施策や業務の実施、効果測定・改善まで、業務プロセス全体を継続的に改善しながら効率や生産性を向上させるなどの目的を持って委託されるものとなります。その意味で、BPOは企業の成長を目指す経営戦略の一つといえます。
●デジタルBPOとは
デジタルBPOとは、明確に定義があるものではありませんが、一般的にはIT系のBPOを意味します。特にITやAI(人工知能)、RPA(Robotic Process Automation/ロボットによるプロセスの自動化)といった技術を活用し、業務プロセスをデジタル化、自動化、最適化することで業務のスピードアップや効率化によって生産性の向上を図るアウトソーシングを意味します。
近年はAIやRPAといった技術の高度化に伴い、効率化や自動化できる業務領域も広がっており、デジタルBPOという領域が生まれつつあり、注目を集めています。
●BPOとの違い
BPOには、IT系に関わらず、一部、人によるアナログ対応が必要なコンタクトセンターや事務作業などの単純な業務委託も含まれます。つまりBPOの中の一つの領域がデジタルBPOとなります。
デジタルBPOは、これまでに人ができなかった業務や対応スピード・品質の向上などが期待されることから、今後も技術の進歩に伴い、BPOで請け負うことができる範囲も増えていくと考えられます。
■デジタルBPOとITアウトソーシングとの違いとは
これまで説明してきたように、デジタルBPOはIT系のBPOで、ITやAIを活用した業務プロセスのデジタル化や自動化を行います。
それでは、一般的に浸透しているITアウトソーシングと、デジタルBPOに違いはあるのでしょうか。
本章では、ITアウトソーシングとの違いも解説していきたいと思います。
●ITアウトソーシングとは
アウトソーシングは「外部委託」という意味の言葉ですので、ITアウトソーシングは「ITに関わる業務を外部委託する」という意味合いになります。
DX推進などの背景から、自社にIT人材がいない企業でもIT・デジタル化を推進する必要が生じてきているため、このITアウトソーシングも注目を集めています。
●ITアウトソーシングとデジタルBPOとの違い
このように見ると、ITアウトソーシングとデジタルBPOには大きな違いがないように思われます。
強いて挙げるとすると、ITアウトソーシングは、ITありきの視点になりますので、システム運用や保守代行といった、ITの専門人事が対応するようなアウトソーシングも含まれる点などがあります。
デジタルBPOでそのような業務が範囲外になることはないかと思いますが、これまでの業務フローや対応スピード・品質の向上といった改善が主に期待されることから、単純なシステム保守などはニュアンスとして薄いかと思います。
■デジタルBPOが重視される背景
近年、デジタルBPOが重視されるようになっている背景として、次のことが挙げられます。
●DX推進の流れ
大きな背景として考えられるのが、近年、必要性が増しているDXの流れによるものです。
経済産業省によってDXが推進されており、DXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応しhttps://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
DXを進めるためには、デジタル技術の導入とそれを扱える人材が必要不可欠です。しかしすべての企業がすぐにそれらをそろえることはむずかしく、アウトソーシングで手軽かつ迅速に行えるデジタルBPOは、大きな足がかりとなり得ます。
デジタルBPOによって新たな付加価値を生み出す既存のビジネスや組織変革するDXが推進できます。
●人材不足による業務効率化の必要性
国内の少子高齢化による労働力不足を背景とし、多くの企業は人材不足の課題に直面しています。より幅広い人たちの多様な働き方を受け入れる働き方改革の推進などを背景に、業務効率化と生産性向上の必要性が増しています。
BPOは、このようなニーズに応える一つの有効な手段であり、デジタルBPOは、特に自動化や効率化による業務効率化と生産性向上を実現することから注目が集まっています。
■デジタルBPOサービスの導入例
デジタルBPOは具体的にどのように導入されているのでしょうか。実際にデジタルBPOを導入した例を見ていきましょう。
●アナログな書類などをAI-OCRで自動データ化
注文書や申込書などの帳票類をはじめとした紙書類のデジタルデータ化を行い、これまで手作業で入力していた作業を自動化することで大幅に効率化することが可能です。
使用する技術はAI-OCRと呼ばれるものです。OCRとは、画像データに記載されている文字を抽出し、文字データに変換する光学文字認識機能です。
そのOCRにAIの技術を組み合わせたAI-OCRでは、従来のOCRではむずかしかった手書きの文字列や非定型フォーマットの文書の読み取りも可能になったことで、文字の補正精度が飛躍的に向上しています。そのため、手書き文書を高精度に文字認識することで、作業スピードと効率を高めることが期待できます。
●業務フローを可視化しAI分析して業務を効率化
従来、行われていた業務のフローをデジタルで可視化し、AIで分析することで、業務を改善する取り組みを実施できます。
例えば、これまで自社で行っていた業務のPC操作ログをAIが解析し、問題のある工程を洗い出し、課題を可視化します。その上で、無駄な作業を削減して効率化するなどすれば、業務プロセスが改善し、効率が向上します。
業務プロセス改善によって生産性が向上し、コスト削減や売上増などの効果につながることもあります。
●PCの単純作業をRPAで自動化
BPOでは、自社ではできなかったRPA化も可能になります。日々、特に単純に繰り返される業務については、AIが業務プロセスを分析する際にRPAで対応可能と自動判定される仕組みを用いることも可能です。これにより、自動化が進められます。
RPAを活用することで、人的コスト削減のほかヒューマンエラーの削減につながるため、生産性と品質の向上も期待できます。
●コンタクトセンターの手続きのオンライン化
キャンペーンの応募や行政関連の申請を受け付けるコンタクトセンターにおいて、デジタルBPOでは、はがきや手紙などのアナログな応募・申請方法の受付のみならず、Webブラウザやアプリを通じたインターネットを介したオンライン応募・申請の受付も可能になります。
実際、ある自治体では電話問い合わせなどのアナログ対応と、デジタル上で行政手続きを行える仕組みを備えたハイブリッドな仕組みを構築し、住民に利便性を提供しました。さらに電話で受け付けた問い合わせの分析結果を、オンライン手続き用の申請フォームに反映するなどして、電話問い合わせ数削減につなげることもできました。
■まとめ
デジタルBPOは、DX推進や人手不足対応など企業が直面している大きな課題解決の一助として注目を集めており、今後もさらに技術の向上に伴い、利用が進み、高い効果が得られるようになっていくでしょう。
デジタルBPOを導入する際には、ぜひ委託先企業の選定を重要視されるのをおすすめします。そこでおすすめなのがTOPPAN BPOです。
TOPPAN BPOは、企業や自治体の業務を幅広く対応するBPOトータルソリューションであり、企画設計・事務局・制作・発送・情報管理・システム開発・コールセンターなど幅広い業務をそれぞれのプロフェッショナルが対応します。
TOPPAN BPOは、アナログな業務代行に留まらず、DX対応のご支援など、デジタルBPOの実績も豊富にございます。今回ご紹介した自治体のコンタクトセンターによるハイブリッドBPO事例はTOPPAN BPOがご対応したものであり、他にも自治体をはじめとした多数の実績がございます。デジタル化による業務変革などをお考えの場合には、ぜひお気軽にご相談ください。
2023.11.16