自治体における人手不足問題
~現状と解決策のご提案
近年は、自治体職員の人手不足が問題視されており、業務効率化や新たに採用する方向性だけでなく、外部からの補填も含めた検討がされています。
すでに多くの自治体では人手不足の対策が実施されていますが、その中でも民間企業がサポートできることはどのようなことがあるのか、ご提案いたします。またBPOを活用して自治体の人手不足問題を解決した事例も併せてご紹介します。
■自治体の人手不足問題の現状
自治体では昨今、人手不足の問題に直面しています。現状をデータで見ていきましょう。
●自治体の総職員数の推移
総務省のデータでは、地方公共団体の職員数は、平成6年の約328万人をピークとして、平成28年の約273万人まで一貫して減少してきました。その後、横ばいから微増傾向にあり、令和6年度は約281万人となっています。
そして令和5年度から段階的に定年が引き上げられることに伴い、令和5年度末に定年退職者が生じないこととなったため、職員数は対前年比で大幅に増加しています。
●自治体の人手不足の主な問題
自治体で人手不足によって生じる課題には、主に住民サービスの質低下の恐れと、幅広い業務に対応しきれないという2点が挙げられます。
自治体の業務はすべて、なくてはならない業務であり、人材確保は不可欠といえます。
●課題への対応策
自治体の人手不足の課題に対しては、自治体が直接担う業務範囲の縮小やICT導入による業務効率の改善が行われてきました。
今後一層、人手不足が深刻化していくと考えられることから、これらの対応策も加速していくと考えられます。
■自治体が人手不足に陥る主な原因
自治体が人手不足に陥る主な原因として、次のことが挙げられます。
●地方の人口減少
都市部への人口集中と過疎化に伴い、地方自治体では縁のある学生自体が減っている現状があります。また日本全体で出生数が減っていることもあり、地方での採用はより厳しい状況となっています。
●若手職員の離職増加
総務省「地方公務員の退職状況等調査」では、一般行政職の30歳未満の離職者数は、2017年の2,402人から2022年の4,244人へ5年間で約1.8倍に増加しています。
若手職員の離職は人手不足の大きな原因となっていると見られます。
●職員の業務負担増
若手職員の離職増加にも関係していますが、もともと自治体では多様な業務を少数の人員で遂行していることもあり、近年の業務量増大に伴い、負担が増しています。職員に疲弊感が増しているといわれています。
またメンタルヘルス不調に関しても増加しているといわれており、より状況は深刻化しています。
●成長の機会が十分ではない
自治体は、一般の民間企業と比較して、成長の機会が十分ではないと評価されることがあります。業務の幅広さも背景にありますが、専門性が身につきにくく、キャリアを長期的に見据える職員にとっては明るい未来が見出しにくい節があるようです。
■自治体における人手不足への対策〜民間企業がサポートできること
自治体における人手不足の対策は、よりその幅を広げていく必要があると考えられます。そこで、対策のうち、民間企業が提案できる主なものをご紹介します。
●AI・RPA導入
生成AIをはじめとしたAI(人工知能)の進化が目覚ましい昨今、RPAによる定型業務の自動化も含めた先端技術の活用は、有効な手段の一つです。AIを活用することでこれまで人力で行っていた業務を大幅に削減できる可能性があります。
しかしこれらの先端技術には、専門的な知見が必要になるため、民間企業の協力を仰ぐことが重要です。
●BPOの利用
近年、多くの自治体でBPOの利用が進められています。BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の頭文字を取った言葉で、業務やビジネスプロセスをBPOサービスを請け負う民間企業に外部委託することを意味します。
ただの業務代行アウトソーシングではなく、業務改善や業務改革を見据えて自治体業務を委託します。
自治体業務では、申請受付業務や行政手続きのオンライン化、文書管理・電子決済・業務改善アプリやシステムの導入など、幅広い範囲でBPOが利用されています。
●副業・兼業人材の活用
都市部を中心に、民間企業は社員の副業や兼業を推奨しており、地方自治体はそうした人材を即戦力として迎え入れ始めています。
デジタルマーケティングや観光誘致の分野では特に副業や兼業人材の有効活用が進んでおり、関係人口の増加にも寄与しています。
●地域の魅力をアピール
地元での採用のみならず、都市部や全国地域を採用ターゲットとすることも一案です。そのためには、まず地域へ興味関心を持ってもらうことが先決です。
民間企業がサポート可能な範囲として、地域資源の発掘・磨き上げ、情報発信、産官学連携によるプロジェクト推進、先端技術によるPR推進などが挙げられます。
■自治体のBPOによる人手不足対策事例
ここで、自治体がBPOを利用して人手不足対策を行った事例を3つご紹介します。
●保育園の継続確認書類の電子化
ある自治体では、保育園の継続確認書類を紙で配布する作業の負荷が高まっていました。そこで、通知のデジタル化、業務量調査、業務改善を含んだBPOサービスを導入し、BPRを実施しました。
BPRとは「Business Process Re-engineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」の略称で、業務フローを抜本的に見直すことにより、既存の仕組みや習慣を再構築することです。ただの紙書類のデータ化だけではない業務改善が実現しました。
また同時にRPAを用いて、保育園入園手続きのフロー改革も実施しました。
●BPRにより限られた職員で住民サービスの質向上に成功
ある自治体は、より必要性の高い業務に絞って人的リソースを振り分けたため、住民サービスの維持・向上などに課題がありました。
そこで、BPOサービスの力を借りて、共通事務の集約化・委託化、業務手順や処理方法の見直し、デジタル技術の活用など、業務プロセスの標準化や最適化を図るBPRを実施しました。限られた職員でも住民サービスの質向上につなげられています。
●ノンコア業務への職員負荷を軽減し住民サービス向上
ある自治体では、より必要性の高い業務に人的リソースを振り分けるため、申請受付処理やデータ入力などのノンコア業務を担う行政事務センターの体制をBPOサービスによって構築しました。
デジタル活用による自動化などの工夫が業務効率化および高度化にも寄与し、住民サービスの維持・向上を実現しました。
■まとめ
自治体の人手不足は、今後も深刻化していくものと見られます。そうした中、民間企業のサポートを活用しながら進めていくことで、効果が期待できるのではないでしょうか。
TOPPANの自治体さま向けのBPOサービスでは、各種申請受付業務や子育て支援、幼児教育・保育無償化などにまつわる業務代行、デジタル化やBPRなどの先端技術を活用したご提案も可能です。
人手不足にお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。
2025.02.13