コラム

帳票業務のアウトソーシングで経理を効率化!そのメリットと委託先の選び方とは?

以前はその機密性やセキュリティに対する懸念から、アウトソーシング(外部委託)を考えにくかった経理の業務。現在では、多くの大企業や中堅企業が積極的に導入を進めています。その理由は、アウトソーシングによって業務効率の向上と高いコスト削減効果が見込めるからというものです。一方、業務プロセスの整理やペーパーレス化が思ったように進まず、アウトソーシングに手をつけられない企業が多いのも事実です。このままでは経理に効率の悪いアナログ的作業が残り、それがボトルネックになってDXが進まなくなってしまうことはもちろん、効率化が遅れることで企業としての競争力を失うことにもなりかねません。

今回は、経理業務をアウトソーシングする場合に押さえておきたいポイントや、そのメリット・デメリットなどについてご紹介。失敗しない帳票業務のアウトソーシングについて解説します。


帳票業務のアウトソーシングについて考える

アウトソーシング(外部委託)と一言で言っても、その内容はさまざまです。古くから自社製品の開発委託や製造委託などは行われてきましたが、近年では営業や社内業務も積極的にアウトソーシングされるようになってきています。もちろん、帳票業務にもその波は押し寄せています。

アウトソーシング事情の変化と経理業務との関係

従来のアウトソーシングでは、人件費や設備費などの固定費を削減するため、また投資を効率的に行うために、専門的なリソースと設備を持った外部に業務を委託してきたという経緯があります。専門性が高く社内のリソースではこなせない「プログラム開発」や設備を必要とする「製造委託」などの委託が中心だったのです。

ところが現在では、機密性やセキュリティに対する懸念から以前はアウトソーシングを考えにくかった分野の業務まで委託の対象になっています。これにはコア業務(その部署や担当者が、本来注力すべき事業や業務)にリソースを集中させる、不足する人材を効率的に活用する、などの目的があるといわれています。そのため、業務の分野を問わず「定型的なルーチンワーク」や「一定期間に集中して忙しくなる業務」、「高いスキルが不要な業務」などは、アウトソーシングの対象となっているのです。

経理の業務は、企業の経営状況に関わる情報を扱っているため、アウトソーシングが難しい分野の代表格でした。一方で、経理が扱う帳票業務は人手によるアナログ的な業務が多く、効率化に関する問題を常に抱えていたことも事実です。この問題に対し、コストセンターである経理では以前から業務効率化(OA機器やソフトウェアの導入、工程整理など)が行われてきましたが、業務の整理や機械化、人的工夫による効率化はもう限界となっています。例えば、請求書発行業務の工程にはどうしても人の手が必要なものがあり、上記のような対策ではそもそも対応が困難なのです。このような理由から、効率化が難しい業務についてはアウトソーシングが進められています。

経理業務アウトソーシングの目的は「業務効率化」と「コスト削減」が最も多いといわれています。ただし、すべての経理業務をアウトソーシングできるわけではありません。経理業務のアウトソーシングには、「向き」「不向き」があるのです。

アウトソーシングに向いている経理業務

記帳業務:
各種取引について、根拠資料をもとに会計帳簿を作成する業務

請求書発行業務:
各種取引について請求書を作成、取引先に発行・発送する業務

給与計算・支払業務:
従業員の給与を計算し、各人の口座に振り込みを行う業務

年末調整業務:
従業員の年末の源泉徴収精算業務

決算書作成業務:
貸借対照表、損益計算書、財務諸表などの作成業務

アウトソーシングに向かない経理業務

判断が必要な業務:
決められたルールに当てはまらない事柄や、業務上の問題が発生した際に判断を必要とする業務

税務関連業務:
税務書類の作成や税務相談など、税に関する業務は税理士や会計士、弁護士などの資格を有する者しか取り扱うことができない業務


業務を一括でアウトソーシングするBPO

業務を外部にアウトソーシングする場合には、業務の一部を切り出して、もしくは業務そのものを一括して委託します。近年では効率の観点から、一括してアウトソーシングするBPOが主流になってきています。

BPOとはビジネスプロセスアウトソーシングの略で、企業活動における業務プロセスを「一括して」専門業者に外部委託することをいいます。単純作業を含む定型的なルーチンワークや、一定期間に集中して忙しくなる業務、高いスキルが不要な業務などを一括してBPOすれば、従業員のコア業務専念や人材の最適配置、コスト削減、業務の効率化が実現できます。例えば、請求書発行業務や給与計算業務は定型業務となっていることが多く、手間がかかる割にスキルや経験を必要としません。このような業務には、スキルやコストの高い社員を従事させる必要が無いのです。近年では、このような業務を一括してBPOする企業が増えています。

アウトソーシング・BPO導入のメリットとデメリット

では、帳票業務の代表的な例である請求書発行業務に、アウトソーシング、もしくはBPOを導入した場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
またデメリットについても、ここで確認しておきましょう。

メリット

コスト削減:
請求書発行業務にアウトソーシング・BPOを導入すれば、人的なコストと物理的なコストの削減効果が期待できます。人的なコスト削減では、請求書の作成、封入、発送などを行う担当者や管理者を、よりベネフィットが大きい他の業務に振り分けることができます。また紙代や郵送代、印刷代、印刷や封入のための機器費用などの物理的なコストを削減することも可能になります。

業務効率化:
アウトソーシング・BPOの導入時には、外部に委託する工程を切り出すため従来の工程を見直し、整理するといった準備が欠かせません。ここで無駄な作業を削減したり、重複している工程を統合したりすることが業務の効率化につながります。

人材の最適配置・属人化防止:
アウトソーシング・BPOは、ある工程をそのまま外部に委託することになります。これは、人材の最適配置につながるだけでなく、担当者を固定する必要が無くなることで属人化の防止にも役立ちます。属人化の防止は作業の透明性を高めることにもなり、不正行為発生の防止にもつながるのです。

人材不足解消:
業務をアウトソーシングすれば、従業員の離職や病欠による人的リソースの変動に対応する必要が無くなったり、対応内容が軽減されたりします。また、月末や年度末における業務負荷の変動も無くなったり、軽減されたりするため、作業の平準化を図ることができ、効率も上がることでしょう。アウトソーシング・BPOは、現在と将来の人材不足解消にも大きな効果を発揮するのです。

ミス撲滅、手戻り工数削減:
業務を自社内で行っていると、人的なミスによる手戻り工数や経費の無駄を自社で負担しなければなりません。業務をアウトソーシング・BPOしておけば、無駄な工数やコスト増加分は基本的に委託先が負担することとなり、リスクを分散させることができます。

不正防止:
先述の通り、属人化を防止することは不正防止に効果がありますが、それに加えて、業務内容整理の段階で工程を明確にすることにも同様の効果があります。業務における不正行為は、ブラックボックスとなっている工程で発生することが多いためです。

働き方改革の推進:
業務のアウトソーシング・BPOにより、承認や押印、封入のためだけに出社する必要が無くなります。これはテレワークの導入を可能にし、期末や月末に業務が集中することも防止できます。従業員の働き方改革を阻害する工程を外部に委託すれば、自社内の働き方改革推進に寄与することもできるのです。

コア業務への専念:
請求書作成・発行のような定型作業をアウトソーシングすれば、担当者は本来やらなければならない重要な業務(コア業務)に専念できるようになります。経験やスキルを持つ従業員は、定型的な業務やスキルを必要としない業務ではなく、もっと付加価値の高い業務に専念するべきなのです。

デメリット

委託費用の発生:
アウトソーシング・BPOには、業務の委託費用が発生します。委託する業務内容を精査し、その効果とコストの比較を徹底して行っておく必要があります。

社内にノウハウが蓄積しなくなる:
外部の専門企業に業務をアウトソーシング・BPOすると、専門的スキルが社内に蓄積されなくなります。業務を外部に委託する際には、「社内の人材が従事する必要の無い工程」や「単純作業やルーチンワーク」など、スキルやノウハウを必要としない作業にしましょう。

セキュリティの問題:
アウトソーシング・BPOを行えば、場合によっては機密情報や顧客情報などの社内データを委託先の業者と共有することになります。情報漏えいのリスクを極力下げるためにも、委託先の選定時には実績のある、信頼できる委託先を選定するようにしましょう。また契約時には、データの扱いについて厳格な秘密保持契約を結んでおくことも重要です。

導入までに準備期間が必要:
アウトソーシング・BPO導入の前には、導入効果の算出や委託の費用比較、委託先の選択が必要になります。また、委託しようとする業務の切り分けも、とても重要です。特にBPOは業務を一括して委託することで効率が上がるので、工程の一部を無理やり切り出すような委託方法では、かえって効率を悪化させてしまう可能性もあります。アウトソーシング・BPOの導入は十分な準備期間を設け、確実に効果が出るように進めていきましょう。


問題は紙の帳票を希望する取引先への対応

ここまでは経理の帳票業務の代表的な例として、請求書発行業務に関わるアウトソーシング・BPOについてお話ししてきましたが、帳票業務効率化のカギは工程の外部委託と電子化です。外部に委託する工程と社内に残った工程のすべてを電子化しておけば紙代や印刷代、人件費などが削減でき、業務の電子化を進めることでDX推進にも寄与できるからです。
ただし、いかに社内や委託先で帳票の電子化を進めても、取引先が紙の帳票を希望する場合もあることでしょう。社内の電子化は自社の裁量で進められますが、取引先にまで自社の事情を押しつけることはできません。また、紙と電子(デジタル)の業務が社内に混在すれば、かえって工程が複雑になり効率が下がることも考えられます。このような場合には、紙と電子、両方に対応できる委託先を選択することが帳票業務のアウトソーシングには効果的です。

アウトソーシング・BPO先選定時のポイント

紙とデジタル、両方に対応している委託先を選ぶ

帳票業務のアウトソーシング・BPOは、デジタルだけに対応している委託先ではなく、紙とデジタル両方に対応している委託先を選びましょう。この方法であれば、取引先がどのような帳票を希望しても自社に負担をかけること無く帳票業務のアウトソーシング・BPOが可能です。

業務は一括してアウトソーシングする

帳票業務と一言で言っても、その内容はさまざまです。業務を外部委託する際には、こまごまとした業務をバラバラに委託するのではなく、ビジネスプロセスをまとめて(一括して)委託することが効率化の秘策です。アウトソーシング時には、業務を一括して依頼できるBPOを選択するのがよいでしょう。

豊富な経験としっかりとした実績のある依頼先を選ぶ

費用だけで委託先を選ばず、実績や経験、高いセキュリティ性、専門性がそろった委託先を選びましょう。委託先の選択の際は、数社から同じ条件でプレゼンを受けるコンペ方式をおすすめします。

弊社が提供する請求書・各種帳票の電子通知サービス「WebBureau®︎(ウェブビューロー)」と「DPS®️(データ・プリント・サービス)」を組み合わせれば、紙とデジタル、どちらの請求書でも一元管理と配信(配送)が可能です。各種帳票発行のアウトソーシングをご検討中であれば、ぜひ一度「WebBureau®︎」のサービスサイトをご覧ください。

まとめ:効率化のポイントは紙とデジタルに対応したBPO

経理の業務では帳票類のデジタル化が必須と分かっていても、取引先によっては紙での対応が残ってしまいます。部門内のデジタル化を進めていても、紙とデジタルの工程が混在すればかえって効率を下げてしまう可能性があります。

経理の帳票発行業務をアウトソーシングするのであれば、一括で業務を委託できるBPOサービスを選択し、紙とデジタル両方に対応している委託先を選びましょう。


eBookダウンロード

帳票業務で下記に当てはまる方は、ぜひ資料をダウンロードください。

・帳票業務の負荷を感じており、軽減したい
・封入封緘ミスによるリスクを無くしたい
・請求書到着までの時間を短縮したい
・業務のアウトソーシングを検討している
・帳票の電子化(ペーパーレス)がなかなか進められない
・社内をどう説得したら電子化を進められるかわからない
・社外(取引先や得意先)に対してどうしたら電子化を理解してもらえる?
・電子化を進めるための手順がわからない



お客さまインタビュー

2024.01.10