コラム

社内ルール策定で従業員の意識を高めるコツとは

社内ルールの策定は法的に定められていないため、企業によっては明文化されていないケースも多くあります。ですが、ルールが定められていないと企業理念に反する行為を行う社員が出てくる可能性も考えられますし、予期せぬトラブルの原因や生産性の低下につながり、ルールに沿って働く社員の士気も下がりかねません。

今回は社内ルールの基本的な考え方や、ルールを設けることで得られるメリットをご紹介します。併せて従業員の業務意識を高めるルール策定のコツも解説します。


社内ルールとは

社内ルールとはそもそも「社員全員が守るべき決まり事」を意味します。社内ルールは業界や企業の風土に合わせて独自に策定されるのが一般的です。就業規則や業務マニュアルのように明文化されていない企業も多く、暗黙のルールや、経営層が従業員だけに強いるルールとして存在しているケースも少なくありません。

社内ルールを設ける理由

社内ルールを設けることで社員全員の業務意識が向上します。社員全員が同じルールで業務を行うことで、一つのチームとして業務に集中することができるでしょう。
また、ルールに反した従業員に罰則を与えることは社内の不正を防ぐ抑止力になります。明確なルールを設けることによって企業内の統制を図れるのが大きなメリットといえるでしょう。

就業規則との違い

社内ルールと混同されがちなものに就業規則があります。

就業規則とは、従業員の給与や労働条件、順守すべきルールなどを定めたものです。就業規則に記載すべき内容は労働基準法に基づいており、労使間の合意がないと運用はできません。また、従業員が10人を超える企業は就業規則の作成と労働基準監督署への届け出が義務付けられています。
それに対して、社内ルールは企業独自で決めるものを意味するのが一般的です。社内ルールの内容は企業の方針に沿った内容であることが多く、労使間の合意や労働基準監督署への届け出も必要ありません。



社内ルールを設けるメリット一覧

ここでは社内ルールを設ける代表的なメリット3点について詳しく解説します。

生産性の向上

社内ルールには、業務を安全かつ効率的に進めるために欠かせない約束事が含まれているのが一般的です。これらを守ることで、労働環境の整備や従業員の業務スキルの均一化が図れます。
例えば、製造業などで広く知られている「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動」は、工場内での環境改善の基本的な考えをルール化したものです。現場の環境を整えることで物の配置や作業工程が把握しやすくなります。5S活動を積極的に行うことで生産性の向上はもちろん、社会的信用度の向上も期待できるでしょう。
また、作業手順をまとめたマニュアルやハンドブックを活用することで、社歴の浅い社員でも他の社員と同様の水準で業務を進めることができます。

社内外のトラブル防止

全社統一のルールを設けることで、経営陣・従業員の不正防止にもつながります。明確なルールのない状態では、社員の行動が把握できず大きなトラブルにつながる危険性が高くなるでしょう。
例えば、取引先や社内の機密情報を取り扱う際のルールがない場合、機密情報を不正に社外へ持ち出すことや誤って流出させてしまう可能性が高くなるでしょう。過去にも機密文書の持ち出しや情報漏えいによる事件は多数生じていますが、その後、再発防止策として情報管理に関するルールを設けるといった対策が行われています。
万が一ルールに違反した場合の罰則を設けることで、不正の抑止にも役立ちます。

従業員のモチベーションアップ

社内ルールは従業員のモチベーションアップにも有効です。一般的に社内ルールは「社内トラブル防止」「社内秩序の維持」を目的としていますが、昇給や査定の基準にも活用できるのです。
社内ルールに昇進や昇給の基準を取り入れることで、「規律を守り成果を出した従業員には報酬を与える」といった制度運用も可能になり、従業員のモチベーションアップにつながります。反対に、社内ルールを故意に逸脱するなどした社員に対して罰則を設けることで社内の規律が保たれ、生産性向上も期待できるでしょう。



社内ルールの策定方法と注意点

1. ルールを作る目的を明確にする:
目的のないルールは誰も守らない上、社内にも浸透しません。個人情報の取り扱いなどの従業員全員で共有すべきルールや各部署の業務に関するルールなど、明確な目的があるか、そして誰もが納得できるものであるかを意識し、ルール策定を進めることが重要です。

2. ルール化されることが多い項目の例などを活用し、自社に必要なルールの洗い出しを行う:
社内ルールを策定する際、ルール化されることが多い項目などの代表例一覧を参考にすると、必要な項目の洗い出しに役立ちます。ここでは、代表的な項目の一例をご紹介します。

●社内ルール項目の一例
・社内の共通言語
・報酬/評価
・効率的な仕事の進め方
・クレーム対応
・各種ハラスメントについてのポリシー
・社内ツール
・社内外のコミュニケーションツール
・ブランドルール
・服装
・個人情報の取り扱い方

3. 実際の業務に則したルールであるか確認する:
社内ルールの策定は主に経営陣が行う場合が多く、現場の意見が反映されないまま運用が開始されるケースも少なくありません。こうしたルールではかえって業務効率や社員のモチベーションを低下させる原因にもつながります。ルール策定の際は、実際に業務を行う担当者の意見を取り入れながら策定を進めましょう。

4. 策定したルールの周知徹底を行う:
生産性の向上や社内トラブル防止を目的にルールを策定しても、社員全員に周知徹底が行われていないと目的は達成されません。策定後は、社内掲示板や回覧・社内ポータルなどのツールを活用し、必ず社員全員に周知徹底を行いましょう。


策定時の注意点一覧

社内ルールの策定時に注意しなければならない注意点を3つご紹介します。

1. 自社の経営理念に沿ったルールであること:
どんなにいいルールでも、自社の経営理念や業務内容にそぐわないものは浸透しません。
例えば自主性を重んじる企業が、業務上適切な範囲を超えて服装や行動に関する細かなルールを定めることは、企業理念に反すると言っていいでしょう。また、顧客情報や機密情報を扱う企業の場合、情報の取り扱いについて明確なルールを設けていないと、情報流出などのトラブルが発生する危険性が高まります。

2. 社員の意見が反映されているルールであること:
社内ルールは原則、従業員の合意は必要ありません。ですが、社員の行動を過度に制限するような厳しすぎるルールだと、かえってモチベーションを下げる原因にもなります。また、時代の流れにそぐわないルールも社内に浸透せず、形骸化する可能性が高いでしょう。

3. 社員全員を対象としたルールであること:
ルール策定の際、例外を設けないようにすることが重要です。社内ルールは経営陣を含め社員全員を対象として策定しましょう。対象外のポジションを設けてしまうと社内秩序が乱れ、不平不満から違反者を生む結果にもつながるでしょう。



まとめ:明確なルール策定は社員の意識を高める

ここまで、社内ルールの基本的な考え方やルールを設けるメリット、従業員の業務意識を高める策定のコツを見てきました。健全な企業運営を行うためにも適切な社内ルールを策定し、経営陣をはじめ社員全員が同じ目標を持って業務に当たることは重要といえるでしょう。

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社内インタビュー

2022.12.15

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