コラム

効率的な文書管理に欠かせないルール策定と失敗しないコツを解説

企業で扱われる文書には、業務遂行のために一時的に作成される資料がある一方、会社の規程集のように長く保存されるものもあります。また、法的に保存が義務付けられている文書も存在します。これらの文書を正しく保存・管理しなければ、紛失や情報流出など企業にとって大きなリスクを背負うことになります。


今回は、文書管理を行う理由や管理が必要な文書の種類をはじめ、効率的な文書管理ルール策定のコツについて詳しく解説します。


文書管理には一定のルールが必要

企業活動を行うにあたっては、日々請求書や契約書などさまざまな文書作成業務が発生します。中には社内で共有すべき情報や、関係各所へ提出が必要な重要情報を含む文書も少なくありません。こうした文書は作成後、適切な方法で保存・管理されるのが一般的です。
ですが、明確な管理ルールを定めていないと必要な際に手元に用意できないばかりか、紛失や情報流出のリスクを負うことになりかねません。こうしたリスクを回避するためにも一定の管理ルールを設ける必要があります。



文書管理を行う理由

文書管理を行う理由は以下の三つです。

①機密文書や重要書類などの紛失防止
②業務の効率化
③コンプライアンスの強化

文書管理を行う主な理由は機密文書や重要書類などの紛失防止です。機密情報や個人情報を含む文書には、常に改ざんや情報流出のリスクが伴います。機密情報が記載された文書の紛失は、情報漏えいや企業不信など経営に深刻な影響を与える危険性が考えられます。適切な文書管理を行うことで、外部への情報流出や情報の改ざんによるトラブル防止にも役立ちます。

また、業務の効率化を行う上でも文書管理は欠かせません。膨大な文書の中から必要な書類を必要なときに取り出せる状態にしておくことで、業務スピードは格段に上がります。従来は紙ベースで文書の保存・管理が行われていましたが、近年、電子化やテレワークの普及であらゆる文書のデータ化が進んでいます。

そして、文書管理はコンプライアンス強化にもつながります。文書の中には公的に保存を義務付けられているものもあり、万が一紛失をしてしまうと法律に基づき罰則を受ける可能性があります。

法的に保存が義務付けられている、または必要と考えられる文書

社内文書は法律で保存が義務付けられているものと、法的な定めがなくても業務遂行や運営を行う上で保存しなければならないものに分類されます。ここでは、法的に保存が義務付けられている文書の種類をご紹介します。また、保存が必要な理由と保存期間についても解説します。

永久保存が必要と考えられる文書:
企業の定款は会社の基本的なルールを定めた文書で、企業の憲法のようなものです。定款は会社設立時に作成され、その後も株主から閲覧や謄本の交付を求められることがあるため、永久保存が必要と考えられています。

定款以外でも、官公庁に提出しなければならない許可書や訴訟関連書類など閲覧や提出が求められる可能性のある文書は永久保存が望ましいとされています。

一定期間保存しなければならない文書:
会社法に関わる書類は10年間の保存が義務付けられています。これに該当するのは、総務や庶務関係の書類では株主総会議事録や取締役会議事録、経理関係では計算書類および附属明細書、会計帳簿および事業に関する重要書類などです。税務、経理などに関する書類には改正電子帳簿保存法で保存が義務付けられているものもあり、例えば法人における帳簿書類等の保存期間は、法人税法により7年と定められています。
他にも従業員の身元保証書、誓約書などの書類や事業報告書などは5年間の保存が義務付けられています。

法的な義務はないが保存しなければならない文書

社内のルールを定めた規程集や業務マニュアルなどは、法的な保存義務はないものの円滑な企業運営を行う上で欠かせない文書です。また、自社や関係先の機密情報を含む書類なども、外部への情報漏えいを防ぐために保存・管理が必要になります。これらの文書は明確な保存期間が定められていないため、自社独自の管理ルールを作成し、適切な管理を行う必要があります。



失敗しない文書管理ルール策定

社内で作成される文書は取り扱い部署や保存期間などが異なるため、効率的な運用が行えるようどのように管理するかの統一ルールを設けておくとよいでしょう。ここでは文書管理ルールの策定に欠かせないコツを解説します。

「保管」と「保存」に分けてルール策定を行う:
社内文書は日常的に使用するため、いつでも取り出しやすい場所で「保管」しなければならない文書と、使用頻度は低いものの、現状を維持しながら「保存」しなければならない文書に分けられます。「保管しなければならない文書」には、社内規程集や業務マニュアルなど日常業務でよく使用される文書が挙げられます。対して「保存しなければならない文書」には、帳票書類など法律上、保存期間が定められている文書が挙げられます。

日常的に使用する「保管しなければならない文書」は、破損や紛失のリスクが高まるため原本以外にもコピーも併せて管理するのが望ましいでしょう。一方、「保存しなければならない文書」は原則、原本のみを保存します。これらの文書は使用頻度が低いので、一般的に倉庫などで管理されます。

紙と電子の両方の管理ルールを策定する:
現在、多くの文書は電子データで作成されるようになりました。それに伴い、従来の紙ベースでの保管ルールでは対応できないケースが増加しています。紙ベースの文書の場合、文書ごとにファイリングし、決められた場所に保管するのが一般的です。
対して、電子データの場合、外部流出や改ざん防止のためのセキュリティ対策を行う、機密書類と一般書類など文書の種類によって社内ネットワーク上の格納場所や運用方法を定めるというように、両方にそれぞれの管理ルールを設ける必要があります。

文書ごとの保存期間を明確にする:
文書の中には、社内規程を明文化した規程集のように永久的な保管が必要なものがある一方、各種議事録や帳票書類など保存期間のあるものもあります。また、それらの文書に法的に保存が義務付けられている場合とそうでない場合があります。これらの文書を誤って破棄しないためにも、文書ごとの保存期間を明確にする必要があるでしょう。

法的に保存期間が定められている文書の場合は、保存期間別にラベリングを行い、保存期間を明示します。それ以外の文書については、原則1年間の保存期間が一般的です。



規程管理システムの活用で文書管理を

文書管理を行う理由や管理が必要な文書の種類、および効率的な文書管理ルール策定のコツについて解説しました。日々の業務を行う際に発生する文書を正しく管理することは、情報の流出を防ぐだけでなく、業務の効率化にもつながります。また、DXが進む現在、電子データでの文書管理は従来の紙ベースでの管理と違い、手間とコスト削減にも有効な手段といえるでしょう。

規程管理システム「DocLAN(ドックラン)」は規程集や事務取扱要領、業務マニュアルなど、企業の文書公開・管理・閲覧をクラウド環境で効率的に行えます。
社内文書の管理を行う際は、こうした規程管理システムの活用も視野に入れておくとよいでしょう。規程管理システムの選び方について、詳しくは下記eBookもご参照ください。


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・コンプライアンス違反の防止、内部統制強化に取り組みたい

社内インタビュー

2022.11.01

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