事例紹介

偽造困難な最新ホログラム技術が
模倣品流通を防止!
「イルミグラム™」がエステ機器の
ブランドを守る

美容・健康関連商品の製造、企画、販売を目的に1992年創業した株式会社ワム。同社は、さまざまな美容健康関連の製品を取り扱っているが、同社が提供するのは単なる「製品」ではなく、それを活用することで実現する事業の成功だ。製品の性能や効能/効果については、エステの業務用機器の専門メーカーとしてこれまでも最優先で取り組んできた。しかし近年特に力を入れているのが、納入先店舗がそれをどのように経営に活かしていくかというソフト面だ。製品を納入して終わりではなく、技術面はもちろん、営業や店舗経営などさまざまな面から店舗のカウンセリングを実施/強化している。同社の名刺に「ワムの商品は『成功』です」と記載されているのはそのことを表現している。


(左)株式会社ワム 専務取締役 八木橋 義之氏(右)代表取締役 山田 勝利氏

同社製品は、業務用美容機器の中でも高いブランド力を持ち、納入先店舗や消費者から大きな支持と信頼を得ている。そのような同社が模倣対策として新たに採用したのが、TOPPANが開発した「イルミグラム™」だ。どのような背景で導入に至ったのか、また、イルミグラム™導入によりどのような効果が期待できるのか、代表取締役 山田 勝利氏、専務取締役 八木橋 義之氏にお話を伺った。

主力商品の模倣品が出回り、自社ブランド維持のために早急な対策が必要に

自社製品のブランド/信頼性が、導入先店舗の集客や信頼性に影響

株式会社ワム 代表取締役 山田 勝利氏

ワムの主力商品の1つが、バイポーラ式高周波痩身機器「ハイパーナイフ」シリーズだ。バイポーラ式を採用するこの商品は、通常の「温め効果」加えて「ほぐし効果」を付加することで、効率的かつ効果的に結果を出すことができる。さらに、最新機種「ハイパーナイフEX」はEXポーラを採用し、従来よりもノイズを低減。深部まで届くようになり、より深部や広範囲を加温することができるようになった。

そのようなハイパーナイフの納入先は、エステサロンをはじめ整骨院やパーソナルジムなど。高周波痩身機器の代名詞にすらなっているハイパーナイフは、これを導入していることが各店の集客にもつながる。同時に、同機種のブランド力や信頼性が導入店の信頼にも大きな影響を与える。

「エステ業界専門誌『ESTETICa BELLEZZa(エステティカ ベレーザ)』誌上では、10年間にわたりハイパーナイフ導入店舗(120店)に対するインタビューが継続しています。先日それを記念した特別企画のインタビューを受けたところです。なかなかその規模でお客さまがインタビューに応じてくれることはないと思っており、当社の製品を必要としていただける店舗様がそれだけの規模でいらっしゃるということは、正直に申し上げて少し鼻が高かったですね」と山田氏は胸を張った。

自社主力製品の模倣品を発見、早急な対処が必要に

同社が異変に気付いたのは、今から4、5年前。ハイパーナイフを世に送り出して6年目頃のことだった。消費者向けの家電やブランド品などの模倣品が出回るというケースは、残念ながらまれに発生するが、業務用の美容機器の模倣品はそれまで耳にしたことが無かった。しかもその対象が自社の主力商品だったため、驚きも隠せなかった。当時のことを山田氏はこう振り返る。

「当社の営業が『ハイパーナイフの模倣品が出回っている』という情報をつかんできたのが事の始まりでした。その後、さまざまなサイトに模倣品らしきものが掲載されるようになりました。ハイパーナイフの名前を使って集客しているケースもありましたので、事故などが発生してからではせっかくここまで築き上げてきた当社への信頼やブランドが台無しになってしまいます。早急に手を打たなければ、と危機感を募らせました」

商標も偽造されていれば、本物かどうかの判断は外見からだけではなかなか難しい。今の時代、悪意を持ってすれば比較的容易に見た目はコピーできてしまう。問題は中身=品質だ。模倣品がどの程度安全性に配慮されているかが不明で、それが最も恐ろしい。出力が安定していないことなどが原因で、最悪の場合お客さまにやけどを負わせてしまうなどの事故が起こってしまう恐れがある。お客さまにケガなどを負わせることはあってはならないことだ。加えて、たとえそれが模倣品であったとしても、そのようなことが原因でハイパーナイフの名前が世間に出てしまうことで、不本意ではあるがハイパーナイフやワムの名前に傷がついてしまうだけでなく、導入いただいているサロンにもご迷惑をかけてしまう。

発生ごとに個別に調査/対策を実施していたが期待する効果が得られなかった

株式会社ワム 専務取締役 八木橋 義之氏

同社も手をこまねいて見ていたわけではない。
「外観を似せていたとしても、内部の基盤などを確認すれば当社のものかどうかは当然すぐに分かります。ですが、疑いのある機械を1台1台確認していくことは現実的には不可能です。しかし、ハイパーナイフをご購入いただいたお客さまは当社側で全店記録しており、原則、正規店として認定し証明書も発行しています。

ですので、Web上でハイパーナイフ設置と謳っている店舗を地区ごとに検索して、それを当社のリストと照合していく、というような非常にアナログな方法で模倣品のあぶり出しを行っていました。そこで発見した模倣品の疑いがあるものに対して、入荷ルートなどを個別に調べていくようなことも行っていますが、非常に時間と手間がかかる作業で、費用対効果が良くありません」と、八木橋氏は模倣品対策の難しさを説明します。

非常に手間がかかる作業で、しかもいたちごっこになってしまうところが模倣品対策の難しさの1つだ。さらに、正規品が転売されるケースもあり、店舗も本物かどうか判断が難しいということが対策をより困難にしている。実際に模倣品を正規品と信じていた店舗から、同社に修理依頼が舞い込んだこともあった。

最新のホログラム技術「イルミグラム™」で自社ブランドを保護

シンプルかつ簡単に真偽判定でき、今の時代にマッチ

そのような折に、TOPPANが新たに開発した偽造防止用ホログラム「イルミグラム™」を知った。

「ワムホールディングス代表の横田から日経新聞に掲載されているのを教えられたのが、イルミグラム™を知るきっかけでした。それでTOPPAN様に問い合わせしたことで導入検討を始めました」「当社にはイルミグラム™のようなホログラムを活用するという発想が無かったために、『ああ、こんな考え方もあるんだ!』というのが最初の印象でした」と山田、八木橋両氏はイルミグラム™との出会いを振り返った。

イルミグラム™は、特別な機器などを使用しなくても、スマートフォンのライトを当てるだけで簡単に真偽判定ができるのが特長だ。誰でも判定でき、シンプルかつ分かりやすいので今の時代にもぴったりマッチしている。

「最初TOPPAN様から色々な話を聞いて、なかなかすごい技術なんだということで興味を持ちました。安いホログラムだとホログラム自体が偽造されてしまう恐れがありますが、イルミグラム™ならその心配がありません。やはり、信頼できる企業の技術を活用するということが当社にとって大きな意味があります。さらに、『最新のホログラム技術を採用している』ということを内外に発信することで、お客さまに対しても安心感を与えられますし、模倣者に対する牽制も働きます」。八木橋氏はイルミグラム™採用の理由をこのように説明した。

また、山田氏は別の側面からイルミグラム™をこう評価した。「費用対効果として適正なのかどうかは少し考えさせられました。しかし、この費用で事故が防ぐことができて当社と当社製品のブランドが守られるのであればむしろ安いのではないか、と判断し今回イルミグラム™を採用しました」。


全製品にイルミグラム™貼付、徹底した対策で業界全体の動きを変えたい

最新のイルミグラム™を使っていることが模倣品流通に対する抑止力として働く

ハイパーナイフをはじめとする業務用機器だけではなく、痩身クリームなどの店舗販売商品も含めた全商品を対象に、来月 出荷分から順次イルミグラム™を貼付して出荷していく。今回、筐体の大きい業務用機器に貼ってもしっかりと目立つよう、同社向けに従来のものより大型のシールも作成した。

「当社がまず真っ先にやらなければならないのが啓蒙活動です。WebサイトやSNSで『当社製品にはイルミグラム™が貼ってある』ということをしっかりと告知し、お客さまや消費者の方にそのことを知っていただくことが、模倣品流通に対する抑止力になると考えています。また、『自店のハイパーナイフにはイルミグラム™が貼られていない』などの問い合わせがくる場合も想定されますので、店舗様に不安を抱かせないよう、きっちりとした形で発表しなければなりません」と、山田氏は告知および啓蒙活動の重要性を説明した。

ハイパーナイフの信頼性と、イルミグラム™におけるTOPPANの偽造防止技術とがうまく相乗効果を発揮することで、より安心して店舗や消費者の方にお使いいただけるようになることが期待されるところだ。その結果、ハイパーナイフのブランド力がさらに向上し、導入店舗の収益向上にもつながっていくような形が理想だ。

「インターネットやSNSの利用拡大などの影響もあり、現在美容家電などを中心に美容ブームが起こっています。それを背景に美容業界全体も市場を拡大させています。家電量販店でも、美容家電の売り場が非常に拡大していることでそれを体感できます。時代の変化と共にさまざまな種類のものが世に送り出されていることも、ブームに火をつけています。美容関連市場は拡大していますが、模倣品対策に関しては残念ながら業界全体としてはあまり積極的に取り組んでいるとは言えない状態です。当社が以前行っていた個別に追跡するようなことは行っていますが、それ以上のことはあまり耳にしません。今回の当社のイルミグラム™導入を機に、業界全体で積極的に模倣品対策に取り組むような流れを作っていきたいと考えています」と、八木橋氏は今後の美容業界全体の模倣品対策に関して言及した。

模倣対策強化により、本格的な海外展開の準備が整う

(左)株式会社ワム 専務取締役 八木橋 義之氏(右)代表取締役 山田 勝利氏

最後に、八木橋氏は同社事業の今後の方向性についてこう語った。

「今まで二の足を踏んできた海外展開なのですが、イルミグラム™によって模倣対策も強化できたのでアジア圏を中心に本格的に取り組んでいきたいと考えています。中国をはじめ、台湾やタイ、モンゴルなどでは日本の美容関連製品のブランド力が高く、これらの国々を中心に展開していく方向です。また今後は、当社の啓蒙活動と併せてイルミグラム™の知名度がさらに上がれば、模倣品対策もより効果的になっていくでしょう。そうなると、当社の模倣品対策に関する取り組みもさらに重要性が増し、業界全体へも良い影響を与えることになります」

2024.05.31