コラム

模倣品(コピー商品)とは?実際に出回ってしまった際の対策方法をご紹介

模倣品(コピー商品)とは、ブランド品やデザイン等を創作した者の独占的な知的財産権を侵害し、無断でその創作物を利用して作成されたもののことを指します。
知的財産権には特許権・意匠権・商標権・著作権などが含まれ、企業はその権利を守ることが利益を守ることにつながります。
近年、模倣品(コピー商品)の被害に遭う企業が増加しており、流通被害のほか、自社の責任が問われたり、ブランド価値が低下したりと、さまざまな影響があります。そうした中、企業としては模倣品(コピー商品)をいかに対策するかが重要になってきます。
そこで今回は、模倣品(コピー商品)の手法や対策のポイント、そして具体的な対策となる技術を、アナログからデジタルまで一挙にご紹介します。

模倣品(コピー商品)による企業活動への影響

●模倣品・海賊版の流通被害総額

模倣品(コピー商品)は、近年、どれくらい出回っているのでしょうか。

日本の行政機関である特許庁の報告によると、日本企業において2020年の世界での模倣品被害総額は、約3.2兆円と推計されています。2021年の東京オリンピック・パラリンピックの経済効果が数兆円規模と言われていることと比べると、その大きさがわかるでしょうか。

模倣品・海賊版の被害額が大きい業界としては、自動車部品・医薬品・PCプリンタ・電子機器・化粧品・医療機器などが挙げられます。

●コピー商品が出回ることのリスク

1. 逸失利益の発生
自社の模倣品(コピー商品)が出回ることにより、模倣品(コピー商品)のほうが自社商品よりも安く販売されていれば、売上が模倣品(コピー商品)に取られてしまうので、売上が低下する恐れがあります。

2. 健康被害
模倣品(コピー商品)によって何らかの事故が起きてしまい、消費者に健康被害が生じる恐れがあります。その場合、正規品の企業には、問題になったのは自社製品ではなく模倣品(コピー商品)であることを立証する責任が課され、立証ができなければ、現場に残された商標その他形式的な手がかりのみにより、問題製品のメーカーであると認定されてしまうリスクがあります。

3. 風評被害・ブランド価値の低下
問題になったのは自社製品ではなく模倣品(コピー商品)であることを証明して情報発信できなければ、風評被害による消費者離れやブランド価値の低下といったリスクもあります。

模倣品(コピー商品)の手法

模倣品(コピー商品)の対策を取るには、まずどのような模倣の手法があるのかを知っておくことが重要です。模倣品(コピー商品)は、大きく3つの模倣の手口が使われています。

1. ブランド偽装
企業のロゴや商品名を偽り、正規品と見分けがつかない状態で販売する手法です。

2. 横流しによる不正流通
正規品を、本来の商圏以外の地域やインターネットで横流しし、安価に販売する手法です。商品自体は偽物ではなく本物ですが、これにより市場が値崩れを起こし、正規ルートの販売で見込んでいた利益が出なくなってしまいます。

3. 容器・包装の再利用
正規品の使用済みの容器を回収し、ニセモノを詰めて販売する手法です。

このような模倣品(コピー商品)は、企業のバリューチェーンにおいて、さまざまなところから侵入します。

メーカーや税関、販売会社・小売店、消費者のうち、いつ・どこで・どのような被害が発生するのかを見極め、発生源を特定することが重要です。

知的財産権取得について

知的財産権とは、様々な創作活動によって生み出されたものを、その創作者の財産として保護するための制度です。この知的財産権を取得するためには、知的財産の種類に応じた申請が必要となりますが、この権利を取得することで税関での取り締まり等のメリットが生じます。
さらに、法的に保護されることで公的機関からのサポートを受けることも可能になったり、ライセンス販売等によるビジネスを行ったりすることができる等、知的財産権の取得には多角的なメリットがあります。

※海外生産商品等においては、生産自体を取り締まるためにその製造国で知的財産権を取得する必要があります。

また、実際に知的財産権を侵害されていると分かった際には、法的に対応することが可能です。
具体的には以下のような対策が取られることが多くあります。
①差し止め請求
②損害賠償請求
③刑事告訴

法的な内容については、知的財産を侵害されているのではと思ったタイミングで弁護士に相談するのが良いでしょう。

これらから、自社独自の製品に対して知的財産権を取得することが、模倣品対策等を行う上での大前提といえます。

模倣品(コピー商品)対策のポイント

現在、模倣品(コピー商品)対策には、さまざまな種類があります。ただ闇雲に実施するのではなく、実効性の高い模倣品(コピー品)対策が重要になってきます。

その際、「現状把握」「実施対策」「周知運用」の3つのステップで進めることで実効性のある対策を実現することができます。
中でも「実施対策」の部分では、模倣品(コピー商品)を見分けることができる仕組みを作ることが効果的です。

【Point】「正規品の情報」を「必要な人に伝える」作業が大事

実効性の高い模倣品対策を行うために、最も重要なのは「正規品の情報」を「必要な人へ伝える」作業です。


●正規品の情報の伝え方

正規品であるという情報を伝えるには、真贋判定技術、つまりホンモノであるという目印を導入します。例えば、ホログラムや光るインキなどを商品パッケージ等に施すことで、販売店も一般消費者も目視で確認できます。

また、専用のフィルタをかざして文字が浮かび上がるのを確認するフィルタ検証など、簡単な器具を用いて確認する方法、QRコードなどを施し、スマートフォンで読取するというデジタル判定で確認する方法もあります。

●正規品の情報を伝える相手

さまざまな技術がありますが、メーカー、税関、販売会社・小売店、消費者の誰を対象に、真贋判定できるようにするかで、導入すべき技術が変わってきます。まずは、正規品の情報を伝える相手を特定することが必要です。

コピー商品対策技術の種類

具体的にコピー商品対策となる技術の種類を5つのカテゴリーに分けて解説します。

●特殊製版

例:マイクロ文字網点、コピー牽制、万線潜像など

特殊製版は、特殊な印刷を施すことで、コピーや製版データの複製を困難にする手法です。例えば、網点をマイクロ文字で表現するマイクロ文字網点は、コピー機で複製しようとすると文字が潰れます。また、マイクロ文字の並び方や大きさが不規則であるため、製版データを複製して印刷するといったことも非常に困難です。

●特殊印刷

例:凹版印刷、印刷チェンジング、レインボー印刷など

特殊印刷は、凹版印刷やレインボー印刷など、特殊な印刷を施して、複製を困難にする手法です。中でも凹版印刷は、各国の紙幣やパスポートに用いられている偽造防止技術で、見る角度を変えると、文字や絵柄が現れる潜像表現といった方法が取られています。

●セキュリティインキ

例:蛍光インキ、カラーシフトインキなど

セキュリティインキとは、セキュリティを特殊なインキによって実現するものです。例えば、蛍光インキで印刷すると、肉眼では見えませんが、ブラックライト等で紫外線を当てると鮮やかに蛍光発光するため、多くの金券類に採用されています。カラーシフトインキは、傾けると色が変化して見えるので、肉眼での真贋判定が容易に行えます。世界各国の紙幣にも使用されています。

●ホログラム

例:クリスタグラムなど

ホログラムは、クレジットカードや商品券などに印刷されている偽造防止技術で、例えば、傾けると立体的な物体やレインボーの色変化を見せることができます。
TOPPANのオリジナルホログラム「クリスタグラム」は、半導体部品の製造に使われている電子ビームを応用し、明るく高精細な画像を作成するほか、独自の視覚効果を実現するホログラムとして、クレジットカードや有価証券などの偽造防止に多く採用されています。

●デジタル

例:クラウドID認証、RFID、バーコード認証方式スマホ真贋判定×ホログラム、など

デジタル技術は、近年、多様な技術が登場しています。例えば、製品に付けたIDをスマートフォンまたはパソコンから入力すると、WEBを経由してIDの真贋判定ができるクラウド型ID認証「ID-NEX®真贋判定サービス」などがあります。

まとめ

コピー商品が出回ることは、自社にとって多大な影響を及ぼします。積極的に対策を実施する必要がありますが、重要なのは「正規品の情報」を「必要な人に伝える」というポイントを押さえて導入することです。

一般の消費者に伝えたいのであれば「目視で簡単に真贋判定できる技術」、税関職員などの関係者だけに伝えたいのであれば「専用の器具を用いる技術」といったように、目的に合わせて対策を実施することが効果的です。

TOPPANでは、ホログラム、特殊印刷、セキュリティインキ、デジタル判定など模倣品対策技術を幅広くラインアップしており、お客さまの課題に応じてご提供が可能です。

自社製品・ブランドをコピー商品から守るためにも、ぜひ対策技術の導入をご検討ください。

2022.06.07