コラム

セミナーレポート
デジタルにも紙にも対応
「ハイブリッド商品券サービス」
デジタル商品券と紙商品券、両方の清算データを統一・一括管理いたします。

※本記事は、2022年1月19日開催した、当社セミナーのレポートです。

「ハイブリッド商品券サービス」は、発行された紙商品券とデジタル商品券の精算データを統一化し、一括管理することで、業務負荷を最小限に抑えることが可能となります。


有価証券印刷はTOPPANのルーツであり、「凸版印刷」の社名は、1900年に大蔵省出身の技士が、当時の最新製版技術である、エルヘート凸版法をもって設立したことに由来します。創業以来、有価証券印刷を手掛けて1世紀の歴史と伝統を持ち、独自のセキュリティー管理体制・ノウハウを培ってまいりました。現在、国内トップクラスの製造量を誇り、多くの実績をいただいています。

今回のセミナーでは、自治体をはじめとする商品券発行元さまに向け、「ハイブリッド商品券サービス」の特徴をご紹介しました。


デジタルにも紙にも対応「ハイブリッド商品券サービス」

商品券やクーポンのデジタル化によるメリットと課題とは

現在、発行されている商品券は、大きく分けて「紙商品券」と「デジタル商品券(スマホ型/カード型)」があり、デジタル化の検討が急速に進んでいる状況です。
商品券やクーポンのデジタル化においては、次のような多くのメリットが考えられます。

・1円単位で使えて、使い勝手がよい
・事務処理の効率化アップ
・回収処理のコスト削減
・加盟店の入金処理の迅速化
・製造期間の短縮化
・偽造リスク回避
・印刷コスト削減
・販売にかかる人と手間の大幅な削減
・人と人との接触が減り、感染症対策に
・買い占めや転売、紛失や破損のリスクが減少 など

しかし、ご年配の方やスマートフォンを持たない方からは、扱い慣れた従来の紙商品券を求める声も少なくありません。そのため、一つの商品券事業で紙とデジタル両方の形態で発行する「ハイブリッド型」が近年全国で多く見られます。

この「ハイブリッド型」を導入するにあたり、新たな課題が浮上しています。紙商品券とデジタル商品券の両方を発行する場合、製造業者が異なる場合がほとんどです。清算データの管理方法が異なるため、それぞれに入金などを含む事務処理が発生し、業務負担が2倍になる可能性があります。

TOPPANの「ハイブリッド商品券」はこういった課題を解決するため、紙商品券とデジタル商品券の両方の商品券発行に対応し、清算データの統一と一括管理を可能としました。これにより、業務負荷を最小限に抑えることが可能になります。

偽造防止対策やセキュリティは?

お金と同じ価値を持つ紙商品券は、必ず偽造被害のリスクが発生します。そのため複数の技術を組み合わせて、次のような偽造防止対策に取り組んでいます。

<偽造防止対策>
①特殊抄造紙:汎用スレッドホログラム用紙
・ホログラムの製造技術と用紙の特殊抄造技術を複合し、高いセキュリティレベルを確保。
・ホログラムはTOPPANオリジナルデザインの“SAFETY”柄。幅1.2 mm の細い糸状に加工して紙にすき込む。

②特殊製版技術:マイクロ文字
・0.3mmといった細かい文字。ルーペで拡大してようやく判別できる微細文字製版技術。

目視で確認できるホログラム技術と、機械を使って確認できる製版技術を組み合わせることにより、偽造耐性を向上しています。


<製造工場>
紙商品券は、国内トップクラスの生産実績を誇る有価証券の専用工場において、万全のセキュリティー管理のもとで製造します。
朝霞証券工場と滝野証券工場は、弊社の製造部門における100%子会社です。

朝霞証券工場の実績
・有価証券印刷(宝くじ、株主優待券、商品券など)
・株主優待券回収読取代行
・磁気カード
・情報処理/出力/DM
・ICカード発行業務
・ISO9001、ISO14001、ISO/IEC27001、ISO22301 取得工場

滝野証券工場の実績
・有価証券印刷(株主優待券など)
・プリペイドカード、ICカード、磁気カード
・情報処理/出力/DM
・ICカード発行業務
・ISO9001、ISO14001、ISO/IEC27001、ISO22301 取得工場

利用者も加盟店も使いやすい「デジタル商品券」

TOPPANのデジタル商品券は、利便性を考慮し、「消費者向けのアプリ」「加盟店向けのWebアプリ」を準備しています。

<消費者向けアプリ>
直感的に利用できる画面遷移や操作性に加え、スマートフォンに慣れていない方でも利用いただきやすいデザインを意識しています。デジタル商品券サービスでは、「地域Pay」のシステムを活用しています。
※「地域Pay」は、自治体や商店街における独自の電子マネー(プレミアム商品券、給付金、クーポンなど)を、地域の特徴に応じて組み合わせてデジタル化するプラットフォームサービスです。

機能① バリュー管理機能
共通券、専用券を管理することで、使用できる加盟店を制御

機能② 支払い機能
スマートフォン画面にQRコードを表示して決済するCPM方式、店頭のQRコードを読み取って決済するMPM方式の両方に対応

機能③ 加盟店検索機能
スマートフォンのGPS機能を利用して、近くの加盟店を検索する機能を実装


<加盟店向けWebアプリ(CPM方式)>
ブラウザで利用できる決済サービス。PCやタブレット、スマートフォンなど、決済端末を選ばず利用できるため、加盟店さまの導入負荷を抑えられます。

「業務メニュー」、「QRコード読取画面」「利用画面」の、たったの3ステップで決済作業が可能です。

紙商品券のセミデジタル化で、入金をスピード化

デジタル商品券のメリットに含まれる、「事務処理の効率化アップ」、「回収読取コスト削減」、「加盟店への入金処理の迅速化」については、紙商品券をセミデジタル化することで可能となります。
通常の回収消込のフローでは、商品券が使用されてから加盟店に入金されるまで、場合によっては2カ月程度を要しますが、QRコード読み込みによる消込フローを導入することで、早くて1~2週間で完了します。

このように、紙商品券とデジタル商品券の清算データを統一し、一括管理を可能とする「ハイブリッド商品券」。昨今は多くの紙媒体がデジタルへシフトしていますが、TOPPANではこれまでに築き上げた豊富な経験を生かし、商品券の発行主体となる自治体さま、企業さま、加盟店さまに「簡単・便利」をお届けいたします。

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

凸版印刷株式会社
DXデザイン事業部 事業推進センター
和栗 大(わぐり ひろし)

2022.01.19