CO2削減のためにできること|基礎知識から建築分野の取り組み例
昨今、様々な分野において温室効果ガスとなるCO2(二酸化炭素)の削減が取り組まれていますが、なぜ排出量を減らさなくてはいけないのか、どのような取り組みが行われているかを知らない方もいるでしょう。
そこで本記事では、CO2削減の必要性や建築分野の重要性、具体的な取り組み例について詳しく解説します。CO2排出量削減に貢献できる環境配慮型内外装材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
■ CO2削減の必要性
■ 建築・建設分野の取り組みが鍵を握る理由
■ 建築に係る部門・行動別で見るCO2排出量
■ 建築・建設分野のCO2 削減に向けた取り組み例
■ 地球環境に配慮したTOPPANの建築内外装材
■ まとめ
■ CO2削減の必要性
CO2(二酸化炭素)は温室効果ガスの一種で、メダンガスなどと同様に本来は地球から宇宙に熱が放出するのを防ぎ、生物が暮らす地表付近を快適な温度に保つために欠かせない気体です。
しかし、温室効果ガスが増えすぎると、地球の温度が上昇し、温暖化と呼ばれる状態になります。1986〜2005年の地上気温と2081〜2100年平均の差を見ると、今後温暖化がより一層進むことは歴然です。
地球温暖化は単に気温が上昇するだけではなく、以下の変化をもたらすとされています。
・海面上昇による陸地の減少や砂漠化
・生態系の変化
・大雨・洪水・台風の増加や異常気象
・伝染病の増加
・食糧難
【ポイント】
全世界で人為的な要因により排出される温室効果ガスの約75%、日本国内では約92%がCO2(二酸化炭素)で、主に化石燃料の燃焼時や、廃棄物の焼却時に大気中へ多量に放出されます。
地球の気温が上昇し続けている現状を打破するためには、最も多い温室効果ガスであるCO2の排出量を減らす必要があるのです。
■ 建築・建設分野の取り組みが鍵を握る理由
ほとんどの分野でCO2を排出していますが、その中でも建築・建設分野に関連するCO2排出量は多く、全体の37%程度と言われています。
37%を少ないと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、国内総生産(GDP)における建築建設業の割合は5〜7%とその影響は決して小さくありません。建物の建設・利用・解体と複数の段階それぞれで多くのCO2を排出する点もポイントです。
上のグラフで建築に関わるのは以下の項目です。
・産業部門▶︎建材(原料含む)の製造や加工
・運輸部門▶︎建材の運搬
・業務その他部門▶︎施工や非住宅建築物の利用
・家庭部門▶︎住宅の利用
・廃棄物▶︎解体材などの産業廃棄物最終処分
【ポイント】
建設建築分野が社会全体のCO2削減に向けてできることは多く、それぞれの段階(設計デザインや施工、建物利用、解体など)における工夫や取り組みが重要視されています。
■ 建築に係る部門・行動別で見るCO2排出量
世界における建築物に関連するCO2排出量は37%で、さらにそれを細かく見ると建材の製造等に伴う排出と、建築物の使用に伴う排出に分けられます。
【建材の製造等に伴うCO2排出(エンボディドカーボン)】
▶︎建設段階(材料調達・資材製造・運搬・施工)+維持管理段階(維持・修繕・補修)+解体段階(解体作業・廃棄物輸送・廃棄物処理)
【建築物の使用に伴うCO2排出(オペレーションカーボン)】
▶︎使用段階(空調・給湯・照明などのエネルギー消費)
エンボディドカーボンとオペレーションカーボンを合わせたCO2排出量をLCCO2(ライフサイクルカーボン)と呼びます。
【ポイント】
これまでは、建物の使用に伴うCO2排出量削減に向けた取り組み(省エネ基準施策の推進等)がなされてきましたが、それだけではこれ以上の削減は難しいのが現状です。
そのため、今後は建材の製造や建設、解体に伴うCO2削減に向けた取り組みが不可欠とされています。
■ 建築・建設分野のCO2 削減に向けた取り組み例
最後に、建築・建設分野で実際に取り組まれている内容を段階別に紹介します。
資材製造での取り組み
建築資材は、その生産から解体まで全ての段階において、環境に影響を及ぼします。逆に言うと、建築資材の環境負荷低減と資源循環(リサイクル・リユース)によって、持続可能性が高まるということです。
資材製造の段階では、具体的に以下の動きが加速しています。
・耐久性を高めるための技術開発
・製造時におけるエネルギー効率化のための技術開発
・廃棄物の発生を最小限に減らすための資材生産プロセス構築
・再使用・再生利用のための技術開発(3R※・5R※の実現)
・環境及び生物に影響を与える汚染物質排出の低減
・環境への影響に配慮した原材料の選定・調達
※3R:Reduce(製造時の資源量を少なくすることや廃棄物の発生を抑制すること)、Reuse(使用済み製品全体や部品を繰り返し使うこと)、Recycle(廃棄物を原材料やエネルギー源に戻して有効利用すること)の3つの言葉の頭文字をとった標語
※5R:3RにReturn(使用済み製品を販売店やメーカーに戻すこと)もしくはRefuse(廃棄物になるものを買ったりもらったりしないこと)、Repair(製品を修理や修繕しながら長年使い続けること)を加えた標語
設計段階での取り組み
建物の設計デザインにおいてもCO2削減をメインコンセプトに掲げる事例が増えています。以下の手法が主な設計手法です。
・最高グレードの断熱性能(気密性能)
・高効率設備(給湯・空調・照明など)の導入
・自然エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱)の導入
・建物・建築材料の長寿命化(建て替え・改修・補修の周期が長くなり、エネルギー消費(=CO2排出)を削減に)
・パッシブデザイン※の採用
・環境配慮性を含めた材料選定(LCCO2が少ない・焼却時に有毒ガスがでない材料)
・スマートビルディング※・スマートシティ化
※パッシブデザイン:機械設備に頼らずに快適な空間を作り出す設計手法で、ルーバーによって日射熱を取得・遮断して空調エネルギーを削減したり、太陽光・自然風・地熱を利用したりする
※スマートビルディング:照明や空調、セキュリティなどの設備をIoTとAIを活用して一元管理し、エネルギー消費量を最適化するためのシステム
【ポイント】
TOPPANは製造時のCO2排出量※と燃焼時の有毒ガス発生が少ないオレフィン化粧シートを用いて、内外装用の不燃意匠材「フォルティナ」「ローバル」を製造しております。
※塩ビ系素材と比較した場合
施工段階での工夫
施工段階の工夫によっても建物のLCCO2を削減できます。
・製品の輸送効率向上(国産のものを採用し、運輸距離を短くする等)
・端材・残材等の発生抑制
・施工における省エネルギー(高効率重機やLED照明の採用)
建物使用段階での工夫
建物使用段階のCO2排出量(=オペレーションカーボン)削減は、建物利用者の取り組みに加えて建物の性能が影響します。
・空調・給湯・照明における省エネルギー化(CO2排出量は、使用段階が占める割合が最も大きい)
・耐久性の向上・メンテナビリティ(更新・補修・改修の容易性)への配慮(建物寿命が延びてライフサイクルにおける省エネ化に)
解体・廃棄段階における環境配慮
近年は、これまでの“スクラップ・アンド・ビルド”の考え方から、建物を「長く大切に使い続ける」考え方に移行していますが、既存建物などをやむを得なく解体する場合は以下の取り組みが実施されています。
・最終焼却廃棄物の削減(建材のリサイクル率アップ)
■ 地球環境に配慮したTOPPANの建築内外装材
TOPPANは1900年の創業以来、SDGs実現に向けた社会的課題の解決に取り組み、高耐久で環境配慮型の建築内外装材を開発製造しております。
【TOPPAN内外装材の特徴と強み】
・長年培った高度な印刷技術によって木目と質感をリアルに再現
・製造時のCO2排出量が少なく燃焼時にも有毒ガスがでないオレフィンシートによる環境配慮性の高さ
・高耐久・長寿命(特に耐候性の高い外装仕様も)
・メンテナンスフリー(定期的な塗装は不要)
TOPPANでは、オレフィンシートを用いた意匠材・化粧パネルに加えて、人工木材も製造しております。
フォルティナ
フォルティナは、高意匠・高性能で環境負荷の少ない(対塩ビ系材料比)オレフィン系化粧シートとアルミニウムを組み合わせた内外装不燃アルミ意匠材です。印刷会社として培ってきた最先端の印刷技術によって、自然素材が持つ風合いを可能な限り再現しています。
形状のラインナップは、ルーバー・スパンドレル・手すり・リブパネル(フォルティナレッジ)と多岐に渡るため、様々な規模・用途の建築物へご採用いただいている人気製品です。
ローバル
ローバルは、「デザイン・環境配慮・ 抗ウイルス&抗菌」の3つの特徴を備えた内外装不燃化粧パネルです。
48種類もの色柄ラインナップとスタンダードの長方形以外に矢羽形・五角形・三角形・風車形などの異形貼りを組み合わせることによって、多彩なデザインを表現できます。
TOPPANマテリアルウッド
TOPPANマテリアルウッドは、廃木材と廃プラスチックから作ったアップサイクルなリサイクル建材です。耐候性が高いので、ウッドデッキやベンチの材料としてご採用いただけます。
また、押出成型品であるため、天然木では難しい複雑な断面形状や自由な長さ(最大長さ4,000mmまで)を実現できる点もポイントです。天然木の欠点であった節やとげ、ささくれが無いので、ムラのない安定した品質をお約束いたします。
■ まとめ
CO2削減は、地球温暖化対策として最も有効とされている対策のうちの1つで、世界一丸となって取り組んでいます。いくつもある産業の中で、建築・建設分野は多くのCO2を排出しているため、今後の削減に向けた取り組みが注目されています。設計デザインの際には、ぜひ「環境配慮」の観点からも材料を選定してみてください。
TOPPANでは、高耐久で環境に配慮しデザイン性を豊かにする内外装建材を開発・製造しております。「環境に配慮した建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
2025.09.19


