「無線がつながらない」を防ぐ
~工場IoTにおける通信設計の重要性~
本記事では、工場におけるIoT化・データ収集を目指す際にぶつかる壁となる、
無線通信の選定や設計について解説します。
・これまでIoTの導入を断念した
・有線でのデータ収集を断念したことがある
・IoTを導入したもののデータに欠損がある
こういった課題をお持ちの方に、解決策をご紹介します。
<目次>
■工場における無線通信の特徴
■無線通信を工場で活用する際の注意点
■工場で有効な無線通信ZETAとe-Platchのご紹介
■まとめ
■工場における無線通信の特徴
IoTによるデータ収集の手段には有線と無線の手段がありますが、工場においては「建屋構造による配線の難しさ」と、レイアウト変更を簡単にできない「柔軟性の低さ」が、有線ネットワーク構築の大きな障壁となっています。そのため、工場内のIoTを実現するためには、無線通信の活用も重要です。
工場環境下での無線通信の活用について
工場において通信を確立するに際して、考慮すべき様々な特徴があり、無線通信の確立、選定は、ビルや、オフィス空間、住居でのネットワークとは異なる難しさがあります。
①金属の障害物が多い環境
金属製の機械設備や壁などが多く配置されており、無線通信の電波が遮蔽され通信が不安定になりやすいです。
②広大な作業エリアと複雑な構造
数多くの区画やフロアが存在するため、特に建屋をまたいでの通信や地下との通信では電波の経路を確保しづらく、網羅的なネットワークの構築および検証がハードルとなります。
③ノイズ・電波干渉
類似の周波数が工場内の設備、あるいは近隣の工場で利用されていると電波が干渉しあい、通信を不安定にさせます。
このように、工場は無線通信を阻害する多くの要素があるため、一般的に用いられている無線通信方式では工場には適さないことがあります。
従来の無線方式の課題
Wi-FiやBluetoothなどの無線通信は一般的なオフィスや住居でも利用されていますが、工場のような過酷な環境にはフィットしづらいことがあります。
たとえば、
•電波の届く範囲が限定的で、遮蔽物の陰には通信が届かない
•使用している帯域が他の機器と競合しやすく、接続台数が増加したり、
伝送距離が一定以上になると通信が不安定になる
•消費電力が高く、センサーなどの電池寿命が短くなる
こうした特徴が、工場での無線IoT実現を阻む「見えない壁」となっています。
■無線通信を工場で活用する際の注意点
工場で無線IoTを効果的に導入するためには、現場特有の課題を十分に整理・分析したうえ、通信方式の選択や設計を行うことが不可欠です。
・用途・必要なデータ量・通信頻度を明確にする
まず、収集したいデータの種類・量・頻度によって最適な通信方式は大きく異なります。たとえば、計器や室温の温度や湿度といった1時間単位の計測を行いたい場合と、装置稼働の振動などを秒単位で捉えたい場合、対象を動画でモニタリングしたい場合とでは、要件が全く異なります。
•小さいデータ通信量・低頻度(環境モニタリング向け)
→ZETAなどのLPWA(Low Power Wide Area)系の無線が向いている
•大きいデータ通信量・高頻度(画像/動画、リアルタイム制御向け)
→Wi-Fiや5Gのような大容量無線通信
・工場内の障害物・レイアウト・設置環境を調査
現場のレイアウト、特に壁や機械の電波への影響をふまえて、機器の設置位置や設置計画を検討することが重要です。前述の通り、工場においては通信が届きにくいエリアもあるため、選定する通信が自社の現場で活用可能であるかを調査する必要があります。通信範囲を広げる主な手法として中継器で距離を延長する方式もありますが、机上では予測することは難しいため、実際に通信機を設置しながら設計する必要があります。
・メンテナンス工数・バッテリー、電池の管理
電源駆動の機器は電池消耗の心配はありませんが、防水対策や、配線がハードルになることが多いです。一方で電池駆動のセンサーは、配線が不要なため置く場所を選びませんが、バッテリー残量の管理や電池交換の手間があります。定期的な電池交換が現場作業者の負担となる場合が多いため、なるべく低消費電力で、長期間維持できることが運用上は重要です。
・将来的な規模拡大を見据えた拡張性
最初は小規模な導入でスタートした場合も、IoTの有用性が実証できれば、将来的には他の工程・現場への無線通信網の拡張も想定されます。拡張性のある無線通信や、網羅的なセンサーラインアップ、安定したサポート体制を持つサービスを選ぶことで、手戻りの少ない継続的な拡張を実現します。
■工場で有効な無線通信ZETAとe-Platchのご紹介
課題の多い工場での無線通信ですが、近年では工場用途に特化した新しい無線通信技術やIoT基プラットフォームも登場しています。この章では、「ZETA」と「e-Platch」という工場IoTに適した解決策をご紹介します。
ZETAの特長
ZETA通信は工場に特化したLPWA(低消費電力・広域無線通信)技術です。ポイントは工場のような広大・複雑で、障害物が多い環境でもつながりやすいことです。
ZETAの大きな強みとしてここでは3つの特徴を紹介します。
①見通し10~20kmの通信が可能
使用する周波数帯が狭い(超狭帯域)ため、電波干渉の影響を受けにくく、見通しのよい理想的な環境であれば10~20KMの通信が可能。
②中継器により、施設全体をカバーするネットワーク
ZETAでは基地局~センサー間を複数の中継機で経由可能なため、死角になりやすい場所もカバーでき、安定通信を可能にします。
③低消費電力による長時間運用
省電力設計の通信機・センサーにより、3~5年といった長期の電池駆動が可能です。設備点検の手間を軽減します。
e-Platchの特長
e-Platchは、TOPPANが開発したIoTデータ収集・統合管理プラットフォームです。異なる機器・通信方式のセンサーやシステムを柔軟に統合し、「データの見える化」「遠隔監視・通知」といった業務改革を下支えします。
e-Platchの大きな強みとしてここでは3つの特徴を紹介します。
①ZETAを利用した安定した無線通信
ZETAの利用により安定した通信が可能です。
②既存設備との連携・拡張性
有線/無線問わず、既存の各種設備(4-20mA、アナログメーターなど)の信号も集約し、一元管理が可能です。小さく始める導入が多いですが、e-Platchは拡張性が高く、後から装置やエリアを無理なく広げることができます。
③データ可視化・遠隔通知・アラート発報
集めたデータをダッシュボードに表示し、異常値の自動発報・メール通知、を通してデータ収集、分析、対応をサポートします。
活用例
ZETAとe-Platchを活用することで、温度・湿度監視、設備稼働監視、工場内の環境管理、異常検知など、多様な用途で導入例があります。
•工場内の温湿度など環境値の自動記録
•電力利用量や稼働状態の記録
•機器異常や排水処理などの監視
などの、様々な用途においてお客様にご活用いただいています。
■まとめ
工場のIoT化で躓きがちな無線通信の壁として、「通信が安定しない」、「広い範囲をカバーできない」、「メンテナンスが面倒」などがありますが、現場・目的に合わせた無線通信の選定と最適な設計によって課題を乗り越えることができます。
e-Platchであれば、ZETA通信の活用により、工場においても安定したネットワーク構築が可能です。ご検討の際は現場ごとの要件整理から現地検証を含めての通信の確認までサポートします。まずはお気軽にTOPPANまでご相談ください。
2026.02.10

