コラム

工場内のネットワークの重要性と種類

製造業においては人手不足や業務の効率化が求められ、
工場のDXやIoT化への注目が高まっています。
ただし、これらを実現するためには、土台となるネットワークの構築が必要不可欠です。
本コラムでは、工場におけるネットワーク構築にあたっての課題や、考え方、
また効率化を実現するためのネットワークの一例をご紹介します。


◎◎

<目次>
■工場におけるネットワーク構築の重要性
■ネットワーク構築の手段
■無線ネットワークの種類
■工場内のネットワークにおけるよくある課題と解決策
■工場内のネットワークのあるべき姿とは
■まとめ


■工場におけるネットワーク構築の重要性

製造業においてグローバル化が進む中、工場の稼働率、業務効率化は最重要課題となっています。
そして、これらの実現にはDXやIoTの導入が不可欠です。

DXは「Digital Transformation」の略語であり、デジタルによる変革を実現することを指します。
データやデジタル技術を用いて業務やビジネスモデルを改革して、
組織そのものを変革させる取り組みです。
特に製造業においては、現場の勘や熟練の技によって解決している課題が多くあり、
これらをデジタルの技術を活用することによって大きく変革させることが可能です。

IoTは、「Internet of Things」の略語でモノのインターネットと訳されています。
従来インターネットに接続されていなかった様々な機械や設備、センサーなどが
ネットワークを通じて接続され、相互に情報交換をする仕組みです。
製造業においては、「見える化」と同義で語られることもあり、
工場の様々な情報を可視化することにより情報の管理を実現し、業務の効率化を図ります。

このような、DXやIoTの実現のためには、
ネットワークを活用することでデータ収集やデジタル化を進めていく必要があります。
しかし、工場の業務改善のためにはネットワークの構築が課題となるケースが多く、
従来の通信手段だけでは難しい場合もあるため、
このような場合は新たなネットワークの構築が必要です。


■ネットワーク構築の手段

ネットワークの構築にあたっては様々な手段がありますが、
それぞれメリットとデメリットがあり目的と状況に応じて最適な手段を選択する必要があります。

まずネットワークを構築する手段として「有線」と「無線」に分けられます。
従来、工場においては有線を活用しているケースも多くがありましたが、
最近は無線ネットワークの重要性も増しており、それぞれを使い分ける必要があります。

有線ネットワーク

有線のネットワークの代表例としてはPLCや有線LANなどが挙げられます。
有線の特徴は、物理的にコードが切れない限りは安定してネットワークを活用することができ、
無線ネットワークと比較すると高速で大容量の通信が出来ることです。

ただし、物理的なコードが必要となるため配線の引き回しが課題となるケースもあり、
そもそもコードが届かない場所においてはネットワークの構築が不可能です。
工場においては、既に多くの設備が配置されている状態のため、
これらの設備の位置関係を考慮しながら配線を検討する必要があります。

有線の引き回しにあたっては多額の配線工事費用が発生する上に、
工場の稼働スケジュールと照らし合わせながら工事日程の調整をする必要もあり、
作業的な負荷も非常に重いです。

無線ネットワーク

無線のネットワーク代表例としては、無線LANや5G、LPWAなどが挙げられます。
これらの特徴は、有線のような配線作業が発生しないため、
直ぐに導入でき、導入の際のコストも低額に抑えることが可能であることです。
また、物理的、位置的な要求が少ないため、
レイアウトの変更や、移動体への対応が可能になっているという点も大きなメリットです。
一方で、有線と比較すると、通信速度や安定性に欠けているというデメリットがあり


このように、有線ネットワークと無線ネットワークにはそれぞれメリット・デメリットがあり、
それぞれの特徴を理解しながら、使い分けることが重要です。

一般的に工場の立ち上げ時には有線ネットワークを構築することが多いですが、
立ち上げ以降の機器をこのネットワークに組み込むのは難しいケースもあり、
このような場合は無線通信を活用することで、
より多くの場所、設備をネットワークの中に組み込むといった考え方も可能です。


■無線ネットワークの種類

無線ネットワークの中にもさまざまな種類があり、
導入内容によって活用するネットワークを使い分けることも重要です。

ここでは、よく使用されるネットワークの一例と、それらの用途をご紹介します。

・LTE

「Long Term Evolution」の略称で、携帯電話専用の通信規格の1つです。
第3世代携帯電話(3G)と第4世代携帯電話(4G)の中間に位置する規格ですが、
LTEと4Gは一般的に同じ意味で扱われており、現在、携帯回線における主流となっています。

回線契約さえすればすぐに使用することが出来ますが、
工場の中には地下や入り組んだ屋内などの電波の届かない圏外のエリアがあるため、
工場全域のネットワークとして使用するには難しいです。

・無線LAN(Wi-Fi)

LANとは「Local Area Network」の略称で、
社内や敷地内(建物内)の比較的狭いエリアのネットワークを指す言葉です。
LANはルーターを介することでインターネットに繋がります。

従来は有線LANが広く使用されていましたが、近年は無線LANの活用が広がっています。

有線LANの場合、
ルーター配下ではLANケーブルを使ってルーターと他のネットワーク機器を繋ぎ、
末端にはプリンター、PC、サーバーなどの機器を接続することでネットワークを構築します。

一方で無線LANは、LANケーブルの代わりに無線を使い、電波で通信を行う仕組みです。
厳密には異なりますが無線LANは、一般的にはWi-Fiと同じものとして扱われています。

自前でのネットワーク構築を行うため、
4G等の携帯回線と比較するとカバーできるエリアに限りがあり、
特に屋外までネットワークを構築するのは難しいケースも多いです。

施設内のPC等のインターネットへのアクセス、プリンターとPCの連携等に活用されます。

・5G/ローカル5G

5Gとは「5th Generation」の略で、第5世代移動通信システムを表しています。
4Gと比べると通信速度はおよそ10倍、遅延はおよそ10倍の精度、
同時接続台数はおよそ30~40倍になります。
LTEと同じく基本的には通信事業者によって提供されています。

その中でも工場での活用が期待されるローカル5Gとは、
一部のエリアまたは建物・敷地内に専用の5Gネットワークを構築する方法です。

一般的な5Gが公衆型のネットワークである一方で、
ローカル5Gはプライベートのネットワークです。
Wi-Fiと比較して広範囲のカバーが可能であり、
通信トラブルの影響を受けにくいなどの特徴があります。

一方で、使用にあたっては免許の取得が必要であり、
最新の通信を立ち上げるため、導入時・運用時のコストも多額になる場合が多いです。

ローカル5Gは、機器の制御や機器の動画や画像データの送信などを導入した際に使用されます。

・LPWA

LPWAとは、「Low Power Wide Area」の略称で省電力広域ネットワークと呼ばれ、
少ない電力で数キロ〜数十キロの広い範囲で通信が可能な特徴を持つ通信方法のことです。
通信速度は他の通信技術に比べると遅いですが、
電池だけで数年単位の長期間稼働が可能で、
コストが安価などの理由から、IoTの分野で多くの注目を集めている通信技術です。

このように工場の中でも活用できる通信技術には様々な種類が存在しており、
それぞれの活用方法と用途に合わせて最適な通信を選択する必要があります。


■工場内のネットワークにおけるよくある課題と解決策

なお、工場のネットワークにおいてよくある課題やその解決策は以下の通りです。

〇ネットワークの遅延と中断
工場内では多くの機器が同時にネットワークを使用するため、データの遅延等が起こることがあります。高品質なスイッチやルーターを利用してネットワークの帯域幅を増やしたり、工場内のネットワーク設計を見直して冗長性を持たせることで一部の機器がダウンしても生産ライン全体への影響を最小限にとどめることが必要です。
〇セキュリティの問題
工場のネットワークは外部からの攻撃に対して脆弱な場合があります。
セキュリティ対策のシステムを導入することやデバイスごとにセキュリティレベルを設定して、不要な通信は遮断することが必要です。

工場のネットワークにおける様々な課題に適切に対応することで、より効率的で安全に工場内のネットワークを運用することができます。

◎◎

■工場内のネットワークのあるべき姿とは

工場内では以下のようなポイントを踏まえ、ネットワークを構築することが大切です。

〇高い信頼性と堅牢性
ネットワークの重要な部分には冗長性を持たせ、一部が故障しても全体のシステムが停止しないようにすること、また工場環境の振動や温度などの特性に耐えられる設計とすることが必要です。
〇高い通信効率
製造プロセスの監視や制御には、遅延が許されないため、リアルタイム通信が可能なネットワークが必要です。また大量なデータのやり取りが行われるため、適切な帯域幅の確保と管理が重要になります。
〇統合管理
ネットワークの設定、監視、トラブルシューティングを効率的に行うために管理を一元化することが大切です。

■まとめ

ここまで工場において業務改善を実現するためには、
ネットワークが重要であること、
無線ネットワーク構築にあたっては無線通信の選定が重要であることについて説明しました。

このような無線通信を使用することでDXの実現が可能です。
弊社は業務改善の手段としてIoTサービス「e-Platch」のご提案が可能です。

前述の通り工場には可視化されていなかったり、管理されていないデータが大量にあります。
データを見える化することがDX、スマートファクトリーへの取り組みの第一歩となります。

工場の業務改善を検討されている方、
無線ネットワークの選定にお悩みの方は弊社にご相談ください。

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2024.10.23

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