工場における臭い問題への対策
工場においてはいくつかの要因により強い臭いが発生することがあります。
工場から発生する強い臭いや悪臭は、
大気汚染や水質汚濁、騒音と並び公害の一つとして、る重要な課題として注目されており、
化学工場や食品加工工場をはじめとした、幅広い工場で発生しやすい問題です。
従業員の健康や生活の質、
さらには地域コミュニティ、近隣住民との関係にも大きな影響を及すため、
工場における臭いの管理、対策は非常に重要な問題です。
本コラムでは、工場における臭い対策の需要性、臭い問題への対策についてご紹介します。
<目次>
■工場の臭い対策が必要な背景
■工場の臭いの主な原因
■対策に必要なセンサー
■工場の臭い対策におけるポイント
■TOPPANの点検システム「e-Platch」
■まとめ
■工場の臭い対策が必要な背景
工場で発生する臭いは、公衆衛生や従業員の健康、安全の観点から見ても深刻な問題です。
臭い対策を放置した場合の悪い影響として次のようなものがあります。
・吐き気やめまいなど、社員の健康問題
場内で発生した悪臭が社員の体調不良を引き起こす可能性があります。
場合によっては吐き気やめまいなど、健康に対して悪影響を与えますが、
特に有機溶剤や酸性・アルカリ性物質の漏れは、即時の皮膚や呼吸器系への刺激に加え、
高濃度の場合には長期的な健康問題を引き起こす可能性があります。
また、明確な体調不良が起きなかった場合も集中力の低下を招くほか、
臭いが衣服に付着してしまった場合、従業員への心理的な悪影響を引き起こす可能性も有ります。
このように工場内で発生する臭いは多岐にわたり従業員に悪影響を与える可能性が高いです。
・近隣住民からのクレーム
工場で強い臭いが発生した場合、近隣住民からのクレームの原因となることがあります。
特に都市部や住宅地に近接する工場では、
臭い問題が地域社会との関係に悪影響を及ぼすリスクがあります。
工場が稼働し続けるためには、近隣住民への理解、協力が必要となるため、
悪臭を引き起こし続けた場合、地域社会からの反対を理由に、稼働停止となる可能性も有ります。
このような事故の発生は、企業の社会的評判にも影響を与え、
長期的なビジネスの持続可能性にも影響を与えるため、早急な対策が必要です。
・ガス漏れや化学物質の放出による事故リスク
悪臭の原因がガス漏れや化学物質の放出によるものであった場合、
火災や化学事故の危険性も抱えていることを意味します。
ガス漏れは特に化学工場や石油精製工場において特に顕著な問題であり、
硫化水素やアンモニア、一酸化炭素のようなガスが高濃度で漏れることは
人体に対して非常に有害です。
仮に、可燃性のガスが漏れてしまえば、火災や爆発の要因となってしまいます。
このような化学物質の漏れは、臭いを伴うことが多く、
それが早期発見の手がかりになるため、
臭いを検知することが出来れば早急な対策を実施することが可能です。
これらの理由から、工場における臭い問題は、従業員と地域社会の健康と安全を守るだけでなく、企業の社会的責任を果たすためにも極めて重要です。
■工場の臭いの主な原因
なお、工場の臭いが発生する主な原因には以下のようなものがあります。
〇化学物質の使用
工場ではさまざまな化学物質が使用されることがあり、これらが揮発して空気中に放出されることで臭いが発生します。例えば、塗料、溶剤、接着剤、洗浄剤などが一般的です。
〇製造プロセス
特定の製造工程自体が臭いを発生させることがあります。例えば、食品加工、プラスチック成形などがこれに該当します。
〇燃焼プロセス
ボイラーや焼却炉などでの燃焼プロセスも、未完全燃焼による臭いを引き起こすことがあります。
これらの要因が組み合わされることで臭いが発生しまうことが多くあります。
■工場の臭い対策におけるポイント
工場の臭いにおいては、以下のポイントを考慮して対策案を検討することがとても重要です。
〇臭いの発生源を特定する
まず臭いの発生源を特定し、その原因を理解することが大切です。特定のプロセス、材料、機械などが原因となっている場合があります。
〇定期的な清掃とメンテナンス
工場内の清掃を定期的に行い、機械や設備のメンテナンスを徹底することで、臭いの発生を抑えることが可能になります。
〇臭いのモニタリング
臭いのレベルを定期的にモニタリングし、そのデータを基に解決の為の改善策を講じることが効果的です。臭いセンサーや測定機器を導入するなどの方法が考えられます。
■対策に必要なセンサー
工場における臭い対策の第一歩として、臭いの検知が必要です。
臭いの検知に際しては原因に応じたセンサーが重要な役割を果たします。
これらのセンサーは、人に代わって複合的な臭いの強さを測定するセンサーと、
ガス漏れや薬品漏れなどの特定の成分に対して臭いの濃度を検知するセンサーに大別されます。
①臭いセンサー
臭いセンサーは、人の鼻に代わって臭いの強弱を測定することを目的としており、
臭いの強弱を測定できる「レベル値」と 嗅覚測定の「臭気指数」の数値化が可能です。
具体的には次の用途で機能します。
・悪臭吸着剤や消臭剤・脱臭装置や空気清浄機の性能評価
・工場周辺の環境管理として工場排気臭の測定、河川や工場排水の水質監視
②ガス検知センサー
ガス検知センサーは、工場内での特定のガスの漏れを検知することを目的としています。
硫化水素、アンモニア、一酸化炭素などの
特定の有害ガスに合わせたガス検知センサーを選択することで濃度を監視が可能です。
臭いセンサーと仕組みは類似していますが、
臭いセンサーでは特定の有毒ガスや可燃性ガスの濃度を測定したり、
ガス漏れを発見することは出来ません。
臭いセンサー、ガス検知センサーを活用することは、
人の嗅覚のように臭いへの順応や慣れが起こらないので定量的に測定が出来るというメリット、
人体に有害な臭いも測定することが可能というメリットがあります。
これらのセンサーを適切に配置し、定期的な監視を行うことで、
工場における臭いの発生状況を効果的に管理することが可能です。
■TOPPANの点検システム「e-Platch」
数時間に1回、巡回点検で数値を確認する方法では、
ガス漏れや悪臭が発生してから発見するまでに時差が発生します。
このような時差により、
事故発生から事故発見・対策を実施する間にもガスが漏れ続けたり、
悪臭を周辺環境に放ち続けることになってしまうため、
遠隔でのデータ管理を実現し、人の手をかけず迅速に事故を発見する必要があります。
TOPPANが提供する点検システム「e-Platch」は遠隔での臭いの監視をサポートします。
e-Platchにおいては、4-20mAやRS-485(Modbus RTU)、パルス、ドライ接点等の出力を利用することで、既存の計測器の無線データ化を実現する「ZETABOX」を実装しています。
ZETABOXを使用することによって、
現場で計測器が表示している数値を自動で収集することが可能になるため、
従来は現場に行って数値のチェックをしていた作業の負荷を軽減し、
仮に事故が発生した場合も被害を低減することが可能になります。
臭いの外部流出を監視する場合は工場の建屋外にセンサ―を置くことが多く、
またガス漏れのセンサーの場合は比較的閉じられた空間にあることも多いですが、
e-Platchは、どこでも繋がるZETA通信を使用することで
電波が届きにくい場所の臭いデータを収集することが可能です。
■まとめ
今回は工場において重要な臭い対策についてご紹介をしました。
工場からの悪臭やガス漏れは、単なる不快感を超えて、
従業員の健康や安全、環境保護、そして企業の社会的評価に直接的な影響を及ぼすため、
臭い対策への取り組みを強化する必要があります。
TOPPANは、計測器のデータを自動で収集することが可能な点検システム「e-Platch」による
臭いの管理をはじめとした点検作業の業務改善のご提案が可能です。
点検業務におけるお悩みをお持ちの方は是非ご連絡お待ちしております。
2024.10.23