コラム

パッケージの紙化でエコや環境配慮を実現するポイントとは?事例と共に紹介​

近年は、地球温暖化や環境汚染などの問題が増えており、世界的に環境配慮の取り組みが行われています。企業においても、環境配慮の取り組みの気運が高まっており、パッケージや包装資材の脱プラや紙化に注目が集まっています。

紙化とは、プラスチックを使用したパッケージから、紙を使用したパッケージに置き換えることです。ここ数年はフィルムパッケージ(軟包装)の紙化が増えています。本コラムでは、フィルムパッケージ(軟包装)を紙化するメリットと注意点について解説します。


環境に優しいと生活者に好印象の「紙パッケージ」

トッパンが独自に行った調査(協力:ミルトーク)では、「環境に良いと思うパッケージの素材はどれか」という質問に対し、71%の生活者が「紙」と答えました。つまり、紙ならではの質感は、エコでサステナブルな商品であるという良い印象を与えることができます。

パッケージを紙化することで、企業は自社のエコや環境への配慮という取り組みを生活者にアピールできます。環境配慮の取り組みが消費者に伝わると、買い物の際に、選択の決め手になることもあるでしょう。


パッケージ紙化の本質は「プラスチック使用量」「CO₂排出量」削減

そもそも、パッケージに使用される素材に紙を利用することがなぜ環境に良いのでしょうか。パッケージの紙化の本質的な目的は、「パッケージにおけるプラスチック使用量とCO₂排出量を削減すること」です。以下のように、プラスチックフィルムパッケージ(軟包装)を紙単体のパッケージに変更すれば、単純にプラスチックフィルムを使わなくなるので、プラスチック使用量をゼロにすることが可能になります。さらに、パッケージの紙化によって、包材製造時のCO₂排出量を削減することも可能になります。

プラスチックフィルムパッケージ(軟包装)を紙単体のパッケージに置き換えた場合

材質構成 プラスチック削減率 CO₂排出量削減率
置き換え前 OPP/CPP - -
置き換え後 紙/ヒートシールニス 100% 13%

※当社算定。CO₂排出量の算定範囲はパッケージに関わる①原料の調達・製造、②製造、③輸送、④リサイクル・廃棄。算定結果はロットや包材サイズなど条件によって変わります。

ただし後述しますが、場合によってはプラスチック使用量やCO₂排出量を削減できないこともあるので、注意が必要です。


紙化の種類/軟包装の紙化実例

近年、環境配慮の取り組みが積極的に行われており、包装の紙化に取り組む企業は増えています。こちらでは、紙パッケージの傾向・種類・特徴について詳しく解説し、具体的なパッケージの紙化実例をご紹介します。

紙パッケージは増加・多彩となる傾向

現在、国内外を問わず紙化の動きが顕著です。海洋汚染対策のために、多くの国では使い捨てプラスチックの規制が強化されています。日本においても、アパレル業界では商品を買ったときのショッパーをプラスチック製の袋から紙袋へ変更したり、飲食業界ではプラスチック製ストローを紙ストローへ変更したりするケースが増えています。

食品業界では菓子、粉末調味料、サプリメントなどが紙パッケージに移行しています。非食品でも化粧品、日焼け止め、文房具、乾電池などの多くの商品のパッケージが紙化されています。さらに、紙製パウチや紙トレーなど、紙を使ったパッケージのバリエーションも増えており、今後もますます紙化は増えていくでしょう。

紙パッケージの種類と特徴

フィルムパッケージ(軟包装)を紙化する場合の素材は、大きく分けて2種類あります。

種類 特徴
紙単体でできたパッケージ
  • 軽量物向け
  • 二次包装に使用できる
紙とフィルムを貼り合わせた複合素材
  • 中量物向け
  • 二次包装はもちろんのこと、一次包装にも使用できる

パッケージの紙化事例

こちらでは実際にパッケージの紙化を行った2つの企業の事例をご紹介します。

【事例1】ネスレ日本株式会社「キットカット」外袋

ネスレでは、プラスチックパッケージを100%リサイクル可能に設計すること、2025年までにバージンプラスチックの使用量を3分の1削減することを、コミットメントとして掲げています。そこで、目標達成に向けた取り組みとして「キットカット」大袋タイプ製品の外袋を紙化することに着手しました。

2019年9月から「キットカット」大袋タイプの製品5品の外袋を紙パッケージに変更し、それ以降も紙パッケージ製品のラインアップを拡大しています。紙化によって、2019年の取り組み開始以来、累積1,150トン(2022年度末)のプラスチックを削減しています。

ネスレ日本株式会社「キットカット」外袋の紙化
ネスレ日本株式会社「キットカット」外袋


【事例2】オイシックス・ラ・大地株式会社「ここもおいしくチップス」紙製スタンディングパウチ

オイシックス・ラ・大地株式会社は、「フードロスに、新たな価値を」をキャッチフレーズとして、これまで食品として未活用だった食材を新しい商品へと生まれ変わらせ、地球と身体にやさしい、新しい食の楽しみ方を広げるフードロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」活動を展開しています。

こちらのブランドの「ここもおいしくチップスシリーズ」のパッケージにチャック付き紙素材パウチを採用し、従来のフィルム製のスタンディングパウチと比較してプラスチック使用量を低減しました。

オイシックス・ラ・大地株式会社「ここもおいしくチップスシリーズ」紙素材チャック付きパウチ
オイシックス・ラ・大地株式会社「ここもおいしくチップスシリーズ」紙素材チャック付きパウチ

フィルムパッケージ(軟包装)を紙化するときの注意点

紙化はエコ、環境配慮、プラスチック使用量削減などのイメージがあり、紙化を行うことで環境に配慮した企業やブランドとして認知される良い機会になるでしょう。ただし、フィルムパッケージ(軟包装)を単に紙化すれば良いのかというと、そうではありません。紙化を検討する際は、パッケージの機能や製造適性の面で以下のような注意点があります。

1.材質設計

フィルムパッケージ(軟包装)は強度があり、包装機内や流通中に包装が破けたりすることはほとんどありません。また、バリア性、遮光性、防湿性などに優れています。紙化すると、既存パッケージと同等の強度や品質性能を保てないケースがあるので、注意が必要です。

紙化する際に材質設計が上手くいかない場合、既存のフィルムパッケージ(軟包装)の外側に紙を追加するしかないこともあります。外側が紙製であることで環境に配慮したような見た目にはなるものの、実際は使用しているプラスチック量の削減やCO₂排出量の削減にはなりません。

パッケージを変更することで環境に良い包装にできるかどうかを考え、材質設計していく必要があります。

2.包装条件

紙は熱伝導性が低いため、熱が伝わりにくいデメリットがあります。プラスチック製の包材の場合は、一定の加熱や加圧によってプラスチックフィルムを溶融接着させる「ヒートシール」という加工によって接着しますが、紙化するとヒートシールがしづらくなります。場合によっては、既存の包装条件を再現できないケースがあるので、シール温度を高くしたり、包装スピードを落としたりしてシール時間を長くするなどの包装機側の調整が必要になります。

広がる紙化の技術​

すでの記載の通り、さまざまな製品のパッケージで紙化が進んでおり、紙化の技術は日々進歩してます。例えば紙の最大の弱点と言えば水に弱いという点ですが、最近では水回りにも強い紙製容器も誕生しており、シャンプーやボディーソープなどのような水回りで利用される製品においても紙化が進んでいます。また紙製容器の原材料となる木材においても間伐材を利用し、その素材自体がエコといったような容器やパッケージも誕生しています。また、これまでは飲料などを長期で保存するにはアルミが必要でしたが、特殊なフィルムと合わせて紙製のパッケージを利用することで、アルミを使わずに長期常温保存が可能な紙製容器もあります。​

このようにさまざま製品のパッケージにおいて紙化を促進する技術が多数出てきています。​


トッパンならではの技術「レトルト対応紙製パウチ」

トッパンはさまざまなパッケージを展開しており、紙パッケージの技術があります。なかでも注目されているのが、トッパンならではの技術を用いた「レトルト対応紙製パウチ」です。

レトルト食品といえば、アルミを使用したパッケージを思い浮かべる方が多いでしょう。このレトルト食品においても、トッパンならではの技術でレトルト対応紙製パウチが実現しました。

従来のアルミ製レトルトパウチから紙化したスタンディングパウチに置き換えることによって、プラスチックの使用量は約25%(※1)、包材製造時のCO₂排出量は約17%削減(※2)することが可能になりました。
※1 当社調べ。アルミ箔を使用したラミネート包材との比較。
※2 当社算定。アルミ箔を使用したラミネート包材との比較。CO₂排出量の算定範囲はパッケージに関わる①原料の調達・製造、②製造、③輸送、④リサイクル・廃棄。

レトルト対応紙製パウチは、紙化する際の注意点もクリアし、以下のような特徴があります。

● レトルト殺菌の条件に耐えうる特殊な耐水加工
● 軟包装全体のフルバリア化を実現して内容物の品質保持が可能
● 紙の比重が包装材全体の中で最も大きいため「紙マーク」の表示が可能
● 開封せずに電子レンジ加熱ができる製品への展開が可能


トッパンでは、使用用途に合わせたパッケージの紙化提案を行っています。紙化において注意しなければならない材質構成や包装条件についても、相談可能です。


フィルムパッケージ(軟包装)の紙化はトッパンへ

世界的に環境配慮の取り組みが行われており、企業においても包装の脱プラや紙化が課題になっています。しかし、パッケージをただ紙に変えれば良いのではありません。パッケージの品質を保持しつつ、本質的な目的であるプラスチック使用量や包材製造時のCO₂排出量を削減することが大切です。

トッパンでは、以下のようにさまざまなタイプのパッケージに対応しており、使用用途に合わせたパッケージの紙化を提案しています。紙化において注意が必要な材質構成や包装条件についても、ご相談いただけます。ぜひお問い合わせください。

2024.03.29