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デジタルアーカイブとは?
メリットや活用事例をご紹介!

技術の発展やデータ活用などの波を背景に、紙媒体のデジタル化が進んでいます。そうした中、紙の公文書や記録文書、芸術作品、地域の貴重な文化資源などを適切な形でデジタル化するデジタルアーカイブ化の必要性も高まっています。
今回は、デジタルアーカイブ化の概要からメリット、活用事例まで、デジタルアーカイブ化をご検討中の方に向けてご紹介します。


デジタルアーカイブとは?

デジタルアーカイブとは?メリットや活用事例をご紹介!|TOPPAN

デジタルアーカイブとは、公文書や記録文書、文化資源などの紙文書や、その保管場所を示す「アーカイブ」という言葉と、「デジタル」という言葉を合わせた和製英語です。

アーカイブには、公文書などの公的資料のほか、出版物や芸術作品といった文化財なども含まれており、広く知的財産の意味合いがあります。

デジタルアーカイブ化とは、長期保存することを目的として行われる様々な文化資源のデジタル化を指します。

ただデジタル化するのではなく「データの利活用」の意味も含んでいます。利活用とは、自治体内や社内で検索したり、二次利用したり、インターネットを通じて一般公開してユーザーへ提供したりすることなどを指しています。

■デジタルアーカイブ化のメリット
デジタルアーカイブ化を行うことで、次のような、さまざまなメリットが得られます。

●史料や文化資源の劣化防止を実現する
デジタル化によって、史料や文化資源の時間経過による劣化や、原資料に触れる機会を減らすことによる原資料の劣化を防止できます。

●現在の状態をデジタルで保存
デジタルアーカイブ化の際には、文書や史料の文字や絵画・写真だけでなく、音声や映像などデジタル化が可能な情報すべてを長期保存できる形に変えることが可能な点が挙げられます。

●共有が可能になる
デジタルデータになった文書や史料は、共有性が向上します。古文書などは、一般人にとって手に取ることすらむずかしいものも多いですが、デジタルアーカイブ化された古文書なら、容易に共有することが可能です。
インターネット上で公開できるものは、国内のみならず、世界に向けても発信できます。

●閲覧性が向上する
文書や史料によっては、文字が読みにくかったり、サイズが大きすぎて詳細を確認しづらかったりするものもあります。デジタルアーカイブ技術の発展により、可読性を高める処理を施すこともできるほか、サイズは縮小拡大が容易になるため、閲覧性は大きく向上します。

●検索性が向上する
文書や資料の数が多い場合も、デジタルアーカイブ化によってデータベースを構築することにより、検索が可能になります。紙文書の時点では探しにくかった切り口からも検索できるようになり、情報が取得しやすくなります。

●新しい表現ができるようになる
デジタルアーカイブ化の醍醐味は、ただ長期保存できるだけでなく、利活用の可能性が多くあることです。

デジタル化した史料は加工や複製が容易になるため、色の復元や音声の追加なども行うことができます。例えば地域の文化財であれば、観光客誘致や地域情報の発信などをインターネットやデジタル展示などを通じて行えます。

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デジタルアーカイブ化の事例

デジタルアーカイブとは?メリットや活用事例をご紹介!|TOPPAN

実際にデジタルアーカイブ化を実現した事例を見ていきましょう。

●博物館が所蔵する重要文化財のアーカイブ化
ある博物館は、所蔵する重要文化財である屏風のデジタルアーカイブ化を行いました。
屏風のデジタル撮影・色彩計測を行い、約22億1000万画素という原寸大の印刷やレプリカの作製によりデジタルアーカイブ化しました。

そのデータは、博物館内でVR(バーチャルリアリティ/仮想現実)映像コンテンツの作品として公開しました。またミニ屏風(印刷物)やタッチパネル式モニター展示などさまざまなメディアへ展開し、魅力を多彩な表現手法で伝えました。

タッチパネル式のモニター展示では、簡単な操作で実寸の4倍まで拡大でき、解説と共に鑑賞することができるようにしました。

●歴史文化資源のデータベース化とホームページの拡充
ある自治体は、地域の歴史や文化の力を基礎に、対外的に認知と理解を促し、地域や産業の発展に活かしていくために、 地域資源のデータベース化と情報発信・利活用の取り組みを実施しました。

歴史文化資源である文献史料や歴史上の人物、それらに基づく伝承・旧跡などを網羅したデータベース化を行い、そのデータベースに蓄積された情報を幅広い人に向けて発信するホームページをさらに充実・発展させました。

またホームページの利便性の向上施策として、新規コンテンツページの作成のほか、現ページの部分改修、導線改善、多言語化を実施しました。

●震災津波の記録のデジタルアーカイブ化
ある自治体では、震災や津波について、貴重な被災地域の記録を収集し、経験・教訓を後世に残すためにデジタルアーカイブ化を実施しました。

国によって大震災からの復興の基本方針が策定されたことを背景とし、地震・津波災害などの記録や、未来につなげるための教訓などの情報を収集・保存・公開する体制を整備し、 誰もがアクセス可能な一元的に保存・活用できる仕組みを構築し、広く国内外に情報発信することを求められました。

また、震災から復興が進む一方で、震災の記録が散逸・消失し、記憶が風化されることに懸念がありました。

そこでこれらの貴重な被災地域の記録を収集・デジタル化しホームページ上で公開することにより、記憶の風化を防ぐとともに、 今後の災害に備える防災・減災の研究、児童や生徒に対する復興教育、地域内外との交流人口の拡大への活用にもつなげました。

まとめ

デジタルアーカイブとは?メリットや活用事例をご紹介!|TOPPAN

文書や史料のデジタルアーカイブ化は、デジタル化による長期保存を実現するだけでなく、共有や情報の認知拡大などへの利活用も可能になる有益な手法です。

今回ご紹介した事例は、複数のTOPPANのデジタルアーカイブ化サービスによるものです。

TOPPANの「アーカイブ構築・文化財コミュニケーション支援サービス」では、博物館・美術館・自治体、企業、学校が持つ史資料のアーカイブや情報発信に関わる調査・設計からデジタル化、データベース構築、年史編纂、コンテンツ制作、施設プロデュース、コミュニケーション施策の企画・運営まで、トータルにサポートしています。

文化財のデジタル化からデータベースによる管理、利活用を推進したい、文化財を整理・保管したいが何から始めればよいか分からない、地域住民・観光客の方へ向け、文化財の魅力、地域の魅力を発信したいなどのご要望にお応えします。

また独自のOCR技術や校正システムで、紙の文献・資料を高精度にテキストデータ化する「高精度OCR全文テキスト化サービス」は、文書資産の最適なデジタル化をお手伝いできます。

さらに、デジタル化したデータはAR(アグメンティッドリアリティ/拡張現実)やVR技術を用いて観光などに活用できるサービスもございます。

「ストリートミュージアム」は、XR(クロスリアリティ)観光プラットフォームアプリをご提供するものです。AR/VRと全地球測位システムを組み合わせた観光ガイドアプリにより、スマートフォンをかざせば、ありし日の姿が今、目の前に蘇る体験を観光客の方向けに提供できます。AR/VR復元の史跡により、観光誘客と地域周遊を促進できます。

「まちなかAR」は、風景にリアルタイムの飲食店情報・地域情報・キャラクターなどをARで投影し、まちあるきを促進するサービスです。スマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を特定する高精度VPS技術を採用しており、GPS精度の高くない地域や高低差のある場所でも誤差数センチ程度でのAR情報提供を可能にしています。フォトスポットやスタンプラリーなどの実施で、観光来訪の促進を図ることができます。

詳細は各サービスページをご覧ください。

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2023.10.13