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デジタルアーカイブとは?
メリットや活用事例をご紹介!

技術の発展やデータ活用などの波を背景に、紙媒体のデジタル化が進んでいます。そうした中、紙の公文書や記録文書、芸術作品、地域の貴重な文化資源などを適切な形でデジタル化するデジタルアーカイブ化の必要性も高まっています。
今回は、デジタルアーカイブ化の概要からメリット、活用事例まで、デジタルアーカイブ化をご検討中の方に向けてご紹介します。


デジタルアーカイブとは?

デジタルアーカイブとは?メリットや活用事例をご紹介!|TOPPAN

デジタルアーカイブとは、公文書や記録文書、文化資源などの紙文書や、その保管場所を示す「アーカイブ」という言葉と、「デジタル」という言葉を合わせた和製英語です。アーカイブには、公文書などの公的資料のほか、出版物や芸術作品・神社仏閣や現存する建築物、仏像や絵画といった文化財なども含まれており、広く知的財産の意味合いがあります。

デジタルアーカイブ化とは、長期保存することを目的として行われる様々な文化資源のデジタル化を指します。 しかし、単に紙をスキャンして画像データに置き換える・立体物や建造物の3Dモデルを作成するだけではデジタルアーカイブとしては不十分です。デジタルアーカイブ作成の真の目的は、デジタル化によって物理的な劣化や紛失のリスクから原資料を守る「確実な保存」と、時間や場所を問わず誰でもアクセス可能にする「データの利活用」の両立にあります。

特に近年では、BCP(事業継続計画)対策としての側面も注目されています。災害や経年劣化によって失われる可能性のある貴重な資料を、高精細なデジタルデータとしてバックアップすることは、公文書や文化資源を未来へ継承する重要な手段です。万が一将来の火災・震災等で文化財が損傷してしまった場合も、高精細なデジタルデータをもとに修復作業を行うことができます。「利活用」については、公文書の場合は検索・共有による業務効率化を図る、文化財の場合はインターネットを通じて一般公開し、教育や観光などの二次利用へ繋げたりすることができます。つまり、デジタルアーカイブとは、眠っていた資料を「生きた情報資産」へと変革する取り組みと言えるでしょう。

●デジタルアーカイブ発展・普及の経緯と現在
日本におけるデジタルアーカイブの歴史は、インターネットが普及し始めた1990年代に遡ります。当初は、博物館や美術館が所蔵する文化財をCD-ROM等の記録媒体に保存する取り組みが中心でしたが、ブロードバンドの普及とともにWeb公開型のデータベースへと進化しました。
特に大きな転換点となったのは、2011年の東日本大震災です。被災した資料の救済や、震災の記憶を後世に残すための「震災アーカイブ」の構築が進みます。また、前述のBCPや災害対策としてのデジタルアーカイブも注目を浴びるようになり、社会的な記録保存の重要性が広く認識されるようになりました。

そして現在、2020年代に入り、デジタルアーカイブは新たなフェーズ「普及・活用期」を迎えています。国の分野横断型統合ポータル「ジャパンサーチ」の公開により、書籍・文化財・メディア芸術など多様なコンテンツをまとめて検索・活用できる環境が整いました。また、コロナ禍を契機としたDXの加速により、現地に行けなくても鑑賞できる「バーチャルミュージアム」や、学校教育でのICT活用(GIGAスクール構想)におけるデジタル教材としての需要も急増しています。

現在では、文化財だけでなく、企業の社史や技術資料を「企業アーカイブ」としてブランド価値向上に役立てる事例や、地域の文化財や古地図や観光資源をVRコンテンツ化して地域活性化に繋げる事例など、活用の幅は多岐にわたります。

デジタルアーカイブ化のメリット

デジタルアーカイブ化を行うことで、次のような、さまざまなメリットが得られます。

●史料や文化資源の劣化防止を実現する
デジタル化によって、時間経過による自然劣化のみならず、閲覧利用に伴う接触・搬送による物理的な損傷リスクを最小限に抑えられます。貴重な古文書や文化財は、温度・湿度が管理された収蔵庫で厳重に保護する必要があります。一方閲覧や研究、博物館等での展示も行う必要があり、その際には高精細なデジタルデータや高品質なレプリカを使用することで、博物館や公文書館が抱える「長期的な保存」と「積極的な公開」という、従来は両立が難しかった二つの責務を同時に果たすことが可能です。

●現在の状態をデジタルで保存
紙資料の文字や絵画、建築物、フィルムの映像やレコードの音声など、あらゆる文化財やメディアを現在の状態のまま長期保存可能な形式へ変換します。経年劣化が避けられない有機的な資料も、デジタル化時点の状態を維持する一助となります。
また、先述の通り万が一の災害や火災で現物が失われた際にも、詳細なデジタルデータが存在することで、資料の内容や形状を後世に伝えるBCP対策としても極めて有効です。

●共有が可能になる
デジタルデータ化された公文書や史料は、物理的な制約を超えて共有性が飛躍的に向上します。
従来は専門家しか閲覧できなかった書籍や、個人蔵など展示機会の限られていた文化財も、デジタルアーカイブ化により誰でも容易に閲覧可能になります。インターネット上で公開することで、地域住民への教育普及はもちろん、国内外の研究者や世界中の人々に向けて、地域の歴史や文化の魅力を発信することができます。

●閲覧性が向上する
経年劣化で文字が薄れた古文書や、広げることさえ困難な大型絵図なども、デジタル画像処理によって可読性を高めることや、復元的な補正が可能です。
肉眼では確認しづらい細部の筆致や素材の質感も、高精細画像であれば拡大して詳細に観察できます。サイズや状態を問わず、誰もがストレスなく資料の細部まで鑑賞・解読できる環境を提供することで、調査研究の深化や新たな発見にも寄与します。

●検索性が向上する
膨大な資料も、デジタルアーカイブ化に合わせてメタデータ(書誌情報)を付与しデータベースを構築することで、即座に検索が可能になります。
タイトルや年代だけでなく、キーワードや分類など、紙の台帳では難しかった多角的な切り口から必要な情報へ瞬時にアクセスできます。これにより、住民や研究者、顧客からの照会対応など、自治体職員や学芸員、企業広報担当者の資料検索にかかる業務効率も大幅に改善されます。

●往時の色彩や姿をデジタルで復元できる
経年変化によって退色や剥落が進んでしまった文化財も、顔料の科学的分析や学術的な調査に基づき、デジタルデータ上で制作当初の鮮やかな色彩や欠損部分をシミュレーションすることが可能です。
現物には一切手を加えることなく、当時の人々が見ていた本来の姿を現代に蘇らせることができるため、文化財の歴史的背景や価値をより直感的かつ深く伝える、魅力的な展示・公開コンテンツとして活用できます。

●新しい表現ができるようになる
デジタルアーカイブ化の醍醐味は、単なる保存にとどまらない「利活用」の広がりにあります。高精細データを活用したVR・ARコンテンツの制作、ミュージアムでのインタラクティブな展示、タブレットを用いた学校教育での活用など、表現の幅は無限です。
地域の文化資源を、分かりやすく魅力的なコンテンツとして再編集・発信し、観光客の誘致や地域活性化につなげることも可能です。

デジタルアーカイブ制作のステップ

デジタルアーカイブの構築は、単に資料をスキャンして終わりではありません。資料の保護を最優先にしつつ、後の「利活用」を見据えた計画的なプロセスが必要です。一般的なデジタルアーカイブ化は、大きく分けて以下の4つのステップで進行します。

●ヒアリング・調査・企画策定
まずは、どのような資料を何のためにデジタル化するのかという「目的」を明確にします。 その上で、対象となる資料の点数、サイズ、素材(紙、フィルム、立体的工芸品など)、そして劣化状態を詳細に調査します。資料の状態によっては、修復が必要な場合やスキャナが使えない場合もあります。専門的な知見に基づき、資料への負担を最小限に抑える最適なデジタル化手法と、予算やスケジュールに合わせた計画を策定します。

●デジタル化(撮影・スキャニング)
策定した計画に基づき、実際のデジタルデータ化を行います。 古文書、絵画、工芸品など、資料の特性に合わせて、高精細スキャナやデジタルカメラ、立体物を計測する3Dスキャナなど、最適な機材を選定します。特に文化財においては、原本を傷つけないことが最優先されるため、非接触型の機材を用いたり、熟練の技術者が慎重にハンドリングを行ったりと、高度なノウハウが必要となります。ここで生成された高精細データは、後の色彩復元や詳細な調査研究の基盤となります。

●データ整理・メタデータ付与・データベース構築
撮影した画像データに対し、色調補正やトリミングなどの加工を行い、保存用・閲覧用などの用途に合わせたデータを作成します。 さらに、デジタルアーカイブにおいて最も重要なのが「メタデータ」の付与です。タイトル、作者、年代、分類、解説文などの書誌情報を画像データと紐付けることで、初めて「検索可能なデータベース」となります。この工程の精度が、後の検索性や利便性を大きく左右します。

●システム構築・公開・利活用
構築したデータベースを格納し、閲覧するためのシステムを構築します。 特定組織内のネットワークでのみ参照できるシステムにするのか、あるいはインターネット上で広く一般公開するのか、目的に応じてセキュリティやインターフェースを設計します。
公開後は、Webサイトでの閲覧提供にとどまらず、高精細データを活用したVRコンテンツや、ミュージアムでのタッチパネル展示、観光アプリへの展開など、文化資源を広く社会へ届けるための運用・活用も企画・実施する場合もあります。

デジタルアーカイブ化の事例

デジタルアーカイブとは?メリットや活用事例をご紹介!|TOPPAN

実際にデジタルアーカイブ化を実現した事例を見ていきましょう。

●博物館が所蔵する重要文化財のアーカイブ化
ある博物館は、所蔵する重要文化財である屏風のデジタルアーカイブ化を行いました。
屏風のデジタル撮影・色彩計測を行い、約22億1000万画素という原寸大の印刷やレプリカの作製によりデジタルアーカイブ化しました。

そのデータは、博物館内でVR(バーチャルリアリティ/仮想現実)映像コンテンツの作品として公開しました。またミニ屏風(印刷物)やタッチパネル式モニター展示などさまざまなメディアへ展開し、魅力を多彩な表現手法で伝えました。

タッチパネル式のモニター展示では、簡単な操作で実寸の4倍まで拡大でき、解説と共に鑑賞することができるようにしました。

●歴史文化資源のデータベース化とホームページの拡充
ある自治体は、地域の歴史や文化の力を基礎に、対外的に認知と理解を促し、地域や産業の発展に活かしていくために、 地域資源のデータベース化と情報発信・利活用の取り組みを実施しました。

歴史文化資源である文献史料や歴史上の人物、それらに基づく伝承・旧跡などを網羅したデータベース化を行い、そのデータベースに蓄積された情報を幅広い人に向けて発信するホームページをさらに充実・発展させました。

またホームページの利便性の向上施策として、新規コンテンツページの作成のほか、現ページの部分改修、導線改善、多言語化を実施しました。

●震災津波の記録のデジタルアーカイブ化
ある自治体では、震災や津波について、貴重な被災地域の記録を収集し、経験・教訓を後世に残すためにデジタルアーカイブ化を実施しました。

国によって大震災からの復興の基本方針が策定されたことを背景とし、地震・津波災害などの記録や、未来につなげるための教訓などの情報を収集・保存・公開する体制を整備し、 誰もがアクセス可能な一元的に保存・活用できる仕組みを構築し、広く国内外に情報発信することを求められました。

また、震災から復興が進む一方で、震災の記録が散逸・消失し、記憶が風化されることに懸念がありました。

そこでこれらの貴重な被災地域の記録を収集・デジタル化しホームページ上で公開することにより、記憶の風化を防ぐとともに、 今後の災害に備える防災・減災の研究、児童や生徒に対する復興教育、地域内外との交流人口の拡大への活用にもつなげました。

まとめ

デジタルアーカイブとは?メリットや活用事例をご紹介!|TOPPAN

文書や史料のデジタルアーカイブ化は、デジタル化による長期保存を実現するだけでなく、共有や情報の認知拡大などへの利活用も可能になる有益な手法です。

今回ご紹介した事例は、複数のTOPPANのデジタルアーカイブ化サービスによるものです。

TOPPANの「アーカイブ構築・文化財コミュニケーション支援サービス」では、博物館・美術館・自治体、企業、学校が持つ史資料のアーカイブや情報発信に関わる調査・設計からデジタル化、データベース構築、年史編纂、コンテンツ制作、施設プロデュース、コミュニケーション施策の企画・運営まで、トータルにサポートしています。

文化財のデジタル化からデータベースによる管理、利活用を推進したい、文化財を整理・保管したいが何から始めればよいか分からない、地域住民・観光客の方へ向け、文化財の魅力、地域の魅力を発信したいなどのご要望にお応えします。

また独自のOCR技術や校正システムで、紙の文献・資料を高精度にテキストデータ化する「高精度OCR全文テキスト化サービス」は、文書資産の最適なデジタル化をお手伝いできます。

さらに、デジタル化したデータはAR(アグメンティッドリアリティ/拡張現実)やVR技術を用いて観光などに活用できるサービスもございます。

「ストリートミュージアム」は、XR(クロスリアリティ)観光プラットフォームアプリをご提供するものです。AR/VRと全地球測位システムを組み合わせた観光ガイドアプリにより、スマートフォンをかざせば、ありし日の姿が今、目の前に蘇る体験を観光客の方向けに提供できます。AR/VR復元の史跡により、観光誘客と地域周遊を促進できます。

「まちなかAR」は、風景にリアルタイムの飲食店情報・地域情報・キャラクターなどをARで投影し、まちあるきを促進するサービスです。スマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を特定する高精度VPS技術を採用しており、GPS精度の高くない地域や高低差のある場所でも誤差数センチ程度でのAR情報提供を可能にしています。フォトスポットやスタンプラリーなどの実施で、観光来訪の促進を図ることができます。

詳細は各サービスページをご覧ください。

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2023.10.13