公共サービス・地方創生

【自治体向け】
文化財の観光資源としての活用と
デジタル活用事例を解説!

地域活性化の取り組みの一環として、もしくは博物館の運営維持・収蔵品の保護活動・研究費用獲得などの目的から、所有の貴重な文化財を活かして、観光資源として役立たせたいとお考えのご担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし観光客来訪に向け文化財を活用するにも、展示や公開を行うには事前の調査研究、展示施設の運用、保存活動の並行実施など費用の掛かる様々な打ち手が必要です。

そこで今回は、具体的にどのような文化財の観光活用方法が考えられるのか、文化財の観光資源活用方法と、将来に向けたデジタル活用事例をご紹介します。


文化財の観光への活用が進む背景

文化財の観光資源の活用方法とデジタル活用事例|TOPPAN

近年、自治体を中心として、所有している文化財の活用が進んでいます。

文化財とは、日本の長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産のことです。
日本の文化財保護法においては、文化財を「有形文化財」「無形文化財」「民俗文化財」「記念物」「文化的景観」「伝統的建造物群」と定義し、重要なものを国が指定・選定・登録して重点的に保護しています。有名なものでは国宝、重要文化財、重要文化的景観、重要伝統的建造物群保存地区、重要無形文化財、史跡名勝天然記念物、登録文化財などが挙げられます。

国が指定などを行った重要文化財の件数は約13,000件(令和5年9月1日現在)にも上り、件数は時代の変遷や新発見、学術的な調査研究の進展などに応じて増加しています。

また、地方公共団体レベルで文化財保護条例を制定し、都道府県や市町村の文化財に指定し保護を行うケースも見られます。

●観光への活用が推進されている背景
これらの文化財は現在、地方自治体を中心に観光誘致などへの積極的活用が進められています。
そのきっかけとなった出来事のひとつとして、2018年の文化財保護法改正が挙げられます。
2007年に文化庁が提唱した「歴史文化基本構想」の構想が法定化されたものであり、都道府県が策定した文化財保存・活用についての大綱に沿って、市町村が文化財保護・活用の計画を策定、官民連携で文化財を保護・活用する様々な活動の推進を図ることができるようになりました。

この法改正が実施された背景としては、地方の過疎化や少子高齢化による文化財消失・散逸の防止、東京オリンピックを控え、文化財を最大限活用して観光立国の実現を目指す国の方針があります。この方針を受け、自治体は積極的にPRと観光によって人々の目を引くよう、文化財の保護と学術的研究、観光への利活用体制の構築が課題となりました。

またインバウンド客や国内観光客が、各地域の文化財へ期待を寄せていることも、背景となっています。インターネットやSNSが発展し情報収集をしやすくなったことで、自分が気になる観光地へ直接個人で赴く着地型観光が拡大しています。中にはこれまであまり注目を浴びることが無かった歴史的事象や史跡、文化財がインターネットを介して注目を浴びることも多く、文化財を保護し、その魅力や価値を適切な方法で発信することで、観光客誘致がしやすい時代になったと言うこともできるでしょう。

今後は、地域が持つ貴重な観光資源を最大限に活かすため、そして人々の期待に応えるためにも、活用を促進させていくことが求められています。

TOPPAN公共事業受託事例のご紹介|TOPPAN

文化財を観光資源として活用する方法

自治体が文化財を観光資源として活用するには、さまざまな方法があります。特に注目されている方法をご紹介します。

●デジタルアーカイブ化
デジタルアーカイブ化とは、資料整理からデジタル化、データベース構築まで行い、資料を「保存・管理・活用」できるようにすることを指します。文化財をデジタルアーカイブ化し、高精細なデジタル画像やVR(バーチャルリアリティ/仮想現実)コンテンツなどへ変換することで、各地域の観光地や観光施設における情報発信に活用できます。地域住民・観光客へ向け、文化財や地域の魅力をアピールし、集客へとつなげることも可能です。

●歴史の再現
観光客が過去の歴史を体感・体験できるよう、歴史的な出来事や当時の生活を再現する試みです。例えば平安時代の食事を再現して提供したり、当時の貴族が着用していた十二単の着付け体験を提供したりすることが挙げられます。

●公共空間での展示・空間演出
国内外から観光客が訪れる空港などの公共空間で、動画やデジタルデータを活用したメディア芸術作品の展示などを行い、エンターテインメントの機会を提供する方法です。

●デジタルミュージアム開設
過去に存在した(あるいは現存する)文化財をVRのコンテンツにして、観光地や施設に大型スクリーンを設けて映し出すことで、デジタルミュージアムを開設するといった方法があります。

文化財の観光資源の活用方法とデジタル活用事例|TOPPAN

文化財の観光資源としてのデジタル化による活用事例

文化財はすでに観光資源としてデジタル化による活用が進んでいます。3つの事例をご紹介します。

●「温泉史料」の整理・保存・データベース化
ある温泉地では、関連する歴史資料の整理・保存・データベース化を実施し、温泉地の歴史・文化を次代につなぐとともに、一般公開することで新たな魅力を創出し、誘客につなげる取り組みを行う計画がありました。さらに、それらの歴史的資料を活用し、他の温泉関連イベントと連携した周遊スタンプラリーの実施とイベントを盛り上げるためのPRを行いました。

歴史的資料の整理・保存業務においては、専門家による指導・助言のもとに、高精細デジタルカメラによる撮影とデータベース化を実施しました。また印刷技術を活かした精度の高い複製品(レプリカ)の作成と展示による一般公開も行いました。

●VRによる国宝の再現と展示
式年大祭を迎えるにあたって、ある神社ではその歴史や社殿の意義などを改めて、広く伝えるための手法を検討していました。そこで、参拝者に対し社殿の意義や修復の重要性を伝えることを目的に、国宝の一部を再現したVR作品を共同で制作しました。

作品は新設される隣接施設にVRシアターを常設し、そのシアターで一般公開しました。
あわせて、所蔵する重要文化財のデジタルアーカイブ化を実施しました。VR作品は、PR活動や各種講演会、修学旅行の事前学習や地域の観光PRなどさまざまな用途で活用しています。

●AR/VRを活用した城の謎解きめぐり体験の提供
ある地域では、城跡と陣跡を活用することによって関係交流人口の創出と拡大を図るため、城跡でVR体験アプリを活用した謎解きイベントを開催しました。このイベントではユーザーが城のVRやAR(アグメンティッドリアリティ/拡張現実)を見ることで、謎を解くことができます。ユーザーは謎を解きながら、ありし日の城を体感することができました。

まとめ

文化財の観光資源の活用方法とデジタル活用事例|TOPPAN

自治体による文化財の観光用途におけるデジタル化にはさまざまな方法があり、活用が進んでいます。

今回ご紹介した事例は、TOPPANのサービスによるものです。

「アーカイブ構築・文化財コミュニケーション支援サービス」では、博物館・美術館・自治体、企業、学校等が持つ資料のアーカイブや情報発信に関わる調査・設計からデジタル化、データベース構築、年史編纂、コンテンツ制作、施設プロデュース、コミュニケーション施策の企画・運営まで、トータルにサポートしています。

文化財のデジタル化からデータベースによる管理、利活用を推進したい、文化財を整理・保管したいが何から始めればよいか分からない、地域住民・観光客の方へ向け、文化財の魅力、地域の魅力を発信したいなどのご要望にお応えします。

また独自のOCR技術や校正システムで、紙の文献・資料を高精度にテキストデータ化する「高精度OCR全文テキスト化サービス」は、最適な文書資産のデジタル化をお手伝いできます。

AR/VRを活用できるサービスもございます。

「ストリートミュージアム」は、XR(クロスリアリティ)観光プラットフォームアプリをご提供するものです。AR/VRと全地球測位システムを組み合わせた観光ガイドアプリにより、スマートフォンをかざせば、ありし日の姿が今、目の前に蘇る体験を、観光客の方向けに提供できます。AR/VR復元の史跡により、観光誘客と地域周遊を促進できます。

「まちなかAR」は、風景にリアルタイムの飲食店情報・地域情報・キャラクターなどをARで投影し、まちあるきを促進するサービスです。スマートフォンのカメラから取得する画像情報から利用者の位置情報を特定する高精度VPS技術を採用しており、GPS精度の高くない地域や高低差のある場所でも誤差数センチ程度でのAR情報提供を可能にします。フォトスポットやスタンプラリーなどの実施で、観光来訪の促進を図ることができます。

詳細は各サービスページをご覧ください。

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2023.10.17