コラム

ダイナミックプライシングで失敗しないために押さえておきたいポイントとは?

需要に応じて価格をコントロールすることで収益最大化を目指すダイナミックプライシング。すでに多様な業界で導入が進む一方で、思うような効果が得られなかったり、失敗に相当するような結果になったりするケースも見られます。
ダイナミックプライシングの失敗には、どのような対策が考えられるのでしょうか。よくある失敗例と対策となるポイント、成功事例をご紹介します。


<目次>

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■ダイナミックプライシングとは?
■ダイナミックプライシングのよくある失敗例
■ダイナミックプライシングで失敗しないためのポイント
■ダイナミックプライシングの成功事例
■まとめ
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ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシングとは、「変動料金制」とも呼ばれるもので、商品やサービスの需要に応じて、価格を変動させることで収益改善や収益最大化につなげる手法です。

例えば、時期によって需要が大きく変わるホテルの宿泊費や航空券のチケット代などによく利用されています。

近年、ダイナミックプライシングにはAI(人工知能)が用いるのが主流となっています。AIが過去の商品やサービスの販売価格や販売数、競合価格、最安値価格などのデータを学習し、それをもとにした需要予測を行うことで、勘や経験に頼らない、データ的な根拠のある最適な値付けを実現することに寄与します。


ダイナミックプライシングのよくある失敗例

ダイナミックプライシングの導入が進む中、次のような失敗が実際に生じています。

●顧客からクレームがきてしまう
ダイナミックプライシングは、時期によって価格が変動することから、同じ商品を他の時期よりも高く買ってしまった損する人と、安く買うことができた得をする人が生まれます。高く買ってしまった人の心象は悪くなってしまうことは避けられないことから、クレームに発展することもあります。

実際、大手飲料メーカーが、気温が高いタイミングで自販機の飲料の価格を上げるという試みを実施したところ、多くの顧客から非難の声が沸き起こりました。飲料は身近に購入する商品であり、安価に手軽に購入されることが多いこともあり、時期や環境による値上げは多くの人にとって理不尽に感じられてしまったようです。

●顧客の購買意欲低下
ダイナミックプライシングは、クレームにはならなくとも、最安値で買えた人以外はある程度、「損した」と感じてしまうものです。水面下で購買意欲低下を生み出す恐れがあります。

●顧客のサービス利用における不満を生み出す
例えば、ホテルの繁忙期にかろうじて高値であっても予約を取れた顧客が、利用後に価格と実際のサービスの価値にギャップを感じ、不満が生じるケースもあります。せっかく利用してくれた顧客も離れていってしまう恐れがあります。

●収益が投資コストを下回ってしまう
ダイナミックプライシングには導入と運用に投資コストがかかります。ダイナミックプライシングの目的は収益の最大化であり、収益につなげることにありますが、収益が投資コストを下回ってしまうこともあります。


ダイナミックプライシングで失敗しないためのポイント

このようなダイナミックプライシングの失敗を避けるためには、次のようなポイントを押さえることが有効と考えられます。

●価格が変動しても付加価値として受け入れられる業界・分野で活用する
ダイナミックプライシングは、タイミングによって価格が上がったとしても、付加価値として受け入れられる分野、例えばホテルや旅行業界などが適しているといえます。業界や分野の面で利用が適しているかを検討すると良いでしょう。

●あくまで手段であり目的にしない
ダイナミックプライシングは収益最大化と機会損失を減らすことが目的とされていますが、顧客の心象を踏まえ、目的にするのではなく、あくまで手段と認識することが大切です。目的になると顧客離れにつながる恐れがあるため、目的としては質の高い顧客サービスの提供を見据えることも大切といえるのではないでしょうか。

●価格の有効期限を明示する
例えば、安値に目をつけていた顧客が、後日、改めて購入しようと思っていたタイミングが来たときに価格が上がっていたというケースも考えられます。この場合は顧客に損したと感じさせてしまいます。
予防策として、「この価格で購入できるのはあと〇時間」など、価格の有効期限を明示しておくことで、顧客の不満が大きくなるのを極力避けることができます。

●あえて価格の上限や下限を設ける
ダイナミックプライシングにおける価格変動の上限や下限を設けることも一案です。
例えば、ホテルの宿泊費の価格を繁忙期に高く設定する場合には、価格に上限を設け、価格が上がりすぎないようコントロールします。反対に、閑散期の価格の下限を適度な範囲にとどめておくことで最高値と最安値の格差を減らし、顧客の不満を軽減できます。

●需要の変化に合わせて適宜かつ適切に価格変更を行う
ダイナミックプライシングが成功しているケースでは、需要の変化に応じて適宜、最適な価格を設定するなど、細かな配慮による価格変動をコントロールしていることが多くあります。AIを活用してできるだけ正確な需要予測を心掛けることもポイントといえます。

●価格に見合った価値を提供する
価格変更を行うに当たっては、最高値となった場合にも価格に見合った十分な価値を提供できるかどうかをしっかりと検討する必要があるでしょう。

●コストシミュレーションを行う
ダイナミックプライシングによる収益増が、導入・運用の投資コストを上回るかどうかを事前にしっかりシミュレーションすることが重要です。

●顧客に価格変動の理由を明示するなどして理解と信頼を得る
TOPPANはカメラやセンサーから取得される混雑状況から店舗の売上を最大化させるAIを活用したアルゴリズムで、適切なタイミングで適切な価格を表示するサービス「nomachi® DP」を提供しています。リアルタイムな混雑可視化データをダイナミックプライシングに活用することで、顧客に価格変動の合理的な理由を提供します。これにより、顧客はより価格変動を受け入れやすくなると考えられます。

重要なのは、顧客に対して透明性を持ち、価格変動が混雑状況に基づいていることを明確に伝えることです。また、顧客が価格変動のメリットを理解しやすいように、コミュニケーションを工夫することも必要といえます。


ダイナミックプライシングの成功事例

目的設定や価格調整などの工夫を実施することで、ダイナミックプライシングを成功させている企業は多くあります。どのようにしてダイナミックプライシングを成功させたのか見ていきましょう。

●総合ECサイトの事例
ある総合ECサイトは、需要の変化に合わせて適宜かつ適切に価格変更を行いました。

価格変更は毎日250万回以上行い、同業他社の約1,500倍と高頻度で行ったことが特徴です。この結果、前年比で売上高が25~30%増加したと伝えられています。需要に合わせ、細かく価格を変更することは、顧客のニーズに細かく応じることにつながったのか、売上増加に貢献することがわかります。

●テーマパークの事例
あるテーマパークでは、繁忙期には多くの顧客が詰め寄せるため、主に混雑緩和を目的として入場者数のコントロールをするためにダイナミックプライシングを導入しました。

繁忙期と閑散期の入場料に差をつけることで、ゴールデンウィークやお盆やクリスマスなどの特定の時期に入場者数が増えすぎることの解消につながり、同時に顧客満足度を実現しました。

この事例は、ダイナミックプライシングでテーマパーク側の収益改善につなげていると同時に、混雑緩和という顧客メリットも実現していることがポイントです。顧客満足度を考えた戦略は、成功につながりやすいといえます。

●コンビニエンスストアの事例
あるコンビニエンスストアでは、ある店舗で賞味期限の近い商品を特定し、食品ロスを減らすために電子タグを用いた実験を行いました。

商品の賞味期限情報が紐づけられた電子タグの情報から賞味期限が近い商品を特定し、その賞味期限の近い商品を取り上げて顧客のSNSに通知する試みを行いました。そして、顧客がその賞味期限の近い商品を購入すると、SNSにポイントが付与される仕組みにしており、実質、値引きが受けられるようにしました。

この取り組みが実用化されることで、昨今問題になっている食品ロスの低減に寄与することが期待されています。

この事例からは、目的が社会問題の解決に向けられ、さらに顧客が得する仕組みを加えたことによりダイナミックプライシング成功につながりやすいことがわかります。また、ただ価格を下げるのではなく、ポイントによる実質的な割引という方法を用いていることも参考になります。


まとめ

ダイナミックプライシングは、実施方法によっては失敗につながってしまう恐れがあります。ポイントを押さえて実施することで、成功につなげていきましょう。

TOPPANではご紹介した「nomachi® DP」のご提供を通じて、店舗のダイナミックプライシングの成功をお手伝いいたします。

2024.01.12

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