コラム

AI活用のダイナミックプライシングで価格戦略を行うメリットとは?事例と共にご紹介!

ダイナミックプライシングは、価格を需要に応じて変動させることを自動化することにより、利益の最大化につなげる手法です。技術の進歩に伴い、AIを活用する機会が多くなっていますが、価格戦略にAIを活用することにより、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
今回は、ダイナミックプライシングにおけるAIの仕組みと活用のメリット、AI活用のダイナミックプライシングの事例を通して、ダイナミックプライシングへのAI活用の可能性を探ります。


<目次>

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■ダイナミックプライシングとは?
■ダイナミックプライシングにおけるAIの仕組み
■ダイナミックプライシングにおけるAI活用のメリット
■AI活用のダイナミックプライシングの事例
■まとめ
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ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシングとは、値付け方法の一種で、商品やサービスの価格を需要と供給に応じて変化させることを指し、価格の変動により、収益を最大化させることを目的とします。

従来、値付けは顧客にとっての価値や市場における競合商品の価格との関係性などさまざまな要素を交えながら人間が行ってきました。それに対して、ダイナミックプライシングは、「ダイナミック」という言葉が「動的」を意味するように、商品やサービスの需要に応じて価格を変動させるところに特徴があります。需要がピークのときに価格を上げ、需要が低下したときに値下げすることで、利益を最大化できます。

また、ダイナミックプライシングは、値付けの自動化という意味合いも含んでいます。

時期に応じて需要が大きく変化するホテルや旅館などの宿泊業や、スポーツイベントやコンサートのチケット、テーマパークの入場料などに利用されています

ダイナミックプライシングの仕組み

ダイナミックプライシングは、ルールベース型とAI型の2種類があります。

ルールベース型は、一年を通じた時期ごとの需要の高低や、その他の特別なイベント開催、経験と知見、競合他社の価格などを、人が完全に手動でルールを作成してシステムに登録し、値付けの自動化を図る方法です。

AI型は、あらかじめ過去の販売価格、販売数、競合価格、最安値価格などのデータをAIが学習し、それを元にAIが需要予測を行いながら、その時期に最適な値付けを行う方法です。

ルールベース型は人がルールを設定するのに対し、AI型は人が定めたルールではなく、あらゆるデータを元にAIが推測して値付けを行うという点に違いがあります。

現在はAI型のダイナミックプライシングが主流となっています。


ダイナミックプライシングにおけるAIの仕組み

ダイナミックプライシングにAIが活用される仕組みを確認しておきましょう。

AI活用の仕組み

ダイナミックプライシングにおけるAIは、データの収集および機械学習、需要予測、価格提案の流れで値付けを行います。

1.データ収集・機械学習
AIが過去の価格変動の実績データや市場状況、競合価格、商品在庫、販売数、天候などの学習データを自動収集し、機械学習します。

2.需要予測
学習したAIが現時点における需要予測を行います。AIは機械学習を重ねていくにつれて、価格提案の精度が向上していきます。

3.価格提案
需要予測に基づき、AIが利益最大化につながる価格提案を行います。

ルールベース型との違い

人間が自らルールを登録するルールベース型との違いは、AIにより人間ではできない予測が可能になる点が一つの大きな違いといえます。また、AIを活用することにより、膨大なデータ収集、需要予測、価格提案までのプロセスが自動化される点にも違いがあります。


ダイナミックプライシングにおけるAI活用のメリット

ダイナミックプライシングにAIを活用することで、次のようなメリットが得られると考えられます。

〇業務負荷の大幅削減
価格を決める際に用いるデータは、多ければ多いほど最適な価格を設定することができます。しかしデータは膨大になるため、手動で行う際には収集と分析の労力と時間を要します。AIを活用すれば、AIがデータ収集から行ってくれるため、業務負荷を大幅に削減できます。

〇勘や経験に頼らない客観的な結果が得られる
AIを活用することで、人間の勘や経験に基づくルール付けとは異なる結果が出ます。より客観的な値付けが行えるといえるでしょう。

〇ノウハウやリソース不足でもダイナミックプライシングを利用可能
ルールベース型のダイナミックプライシングは、システムを活用するとはいえ、担当者のスキルや経験が必要です。その一方、AI型はそのようなノウハウが不要であり、さらに担当者のリソースを割くことなく実施できます。このことから、人手不足解消にもつながると考えられます。

〇回数を重ねるたびに精度向上
AI型はAIにより機械学習を行った後で需要予測を行いますが、毎回、学習を重ねることで、より学習されるデータ量が増えていきます。需要予測を行う際の判断材料が増えることで、使用するたびに精度が向上していく仕組みは、人が行った場合と比べたメリットは大きいといえます。


AI活用のダイナミックプライシングの事例

AIを活用したダイナミックプライシングは、さまざまな業種で利用されています。ぜひ次の4つの事例を参考にしてください。

〇飲食店
ある飲食店では、AI型のダイナミックプライシングを導入し、需要や仕入れ状況のデータを元にメニューの値付けを行っています。飲食店の需要は、ピーク時間、予約パターン、季節変動など特有の要素によって変動します。また食品材料の仕入れは季節や時期によって変わってきます。
これらのデータをAIに学習させることで、最適な価格設定が可能になりました。飲食店に共通する需要が低い時間帯にどのように集客するかという課題も、需要が低い時間帯に価格を下げることで、需要がピークの時間帯の顧客を呼び寄せることにより、解決につなげています

〇スーパーマーケット
ある国内のスーパーマーケットの新しい店舗では、1万枚以上の電子プライスカードを全商品に導入し、需要と供給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングを採用しています。
従来の店舗では人手で値下げなどを行っていましたが、人手不足でなかなか手が回らないことが課題でした。ダイナミックプライシングにより価格の適正なコントロールを自動化することで、廃棄ロスを減らし、売上と利益の最大化を目指しています。
勘と経験に頼った画一的な見切りではなく、当日までの販売状況や閉店までの残り時間、客数などのデータから最適な見切りのタイミングと価格を見極めて値付けしていく試みを行っています。

〇配車サービス
ある海外の配車サービスは、都市別にリアルタイムでタクシー利用の需要動向をモニタリングし、その需要動向に応じてサービス価格が変動するダイナミックプライシングを採用しています。配車サービスは供給量が一定ではなく、需要と供給の両方をコントロールする必要があることから、AIによるダイナミックプライシングが大いに役立っています。

〇テーマパーク
ある国内のテーマパークは、曜日やイベントの有無によって入場チケットの値付けを変動させています。入場者の少ない平日に値下げすることで集客でき、利益の確保につなげることが可能になりました。休日料金が高い設定とすることで、休日の混雑緩和にもつながっています。


まとめ

ダイナミックプライシングにAIを活用することで、ダイナミックプライシングをより精度高く、利便性高く利用することができます。さらに学習データの種類が増えていくことで、より最適な値付けが可能になり、企業の収益につながっていくでしょう。

TOPPANでは「nomachi DP」を通じて飲食店などを対象にダイナミックプライシングを提供しています。

飲食店などの混雑状況をAIカメラ・センサーでセンシングし、リアルタイムに可視化し、混雑情報を店頭のサイネージ、スマホやタブレットなどでお客さまへ効果的に伝えることができます。
さらに、AI型のダイナミックプライシングにセンシングした混雑情報のデータを学習させることで、混雑期や閑散期に連動した適切な価格設定が可能になります。

センシング技術とAIによるダイナミックプライシング技術を組み合わせることで、店舗の売上を最大化させることができます。

詳細はサービスページをご覧ください。

2023.12.15

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