プライシングの種類や手法を解説!
今注目のダイナミックプライシングとは?
マーケティング戦略として、各社で価格戦略(プライシング)が実施されています。競合他社との差別化と共に、自社の利益に関係することから、重要な取り組みの一つです。
そのプライシングは、具体的にどのように重要なのでしょうか。またプライシングの種類や、近年注目されている価格戦略「ダイナミックプライシング」について、事例を交えて解説します。
<目次>
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■プライシング(価格戦略)とは?
■マーケティング戦略としてのプライシングの重要性
■プライシングの種類
■価格戦略「ペネトレーションプライシング」
■価格戦略「ダイナミックプライシング」
■価格戦略「バリューベースプライシング」
■ダイナミックプライシングを通じて価格戦略を行った成功事例
■まとめ
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プライシング(価格戦略)とは?
プライシングとは価格戦略とも呼ばれる取り組みで、主に自社の製品やサービスの価格を決めることを指します。
プライシングは、マーケティング戦略の中でも複数の要素を最良な形で組み合わせて実行する「マーケティングミックス」の手法の一つである「4P」の一つに組み込まれている大切な項目です。
4Pとは「製品:Product」「価格:Price」「場所:Place」「プロモーション:Promotion)」の4つを意味しており、この4つに一貫性を持たせ、バランスよく活用することでマーケティングを行っていく考え方です。
価格に関しては、製品やサービスの提供価格を意味しています。企業が継続的に利益を得るためには、価格は高過ぎても、低過ぎてもよくなく、市場相場や競合他社の提供価格を加味した上で適正に決定すべきものとされています。
マーケティング戦略としてのプライシングの重要性
マーケティング戦略において、プライシングは極めて重要な要素となります。プライシ
ングは企業の収益に影響を与えるだけでなく、ブランドイメージや顧客の購買行動にも
影響を与えます。また、プライシングは競合優位性を確保する手段でもあります。
適切な価格を決めることで、製品・サービスの市場におけるポジションを確立し、収益
最大化を図ることができます。
プライシングの重要性
プライシングは、企業が戦略的に販売を行っていくために重要であることは言うまでもありません。的確なプライシングは、企業の売上や利益を増やしていくことにつながるためです。さらに、価格をうまくコントロールすることで、競合他社への優位性が生まれ、市場シェア獲得につながります。またプライシングに取り組むことで、提供価格の安定化にもつながります。
プライシングの種類
プライシングには、さまざまな種類があります。どのようなタイミングや背景からプライシングを実施するのかによって異なってきます。主なプライシングの種類を確認しておきましょう。
① 製造コストや生産数に応じてプライシング
製品の製造コストのうち、一定の利益率を考慮して価格設定する方法です。
製造原価や仕入れ原価に利益率を加える方法や、自社目標の投資収益率を達成することを意図した価格設定を行う方法があります。
② 需要に応じてプライシング
需要の多さに応じて価格設定を行う方法です。
例えば、市場調査や顧客へのアンケート調査、需要のわかるデータ取得などを通じて、価格を検討します。それらのデータから見えてきた価格から製造コストや流通コストなどあらゆるコストを考慮して、製品開発を進めます。
例)店の混雑に応じてプライシング
飲食店の価格設定においては、店の需要、つまり混雑状況に応じて価格を決める取り組みが行われています。例えば、TOPPANの飲食業界向けのソリューション「nomachi®DP」を用いれば、カメラやセンサーから混雑状況をデータとして取得することができます。このデータをもとに、店舗の売上を最大化させるアルゴリズムで適切なタイミングで適切な価格を表示します。これにより、空席が多く需要が少ない時間帯でも安定して集客を確保できます。
③ 競合他社の価格に応じてプライシング
市場における競合商品の価格をもとに価格設定を行う方法です。競合と同等程度の価格か、もしくは少し価格を下げる設定にすることで、顧客には自社製品を選んでもらいやすくなります。
④ 顧客心理に応じてプライシング
表示された価格は、意味付けをすることで、顧客心理が変わってきます。顧客心理を動かすためのプライシング手法が複数あります。例えば、段階価格や慣習価格という手法があります。
段階価格とは、いわゆる「松・竹・梅」のように、価格と製品にグレードを設けて、特定のグレードに人気を集中させる方法です。例えば、「松・竹・梅」の3種類を示すと、多くの顧客は「松は高すぎて内容がよくても手が届きにくい。梅は安いが少し品質が気になる」と判断し、「竹が、内容の質と価格のバランスが最も良い」と最終的に竹が最も優れているように感じます。ただ「竹」の商品だけを提示するよりも「竹」の人気が高まるという効果があります。
慣習価格とは、慣習的に用いられている価格です。長年、多くの売り手がプライシングを実施し、最適化され、固定化された価格といえます。例として、120円前後の自販機の缶入り清涼飲料水、30円前後のもやしなどが挙げられます。
価格戦略「ペネトレーションプライシング」
ペネトレーションプライシング(Penetration Pricing)とは、新商品やサービスを市場に投入する際に、初期の価格を低く設定することで多くの顧客を一気に獲得し、市場シェアの拡大を狙うマーケティング戦略のことを指します。
市場へ参入する際に多額のコストがかかることから資本がある大手企業が取りやすい戦略となります。
この戦略の目的は、顧客の注意を引き、商品やサービスに対する需要を高めることにあります。低価格によって多くの人々が商品を試すことを奨励し、その結果として市場シェアを迅速に拡大することを期待します。
ペネトレーションプライシングは、競争の激しい市場や、新しい商品やサービスを導入する際に特に有効です。また、大量生産によるコスト削減が期待できる商品にも適しています。
しかし、この戦略にはリスクもあります。初期の低価格が顧客にとって新たな価格基準となり、後に価格を上げることが難しくなる可能性があります。
また、価格が低いと品質が低いものと誤解される可能性もあります。
したがって、ペネトレーションプライシングを採用する際には、価格戦略の長期的な影響を考慮し、適切なタイミングで価格を引き上げることができるようにすることが重要です。
価格戦略「ダイナミックプライシング」
近年は、ダイナミックプライシングと呼ばれるプライシング手法が注目されています。
ダイナミックプライシングとは、「変動料金制」とも呼ばれるもので、商品やサービスの需要に応じて、価格を変動させる仕組みです。時間や状況に応じて値付けを変動させることで、収益の最大化を目指します。
ダイナミックプライシングの手法として次の方法が考えられます。
価格戦略「バリューベースプライシング」
バリューベースプライシング(Value Based Pricing)とは、顧客が商品・サービスに対して見出す価値に基づいて価格を設定する方法です。これは、顧客がその製品やサービスに対してどれだけの価値を感じ、それに対してどれだけ支払う意志があるかに焦点を当てた価格設定方法なので、製品の原価や製造コスト、競合の価格にとらわれることなく価格を決めることができます。
例えば、ある製品が顧客の時間を大幅に節約したり、業績を大きく向上させたりする場合、それが他の類似製品よりも高価でも顧客は満足感を得られるでしょう。そのため、その製品は高価でもその価値が認められ、顧客からの支払い意志があると判断されるのです。
バリューベースプライシングを適切に行うためには、3つの重要なポイントがあります。
まず、顧客が製品から得られる価値を正確に予測し把握すること。次に、その価値を顧客に明確に伝えること。そして最後に、価格設定がビジネスの目的や戦略に対応しているかどうかを確認することです。
先ほどご紹介したダイナミックプライシングは需要と供給によって価格を変動させる仕組みとなるので、バリューベースプライシングの考えの一部と考えることもできます。
データ分析結果を活用してプライシング
販売データや顧客データなどを収集して分析し、その都度、プライシングに反映します。市場の需要は、時季的なものや世間のトレンドなどからも変動します。また、一日の間においても、需要が高まる時間帯と、需要が低くなる時間帯があります。データを通じてそれら見えてきます。
近年は、リアルタイムでデータを取得できるようになってきていることから、そのリアルタイム性を利用して、ダイナミックプライシングに活かすことが可能です。
AIで需要予測してプライシング
過去の販売データや顧客データなどを蓄積していくと、一定の法則が見えてきます。例えば、夏の一定の時期には非常に需要が高まるため、価格を上げる必要があるといったようにです。しかし細かな法則は人間の頭脳よりもAI(人工知能)に任せたほうが良いという考え方が広がっています。
そこで、ダイナミックプライシングにもAIが多く活用されるようになっています。
例えば、飲食店において、需要と供給のデータをリアルタイムに取得し、月や曜日、時間、天候、場所など、販売状況を左右する要因との関連性をAIで分析します。仮に「平日水曜日の晴れの日のランチタイムに最も需要が高まる」ことがわかれば、それに合わせた価格やメニュー設定が可能になります。
航空会社が航空券を販売する際には、航空機利用の利用が高まるゴールデンウィークやお盆休み、お正月などの一定の時期に需要が高まると考えられます。一方で、長期休暇明けの時期は需要が下がります。このように売上の推移をAIが予測し、どのタイミングでどのくらい値上げもしくは値下げをすれば、最も利益率が上がるのかを示します。
先にご紹介したTOPPANの「nomachi®DP」は、混雑データをカメラやセンサーで取得した上で、AI分析による混雑予測を行い、飲食店のダイナミックプライシングを実施することができるサービスです。AIによる売り上げ予測でテナント収益を最大化することが可能です。
価格戦略「バリューベースプライシング」
バリューベースプライシング(Value Based Pricing)とは、顧客が商品・サービスに対して見出す価値に基づいて価格を設定する方法です。
これは、顧客がその製品やサービスに対してどれだけの価値を感じ、それに対してどれだけ支払う意志があるかに焦点を当てた価格設定方法なので、製品の原価や製造コスト、競合の価格にとらわれることなく価格を決めることができます。
例えば、ある製品が顧客の時間を大幅に節約したり、業績を大きく向上させたりする場合、それが他の類似製品よりも高価でも顧客は満足感を得られるでしょう。
そのため、その製品は高価でもその価値が認められ、顧客からの支払い意志があると判断されるのです。
バリューベースプライシングを適切に行うためには、3つの重要なポイントがあります。
まず、顧客が製品から得られる価値を正確に予測し把握すること。次に、その価値を顧客に明確に伝えること。そして最後に、価格設定がビジネスの目的や戦略に対応しているかどうかを確認することです。
先ほどご紹介したダイナミックプライシングは需要と供給によって価格を変動させる仕組みとなるので、バリューベースプライシングの考えの一部と考えることもできます。
ダイナミックプライシングを通じて価格戦略を行った成功事例
実際に、ダイナミックプライシングを通じて、価格戦略に成功した飲食店は複数あります。ここではTOPPAN「nomachi®DP」の事例を一つご紹介します。
商業施設内の飲食店の事例
駅から離れた住宅街にある商業施設内の飲食店2店舗で、新しい集客の仕組みとしてダイナミックプライシングをテスト導入しました。
リアルタイムな混雑状況に連動して最大12%OFFの割引を行う旨を、特設WEBページおよびサイネージで案内しました。
案内したのは、空いているときほど割引率がUPするイベントを開催中といった内容で、お店の混雑度が一定の混雑度を下回った場合に、割引率をアップすると示しています。来店客は入店時に、入店時点の混雑度に応じたクーポンを受け取り、会計時にスタッフにクーポンを提示してもらい、割引サービスを提供する流れにしました。
お客様にとっては混雑していないタイミングをねらって入店する意欲がわきます。その結果、飲食店側は、需要の少ない時間帯にも集客が実現し、利益の安定化につながりました。
まとめ
プライシングは、マーケティング戦略の中でも重要な取り組みです。さまざまなプライシング手法がある中で、ダイナミックプライシングはより利益の最大化につなげるために有効な手法として注目されています。
TOPPANの「nomachi®DP」は、飲食店の皆様のダイナミックプライシングをAIテクノロジーでお手伝いいたします。
AIカメラやテーブルに人感センサーを設置することで、混雑状況をリアルタイムに可視化しさまざまな課題を解決します。また、データ連動ダイナミックプライシングにより、混雑情報のデータをAIに学習させることで、混雑期や閑散期に連動した適切な価格を表示させることで、店舗の売上を最大化させます。
詳細はぜひサービス紹介ページをご覧ください。
2024.11.01