NFTとメタバースの違いから学ぶ
新たなビジネス活用とは?
最近では、NFTやメタバースという言葉を、主にインターネット上で数多く目にするようになってきました。これらの領域は世界的に注目が高まっており、日本でも活用の幅が広がってきています。NFTは、メタバースとどのような違いがあるのでしょうか。また両者を組み合わせることも有効であるため、その方法やメリットもご紹介します。
NFTとメタバースとは?
まずはNFTとメタバースの定義をそれぞれ確認しておきましょう。
NFTとは?
NFT(エヌエフティー)とは「Non-Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)」の略称で、日本語では非代替性トークンと訳されます。NFTは、ブロックチェーンという分散型台帳技術を利用して生成される、代替不可能な唯一無二のデータ・デジタル資産のことを指します。
NFTには消去や複製、改ざんができないブロックチェーンのシステム上に記録された保証書のようなデータが紐づけられています。そのため、そのNFTが正規品であるかどうかは保証書データを見れば確認できるようになっています。
NFTの用途は多岐にわたり、デジタルアート、音楽、ゲーム内アイテム、収集品、バーチャル不動産など、デジタル世界のあらゆるものに適用されています。その特性上、アーティストやクリエイターたちは作品のデジタル所有権を証明する手段としてNFTを利用し、従来のアート市場にはない新しい収益モデルを構築しています。
また、ブロックチェーンの特性を活かし、NFTは消去や複製、改ざんができないため、所有者は自分が購入したアイテムがオリジナルであることに確信を持つことができます。NFTに紐づけられた保証書データを通じて、誰でもそのNFTの歴史を追跡し、以前の所有者が誰であったか、いつ取引されたかなどの情報を確認することが可能です。これにより、デジタルコンテンツの流通と所有の透明性が高まります。
メタバースとは?
メタバースとは、「Meta」と「Universe」から作られた造語です。Metaには「異なる次元からの観点」や「超越した」などの意味合いがあり、Universeには「宇宙・世界」といった意味があることから、メタバースは“目の前の現実や次元とは異なる現実や次元の世界”を指します。
メタバースはインターネット上での仮想世界を指すことが多く、アバターと呼ばれる分身を操作してバーチャルリアリティの仮想空間内を移動し、他の参加者とコミュニケーションを取ることができることができます。
メタバースは、ゲーム、教育、ビジネス、エンターテインメントなど、多様な分野において新たな可能性を開拓しています。バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)などの技術を活用することで、ユーザーは三次元のデジタル環境に没入し、アバターを通じて他者とのコミュニケーションや活動を展開することが可能になります。アバターは、ユーザーの意志を反映したデジタル上の自己表現であり、見た目や服装、振る舞いをカスタマイズすることができます。
メタバース内では、リアルタイムでのイベントやコンサート、会議などが開催されることもあり、地理的な制約を超えた交流が実現します。また、仮想経済システムが構築されつつあり、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)を用いた取引が行われており、ユーザーはメタバース内での活動を通じて経済的な価値を生み出すことも可能になっています。
NFTとメタバースの違いと関係性
NFTとメタバースは、よくセットで言及されたり、組み合わせて活用されたりすることが多いことから、その違いがわからないこともあるのではないでしょうか。そこで、NFTとメタバースの違いをご紹介します。
NFTとメタバースの違い
NFTとメタバースの大きな違いは、NFTがデジタルの「資産」である一方、メタバースはデジタル上の「場所」であるという点にあります。どちらもインターネット上で取り扱われるものですが、NFTはユーザーが所有したり、ユーザー同士が受け渡ししたりできるモノです。メタバースはモノではなく、場所であり、ユーザー同士が交流できるプラットフォームとなります。
NFTは個々のデジタルアイテムの所有権を確立するためのものであり、メタバースはそのアイテムを使用し、体験するためのプラットフォームを提供します。NFTはコレクションが可能であり、メタバースは体験が可能です。このように、NFTとメタバースは異なる概念ですが、相互に補完し合う関係にあり、デジタル経済の新しい地平を開いています。
NFTとメタバースを組み合わせる方法
すでにNFTとメタバースは組み合わせた形でサービスが展開されています。具体的に、どのように組み合わせられているのでしょうか。主な組み合わせ方をご紹介します。
NFTアイテムや建物、土地をメタバースで取引できるようにする
メタバースのゲーム内で、武器や防具などの装備をNFT化して売買したり、メタバース上の建物をNFTとして交換や売却、借入したりできる仕組みを構築する方法です。
メタバース内の土地をNFT化する方法もあり、ユーザーは、メタバースの土地を運用して将来的に売却・レンタルするといったことも可能です。
これにより、メタバースでバーチャルな経済が循環します。
メタバースでNFTアートを展示する
メタバースでイベントを開催した際などに、NFT化したアート作品を展示します。ユーザーは美術館のように鑑賞したり、メタバース内で操作できる自分の分身キャラクターのアバターと記念撮影をしたりすることができます。さらに、展示しているNFTアートを販売することも可能です。
メタバースのアバターでNFTファッションを楽しんでもらう
メタバースで使用するアバターにNFTのデジタルファッションを着用させることができ、おしゃれやコーディネートを楽しめるプラットフォームも存在します。近年では世界的な有名ブランドやデザイナーが手掛けたファッションNFTが販売される機会も増えており、価値の高いファッションNFTが広まっています。
NFTとメタバースを組み合わせるメリット
NFTとメタバースを組み合わせることでユーザーや提供側の企業にはどのようなメリットが生まれるのでしょうか。そのメリットをご紹介します。
メタバース上で手軽にアイテムを取引することが可能になる
メタバースでNFTアイテムの売買や貸し借りといった取引を行いたいときは、暗号資産(仮想通貨)によって行います。暗号資産を用いることができるので、各国の通貨によらず、国境を越えたスピーディな取引ができます。
ユーザーにとってゲームやコミュニティをまたいだ資産になる
NFTは、唯一無二の価値を付与できるため、もしユーザーが所有しているNFTが世界に一つしかないもの・高級ブランドがデザインした限定品といったものであれば、大きな価値を持つ資産となります。またメタバースのゲームやコミュニティ内だけでなく、他のゲームやコミュニティにおいても継続して同様の価値を持ち続けることができます。
例えば、一つのメタバース内でアバターに着用させているNFTのファッションを、他のメタバースでも同じようにアバターに着用させるといったことも可能です。NFTは分散型台帳技術であるブロックチェーン技術を利用しているため、特定のプラットフォームに依存しないという特色を持ち、他のメタバースにおいてもNFTファッションの価値を証明し続けられます。
クリエイターが報酬を得られやすい仕組みが生まれる
NFTがメタバースをはじめ、さまざまな場所で活用されることによって、そのNFTを制作したクリエイターやアーティストが報酬を得られやすい仕組みが生まれます。
NFTは、売ることによって収益を得るだけでなく、転売益を得られる仕組みを付加することも可能です。例えば、売却した作品の転売が成立するたびに、あらかじめ定めた手数料がNFTを制作したクリエイターやアーティスト自身へ入るようにルールを設定することもできます。
するとクリエイターやアーティストにとってメタバースが一種の経済活動の場となり、経済循環が行われることでメタバースそのものの活性化にもつながります。
まとめ
NFTは現在、メタバースとともに認知度が上がってきており、ビジネス活用の可能性も広がっています。今回ご紹介したように、NFTとメタバースは親和性が高く、組み合わせることで数々のメリットが期待できます。
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2023.09.15