コラム

SDGsを5つのPで分かりやすく解説
-持続可能な目標とは

世界的に取り組まれている持続可能な開発目標SDGsには「5つのP」という考え方があります。その5つのPとはそれぞれどんなものを指すのか、ご存知でしょうか? そこで今回は、SDGsの5つのPの意味と、5つのPを企業活動に当てはめた事例についてご紹介します。


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SDGsの5つのPとは?

SDGsは、国連に加盟するすべての国が、2015年から2030年までに達成するために注力するべき目標で、世界を変革する必要のある諸問題の貧困や飢餓、エネルギー、気候変動などを解決し、持続可能な社会を開発することを目的としています。

そのSDGsの考え方の一つに「5つのP」があります。国連広報センターが発表したもので、「People、Planet、Prosperity、Peace、Partnership」の5つの単語の頭文字がPなので、「5つのP」と呼ばれています。つまりSDGsが「人間、地球、豊かさ、平和、パートナーシップ」のための目標であり、5つのPとは、SDGsを実現するための重要な指針となっています。

5つのPは、それぞれ17のゴールに分類できます。

People(人間):ゴール1からゴール6

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に

Planet(地球):ゴール7からゴール11

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを

Prosperity(豊かさ・繁栄):ゴール12からゴール15

12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

Peace(平和):ゴール16

16.平和と公正をすべての人に

Partnership(パートナーシップ):ゴール17

17.パートナーシップで目標を達成しよう


5つのPの内容

では、5つのPの意味と内容を詳しく見ていきましょう。

People(人間)

Peopleの項目では、「人間」にフォーカスしています。すべての人、一人一人の人権が尊重され、平等に、それぞれの人に備わる能力を発揮できるように、という、人間の尊厳を重んじる考え方に基づいています。そして貧困と飢餓を終わらせ、ジェンダーの平等を実現して、すべての人に教育や水と衛生、健康的な生活を保障することを目標に掲げています。

Planet(地球)

Planetの項目では、「地球」という環境や社会にフォーカスしています。地球にある貴重な天然資源の持続可能な管理を行い、近年、深刻化する気候変動への対応などを通して、持続可能な地球環境や社会を目指します。

Prosperity(豊かさ・繁栄)

Prosperityの項目では、「豊かさや繁栄」にフォーカスしています。すべての人が豊かで充実した生活を送ることができるようにするために、下記の様な目標の実現を目指します。

・国と国、地域内での格差を減らす
・再生可能エネルギーを活用する
・バランスの取れた働き方を実現する
・十分な収入を確保する

Peace(平和)

Peaceの項目では「平和」にフォーカスしています。平和であり、公正で、恐怖と暴力のない環境となり、すべての人が受け入れられ、参加できる世界を目指します。

Partnership(パートナーシップ)

Partnershipの項目では、「パートナーシップ」にフォーカスしています。つまり政府や民間事業者、市民社会、国連機関を含む多様な関係者が参加する、グローバルなパートナーシップを構築することによって、「世界中が一緒になって問題解決に取り組める状態」を構築し、国、地域、企業、学校、家庭といった大小様々な規模で協力して目標を実現することを目指すものです。

SDGsは「人間、地球、豊かさ、平和、パートナーシップ」のための目標であり、実現を目指すものである

企業活動における5つのP

では、5つのPを企業活動に当てはめると、どのような活動が考えられるのでしょうか。具体的な取り組み事例をご紹介します。

People

・食品ロスと飢餓への取り組み
日本では食品を大量生産した後、賞味期限が来たら大量に廃棄するという「食品ロス」が問題視されています。その解決のために、飢餓に苦しんでいたり、栄養不足の傾向にある人々の暮らす国へ、食品を寄付するといった取り組みがあります。

・使用済み材料を再生し学生へ提供
製造業において、使用済みの材料を再生し、ものづくりに関わる学生に寄付し、支援することで、学生の育成に貢献しながら廃棄の発生を防ぐ取り組みがあります。

・あらゆる人への配慮があるイベントを実施
イベントを企画する際に、キッズルームや授乳室を設置したり、親子教室を実施したりするなど、女性や子どもなど、さまざまな人が参加しやすい環境づくりの取り組みがあります。

Planet

・CO2排出量や不当な労働などへの責任を果たす
自社はもちろんのこと、サプライチェーン全体を見渡して、地球環境を破壊していると思われる工程がないかを確認します。また、特に海外などで不当な労働をさせている実態がないかを確認し、働きがいや不平等への対策を考えることも大切な取り組みです。

・脱炭素化を目指した家・街づくり
ハウスメーカーが、エネルギーゼロの家づくりだけでなく、さらに視野を広げて、街づくりにまで関わり、脱炭素社会の実現とエネルギーの効率利用に取り組んでいます。

・職場環境の改善
AIやRPAなどのテクノロジーを活用した自動化技術の導入などを通じて、効率化を図ることで職場環境を改善し、働く人々により良い労働条件で還元する取り組みもあります。

Prosperity

・環境に配慮した原材料を使用
飲食店がプラスチックではなく、木や紙を使用したストローや箸などのカトラリーを提供するなど、環境に配慮した原材料を使用する取り組みがあります。

・リサイクル・リユースで得た収益を寄付
消費者から回収した使用済み容器などをリサイクル・リユースし、それにより得た収益を、環境や社会貢献を行っているNPOなどの団体に寄付する取り組みがあります。

・森林認証紙を使用する
名刺や自社の紙製品に、森林認証紙を使用する取り組みです。森林保護の支援や、地球環境の保全に貢献することになり、持続可能な地球環境につながります。

Peace

・D&Iを職場に取り入れる
人権侵害のない環境なども、Peaceに含まれます。そこで、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の考え方を職場に取り入れて、外国人や高齢者、障がい者雇用などを積極的に推進する取り組み例があります。

・衣服を回収して得た利益を海外の貧しい子どもの健康のために寄付
まだ着られる衣類を回収し、リユース業者へ売却した収益を、発展途上国の子どもたちに寄付する取り組みがあります。

Partnership

・自治体とパートナーシップを結び災害支援
災害時の飲料水や食品、避難場所などの提供に関して自治体と協定を結ぶだけでなく、企業の事業領域を活かした災害支援活動を展開します。

・企業と投資家がパートナーシップを結ぶ「ESG投資」
「ESG投資」とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業に対して投資を行う手法です。投資家がESG投資をするということは、その企業の取り組みに賛同している、という意思表示になり、いわばパートナーシップを結んでいると考えられます。


5つのPの課題

「5つのP」には、それぞれ固有の課題があり、それらを解決することがSDGs 達成への鍵となります。

1つ目のPは「PeoplePeople(人々)」です。全ての人々が健康で豊かな生活を送ることが求められていますが、貧困、飢餓、健康不良といった問題が未だに存在します。全ての人々が等しく良い生活を送れる社会を作ることが課題となっています。

2つ目のPは「PlanetPlanet(地球)」です。地球環境の保全が求められていますが、気候変動、生物多様性の喪失、海洋汚染などの課題があります。持続可能な社会を作るためには、地球環境を守ることが不可欠です。

3つ目のPは「ProsperityProsperity(繁栄)」です。経済成長は重要ですが、それが持続可能なものであること、そして全ての人々がその恩恵を受けられることも重要です。経済的な格差の是正、持続可能な経済成長の実現が課題となっています。

4つ目のPは「PeacePeace(平和)」です。戦争や紛争、暴力といった問題を解消し、全ての人々が平和に生活できる社会を作ることが求められています。これには、紛争の根本的な解決、社会の安定化が課題となっています。

5つ目のPは「PartnershipPartnership(パートナーシップ)」です。SDGs の達成は一国だけではなく、全世界の協力が必要です。国際的な協力体制の構築、情報共有、技術交流などが課題となっています。


まとめ

SDGsの5つのPは、SDGsを理解するうえで重要な視点です。5つのPという観点を深掘りしていけば、企業はさらに新たなアイデアを生み出すことができるはずです。

さらにSDGsについて理解を深めるための資料をご紹介します。TOPPANの情報誌「ideanote vol.146」では、「SDGs ビジネス視点から考えるサステナブル」をテーマに展開しております。また、当社が実施したSDGs関連セミナーの登壇資料についても、ぜひお役立てください。

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2023.11.06

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