工場・倉庫における
労働環境の改善方法とは?
近年、従業員の健康は、企業にとって大きな価値となっています。生産性向上や売上向上はもちろんのこと、働きがいや働きやすさを提供することで、従業員満足度の向上につながり、企業価値の向上にもつながります。
今回は、工場や倉庫で働く人々の労働環境における課題や課題解決の必要性、課題解決策をご紹介します。
工場・倉庫における労働環境の課題
工場・倉庫の労働環境においては、次のような課題が挙がっています。
暑い・寒いなど室内の温度環境によって作業効率が下がる
工場や倉庫は、一般的なオフィスなどの職場と比べて、必ずしも従業員にとって快適な温度であるとは限りません。製造・保管過程において、原材料や製品にとって最適な温度が人間にとって最適であるとは限らないからです。例えば、食品製造の現場では食品の安全を守るため、冷蔵温度帯となる低温下での作業が必要になるため、勤務している従業員は効率的な作業のために寒さ対策が必要になります。
また工場では建物や設備から発せられる熱により、工場の中が暑くて業務に支障をきたしているというケースもめずらしくありません。特に真夏の工場内での40度近い高温の中での作業は、従業員の集中力や判断力の低下につながり、作業効率および生産性が低下する恐れがあります。
有害物質による健康懸念
製造過程で粉じんやガスなどの有害物質が発生する工場では、有害物質を従業員が吸い込むことで、甚大な健康被害をもたらす恐れがあります。これらの対策は重要な課題の一つです。
騒音や振動によるストレスの発生
工場に設置されることの多い空調室外機やボイラー、冷凍機、ヒートポンプ給湯器などのほか、製造業で使用されるプレス機などの機械は騒音や振動が大きいことがあり、一日中影響を受ける従業員にとってストレスは大きいものとなります。騒音や振動によるストレスが続くと、心身の健康を損なう恐れもあります。
窓のない空間におけるストレスの発生
工場や倉庫では、その用途によっては必ずしも窓があるとは限りません。そのため、環境的に閉塞感がある中で作業を行う必要のある従業員もいます。このような環境下では心理的なストレスが発生することも少なくありません。
工場・倉庫における労働環境改善の必要性
工場・倉庫においては、労働環境改善の必要性が高いといえます。その理由を見ていきましょう。
労働者の安全衛生の観点から対応が急務
労働者の安全衛生を守ることは、事業者に課せられた義務の一つであることから、労働環境の改善は急務であるといえます。労働環境に課題を抱えている場合は、厚生労働省が公表している労働環境が適切であるかどうかの判断基準「労働衛生の3管理」である作業環境管理・作業管理・健康管理を実施する必要があります。
作業環境管理とは、作業環境中の有機溶剤や粉じんなど有害因子の状態を把握して、できる限り良好な状態で管理することです。作業管理とは、作業時間、作業量、作業方法、作業姿勢などを適正化したり、保護具を着用して作業者への負荷を少なくしたりすることを指します。健康管理とは、作業者の健康状態を健康診断で把握し、その結果に基づいて適切な措置や保健指導などを実施し、作業者の健康障害を未然に防ぐことを指します。
業務効率化・生産性向上のため
暑すぎる、寒すぎる、有害物質の危険性やストレスを感じるといった環境下では、作業効率が低下します。工場や倉庫内作業の業務効率化や生産性向上のために、労働環境の改善は重要であるといえます。
離職率低下・採用率向上のため
人手不足が深刻化する中、工場や倉庫の労働環境が魅力的でなければ、離職率や採用率にも悪影響が出てしまいます。反対に、従業員満足度向上につながる労働環境作りは、離職率低下・採用率向上に大きく寄与すると考えられます。
SDGsへの対応のため
SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、世界的に取り組みが活発になっており、SDGs経営を進める企業も増えています。SDGsにおいては、あらゆる分野における持続可能性が求められていますが、その中には働く人の環境整備も含まれています。
特に、発展途上国の工場における労働環境が世界的に問題になっています。大量生産のために下請け企業のもとに従事する人々は、低賃金・長時間労働・劣悪な環境のもとで働いている事実があり、是正・改善のための取り組みが各所で進められています。
このような流れを背景として、日本国内でも工場における労働環境改善は、重要なテーマとなっています。
工場・倉庫における労働環境の課題を解決するための方法
工場・倉庫における労働環境の課題を解決するためには、どのような方法があるのでしょうか。主な方法をご紹介します。
暑さ・寒さ対策
工場や倉庫内において、従業員が暑いと感じる主な原因は、建物の構造によるものと、機械から生じる熱によるものの2つがあります。
建物の構造による暑さは、日差しなどの影響を受けて屋根や壁、床などが発する熱が原因です。室内の空気が壁や床などに触れることで熱が移動し、室温が上昇します。空調管理だけでは室温の調整に限界があるため、建物の遮熱を行うことが対策となります。
例えば、遮熱シートや遮熱塗料を屋根や外壁に施すことで、太陽の熱を反射し、屋根や外壁の温度上昇を抑えられます。
TOPPANが提供している遮熱塗料「TPK 遮熱塗料®」は、屋根に塗ることで表面温度を15~30℃、室内温度を3~7℃下げることができ、工場・倉庫内の室温を快適にします。
また、断熱セラミック「キクスイGAINA®(ガイナ)」は、宇宙開発の技術を応用し「熱の均衡化」をもたらす素材であり、建物の内外壁に塗るだけで暑さ寒さをはね返し、周辺の温度に適応し、熱の移動を最小化します。快適な労働環境をつくりだすことが可能です。
窓ガラスを通じて入ってくる熱を軽減するガラス遮熱というアプローチ方法もあります。「クリアルマイサニーNano®」は特殊金属膜コーティングで、窓ガラスに塗るだけで夏は涼しく、冬は暖かい“透明のカーテン”を実現できます。
空気質改善
汚濁物質が発生する作業場では、作業空間の空気質改善が欠かせません。
先にご紹介した断熱セラミックの「キクスイGAINA®」は、空気質改善にも寄与します。「キクスイGAINA®」は帯電性0.0の性質を持っており、汚濁物質が付着しにくい性質を備えているほか、イオン化した水分が空気中に浮遊している汚濁物質と結合し、汚濁物質を浮遊しにくくする効果も期待できます。
窓のない空間におけるストレスケア
窓のない空間は、従業員のストレスを高め、生産性の低下につながる恐れがあります。対策する方法として、太陽光を再現した照明を導入する方法と、高品質4K映像で窓を再現する方法をご紹介します。
TOPPANが提供する「自然光再現照明 CoeLux」は、イタリア・ミラノのInsubria大学のPaolo Di Trapani教授により開発された自然光再現照明で、天窓のない空間に太陽光を再現します。窓のない空間に、空が広がり太陽があるかのような疑似体験が可能になります。青空と太陽、窓から差し込む光のある環境を提供することで、従業員に開放感や安心感を与え、ストレスケアや生産性の向上を促します。
うつ病患者に通常の照明とCoeLuxの下で短時間過ごしてもらった実験では、CoeLux下のほうが心拍数は低く、心拍変動(脈の感覚)は長くなり、リラックス状態になりました。
また「Natural Window®」は、窓枠を付けた4Kデジタルサイネージを設置し、映像を表示するソリューションです。高品質4K映像を活用し、窓のない空間でも、窓からの眺めを体験できることから、閉鎖的な空間で働く職員や従業員のストレスケアを促進します。
被験者に対し、Natural Window®がもたらす効果を生体反応計測(心拍数・脳波の変化)により検証した結果、心拍数では、時間が経過してもリラックス状態が継続するという結果になりました。脳波では、計測開始後、急速に覚醒度が上昇。リラックスしながらも、頭はすっきりとした状態に導かれる効果があると実証されました。
まとめ
工場や倉庫の労働環境の改善は、近年、ますます必要性を増しています。環境改善策はその原因によって変わってきますが、今回ご紹介したTOPPANのサービスのほか、さまざまなサービスのご提案によって、貴社の取り組みをサポート可能です。
サービス内容は、各サービスのご紹介ページでご覧ください。
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2023.11.28