建物の長寿命化改修で社会的価値向上!
効率的に実施する方法とは?
近年、建物の老朽化が問題になっており、企業が所有する工場・倉庫や自社ビルなどの建物の長寿命化改修が求められています。改修して長く使用できるようにすることは、建物の社会的価値および持続可能性の向上につながります。
今回は、建物の長寿命化改修の概要から企業が行うメリット、効率的に実施する方法をご紹介します。
建物の長寿命化改修とは?
建物の長寿命化改修には、どのような意味があるのでしょうか。現在、国内で注目されている背景と共にご紹介します。
長寿命化改修とは
長寿命化改修とは、老朽化した建物に対して物理的な不具合を直し、建物の耐久性を高めることを指します。ただ長寿命化するだけでなく、建物が元来持つ機能や性能を、現在の建物が求められている水準まで引き上げる改修を行います。
具体的には、建物の耐久性を高めるために柱や梁、壁、基礎などの構造耐力にとって主要な部分を担う構造躯体の経年劣化を回復させたり、耐久性に優れた仕上げ材へ替えたりすることなどが挙げられます。
また、耐震対策や防災機能の強化、省エネルギー化・再生可能エネルギーの導入、維持管理や設備更新の容易性の確保、水道・電気・ガス管などのライフラインの更新など、建物の機能や性能を向上させるための工事も含まれます。
改築と長寿命化改修の違い
改築とは、建物の構造に手を加え、改築前の建物とほぼ同一の用途、規模、構造の建物を建てることです。一方、長寿命化改修では、建物の構造は再利用し基本的に手を加えませんが、建物の耐久性を現状より高めることに加え、建物の機能や性能を、現代の一般的な建物が持つ水準か、それ以上まで引き上げることを一番の目的とするという点に、大きな違いがあります。
長寿命化改修が注目されている背景
近年、なぜ長寿命化改修が注目されているのでしょうか。
大きな流れとして、日本国内では建物の老朽化が進んでいる中、大規模地震が相次いでいることもあり、耐震基準が強化されていることが挙げられます。耐震基準とは、これから建てようとしている建築物に対して、建築基準法によって定められた、耐震に関して最低限クリアすべき基準のことです。
現行の耐震基準は1981年(昭和56年)6月から適用されていますが、それ以前に建築された建物には、建築基準法が定める耐震基準が強化される前の、いわゆる「旧耐震基準」によって建築され、耐震性が不十分なものが多く存在します。耐震診断を受けた結果、耐震性が不十分であった場合は、耐震改修や建て替えを検討しなければなりません。耐震基準に対応するためにも、寿命の長い建物に作り替える長寿命化改修は必要性が高まっています。
また近年は、建物の省エネ化が進んでいますが、老朽化した建物は断熱性が悪いなどエネルギーコストとして不利となっています。長寿命化改修を行う際に省エネ化を実現することができれば、エネルギーコストをはじめとしたコストダウンを実現できる可能性があります。この点も、注目が集まっている理由といえるでしょう。
さらに国が、公共施設、学校などの長寿命化改修を推進していることも、国内で意識が高まっている背景といえます。
建物の長寿命化改修を企業が行うメリット
建物の長寿命化改修を企業が工場や自社ビルなどに対して行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主なメリットをご紹介します。
耐震対策・防災機能・事故防止・防犯対策の強化
建物の長寿命化改修を行うタイミングで、耐震対策・防災機能の強化を実施することができます。企業にとって万が一の大規模災害時にも事業を継続できるようにしておくことは、重要なリスクマネジメントです。また事故防止や防犯対策を目的とした改修を行うこともリスクへの対応策となるでしょう。
省エネ化
長寿命化改修により、省エネ化を実現することもできます。例えば、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーを導入することで、省エネにつながり、平常時の光熱水費のコストダウンや環境対応につながります。
改築と比べ工事費用の縮減・工期の短縮化が可能
改築と比べて、長寿命化改修は工事費用を抑えられる上に、工期の短縮化が可能になるといわれています。その主な理由として、長寿命化改修では建物の構造を支える骨組みである構造躯体を再利用することから、構造躯体に関わる費用がほとんど必要ないこと、解体量が少ないことで工期が短縮されることなどが挙げられます。
改修工事の際の廃棄物量・CO2の排出量が少ない
長寿命化改修の工事の際には、構造躯体などは再利用するため、廃棄物が少なくなり、廃棄の工程に発生する環境負荷が少なくなります。廃棄物量の低減はコスト低減にもつながるというメリットがあります。
サステナビリティ向上で建物の社会的価値の向上
ただ建物が長く使えるようになるという目先のメリットだけでなく、サステナビリティ(持続可能性)の向上を実現できることは大きな価値といえます。
省エネ化やCO2排出量低減はもちろんのこと、バリアフリー(※1)化やユニバーサルデザイン(※2)の採用なども含めたサステナビリティ向上による建物の社会的価値の向上は、近年の企業が目指すべき方向性と合致するでしょう。
※1 バリアフリー:障がいのある方や高齢者などが社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去する考え方。
※2 ユニバーサルデザイン:障がいの有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、あらかじめ多様な人々が利用しやすいように都市や生活環境をデザインする考え方。
建物の長寿命化改修を効率的に実施する方法
建物の長寿命化改修を効率的に実施する方法をご紹介します。
優れた長寿命化工法の採用
長寿命化改修には、優れた工法を採用し、効率的に実施することが重要です。例として、TOPPANの遮熱対策と防水対策のサービスを見ていきましょう。
・遮熱対策
TOPPANがご提供する「ボンフロンサンバリア®」は、省エネ効果が長期間にわたって持続する低汚染型太陽熱高反射率フッ素樹脂塗料です。屋根に塗布することで、太陽光を効率よく反射して表面温度の上昇を抑制するため、遮熱効果・温度調節機能で冷房、暖房などの空調負荷を軽減し、省エネ対策にも貢献します。紫外線にも強いフッ素樹脂により、長期間にわたって塗膜を保護し、光沢や色彩を保ちます。
・防水対策
屋上における防水層の整備は長寿命化のために重要です。高い防水性能のある塗料を施すことで、耐用年数15年、最大10年の防水保証が可能なTOPPANの「超速硬化ウレタン塗膜防水スプレー工法」は、液状の速乾性のウレタン防水材をスプレーガンで吹付け、 メンブレン(連続被膜)防水層を施工する手法です。
塗料の硬化に影響する温度と流量を管理できる専用のシステムを使って施工するため、常に高い品質の防水層をご提供できます。
建物診断を定期的に行う
まだ長寿命化改修の検討段階にある場合や長寿命化改修の実施後においても、建物診断を定期的に実施することが大切です。劣化している箇所の把握が可能になり、劣化による不具合や事故の予防にもつながります。建物診断には、耐震診断・劣化診断だけでなく、機能面、環境面などさまざまな観点からの診断がありますので、定期的に取り入れましょう。
建物診断の結果に基づき、外装改修は定期的に行うことをおすすめします。わずかな劣化であっても、外装については10年ごとなどに大規模改修するのが一般的です。
定期点検・設備の交換
長寿命化改修後も、定期点検・設備の交換などは継続して実施する必要があります。定期点検を実施することで不具合を早期に発見できたり、給排水管や電気配線、機械設備の交換を定期的に実施することで、より設備や建物の寿命を延ばしたりすることができるでしょう。
まとめ
建物の長寿命化改修は、建物の持続可能性につながることで、企業にとっての事業の継続性や成長、環境対応などあらゆるメリットが期待できます。
長寿命化改修を実施する際には、TOPPANの、建物の耐久性の強化につながる工場・倉庫環境ソリューションをご検討ください。適切な改善工法をご提案し、大切な建物の保護、長寿命化を目指すことが可能です。
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2023.11.27