コラム

企業における
防災訓練の必要性とその効果とは?

企業において、防災訓練は法律で義務付けられており、定期的に実施しているものの、なかなか効果が得られないといった課題をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、企業における防災訓練の必要性とその効果、よくある課題やその解決策について解説します。


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企業における防災訓練の必要性

企業にとって防災訓練は重要であり、実施する必要があります。その背景についてご紹介します。

安全配慮義務

企業は、従業員や顧客の命を守るため社会的に責任を負っています。
労働契約法では労働者の安全への配慮が定められており、使用者は労働契約に伴い、労働者が生命や身体などの安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をしなければなりません。

自然災害においても、使用者の労働者に対する安全配慮義務が免除されることはないため、平時からの防災や減災の取り組みは大変重要です。

災害が起きた後、安全配慮義務を怠っていたと判断されると、損害賠償に発展する可能性もあります。

事業継続

被災時には重要な業務を止めず、仮に中断してしまった場合も、いかに早く復旧するかが非常に重要です。そういった事業継続・早期復旧のためにも、防災訓練は欠かせません。取引先や顧客への損害回避のためにも実施することが求められます。

消防法における義務付け

企業は消防法によって年1回以上の防災訓練・避難訓練の実施が義務付けられており、訓練の実施に加え、実施のためのマニュアルの作成などが求められます。

防火管理者の責務の中で消防計画を作成し、定期的に該当の訓練を実施しなければなりません。

これらのことから、企業は防災訓練を実施する必要があります。


防災訓練の効果

防災訓練を実施することによって、次のような効果を得られます。

BCP対策になる

BCPとは、「Business Continuity Planning」の頭文字をとったもので、災害などの緊急事態における企業や団体の「事業継続計画」のことを指します。防災訓練は一種のBCP対策になると考えられます。

事業継続のため、もしくは中断したときにできるだけ早期に復旧させるための取り組みを計画します。防災訓練を継続的に実施することや、その内容を毎回アップデートしていくことは、いざというときの大きな助けになるでしょう。

従業員の防災意識・災害時の対応力向上

防災訓練を定期的に適切に実施していくことで、従業員の防災意識や災害時の対応力が向上することが見込めます。

この結果、商業施設や小売店、病院や介護施設などを運営する場合は、来店・利用・入院しているお客さまの安全を確保できます。

また企業は従業員、自治体においては職員や住民の生命と安全を守ることができ、役割を果たすことができます。


企業の防災訓練におけるよくある課題

企業が防災訓練を行う際には、次のような課題に直面しがちです。

企業の防災訓練におけるよくある課題

リアリティに欠け、形式的な実施になっている

防災訓練は、災害が実際に起こったときのことを想定して、いかにリアルに近い形で行えるかが重要です。しかし防災訓練の実施方法によっては、リアリティに欠け、形式的になりがちです。これでは実際に災害が起きたときに動けないため、防災訓練の意味を成しません。

従業員の主体性がない

防災訓練は、業務の合間に行ったり、平時の何も起きてない状況の中で行ったりするものです。このことから、従業員の興味関心が薄く、参加の主体性がないというのもよくある課題です。半ば強制的に参加させられているといったケースもあります。どのような訓練内容であっても、興味関心がなければ、実際に災害が起きたときに適切な行動をとることがむずかしくなってしまいます。

訓練内容がマンネリ化している・内容が古い

防災訓練を毎年必ず実施している場合でも、訓練の内容がマンネリ化していたり、内容が古くなったりしているケースもあります。この場合、対策が不十分である可能性が高いため、災害が起きたときにリスクが大きくなります。

起こり得るあらゆるリスクを想定しきれていない

防災訓練を実施するにあたって、ある程度災害を想定した上で行う必要はありますが、その場合、その想定が十分でない恐れもあります。実際は地震が起きたときに、停電や火災などが同時に生じる恐れがありますが、地震の揺れだけを想定して訓練を行っていたのでは、実際の現場で役に立たないでしょう。


企業の防災訓練における課題解決策

上記のような企業の防災訓練における課題は、さまざまな方法で解決していくことができるでしょう。解決策のアイデアをご紹介します。

災害VR研修の実施

近年は、バーチャルリアリティを用いた仮想空間において、地震や火事、津波等のリアルな災害シーンを没入感を持って体験できる研修が行われています。

リアリティに欠けている、従業員の防災訓練への主体性がない、内容がマンネリしているといった課題すべての対策になると考えられます。

例えばTOPPANの「災害体験VR」は、いつ起こるか分からない自然災害のうち、地震/津波/風水害の3つのコンテンツが体験できるツールです。

リアルに近い災害の様子を再現しており、没入感が得られるため、自然災害の恐ろしさや対処法をリアルに体験できます。その結果、体験者の防災意識を向上させることに貢献できます。


シナリオ設定を工夫する

防災訓練においてシナリオを設定することで、リアリティを高めることができます。しかしシナリオも毎回同じようなものでは、マンネリ化してしまいます。そこで毎回、さまざまなシチュエーションの災害のシナリオを考案するなどして工夫しましょう。毎回、シナリオを変え、取るべき行動を変えることで主体性も生まれやすくなると考えられます。

楽しく学べる研修で主体性向上

防災訓練とともに、防災研修を取り入れることも一つの方法です。防災研修では、防災訓練とは少し雰囲気を変えて、楽しくゲーム感覚で学べるような研修を取り入れることで、参加者の意欲や主体性が向上するでしょう。それにより防災訓練に対する意欲も向上することが期待できます。

例えば、TOPPANの「リモート型防災アトラクション®︎~楽しみながらできる 防災教育」は、防災教育におすすめのコンテンツです。Zoomを活用したオンライン教育であるため、地震や風水害への備えを楽しみながらリモートで学べます。災害発生時における不便や不自由、焦り、混乱、不安を感じながら、知恵と工夫で困難に立ち向かう体験が可能です。

謎解きのゲーム性を融合し、さらにリアリティを追求することで、楽しみながら防災意識を高めることができます。


専門家を招いて実施する

専門家を招いて防災訓練を行うことも一つの方法です。参加者の興味関心を引き、印象に残る防災訓練を実現することができます。専門家には、消防署の職員や防災のプロなどが考えられます。

シナリオ作成のほか、訓練の際の指導を依頼することで、リアリティを高め、最新情報も取り入れることができるでしょう。

防災関連施設や災害体験施設の利用

防災関連施設などを利用し、防災訓練を行う方法もあります。従業員にとっては、新鮮で意欲の向上が期待できます。

本格的な災害体験施設では、実際の地震を想定した中で避難訓練を行うことができます。ゲーム感覚で行うことができる施設もあります。全国にこういった施設があるため、近隣の施設を探してみましょう。


まとめ

防災訓練は、毎年定期的に実施するものですが、課題に直面しがちです。今回ご提案した課題解決策をヒントにし、ぜひ効果的な防災訓練を行ってください。

TOPPANでは、企業や自治体の防災対策に役立つソリューションを多数取り揃えています。ぜひ詳細をサービスページでご覧ください。

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2024.03.22

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