デジタルマーケティングとは?
全体像、AI活用メリットと事例を
一挙解説!
企業がマーケティングを実施する際に、もはやデジタル領域での取り組みは欠かせないものとなり、デジタルマーケティングの取り組みが進んでいます。
デジタルマーケティングの分野でも他の分野と同様に、技術革新が目覚ましく、AI活用などを通して効率化やより顧客ニーズに沿った活動を実現しています。
そこで今回は、デジタルマーケティングをこれから取り組みたい、もしくは取り組みながら、基本をおさらいしたいという方に向け、デジタルマーケティングに取り組む際に押さえておきたい概要やWebマーケティングとの違い、AIをデジタルマーケティングに活用するメリットやAIをうまく活用した成功事例などをご紹介します。
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、様々なデジタルチャネルを通して得られる消費者のデータを活用してマーケティングを行う手法です。具体的には、みなさんが日頃から身近にマーケティングに活用していると思われる、Webサイト、E-mail、SNS、スマートフォンアプリ、リアル店舗でのビッグデータなどを通じて得られたデータを利用して行います。デジタルマーケティングで頻繁に採用されている手法として、「Web広告」「コンテンツマーケティング」「メールマーケティング」、「SNSマーケティング」といった手法が挙げられます。
「Web広告」は文字通りWeb上に広告を出稿する手法ですが、検索結果に広告を表示する場合は「リスティング広告」、Webメディアにバナー広告を表示する場合は「ディスプレイ広告」など、広告の形態によって呼び方が異なります。
「コンテンツマーケティング」は、自社のサイト上にコラムなどのコンテンツを追加・改善することで、ファン獲得や検索エンジンの上位表示を目指す手法です。「メールマーケティング」は、自社で保有しているメールアドレス宛に情報を提供する手法で、「SNSマーケティング」はTwitterやFacebookなどのSNS上でフォロワーを獲得して認知を広げていく手法です。
自社のビジネスやターゲットによって、とるべき手法が異なりますので、どの手法が自社にマッチしているか、事前にしっかりと検討しておくことがおすすめです。
デジタルマーケティングでは、デジタル上で入手できるデータに限らず、店舗での行動といったアナログな情報も活用し、マーケティングを行います。マーケティングとは、一般的に「売れる仕組みづくり」を行うことを意味すると言われます。デジタルマーケティングでは、その「仕組みづくり」を、デジタルを通じて多様なチャネルを連動させることで、スピーディーにデータ取得・展開をしながら実現します。
昨今は、コロナ禍で非接触・非対面を目的にしたコミュニケーションのデジタル化やオンライン化が急速に進み、多くの企業がデジタルマーケティングに注力しています。
Webマーケティングとの違い
ところで、デジタルマーケティングと聞くと、アクセス解析やWebサイトのSEO対策(検索エンジン最適化)を行うことだろう、と思われるかもしれません。実は、デジタルマーケティングはそれだけではないのです。いわゆる「Webマーケティング」と混同されることが多くありますが、Webマーケティングはデジタルマーケティングに含まれる概念なのです。
Webマーケティングとは、Web上に特化したマーケティング手法のことです。例えば、Webサイトに集客するためのSEO対策やWeb広告、アクセス解析などのことです。
一方、デジタルマーケティングはWebサイトで得られるユーザーの行動データに限らず、アプリや実店舗におけるデータを活用することも含まれます。デジタルマーケティングは、Webサイトのみならず、スマートフォンアプリを利用してマーケティングを行ったり、実店舗の購買データを利用してECサイトのマーケティングに活かしたりするなど広範囲のデジタルデータ活用を行うマーケティング手法なのです。
デジタルマーケティングで注目されている技術
近年、デジタルマーケティングでは、様々な技術が取り入れられ、積極的に活用されています。主な技術をご紹介します。
AI
AIとは人工知能のことです。AIをデジタルマーケティングに取り入れる例としては、Webサイト上にAIを活用したチャトボットを設置し、ユーザーに利用してもらうことで、ECの売上促進、顧客満足度向上、問い合わせ工数の削減や業務効率化につなげるというものがあります。また、AIはリスティング広告の自動入札や、ECの商品レコメンドなどにも利用されています。AIによる機械学習や深層学習(ディープラーニング)を活用することで、高度な顧客分析を行う手法もあります。
※1 機械学習:コンピュータが大量のデータから反復的に学習し、データに潜むパターンやルールを見つけ出す技術のこと。
※2 深層学習(ディープラーニング):より深い機械学習のこと。人間が持つ神経細胞の仕組みを再現した「ニューラルネットワーク」と呼ばれるネットワークを用いる。
IoT
IoTはモノのインターネットのことで、家電や住宅設備から、自動車、工場、病院などの施設で様々な用途で取り入れられています。あらゆるモノをインターネットでつなげることで、デジタルマーケティングにおいては顧客サービスを拡充しながら、これまで取得できなかったユーザーの行動データの取得が可能になります。
XR(VR・MR・AR)
XRとは、「VR・MR・AR」の3つの技術を指します。
VR(バーチャル・リアリティ)は、バーチャルの世界に仮想空間を作り出すもので、例えばECサイトを実店舗に似せたバーチャル店舗をオンライン上の仮想空間の中に構築し、アバターによる新しいショッピング体験を提供するという活用法があります。
MR(ミックスド・リアリティ)は「複合現実」と呼ばれるものです。現実空間と仮想空間を併存させる手法です。ユーザーの位置や動作などの現実世界の情報データを取得し、仮想世界に反映させます。例えば車の写真に対して、車の機能や構造などの表面的には見えない情報を、グラフィックとして重ね合わせて可視化するといったことが可能になります。
AR(オーグメンテッド・リアリティ)は「拡張現実」と呼ばれるものです。現実世界の写真等の上に、バーチャルな視覚情報を重ねて表示します。例えば、自治体などがプロモーション目的で観光スポットにARコンテンツを配置しておき、観光客がそのARコンテンツが施されている場所にスマートフォンのカメラをかざすことで、その観光スポットの歴史や背景、見どころなどの情報をARコンテンツとしてスマートフォン上で閲覧できるようにするといったことが可能になります。
また、街中の広告にARコンテンツを配置しておき、通行人がスマートフォンをかざすことで、新たな広告コンテンツが見られるといったことも可能です。
XRは、デジタルマーケティングの可能性を大きく広げる技術といえます。
デジタルマーケティングへのAI活用例
デジタルマーケティングに活用されている技術のうち、「AI」についてさらに詳しく見ていきましょう。AIのデジタルマーケティングへの活用例を3つご紹介します。
AIチャットボット
AIを搭載したチャットボットの中には、利用者の感情を汲み取り、共感を示しながら最適な回答を提供するものもあります。これを導入することで、利用者を最適なWebページへ誘導したり、対話をしながら利用者が抱える課題を絞り込んで解決に導いたりすることができるので、ユーザーの顧客満足度が向上することが期待できます。
AIを活用した顧客分析
顧客分析は、デジタルマーケティングに欠かせないものです。その顧客分析は、AIを活用することによって、さらに効率化できます。例えば、商品ごとに異なる優良顧客を自動抽出し、売上向上を図るAIスコアリングエンジンを活用することで、見込み顧客を発見するという手法があります。
AIによるWeb広告自動配信
Webサイト上に出す広告を運用する際に、AIを利用することも行われています。AIの機械学習エンジンによって、Web広告を完全に自動運用することで、運用負荷と効率の最適化を図ることができます。
デジタルマーケティング戦略立案のトレンド
デジタルマーケティングを実施する際には、戦略立案を立ててから行うことで成果につながるといわれています。その戦略立案の際には、ぜひ近年のトレンドを取り入れながら実施していきましょう。
新技術・ツール、動画を活用する
IoTやAI、モバイル利用、アドテクノロジー(インターネット広告の効率化のための技術・システム)、動画などを多様に活用しながら、データ収集や顧客分析を行っていくことがトレンドとなっています。より詳細でリアルタイムに近いデータを活用することで、マーケティングの精度を高めることができます。
例えば、近年トレンドになっているツールの一つに「マーケティングオートメーションツール」が挙げられます。マーケティングオートメーションツールを利用することで、データ収集や見込顧客行動の分析が容易になり、自社サイト上で購買に近いアクションをしたユーザーに個別にアプローチすることが可能になります。
顧客起点でコンテンツ展開する
ただ新技術などを駆使して施策を行っていくだけでなく、それらを何のために、また何を主軸に置いて進めていくかが重要視されています。「顧客」起点で、顧客の好みや行動を深く理解することで、顧客とのエンゲージメントを高める志向がトレンドです。
測定・分析・評価を行い、PDCAサイクルを回す
多種多様なデジタルデータを取得し、分析を行った結果を評価し、次なる施策に活かすことで、PDCA(※3)サイクルを回します。そのPDCAの一連の流れを、より計画的、戦略的に実施するのがトレンドになっています。また、分析が詳細になれば、より良い意思決定を行うことができるようになります。
※3 PDCA:Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもの。この4つの工程を繰り返し実施することで、業務を改善させていくことをPDCAサイクルと呼ぶ。
デジタルマーケティングの活用事例
デジタルマーケティングは、実際にどのように活用されているのでしょうか。ここでは具体的な活用事例を3つご紹介します。
動画活用プロモーション
ある小売業者は、会員向けサービスを拡充するため、レシピ動画を公式ホームページとSNSで配信し、会員の満足度向上させました。社内にストックしていたレシピと映像などの素材を利用した動画制作により、作業の効率化も実現しています。
動画制作に利用したのはTOPPANの「movring(モブリン)」という動画コミュニケーションサービスです。販促物など企業が持つ既存の素材を活用し、スピーディーに高品質な動画を作成することが可能なサービスで、オウンドメディアやサイネージ、SNS、イントラネットなど、動画をさまざまなタッチポイントに配信することで、顧客とのコミュニケーションの幅を拡大することができます。
SNSマンガ活用プロモーション
SNSマンガを活用したプロモーション事例です。SNSマンガとは、主にTwitterやInstagramなどのSNSアカウントを通じて発表されるマンガのことで、書籍化もされるなど、ここ数年で注目度の高いコンテンツです。
あるエンタメコンテンツ配信企業は、ターゲット層への認知拡大、利用促進のためSNSマンガを制作して配信。多数のリツイートやコメント等の反響を得て、サービスの価値をターゲット層に訴求できました。TOPPANの「SNSマンガ」サービスを活用することで、販促内容をSNSクリエイターに描き下ろしてもらい、本人のアカウントで投稿してもらうことでプロモーションが効果的に行えます。
機械学習のスコアリングによるプロモーションターゲティング
AIによる機械学習で顧客のスコアリングを行うことで、ターゲティングを効率化できます。
ある金融企業は、DMの成果向上が求められる中、金融商品の新規申込みの促進を目的として、AIを活用したターゲティング施策を実施しました。機械学習によって会員数百万人を対象に予測金融商品の利用率を算出し、上位者を対象にDMを送付した結果、従来よりも約2倍の反応率を得ることができました。
利用したのはTOPPANの「KAIDEL(カイデル)」という機械学習のスコアリングによるプロモーションターゲティングサービスでした。
まとめ
デジタルマーケティングについての基礎知識や手法、事例等をご紹介してきました。現在、多様な顧客接点から得られるデータを駆使して、より高度な顧客分析が可能になっています。TOPPANでは、今回ご紹介したサービス以外にも、デジタルマーケティングを効率的に実施するためのサービスを多数取り揃えています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
2023.06.05